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仮面ライダーののBLACK

1 :ナナシマン:03/10/24 00:48 ID:ZdneZvCT
「戻らない昨日を求めるより、来るべき明日に希望を託して・・・・」


  仮面ライダーのの・辻希美は改造人間である。彼女の宿敵、ゼティマは
世界征服を企む悪の秘密結社である。仮面ライダーののは人間の自由の為に
ゼティマと戦うのだ!

過去スレ
小説「仮面ライダーのの」
http://teri.2ch.net/mor2/kako/992/992448019.html
仮面ライダーののU
http://choco.2ch.net/ainotane/kako/1000/10006/1000651650.html
仮面ライダーののV
http://choco.2ch.net/ainotane/kako/1004/10046/1004640107.html
仮面ライダーののV3
http://tv2.2ch.net/ainotane/kako/1013/10136/1013617420.html
仮面ライダーののX
http://tv2.2ch.net/ainotane/kako/1035/10356/1035609787.html
仮面ライダーのの555(ファイズ)dat落ち中
http://ex2.2ch.net/test/read.cgi/ainotane/1047519023/
仮面ライダーののアギト ※前スレ
http://ex2.2ch.net/test/read.cgi/ainotane/1059481473/



2 :ナナシマン:03/10/24 00:49 ID:ZdneZvCT
1 戦いに身を投じた少女達(名称は本編に準じる)
辻希美
 仮面ライダーののに変身する。 倉庫での火災により瀕死の重傷をおうが、
加護博士の手により 失った部分を人口物で置き換え、加護亜衣の皮膚を
移植され生まれ変わる。必殺技はライダーののキック、きりもみシュート
など。本編の主人公である。

加護亜依
 辻の親友。辻と同じく倉庫での建造物落下により瀕死の重傷を負う。
加護博士により、新しい体を組成されしばらく脳だけになって研究所の地下
で眠っていた。 新しい体を得て復活するが、自らの願いにより辻と梨華美の
手により改造され仮面ライダーになる。ZXとの死闘の中で、ついに隠されて
いた霊石アマダムの力が覚醒。仮面ライダークウガとしての力を得る。

ひとみ
 加護博士、つんく博士により作成された人造人間キカイダー。 いつも背に
ギターを背負っている。不完全な良心回路を持つため、プロフェッサーギル
の笛の音を受けると善と悪の心の葛藤に悩まされる。必殺技は両手をクロス
して放つデン・ジ・エンド 。

3 :ナナシマン:03/10/24 00:49 ID:ZdneZvCT
梨華
 ひとみと同じく加護博士、つんく博士により作成された人造人間で、常に
ひとみと行動を共にしている。ビジンダーに変身するが、実はその体内には
爆弾が埋め込まれている。ひとみより3ヶ月先に完成していたため、試作品
ながら完成された良心回路を持つ。必殺技はビジンダーアロー、ビジンダー
レーザー。

市井紗耶香
 生身の体ながら何をやらせても日本一の少女。強化服と専用車ズバッカー
を持ち、快傑ズバットになる。親友福田明日香を殺害した犯人を探すうちに
それがゼティマの仕業と知り、以来ゼティマを潰す為組織を追う。本来は
スペースシャトルに乗るはずだった、加護博士の友人の娘。最近明日香を
殺した犯人につながる重要な手かがりを得たようだ。

マキ(後藤真希)
 加護博士、つんく博士が作成した人造人間で、またの名をハカイダー。暴走
して一時ゼティマに壊滅的なダメージを与えた。のちにプロフェッサーギルの
手で服従回路を搭載され、完全な悪の僕となる。頭部にはつんく博士の脳が
搭載されているが、彼女以前に作られたもう一体のハカイダーには事故死した
少女、後藤真希の頭脳が納められた。しかしそれは動き出すことなく今も
封印されているという。自ら弟ユウキを手にかけながらも、未だキカイダー・
ひとみとの戦いに執念を燃やし、常に付け狙っている。


4 :ナナシマン:03/10/24 00:52 ID:ZdneZvCT
保田 圭(ケイ)
 祖父とともに、南米アマゾンで暮らしていたがゼティマの襲撃をうける。
その際、祖父の隠し持っていた腕輪とベルトを身につけ、その力により
仮面ライダーアマゾンに変身する。二つの腕輪を狙う十面鬼、ゼロ大帝が
彼女の直接の敵といえる。必殺技は大切断。

飯田圭織
 宇宙研究施設E&Sの研究員。惑星開発用改造人間計画に自ら志願し、
ヘンリー博士、同僚のりんねの手によりコードネームスーパー1に改造
される。が、研究所はゼティマに破壊され博士、りんねは死亡。その復讐
と世界平和のため仮面ライダースーパー1を名乗る。 必殺技はスーパー
ライダー月面キック、ファイブハンド。

安倍なつみ
 ゼティマに親友を殺され、その復讐の為にゼティマに捕まりわざと
改造手術をうけ、カブトムシの強靭な筋肉と発電機をうめこまれて
仮面ライダーストロンガーになる。同じく改造手術を受けた少女あさみ
こと電波人間タックルを助け共に行動していた。 あさみの死とガモン
親衛隊との戦いを経て戦士としても一段と成長した。必殺技は電キック、
反転ブリーカーなど。


5 :ナナシマン:03/10/24 00:54 ID:ZdneZvCT
矢口真里
 石黒彩の義妹。ゼティマに人質となって捕まっていた。その正体は宇宙
からやってきた異星人であり、身分を偽って地球に滞在し星雲仮面
マシンマリとして悪と戦っていた。だが怪人ハサミジャガーに瀕死の
重傷を負わされ、辻と加護の手によって仮面ライダーV3として復活する。
必殺技はきりもみ反転キック、遠心キックなど。

紺野あさ美
 友人達と訪れていたキャンプ場でガメレオジンの無差別殺戮に遭遇。
仲間達の命を守るために単身戦いを挑むが破れ、その命は風前の灯火と
思われていた。しかし加護生化学研究所の最新技術による改造手術で
一命を取り留め、スカイライダーとなった。必殺技はスカイキック、
大反転スカイキックなど。

高橋 愛
 ゼティマに襲われ、父の命をかけた改造手術によってXライダーと
なった。自在に姿を変える武器「ライドル」を手に、悪に敢然と
立ち向かう。クモナポレオンとの戦いにおいて敗北した後、真里と
ミカの手によって「マーキュリー回路」を取り付けられ驚異のパワー
アップ「大変身」を可能にした。必殺技はXキック、ライドルによる
攻撃に加えてパワーアップ後は真空地獄車を会得。


6 :ナナシマン:03/10/24 00:55 ID:ZdneZvCT
ミカ・トッド
 元ゼティマの天才科学者。裏切り者のぬれぎぬを着せられて硫酸の
プールで処刑されそうになるが、仲間によって助けられる。しかし
右腕は壊死してしまい機械の腕「カセットアーム」になってしまった。
その力を駆使してライダーマンに変身する。生身に近い身体なので
直接戦闘は不得手だが、カセットアームによる攻撃で他のライダーを
サポートする。

村田めぐみ 
バイクロッサーメグミの能力を持つ、武器としてクロスブレードと
バスタークロスを持つ。更に専用マシーンにメグミローダーがある。

大谷雅恵
バイクロッサーマサエの能力を持つ、武器としてスリングクラッシャーと
クロスシューターを持つ、更に専用マシーンにマサエクロンがある。
マサエクロンはバイクロッサーの必殺武器ブレーザーカノンとして使用。


7 :ナナシマン:03/10/24 00:56 ID:ZdneZvCT
新垣里沙
 幼少の折に母と生き別れ、地底都市デスパーシティに育った。五郎
老人と共に子供達の世話をしていたが、デスパー軍団の手が及ぶことを
恐れて地上に脱出する。その際に五郎の手によって超能力に覚醒。
やがて目の前で五郎を殺されるに至ってその力が発動し、彼の遺志を
継いでイナズマンとなった。必殺技は稲妻拳法念力パンチ、イナズマン
フラッシュなど。

小川麻琴
 かつてパーフェクトサイボーグZXを名乗っていたが、クウガの力に覚醒した
亜依との戦いを経て少女達に合流する。全身の99%を改造されて過去の記憶を
奪われた彼女だったが、少女達との交流の中で新たな心の絆を見出そうとしている。
現在はまだ仮面ライダーを名乗っていない彼女だが、その名の元に自らの持てる
本領を発揮する時はもうすぐだ。

ユキ
 江戸時代、修行の旅の果てに忍者集団「谷一族」に入門し頭領谷の鬼十の下に
師事した忍の者。師のつてによって美浜藩に仕えるが、秘儀「化身忍者誕生の法」
を狙う血車党の下忍達との死闘の果てに深い傷を負うが、化身忍者誕生の法に
よって変身忍者嵐として蘇る。「秘剣影うつし」などの忍術技を駆使する。



8 :ナナシマン:03/10/24 00:59 ID:ZdneZvCT
まい
 札幌の地に甦った第4の人造人間、キカイダー01。変身したひとみの身体とは
左右逆転した赤と青の体色を持ち、太陽電池で駆動する。「妹たちを護る」という
使命を躊躇無く遂行するべく、三姉妹のうち彼女だけは良心回路を持たない。ついに
二人の妹、ひとみと梨華との出会いを果たしたのもつかの間、れいなからファイズ
ギアを奪い、ファイズに変身したセンチピードオルフェノク・琢磨逸郎との戦いに
突入。戦いの末にこれを退けファイズギアを奪回した。必殺技はブラストエンド。

田中れいな
 ファイズギアの所持者であり、仮面ライダーファイズに変身する。かつて流星塾
という教育の場にいた子供達の一人であり、ファイズギアは彼女たちが父と敬愛
する人物から送られたものである。同窓生は次々と連続殺人の犠牲となっている
ことから、それを意図する者達を倒すことが彼女の戦う意義であると思われる。
必殺技はクリムゾンスマッシュ。

亀井絵里
 カイザギアの所有者であり、仮面ライダーカイザに変身する。カイザギアはその
力に耐えられなかった者の肉体を破壊してしまう恐るべきギアだったが、ギアに
選ばれたのは他ならぬ絵里であった。かつてはれいならと同様に流星塾の同窓生
だったが歳月が人を変えたか、以前とは別人のようになってしまったという。
必殺技はカイザブレイガンによる斬撃など。



9 :ナナシマン:03/10/24 01:00 ID:ZdneZvCT
2.少女達を支える理解者達

中澤裕子
 加護博士、つんく博士の助手。
ハカイダーマキ襲撃の際、組織への疑問から脱走。後に辻と出会い、彼女の
保護者となる。現在は同居人も増え、家もにぎやかしい限りである。一時は
敵の手に落ちていたが見事生還を果たし、希美と亜依を特訓したりと少女達
の精神的支柱として大きな存在感を示している。

石黒 彩
 加護博士、つんく博士の助手。真里の義理の姉でもある。薬物により洗脳
されたうえ、真里を人質にとられゼティマで働いていたが洗脳を脱し少女達
とともに暮らしている。ハサミジャガーの襲撃によって死んだかに思われた
が、ミカによって一命を取り留め、現在はすっかり傷も完治している。

稲葉貴子
 FBI捜査官。中澤、石黒らとコンタクトをとる際、ゼティマに襲われひとみ
に助けられる。コンタクトの目的は現在不明だが、なんらかの重要な情報を
持っていると思われる。


10 :ナナシマン:03/10/24 01:01 ID:ZdneZvCT
木村絢花(アヤカ)
 ミカと共に組織を脱走した科学者の一人。日本に逃亡した後、親戚の経営
する病院で女医として勤務しており、重傷を負った彩の主治医として回復に
尽力した。ヨロイ元帥への復讐と組織への復帰に揺れるミカの前に姿を現し、
カセットアームの真の力を教えると囚われの友レフアを救い出した。


ソニン
 生物学者としてゼティマに囚われ無理矢理研究をさせられていた。実験体や
人質を解放するため自ら肉体強化を受けるが記憶と正気を失い、ゼティマから
追放される。やがて人の心を取り戻した彼女は記憶を取り戻す旅に出てユウキ
と出会う。そのとき高圧電流に触れ、ベルスターに変身する能力を得た。
 戦いのさなかついに自らの記憶を取り戻すが、その代償は大きく変身能力と
ユウキを失った。現在変身することは出来ないが、そのパワーは怪人並。


11 :ナナシマン:03/10/24 01:05 ID:ZdneZvCT
斉藤瞳
 2人の幼馴染、現在は2人のお隣で何でも屋を営む。2人がバイクロッサー
である事を知り協力、戦いに身を投じる。両親は現在何かの組織を調べる為に
家を開けている。
 少女達の生活を助けるために仕事を斡旋するなど、ハローワーク商会の
頼りになる「ボス」。

柴田あゆみ
両親の死後、2人が引き取られた施設で出会う。その頃から姉妹の様な関係。
現在は斉藤の会社で唯一の従業員。斉藤と同じく2人に協力。 また合気道の
達人でもあるが力不足を感じ修行中。

上原学園長と斉藤大吉
学園長は村田、大谷、柴田のいた施設の園長。3人が一番尊敬できる人物で
よき相談相手でもある。また大吉は斉藤の父親。現在とある組織について
調べる為、妻を連れあちこち飛び回る。その組織が何なのかは現在は不明
である。また、村田、大谷にとっても父親の様な存在である。


12 :ナナシマン:03/10/24 01:05 ID:ZdneZvCT
五木治部太輔弘繁
 越前美浜藩藩主。名君の誉れ高き人物であるが、同時に秘儀「化身忍者
誕生の法」を代々守り次いできた。参勤交代先の江戸屋敷にて血車党の
襲撃を受けた彼はユキの命がけの働きによって難を逃れる。ユキの師である
谷の鬼十の言葉を受け入れ、ユキに化身忍者誕生の法を施すことを許した。

堀内伝兵衛孝雄・高山源五右衛門厳実
 堀内は美浜藩家老、高山は五木に使える御用人であり、いずれ劣らぬ
忠義の人である。



13 :ナナシマン:03/10/24 01:06 ID:ZdneZvCT
登場人物 3:悪の野望の前に命を落とした者たち

りんね
 圭織と共にE&Sに勤務していた研究員。ゼティマの研究所襲撃の際、
自力変身がまだできなかった圭織をかばい殺害される。あさみは彼女の
牧場時代の友人。

あさみ(木村麻美)
 ゼティマに捕らえられ、電波人間タックルに改造されるが、脳改造前に
安倍なつみに助けられ、共に戦うようになる。彼女の友人りんねはE&Sに
勤務。父はあさみと同じく改造されゼティマの手先となったがライダーのの
に倒されており、それにつけ込んだドクターケイトにそそのかされ、ののに
戦いを挑む。
 しかし全ての真相を知った彼女は捨て身の必殺技「ウルトラサイクロン」
を放ち、ドクターケイトを倒して力尽きた。

荒井沙紀
 インターポールの捜査官を父に持つが、その父はガイゼル総統に殺された。
復讐を誓う彼女は総統に接近すべく暗殺者となり、やがて組織から暗殺の女王
レッドクインの名を送られる。里沙をおとりに総統をおびき出し、狙撃しよう
と目論んだが失敗。デスパー軍団の一斉射撃によってその命を散らす。


14 :ナナシマン:03/10/24 01:11 ID:lyQY2pva
ダニエル・エイプリル・チェルシー
 ミカの仲間の科学者で、右腕を失ったミカのカセットアーム取り付け手術が
終わるまでの間命をかけて敵の突入を食い止めたが、銃火の中に散った。

ユウキ
 姉である真希の死の真相を追ううちにソニンと出会い、以来行動を共にする
ようになった少年。高圧電流に触れた影響で、影の魔人カゲスターに変身する
能力を得た。ついに姉である真希との再会を果たしたが、探し続けていた姉は
昔の姉ではなく、今や人造人間ハカイダー・マキと化していた。一瞬姉との
絆が戻りかけたが、マキはプロフェッサー・ギルによって再度コントロール
されてしまう。最期は姉の放った凶弾に倒れ、ソニンの腕の中で息を引き取る。



15 :ナナシマン:03/10/24 01:12 ID:lyQY2pva
登場人物その4:新たに登場したキーパーソン

道重さゆみ  
 れいなと二人で怪人達の待つ奥多摩へとやってきた、ちょっと内気そうな感じの
少女。れいな、絵里と同様流星塾の同窓生。しかし、そんな彼女にも異形の者達の
魔の手が忍び寄り・・・。

平家
 スクイッドオルフェノクの手にかかって命を落としたはずのコンビニ店員。しかし
その後彼女の身体は異変を起こし、一瞬蛇を思わせる異形の姿を見せた。自らの
教育係であった戸田の言葉を思い出した明日香は、彼女の身に起きた異変の意味を
知る。

お美和
 ユキの手によってならず者から救い出された安房生まれの娘。唄上手で旅好き。
ユキと道中を共にするが、何か事情ありげな雰囲気も漂う。


16 :ナナシマン:03/10/24 01:13 ID:lyQY2pva
「ZETIMA」〜ゼティマとは?

 世界征服を企む悪の秘密結社であり、その野望のために日々改造人間や人造人間を
産みだしては尖兵として送り込んでいる。内部組織や配下組織には判っているだけ
でもダーク、シャドウ、デスター、テンタクル、デルザー軍団、 サタン帝国(壊滅)
があるが、これら傘下組織の長達もまた組織内での覇権を狙っており、その結束は
必ずしも一枚岩とは言えないようである。その他には独立攻撃部隊としてGWS、
また東南アジア圏を支配する支部組織として拳龍会とまんじ教(GWSと拳龍会、
まんじ教は外伝のみの登場)が存在していた。
 大首領を頂点に最高幹部は悪魔元帥と思われる。また、三神官と呼ばれる最古参の
大幹部が存在し、更に地獄大使の双子の弟(注:本作における設定)暗闇大使と
ブラック将軍が自らの部下と共にゼティマに加わった。
 ゼティマは世界征服のために各地で暗躍しているが、特に「世紀王」と呼ばれる
次期大首領候補捜索は組織の存亡に関わる大事であるようだ。彼らの悪事の一端は
少しず明らかになってきているが、その実態には未だ謎が多い。


17 :ナナシマン:03/10/24 01:16 ID:ww40zghI
二人の「世紀王」と新世界の王「創世王」

 5万年に一度の日食の日に継承者の証「キングストーン」を継承した者を「世紀王」
と呼ぶ。キングストーンは二つ存在し、世紀王もまた二人存在する。そして、二人の
選ばれし者は互いに相争い、勝者が敗者のキングストーンを奪い継承権を獲得すると
言われている。この戦いによって選ばれた継承者は「創世王」として来る新世界に君臨
し、その力は宇宙をも掌中に収めるとされている。
 ゼティマの最古参幹部である「三神官」は掟に則り二人の運命の娘を捜しているが、
未だに結果が出せていないのが現状である。そのため悪魔元帥は独自候補としてZXと
タイガーロイドを擁立しようと考えていたが、ZXは組織を離れタイガーロイドも行方
をくらましてしまった。結局彼のもくろみもまた潰えたのだ。



18 :ナナシマン:03/10/24 01:17 ID:ww40zghI
新たな勢力「オルフェノク」とは・・・

 人の世に隠れ、人を超えた異形の者達。それが「オルフェノク」である。彼らは一度
死を経験して再び異形の者として甦ると言われている。ハイテク企業スマートブレイン社
がこの異形の者達に関わっていると思われるが、その実態は明らかではない。どうやら
彼らもまた「創世王」の出現を待望しており、そのためにファイズギアとカイザギアを
狙っているようである。


19 :ナナシマン:03/10/24 01:21 ID:ww40zghI
本作の時系列(名無しハンペン氏作に加筆)

3万年前 
 三神官、剣聖ビルゲニアを封印。

江戸時代前期・三代将軍家光の治世
嵐、誕生。血車党との死闘。

10年以上前
村田、大谷の両親死亡。ゴーラ像奪われる。

4年前〜
研究所の爆発事故により、後藤真希死亡(?)。
ハカイダー(オリジナル)完成。すぐに封印。
流星塾に子供が集められる。
飯田、りんね、アメリカに渡る。

3年前
3月 01(まい)完成。仏像の中に隠される。
ソニン、ゼティマに囚われの身となる。


20 :ナナシマン:03/10/24 01:23 ID:ww40zghI
2年前
1月 ビジンダー(梨華)完成
4月 キカイダー(ひとみ)完成
福田明日香死亡(?)。市井紗耶香、ズバットへ。
安倍、ストロンガーへ、あさみ、タックルへ改造される。
9月 ハカイダー(マキ)完成。暴走のため組織はいったん壊滅。
安倍、あさみ、組織を脱走。

1年前
流星塾、解散。
矢口真里、地球へ。石黒の義妹となるがゼティマに囚われの身となる。
倉庫の爆発により、加護亜依死亡。
ソニン、研究途中、自らを強化人間に。しかし組織に捨てられる。
ソニン、ユウキと出会う。カゲスター、ベルスター誕生。

半年前(連載開始)
仮面ライダーのの、誕生。加護博士死亡(?)。
「連続少女殺害事件」。ファイズのベルト、道重の元へ。
辻と、中澤、石黒が合流。
暴走していたハカイダー、プロフェッサーギルに服従回路をつけられる。
アマゾンのジャングルにて仮面ライダーアマゾン(ケイ)誕生。
アメリカのE&S研究所にて仮面ライダースーパー1(飯田)誕生。りんね死亡。
キカイダー、ビジンダー、辻達と合流。
九郎ヶ岳の発掘現場からグロンギ目覚める。


21 :ナナシマン:03/10/24 01:29 ID:ww40zghI
現在
加護亜依復活。仮面ライダーあい、誕生。
矢口、仮面ライダーV3へ。
スカイライダー(紺野)誕生、合流。
スーパー1、アマゾン合流。ン・ダグバ・ゼバ登場。
Xライダー(高橋)誕生。ストロンガーと行動を共にする。
ライダーマン(ミカ)合流。
バイクロッサー(メグミ、マサエ)誕生。
ZX(小川)完成。
タックル死亡。ストロンガー、X、合流。
バイクロッサー組、合流。
X、マーキュリー回路設置、「真空地獄車」習得。
イナズマン(新垣)誕生、合流。
01復活。
カゲスター死亡。ソニン、守備隊の隊長へ。
ライダーのの、あい、ZXと戦闘、敗北。中澤連れ去られる。
ダブルライダー復活、中澤奪還作戦。
ファイズ(田中)、カイザ(亀井)、道重、登場。
ZXとの再戦。霊石アマダム目覚める。ZX合流。麻琴とあさ美の
絆が深まる。
01合流。
13人のゼティマライダー出現。
福田明日香、ホースオルフェノクとして覚醒する。
ラッキークローバー暗躍。


22 :ナナシマン:03/10/24 01:31 ID:ww40zghI
 以上取り急ぎスレ立てました。前スレ同様のご愛顧を賜りますよう、皆さんといっしょに
頑張りますのでよろしくお願いいたします。

23 :名無し天狗:03/10/24 01:36 ID:18uWRVGb
>ナナシマンさん
こちらこそ。いつもながらお手を煩わせてすいません。ありがとうございます。
これに報いるためにも(日付けは既に変わっているので)「今夜(今じゃないです)」、
早速続きに取り掛からせて頂きます!頑張りますのでヨロシクです!!

24 ::03/10/24 08:23 ID:1Ar2f8jk
川σ_σ||<保

25 :ナナシマン:03/10/24 09:08 ID:ww40zghI
福田を入れるのを忘れてました。4項に追加します。


福田明日香
 かつて何者かによってその命を奪われたかに思われたが、「人を超えし者」
オルフェノクとして再びこの世に甦った。オルフェノク達に加担することを拒否
した彼女は異形の身と化しながらも人の心を持ち続けようと決意する。そんな
彼女が新たに得た姿はホースオルフェノク。


26 :名無し天狗:03/10/24 18:21 ID:xc0Uhj/Y
皆さんこんばんは、名無し天狗でございます。
スレも変わって、より一層頑張りますのでヨロシクお願いします。

では、早速ですが今宵の講釈に掛からせて頂きます。

27 :名無し天狗:03/10/24 18:36 ID:xc0Uhj/Y
  多分第44話「父の魂・母の涙〜変身忍者嵐・第二章〜」

<これまでのあらすじ>
血車党と戦うため化身忍者「変身忍者嵐」となった美浜藩のくノ一・ユキは、
「化身忍者誕生の法」の秘伝書奪回と、両親の仇討ちのために旅立った。
その道すがら、ユキは自分の愛馬ハヤブサオーが彼女の叔母のお順であることを知る。
お順もまた、嫁ぎ先の柳澤家を滅ぼされた怨みを晴らすために仇を捜していると言う。
同じ宿命の元に集った二人は、共に助け合って修羅の道を歩むことを誓う。
二人はユキの両親(ユキの父はお順の兄)の墓参のため耕地に向かうが、その船上にて
彼女たちは暴漢に襲われていた安房出身の旅娘・お美和と出会う。
旅の目的が未だ判らぬ彼女はユキに救われ、ユキたちと共に旅をゆくことになる。
だが、彼女たちの動きは既に血車党の知るところとなり、ユキ暗殺の罠を仕掛けてきた。
その第一の罠をユキたちは辛うじて逃れるが、彼女たちの行く手には、更なる過酷な罠が待ち受けている。

そんな中、ある日の夜、ユキは自分が何故か「未来の江戸」=東京の上空に浮いており、
東京の街では二人の少女が血車党とは異なる悪と戦っていると言う、不思議な夢を見る…。

28 :名無し天狗:03/10/24 18:38 ID:xc0Uhj/Y
>27
× 「耕地」 → ○ 「高知」


29 :名無し天狗:03/10/24 18:56 ID:xc0Uhj/Y
ビルの屋上に立つ加護亜依と辻希美の二人は、眼下の敵・ゼティマを見下ろし
吐き捨てるようにこう叫ぶ。

「目に物見したるさかいな!!」
「覚悟するのれす!!」

そして二人は、各々腕を一定の位置にピン!と伸ばす。
その時次に二人が発した一言に、上空のユキは過敏な反応を示した!

「ライダー・・・変っ身!!」
「変っ身!!」

「な・・・へ、“変身”だと!!??」

ユキも嵐に“変身”する「化身忍者」である。それ故、見た目まだ子供の二人が発した
「変身」の一言は、彼女には実に衝撃的であった。

やがて「変身」の構えを取った二人は地上目掛け再びジャンプする。

「とぉっ!!」

二人の腰には、いつしかあのベルトが巻かれていた。
そのバックルの風車が、急降下から受ける風圧によって高速回転する!

そして地上に降り立った時、二人の姿はゼティマの「悪」とは違う「異形の者」へと変わっていた。
ユキは更に困惑の色を強める。

30 :名無し天狗:03/10/24 19:08 ID:xc0Uhj/Y
「まさか・・・これは・・・もう私には何が何だか・・・・・・。」

混乱するユキ。無理もない。一見普通の人間が、あれだけ大勢の者たちと渡り合い、
その上「変身」までしてみせたのだから。

その「変身」した二人の姿は、バッタを主体としながらも、生々しさを感じさせない。

「うぬぬ・・・おのれ、仮面ライダー!!」
「「いくで<れす>!!」」

いきり立つゼティマの群れに、二人の「仮面ライダー」は再度対峙する。

「か…“仮面らいだぁ”と申すのか、あの二人の化身忍者は……。
 しかし驚かされてばかりだな。まさか、この得体の知れぬ世界にも、化身忍者と
 それを生み出す技術があるとはな…。」

ユキはもう何が起きても驚かぬと言った風であった。むしろ、この不思議な世界では
どんなことがあってもおかしくないと思うようになっていた。

31 :名無し天狗:03/10/24 19:18 ID:xc0Uhj/Y
地上では、二人の「仮面ライダー」がゼティマの戦闘員を残らず撃退し、
怪人と睨み合っていた。

先手を仕掛けたのは怪人の方だ。

「死ねぇ!ライダー共!!」

言うなり怪人は「仮面ライダー」に飛び掛る。
だが、「仮面ライダー」は数多くの敵怪人を幾度と無く倒してきた。
怪人の、手を変え品を変えて次々繰り出す攻撃を、
「仮面ライダー」は当たり前のように回避し続ける。

「クソォ、チョコマカと!!」
「今更そないな攻撃、通じる思うとるんかい!!」
「鬼さんこちら♪ベロベロバァ〜♪」

「つ・・・強い・・・!」
上空のユキも、二人の見事な戦いぶりに舌を巻いていた。

やがて「仮面ライダー」優勢のまま、時は過ぎた。

怪人は焦燥の色を強め、すでに自分を見失っている。

「よし、止めや!いくで、のの!!」
「うん!!」
「「とおっ!!」」

二人は先程よりも強く、そして高く、大きくジャンプする!!

32 :名無し天狗:03/10/24 19:36 ID:xc0Uhj/Y
そして二人は空中で一回転!!

「「ライダァー!ダブルゥ!!キェェェェェェェック!!!」」

上空から矢のように一直線に、怪人目掛け急降下のキックを見舞う二人!百発百中!!

「グギェャアアアアァァァ・・・・・・!!!!」

怪人は二人の強烈なキックを受け、何故かユキの方へと飛ばされて行く!

「・・・!最後の止めは任せよ!!」

眼前に迫る怪人に、上空のユキは背のハヤカゼを抜いて上段の構え。だが・・・・・・!!

 ド ォ グ ァ ァ ァ ァ ・・・・・・ ン ン !!!!

怪人はユキのいる地点に達せぬうちに、末期の大爆発を起こした!!
その爆風と衝撃は、そのままユキを襲う!!

「う あ あ あ あ あ あ ぁ ぁ ぁ ぁ ・・・・・ !!!!!!」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ガバッ!!

ユキは衝動に駆られ、跳ね起きた。
目を覚ましたユキは、辺りを見回すが・・・そこは野宿に使っている洞窟の中であった。
三人の傍らでは、暖を取り明かりを灯していたであろう焚き火の火が小さく燻ぶっていた。

「・・・ふぅ…やはり夢であったのか…。」

だが、その夢はユキに鮮烈な印象を与え、「次なる大きな運命」を予感させるには充分な力があった。

33 :名無し天狗:03/10/24 19:40 ID:xc0Uhj/Y
一旦、休憩に入らせて頂きます…。

34 :名無し天狗:03/10/24 20:24 ID:xc0Uhj/Y
翌日、ユキたち一行は洞窟をあとにした。
だが、ユキの頭の中にはゆうべ見たあの「夢」のことがこびり付いていた。

「しかし…あの“仮面らいだぁ”とは一体…?
 それと、浪花言葉を喋っていた方の左腕にあった紫色の布…
 あれがどうも我がことのように思えてならぬ…。」

ユキは夢の中の出来事を心の中で反芻するが、
納得出来たようで納得出来ぬ、と言った心境であった。
が・・・

「・・・ま、今は斯様なことを考えても詮方なきこと。
 今はただ、血車の邪魔に用心しつつ仇を討たねば!」

・・・考えても何も始まらない。今は当面の目的を果たす。
ユキは気分を一新し、先ずは父母の菩提寺へと向かう。

しかし、その道は決して平坦ではなく、魔神斎の言うところの
「第二陣以降」の罠が次々とユキたちを襲った。

崖の上から転がり落ちる大岩、行く手を阻む火の手、
一歩踏み入れただけで綱が切れ易いように細工された吊り橋・・・。

それらの危機を、ユキたちは苦戦しつつも辛くも潜り抜ける。

「罠要員」として、使い捨て扱いされた血車党の下忍たちに憐みを抱きながら。

35 :名無し天狗:03/10/24 20:47 ID:xc0Uhj/Y
やがてユキたちは、目的の寺に到着した。
寺の住職はユキの家族の古くからの知り合いで、
彼は逞しく、かつ美しく成長したユキを暖かく迎え入れた。

茶をご馳走になり、ユキたちは住職を交えて昔話に花を咲かせる。

そして、ユキが「父母のお墓にお参りしたい」と切り出したその時…
住職の口から意外な一言が飛び出した。

「実は…あなたのご両親のお墓は…ここには存在しないんです。」

36 :名無し天狗:03/10/24 20:50 ID:xc0Uhj/Y
今宵はここまで、続きは次回の講釈で・・・

やっと夢から醒めたユキの旅の続きの始まりです。
もしかしたら…「ののV3」における「Project G4」並みの
長さになるかもしれません。そのあたりご了承の程を。

ではまた次回。
また暫く置いてからになるか、翌日になるかは判りませんがどうか一つ。

37 ::03/10/25 08:25 ID:ja9I1kzy
川σ_σ||<保



38 :悪の系譜:03/10/25 12:30 ID:JlXk8aLi
スクイッドオルフェノク
 福田の教育係として付けられた戸田が変身するイカ種のオルフェノク。手にした棍棒
から噴出する墨のような液体は溶解性で、ひとたび攻撃対象の体内に入り込むと心臓
を焼き溶かして相手を殺す。人の心を失いたくないと強く願う福田明日香と戦いになり
ホースオルフェノクと化した福田の魔剣によって斃れた。

木霊ムササビ
 元々はタイの刑務所に収監されていた凶悪犯罪者だったが、死人コウモリの手に
よって脱獄し、改造手術を施されたようである。ホーチミン大学でV3を待ち受け、鋭い
爪、牙と毒ミサイルで襲ってきたがV3トリプルパンチによって倒された。

39 :悪の系譜:03/10/25 12:41 ID:JlXk8aLi
火炎コンドル
 木霊ムササビと同じく元は凶悪犯罪者の一人であったが、まんじ教によって改造され
改造人間となった。口から火炎を吐くほか飛行能力をも備えている。また、謎の僧侶に
変身して活動することもある。最後はバショウガンともどもハヌマーンの神通力によって
敗れ去った。

バショウガン
 まんじ教の手先であり、もとは木霊ムササビ、火炎コンドルと同様にタイの刑務所に
収監されていた凶悪犯だった。伸縮自在の蔦を操る水芭蕉の怪人で、息子である
コチャン少年とベトナム入りしていたヴィルット博士を襲撃しコチャンを連れ去った。
火炎コンドルともども、ハヌマーンによって倒された。


40 :悪の系譜:03/10/25 12:55 ID:JlXk8aLi
死人コウモリ
 ヒマラヤの悪魔と呼ばれるウィルスによって、人々を恐怖に陥れていたまんじ教の教主
ツバサ大僧正の正体は、巨大なコウモリの怪人であった。鋭い爪を武器に空中から敵に
襲い掛かり、またその舌は長く伸びて人間の血を吸う。V3を空中高く運び上げ、空中回転
で地上に叩きつけようとしたが、ハヌマーンの神通力でつむじ風がおき、その風に乗った
V3が繰り出した「V3スクリューキック」によって翼を折られ、敗れ去った。


血車党下忍兄妹
 茶店の者に身をやつしてユキたち一行を待ち伏せ、毒殺を企んだが失敗。兄は「忍法
朧分身」によって敗れ去り、妹もまた自ら命を断った。しかし、この絆深い兄と妹の捨て身
の戦いもまた、血車党にとっては単なる時間稼ぎでしかなかったのだ。

41 :悪の系譜の中の人:03/10/25 12:57 ID:JlXk8aLi
 みゅん八っあん乙!これで当面の危機は回避されたかと。あとは天狗氏の
話を待ちましょう。


42 :名無し天狗:03/10/25 13:49 ID:vnIp/01i
>37さん、悪の系譜編纂者さん
イャー、かたじけない!今夜にでも講釈を再開する所存にござる。
暫し待たれませ。

43 :名無し天狗:03/10/25 20:18 ID:rsicQ+I7
「・・・・・・!!!???」

住職の意外な一言に、一同は筆舌に尽くしがたい驚愕を覚えた。

この村には寺はここだけの筈。
ならば、父母はここに弔われて然るべき。なのに何故・・・?

ユキは当惑した。お順も「信じられない」と言った面持ちである。
墓参のための帰郷。しかし、この寺に父母の墓はない。

・・・一体どう言うことなのか!?

ユキは、思い切ってその理由を住職に尋ねた。

44 :名無し天狗:03/10/25 20:51 ID:rsicQ+I7
そのユキの問いに対し、住職いわく

「いや、正確には“今は”存在しない、と言うべきですか。
 かつて、あなたのご両親が悲運のご最期を遂げられた時、
 拙僧はお二人のご遺骸をお棺に納めて、手厚く弔って進ぜようとしたのですが、
 葬儀のあとに、「いかなる病もたちどころに治し、死人をも目覚めさせる」と言う
 名医の方が現われて、ご遺骸をお引取りしたい、と申し出て来られたのです。
 当初は拙僧共も半信半疑にございましたが、そのお医師…
 お名前まではちと存じませんが、そのお方の熱意に負けて、それならばと
 蘇生のことをお願い致したのです。」

ユキには、俄かには信じがたい話であった。
殺された筈の父と母が生きていた。しかもそれは、その「奇跡を呼ぶ名医」の手による
ものであるなど。となると、これまでの苦労は何だったと言うのか。
嬉しい反面、生涯を懸けてまで自らが背負った辛苦が水泡に帰した虚無感がユキに圧し掛かった。

更にユキは問う。冷静を装ってはいるが、心中穏やかではなかった。

「・・・では、私の両親がかつては弔われる筈であったと言う証をお見せ願いたい。」

45 :名無し天狗:03/10/25 21:20 ID:rsicQ+I7
「・・・判りました。お見せしましょう。ささ、こちらへ…。」

住職は立ち上がり、三人をとある場所へと案内した。
辿り着いたところは…一戸の土蔵であった。
何でも、お焚き上げをする仏具を一旦安置するための物であると住職は言う。
その土蔵に施された錠を開け、四人は土蔵の中に入った。

灯りを点す住職。土蔵の内部には、所狭しと様々な仏具が並んでいた。

「あれですじゃ、ご覧なされ。」

と、住職が指差した先には、二つの樽のような桶と位牌があった。
(江戸時代の棺桶は樽のような形をしており、遺体を屈めるように折り畳んで
 中に収めていたのである)

「・・・これが…。」

ユキとお順は呆然と立ち竦んでその棺桶と位牌を見つめていた。
いずれもユキの父母の両親の戒名と俗名が書き記されている。
ユキは恐る恐る棺桶の中を覗くが、やはり中は空であった。

となると…両親は今どこにいるのか!?
早く逢いたいと言う衝動から、ユキの心は紅潮していた。

「もし・・・両親の今の居場所をご存じあらば、ご無礼にはござるが
 お教え頂きとう存ずる。」

と言うユキの問いに、住職が出した答えは意外な物であった。

「あなたのご実家におりますが・・・・・・。」

46 :名無し天狗:03/10/25 21:32 ID:rsicQ+I7
「な・・・何と!!??」

ユキとお順は、これまでにない驚嘆を示した。

「そ・・・それは真にござりまするか!?」
「勿論、お二人とも今や達者で、以前のように畑仕事やご内職に
 勤しんでおりまする。」
「かたじけない…馳走に相成り申した!然らばこれにて、ご免!!」

一度は怪しいと思い、ユキは問い返したが、住職の更なる「証言」は
真実味を帯びた物となって、早く両親に逢いたいと言うユキの心を虜にした。
不審感をすっかり掻き消されたユキは、お順・お美和と共に
住職に礼を述べつつ、生まれ育った実家へと急いだ。

47 :名無し天狗:03/10/25 21:46 ID:rsicQ+I7
その頃・・・

「おかしら様、いよいよですな。
 第二・第三・第四の罠もまた悉く破られましたが、遂にここで・・・!!」
「うむ、ユキめの苦悶に泣き叫ぶ無様な面が目に浮かぶわ!!」

血車党の本拠地では、魔神斎と骸丸が「最後の罠」に一縷の望みを託し、
必勝を期してほくそ笑んでいた。

果たして、「最後の罠」とは・・・・・・!?


一方、ユキたちは一軒のあばら家に到着していた。
これこそがユキの生家なのである。

「うわぁ…何もかも昔のまま…懐かしいなぁ。」

ユキは、久々の実家への帰着に胸を高鳴らせていた。
お順も、兄との再会に心が弾む。
そんな二人を、お美和は複雑な面持ちで見ていた。

いても立ってもいられず、ユキとお順は家の敷居を跨ぐ。

「父上!母上!ユキでござる!ただ今戻りました!!」
「兄上!お順もこれにおりまする!!」

48 :名無し天狗:03/10/25 22:16 ID:rsicQ+I7
家の中では、二人の老いた夫婦らしき男女が、何やら物を作っていた。
男は笠と草鞋を、女は機織りで反物を。
その二人は、ふと聞こえたユキとお順の声に一旦手を休めて振り向いた。
驚嘆する二人。

「・・・・・・!!ユキ!お順!!」
「ユキ!!」

内職に従事していたこの二人こそ、ユキの両親であった!
更に父親の方は、お順の兄えもある。

突然のユキたちの来訪を二人は喜び、駆け寄ってきた彼女たちと抱き合って
再会の喜びを分かち合った。

「ああ…父上、母上、夢のようにござりまする。
 まさか生きて再びこうしてお目に掛かれるなんて……。」
「わしたちも嬉しいよユキ。お順も暫くぶりじゃなぁ。」
「うう…兄上……。」

感激に咽び泣く四人。ユキの心の中からは、先程の警戒心は
さっぱりと消え失せていた。むしろ、今の彼女の心境は、
両親に逢えたと言う歓喜の思いが遥かに勝っていた。

「ささ、長旅で疲れただろう。今、風呂の支度をしてやるからな・・・
 ?おや?そちらの方は?」
「あ…、こちらは高知へ向かう船の中で知り合った安房生まれのお美和さんと申しまして、
 唄上手で旅好きな気立ての良い娘さんにござりまする。」
「そうか、そうか。え〜…お美和さん、でしたかな?
 あなたもご一緒にいかがですかな?」
「はぁ…そう仰られるのでしたら…お言葉に甘えまして…。」

何故かよそよそしく振舞い出すお美和…。

49 :名無し天狗:03/10/25 22:45 ID:rsicQ+I7
「・・・?お美和さん?どうなされた?」

お美和の突然の挙動不審に、心配したユキが声を掛ける。

「・・・!あ、いえ、何でもございません……。」
「然様か。いや、様子がおかしいので、お身体の具合でも悪くされたかと
 ちと懸念しておったのだが…大事無いのであれば安堵致した。許されよ。」

ユキの言葉に慌てて笑顔を繕うお美和。
しかし、普段なら周囲の様々な人々のいかなる挙動不審を
僅かでも見逃さぬユキはその彼女の異変を全く気に掛けていなかった。

やがて風呂の支度も整い、ユキたち三人は入浴して長旅の疲れを癒した。
何せここに来るまで四度に亘って血車党の仕掛けた罠に出くわしてきたのだから
心地よさもひとしおであった。
文字通り、極楽気分に浸る三人であったが、ここに来て漸く落ち着いたユキは
普段の自分を取り戻し、ここに到るまでの系譜を反芻した。

50 :名無し天狗:03/10/25 23:06 ID:rsicQ+I7
「・・・叔母上。お美和さん。」
「「はい?」」
「シッ!お声が高うござる!」
「え…?」
「それって、どう言う…?」

やっと不審に気付いたユキが、お順とお美和に声を潜めるよう注意し、
この不可思議な事態を振り返ってこう切り出した。

「あの時は、生きた両親に逢えると言う望郷の感に駆られて
 恥ずかしくも斯様に取り乱してしまったが…
 今になって考え直してみるとどうもおかしい!
 私が両親の遺体を見た時は…確か蘇生も叶わぬ程
 惨たらしくズタズタにされていた筈だ。それをあのように…
 まるで何事もなかったかのように生きて歳を重ねているなど…
 どのような名医であっても、あそこまで生かすのは到底無理だ!!
 …風呂から上がったら、ちと確かめてみようと思う。」

声を潜めて今感付いた点を打ち明けるユキ。お順もお美和も声を潜めて
ユキの言葉に耳を傾ける。

「では…やはり血車の罠とでも…?」
「恐らくは…。もしこの読みが当たっているとすれば許せぬ!!
 幼くして両親を失った悲しみにつけ込み、私を謀るとは・・・!!!」
「ユキさん・・・やっとご両親に逢えたのに・・・・・・。」
「お美和さん、お気に召されることではない…。」

51 :名無し天狗:03/10/25 23:07 ID:rsicQ+I7
今宵はここまで、続きはまたの講釈で…。

こんな調子ですが、今暫くのお付き合いの程を。

52 :名無し天狗:03/10/25 23:09 ID:rsicQ+I7
>48タイプミスにつき訂正

×お順の兄えもある → ○お順の兄でもある

53 :名無し募集中。。。:03/10/25 23:21 ID:w0YsJb8I
湯煙の向こうに敵の罠が待つ・・・って感じでつね。さて。

54 :名無し天狗:03/10/26 11:29 ID:0YfmOZWq
>53さん
全ては私のサジ加減…今宵もお楽しみに。

55 :名無し天狗:03/10/26 19:19 ID:HBBRRcmC
そこへ・・・

「どうだユキ、湯加減は。」

罐(かま)の外で薪をくべていた“ユキの父”が
浴室の彼女に声を掛けてきた。
どうやら、“密談”のことは外には漏れていないようだ。

「ええ、とってもいい湯加減で。」

平然と答えるユキ。だが、今度の彼女は、内心気を張り詰めていた。

――必ず尻尾を掴んでやる。


やがて入浴も終わり、三人は囲炉裏を囲んで
“ユキの母”が作った夕餉をご馳走になることになった。

「お…これは私の大好物の薇(ぜんまい)粥…幼少の砌に
 私がよく食していたことを覚えていて下さいましたか。いや、かたじけのう存じまする。」
「たくさんあるからね、どんどん食べなさい。お順さんもお美和さんもどうぞ。」
「ありがとうございます。」
「お言葉に甘えまして…頂きます。」

“両親”を交えて、(表面上)楽しく食事を摂るユキたち。
僅か三年ではあったが、ユキには一生忘れられない三年間であった。
昔話を語るユキの声も弾む。

56 :名無し天狗:03/10/26 19:29 ID:HBBRRcmC
「父上や母上には、実に返しきれない程のご恩がございます。
 まだ三つと幼かったこの私を育てるため、お二方はご内職で暮らしを
 助けて下さっていた…。」
「いいんだよユキ。わしらは貧しかったからなぁ。」
「そうだよ、暮らしを支えるために当然のことをしたまで。
 だからユキ、あなたは何も気にすることはないんだよ…。」

ユキを気遣う“両親”。その「心遣い」に、図らずも涙を流すユキは、
更にこう続ける。

「…久しぶりに、母上のお唄いになる“よさこい節”を聞きとうなりました。
 物心つくまで母上が私によく聞かせてくださっていたあの“よさこい節”…
 私は片時も忘れたことはござりませぬ。ささ、母上…。」

57 :名無し天狗:03/10/26 19:45 ID:HBBRRcmC
しかし、この瞬間から“両親”の様子がおかしくなり出した。

「・・・・・・。」

何故か、突然黙してしまった“ユキの母”。

「・・・?母上?どうなさいました?
 母上がよく唄うていた“よさこい節”ですよ?
 さぁ、ささぁ・・・母上?」

唄を催促するユキに返って来たのは…信じられない返事であった。
少なくとも、ユキも含む土佐生まれの者にとっては。

「・・・よ…“よさこい節”??」

この反応を示した時点で、浴室でのユキの読みは、ほぼ当たったことになる。
だが、彼女は念のため確認の意味を込めてこう続けた。

「まさか…“よさこい節”をご存知ない筈などござらぬ…
 もしや…忘れてしまわれたわけではござりますまいな!?」

ユキに問い詰められ、顔色の変わった“両親”は、返事に窮したのか、
苦し紛れにこう答えた。

「いや…それはねユキ、何も、知らないわけではないんだよ。
 わしも母さんも、この土佐に移り住んでからお前と言う子を授かったわけだし、
 母さんはお前が三つになるまで病に臥せっていたから…なぁ、母さんや。」
「え…ええ、そうですよ、ユキ。あなたの思い違いじゃ…。」

この二人の見苦しいまでの言い訳を聞くうちに、ユキは食事の手を止め、
二人を強く睨み据えた!!

58 :名無し天狗:03/10/26 20:05 ID:HBBRRcmC
「・・・言い訳はもうよい…。
 これで全てがハッキリした!やはり私の父と母は、あの日あの時死んでいたのだ!!
 不覚からとは言え、見せ掛けの面影に謀られたは一生涯の恥…。
 大方血車党であろうが、父と母の姿を奪った貴様らは一体何者だ!!」

ユキは偽の両親に怒りの一喝を浴びせる。
実はこれこそが、「血車地獄の罠」の総仕上げ、
ユキの両親の姿を借りて彼女の親を思う心を利用した最後の罠だったのである!!
その罠に落ちてしまった計り知れない無念から、彼女の声は徐々に涙ぐんでいく。

そのユキをせせら笑うかの如く、偽の両親は勝利を確信し、その本性を現わした!!
その本性たるや…

“父”の方は全身を白い体毛に覆われた猿の姿をしており、
“母”の方は蛇を人間の女性の形に作ったような姿であった。

「ククク…既に死んでおると判っていながら、斯様な罠に容易く掛かるとは!
 家族の生死に気を取られ、己を見失うとは忍び失格だな!!
 我こそは、血車党化身忍者「不死身ましら」!!」
「同じく…「毒蛇妙尼」!!」

二人の化身忍者を前に、ユキの怒りは更に増大する!

「やはり血車…貴様ら、どうやって偽の父と母を作った!!??」

化身忍者は、憎々しげに種を明かす。

59 :名無し天狗:03/10/26 20:21 ID:HBBRRcmC
「教えてやろう…
 貴様のことを調べていくうちに、貴様の両親のことを知ってな。
 貴様が仇討ちを狙っていることが判ったと同時に我らはその墓を暴き、
 その両親の遺体の薄皮一枚を拝借し、そ奴らに成り済ましておったのよ。」
「面白い程にまんまと引っ掛かってくれたもんだねぇ。あたいら笑っちまったよ、ホホホ…。
 でもまぁ、“よさこい節”であたいらが偽者だったって見抜いたことだけは褒めたげるよ!!」
「おのれ外道・・・・・・!?待て、貴様らその声は!!?」

怒り心頭、ハヤカゼを抜いて構えるユキ。
だが、敵二人の声に彼女はアッとなった。

「もしや貴様らは…十三年前、私の両親を殺した者たちの!!?」

瞬間、ユキが三歳の頃、その耳を衝いたあの忌まわしい声と会話が
彼女の脳裏に蘇った。

『チッ…結局金になりそうな物はなかったみてぇだな!』
『全く、あの二人も大人しくしてたら命だけは助かったろうによ…馬鹿な奴らよ。』
『ねぇ〜え、今度はもっとましなところに行きましょうよぉ。』
『そうだな、畜生!』

間違いない、この者たちこそ私の両親の仇…!!
ユキの怨みの炎は、より一層燃え上がった!!

60 :名無し天狗:03/10/26 20:34 ID:HBBRRcmC
「おいおい、驚いたな。十三年もしつこく覚えていやがったとはなぁ。」
「全く、見上げた執念と言うか、呆れたと言うか…
 いやぁねぇ、ずぅっと根に持ってるなんて。うふふ…。」
「黙れ!!
 ・・・待てよ、と言うことはあの住職も!!??」

怒りが収まらないユキではあったが、ここに到って更なる重大事に気付いた。

「その通りよ!
 全ては骸丸様のご指示に従い、この「鬼火蝮(おにびまむし)」様が
 指揮を執っていたのだ!!」

ユキの背後に現われたこの「鬼火蝮」と名乗る化身忍者は、
「毒蛇妙尼」と同じく蛇の化身忍者であったが、こちらは男性型で、
修行僧のような身なりをしていた。

その「鬼火蝮」の声にも、ユキは聞き覚えがあった。
仇の三人のうちのひとりである。

と、鬼火蝮はお美和の方を見遣った。そして彼女に掛けた言葉は、
ユキ・お順には信じられない物であった。

61 :名無し天狗:03/10/26 21:09 ID:HBBRRcmC
「お美和…いやさ、「狂い毒蛾」よ、よくやったぞ。
 ここまで彼奴らを追い詰めることが出来たのはお前の力があってこそだ。
 褒めて遣わそうぞ!」

「・・・・・・!!!!????」

何と言うことか!!
出逢った時から常に明るく振舞い、溌剌とした人柄でユキたちを和ませ、
今まで共に旅を続け、苦楽を、寝食を共にした仲間だと思っていた、あのお美和が
実は血車党の放った密偵であったとは!!

「どう言うことなんだ!?教えてくれお美和さん!、いや、「狂い毒蛾」とやら!!」

ユキは「信じていた者に裏切られた」と言うよりも、
「何故、これ程健気で悪意の微塵も感じられない彼女が血車に就いたのか」
と言った心境でお美和=「狂い毒蛾」に尋ねた。

彼女はその衷情を打ち明けた。

「私は…半年前に家族を血車党に連れ去られていました。
 そこで家族は…父も母も弟も、主人も息子も軒並み
 血車党の労力として働かされ続けていました。
 面会は月に一度だけ…。私は面会を繰り返す度に血車党の人々に
 家族を返してくれと必死に懇願しました!!
 そんな私に血車党はこう言いました。
 「返して欲しければ、お前も血車党のために働け。」と。
 そして、新しく現われた血車党の敵…つまりユキさん、あなたを罠に掛けて
 血車党を優勢に持ち込むことが出来たら家族を返す、とも言っていました。
 ・・・・・・こうするより仕方がなかったんです…。ユキさん、お順さん、ご免なさい!!」

苦しい事情を赤裸々に披瀝したお美和は、涙混じりに叫ぶと、その身を
毒蛾を人型に模った化身忍者「狂い毒蛾」へと変じて、ユキとお順に襲い掛かった!!

62 :名無し天狗:03/10/26 21:28 ID:HBBRRcmC
「狂い毒蛾」の攻勢を回避しつつ、ユキは尚も尋ねる。

「待て、「狂い毒蛾」!では本物の住職を殺したのも・・・!?」
「そうよ!!最初は躊躇った…無関係の人を殺めるなんて…あたしは泣いたわ。
 でも、全てはあたしの家族のため、仕方のなかったことなの!!」

苦衷から涙声の彼女は、「血車忍法・狂い粉」をユキに浴びせる。
彼女自身の全身の体毛と鱗粉の毒を混合した毒の粉末を、ユキは咄嗟にかわす。

「お願いユキさん…あたしと、あたしの家族のために・・・・・・死んで!!」

尚も「狂い粉」をユキに浴びせんとする「狂い毒蛾」。
と、そこへ・・・

「そこまでだ!「狂い毒蛾」よ。お前の役目はもう終わった!!」
「え・・・・・・??」

突然の「鬼火蝮」の言葉に唖然となる「狂い毒蛾」。

「それは・・・どう言う・・・こと?」
「お前は今回のこの「血車地獄の罠」の総仕上げのためだけに造られたのだ。
 そしてお前は見事その大役を果たした。ご苦労だったな、お前はもう用済みだ!!」
「!!!・・・そ、そんな・・・!!
 それじゃあ…あたしの家族は?家族はどうなるの!!??」

やはりと言うべきか、血車党の掟に則り「狂い毒蛾」を使い捨て扱いの化身忍者たち。
その彼ら三人のうちの「毒蛇妙尼」は残虐な笑みを浮かべて、「狂い毒蛾」を突き放すように
彼女に冷たくこう言い放った。
 

63 :名無し天狗:03/10/26 21:45 ID:HBBRRcmC
「フフン、冥土の土産に教えてあげるよ…。
 あんたの家族は、あたいら血車党の許から逃げ出そうとしたのさ。
 それで、ちょいと焼きを入れたってわけ。ふふ、どぅお?判ったかしら…?」
「え・・・・・・い・・・いやぁぁああああああ!!!!!」

恐るべき血車党の掟!
過酷な仕打ちに耐え切れず脱走した者を虫けらみたく容易く殺し、
しかも、そのことを身内に悪意を持って隠匿し、その身内を牛馬の如く
強引に自分達の所業に従事させるとは!!

「狂い毒蛾」は、ここに到って騙され続けていたことに気付き、
その心は荒れ狂う大波のように揺れ、乱れ、やがて慟哭した。

「・・・・・・。」

その彼女を、複雑そうに見つめるユキ。
彼女もまた、血車党の無法に泣かされた犠牲者だったのだ…。
ユキは改めて、血車党の殲滅を強く心に誓った。

だが、その悲しみを分かち合う心など、血車党の悪魔たちは微塵も持ち合わせていない。
“用済み”となった「狂い毒蛾」に「死」を宣告する化身忍者たち。
「鬼火蝮」は、蛇の頭の付いた杖を構え、「狂い毒蛾」目掛けてその蛇頭から炎を吹きつける!!

64 :名無し天狗:03/10/26 21:59 ID:HBBRRcmC
「・・・!危ないっ!!」

ユキは「狂い毒蛾」に体当たりし、彼女を突き飛ばした!
その炎は、彼女のすぐ後ろにあった大木を焼き尽くす。

遂に、ユキの怒りは頂点に達した!!

「おのれ血車党・・・私は今日、今この時程貴様らを憎う思うたことはない!!
 断じて許せん、貴様ら・・・“一匹”残らず地獄の底に叩き込んでやる・・・・・・!!!」

怨嗟の声と共に、ユキ・お順は各々懐から一通の書状を取り出した。
この書状こそ、彼女たちがこの日のために幕府から頂戴した「仇討ち免許状」である!

「十三年越しの怨み、そして貴様らの非道に泣かされた人々の怨み…
 併せて今、この場で晴らしてくれるぞ!いざ、尋常に勝負致せ!!」
「フン、猪口才な・・・いいだろう、貴様こそ両親と対面させてやる、あの世でな!!」

いよいよ、ユキとお順の悲願が果たされる機会が訪れたのだ。
ユキはハヤカゼを、お順は小太刀を構えて目の前の怨敵を強く凝視する!!

65 :名無し天狗:03/10/26 22:01 ID:HBBRRcmC
今宵はここまで、続きはまたの講釈で…。

さて、次回いよいよ仇討ちの時です!
ユキとお順は見事本懐を達せられるのか?
また、お美和の運命は!?

ついに佳境、次回の講釈に乞う、ご期待!!

66 :名無し募集中。。。:03/10/26 22:12 ID:/hdjgke9
卑劣な血車党の企みをいよいよハヤカゼが絶つ、と言う展開ですな。楽しみ。

67 :名無し天狗:03/10/27 09:44 ID:/5i4fKJk
>66さん
ありがとうございます。多分、今週中に決着です!
今宵もお楽しみに!!

68 :名無し天狗:03/10/27 20:40 ID:CwMRjEo7
「者共!出て来い!!」

「鬼火蝮」の号令一下、どこからかワラワラと湧いて出て来る血車党下忍の群れ。
その数、男三十六人、女二十四人。
いずれも、党入りする以前から酌量の余地のない極悪人たちである。
彼らは皆、ギラギラした凶悪な視線をユキたちに向けている。

「こ奴らを斬り捨てぃ!!」

やがて「不死身ましら」の声と共に、下忍たちは一斉にユキたちに斬り掛かってきた!
ユキたちは、血車党の余りの学習能力の無さに呆れつつ次々襲い来る下忍たちを
一人、また一人と斬り伏せてゆく。

「えぇい、いつもながら姑息な手を使いおって!!
 このままでは埒が明かぬ、一息に片付けてくれる!!」

懲りもせず迫る下忍に悪態を吐(つ)きつつ、ユキは煙玉を投げつけ、
敵が怯んだ隙にお順と共に五間(一間は現代の距離に換算して一.八二メートル。
つまり五間は九.一メートル)程後方に飛び退いた。

そしてユキはその場に片膝を付いてしゃがみ、逆手持ちのハヤカゼの峰に
左手のひらを添え、お順もその場に四つん這いになった。

69 :名無し天狗:03/10/27 20:56 ID:CwMRjEo7
隙の無い殺気に下忍たちの動きが止まり、彼らに戦慄が生じる。

ユキは瞑目し、お順はその身を揺する。そして・・・!!

「吹けよ嵐・嵐・嵐!!とぉりゃああぁぁー!!!」
「ブヒヒヒヒヒィィィィ…ンン!!!」

二人は同時に叫び、各々その身を「人智を超越せし者」へと変えて行く!!
ユキは赤鷹の鳥人に、お順は純潔の白馬に!!

「変身忍者!嵐!!見参!!!」

獅子吼の名乗りと共に、嵐に変じたユキはハヤブサオー=お順に跨り、
血車党の群れに突撃する!

「えぇい怯むな!行けー!掛かれぇー!!」

三人の化身忍者たちは狼狽する下忍たちに檄を飛ばす。
彼らに発破を掛けられ、死に物狂いで迎撃する下忍たち。
上忍には決して逆らえない。下忍の悲しい性である。

その下忍たちを嵐は片っ端から斬って伏せ、
ハヤブサオーは蹴散らし、或いは踏み潰していく。

70 :名無し天狗:03/10/27 21:16 ID:CwMRjEo7
だが、下忍を相手にするのも億劫になったのか、嵐は思い切った技に出た。

「忍法!舞羽滅乱斬り!!」

何と嵐は、手にしていたハヤカゼをブーメランの要領で下忍へ投げつけたのだ!
嵐に投げられたハヤカゼは“舞羽滅乱(ぶうめらん)”の術の名の通り
高速回転をしながら飛び、群れを成す下忍たちをあっという間に
一人残らず斬り倒すと、再び嵐の手元に還っていった。

死屍累々とする下忍たちの骸に手を合わせたあと、
嵐は下馬して三人の化身忍者に怨みの刃を向ける。

「なかなかやりおるな嵐…だが、我らはこうはいかぬぞ!」
「こちらは三人、あんたは一人…どうやって相手をするつもりなのかしら?」
「我ら三人力を合わせれば、貴様など赤子同然!!」

例によって下忍に同情の一片も見せず、余裕の笑みを浮かべる三人。

いや、最早人間の情をサッパリと捨て去った者たちを「人」単位で呼ぶのもおこがましい。
以降、化身忍者の数単位は「匹」と言うことにしたい。

その三“匹”を前に、嵐は慎重になる。
最初に戦った「毒うつぼ」でさえ、得体の知れぬ強力な技量を誇っていたのだから。

71 :名無し天狗:03/10/27 21:28 ID:CwMRjEo7
いかにしてこの三匹と渡り合うか・・・
嵐は思案を巡らす。
だが、相手はそのような余裕を当然与えない。

先手を打ったのは化身忍者たちだった。

そのうちの一匹「不死身ましら」は、自慢の怪力ですぐ傍にあった大岩を
軽々と持ち上げ、嵐とハヤブサオー目掛けて投げつけた。
彼女たちは難なくかわすが、「不死身ましら」は間髪入れずにその場にある岩を
次々と手当たり次第に投げてくる!!
ハヤブサオーを逃がしつつ、回避を繰り返しつつ「不死身ましら」に接近する嵐。
そして遂に、嵐は「不死身ましら」との至近距離に達した!

「貰った!まず第一の首、申し受ける!!」

72 :名無し天狗:03/10/27 21:46 ID:CwMRjEo7
「不死身ましら」の首筋目掛け、ハヤカゼを打ち下ろす嵐!

唸る一閃!!だが・・・

 ガ キ ィ ィ ィ ィ ・・・・・・ ン ン ン !!!!!!

何かに弾かれたような強く乾いた音が夜空に木霊した。

「!?・・・ば・・・馬鹿な!!?」

驚く嵐。何と「不死身ましら」の皮膚は隕鉄に匹敵する
硬度を持っていようなど、彼女は夢にも思っていなかった。

「フッフッフッフ…見たか嵐!血車忍法・鉄ましらだ。
 そんな鈍らな刀で、この俺が斬れるか!?え!?」
「く・・・おのれえええぇぇぇ!!!」

自暴自棄になり、「不死身ましら」にがむしゃらに斬り付ける嵐。
だが、「不死身ましら」の身体には、どこにも傷は付いていない。

嵐は呼吸が乱れ、肩で息をするにまで到ってしまった。

「もうおしまいか嵐、ならば俺の番だ!!」

言うや「不死身ましら」は、片腕一本で嵐の脚を掴み、
ヒョイ、と持ち上げると、近くの岩壁へと強く放り投げた!

ドガッッ!!岩壁に叩き付けられる嵐の身体!!

「ぐああっっ!!!」

重度の打撃が、苦悶に呻く嵐の動きを妨げる!

73 :名無し天狗:03/10/27 22:11 ID:CwMRjEo7
「余り痛めつけ過ぎるな「不死身ましら」。あとの楽しみが減ってしまうではないか。」
「そうよ。あたいらの分も残しといてよぉ。ネチネチといたぶってやるんだから。ね。」

「不死身ましら」を嗜めながらも、「鬼火蝮」と「毒蛇妙尼」の二匹は
戦況をまるで余興でも楽しむかの如くニヤニヤ笑いながら見守っていた。

「イヤ、済まねぇな、兄貴に姐御。たかがゴミ一匹にムキになっちまったよ。」

苦笑いしながら蛇忍者二匹と交代する「不死身ましら」。
兄弟のように呼び合う彼らだが、実の兄弟ではなく、所謂徒党の仲間・「兄弟分」と言う意味であった。

「う・・・ううぅ・・・・・・。」

一方の嵐は、漸く蓄積された打撃がある程度ではあるが減少され、力を振り絞って立ち上がった。

そこへ蛇忍者二匹…「鬼火蝮」と「毒蛇妙尼」が迫る。

「クックック…どうだ嬉しいだろう。もうじき貴様の恋しい両親との対面が叶うのだぞ。」
「あたいらって、意外と優しいだろ?感謝するんだねぇ、ホホホホホ…。」
「くそ・・・ふざけるなああ!!!」

蛇忍者二匹の嘲笑と挑発に、嵐は奮い立ち身構えた。

「フ…こいつ、まだやるみたいだよ。」
「この期に及んで見苦しい…俺が黙らせてやる!血車忍法・蛇抜け殻!!」

と発した途端、その場にバッタリと倒れた「鬼火蝮」。この様を見ていた嵐は唖然となる。

74 :名無し天狗:03/10/27 22:26 ID:CwMRjEo7
と、次の瞬間、「鬼火蝮」の身に起きた異変を目の当たりにして、嵐は驚愕した!

「こ・・・これは!!??」
「ホホホ…始まったみたいだねぇ。」

嵐の驚く様をせせら笑う「毒蛇妙尼」。
見れば、「鬼火蝮」の背中中央に亀裂が生じ、それが頭頂部と臀部、
それぞれに向かって伸びているではないか!

「ま・・・まさか、脱皮!!??」
「フフ…そうさ。「蝮」の兄さんは脱皮を繰り返して、その残った抜け殻を
 分身として操ることができるのさ!!」

自慢げに「鬼火蝮」の術の概要を告げる「毒蛇妙尼」。
その間にも、抜け殻は増加の一途を辿る。
そして遂に、その数はおよそ三十体にまで及んだ。

「く・・・。」

嵐の顔に焦燥の色が浮かぶ。
その彼女に、群れを成して一斉に押し寄せる抜け殻人形!!

打撃が完全に癒えていない嵐は、気力を振り絞って抜け殻人形を振り切り、
「鬼火蝮」に肉薄しようとするが、抜け殻人形は「鬼火蝮」の意のままに動き、嵐を遮る。

75 :名無し天狗:03/10/27 22:39 ID:CwMRjEo7
「く…くそっ!こ奴ら…!!」

必死に抵抗する嵐を弄ぶ抜け殻人形の大群。と、そこへ・・・

「シャアアアアアア!!!」

手足を大の字に広げて立つ「毒蛇妙尼」が、自身の身体から
無数の蛇の群れを噴き出し、嵐を襲わせた!!
彼女の体内の蛇は、目・鼻・口・耳・乳首・へそ・
果ては倫理上書けない箇所に到るまで、様々な身体中の
穴という穴から止め処なく飛び出していく。

数え切れない程の蛇たちは、いずれも例外なく嵐に群がり、動きを封じ、
一斉に彼女に噛み付く。その蛇には毒こそないものの、強烈な噛み付きは
嵐を更なる苦悶の地獄に引き込んだ。

絶体絶命の嵐。そこへ「不死身ましら」が加わった三匹が最後の止めを差そうと迫り来る!!

76 :名無し天狗:03/10/27 22:43 ID:CwMRjEo7
今宵はここまで、続きはまたの講釈で…。

「毒蛇妙尼」の蛇操りは、原作漫画版の孔雀くノ一に従う
二人の蛇くノ一と、同じく原作漫画の蜜蜂くノ一の「蜜乳攻め」を
それぞれヒントにしてます。(ホントにあるから機会があったら見てみて)

ではまた次回。

77 :名無し天狗:03/10/28 17:26 ID:V49eP5EB
今宵はチョット早い時間から始めます!
―――――――――――――――――――――――――――――
「ホホホホ…どうだい、あたいの血車忍法・蛇枷地獄の味は?
 これであんたも一巻の終わりさ。ホホホホ…オッホホホホホ……!!」

勝ち誇る笑いと共に、「毒蛇妙尼」は鋭い牙を嵐にひけらかすように突きつける。
その牙からはポタ、ポタ、と、怪しい液体が滴り落ちている。
そのうちの一滴が「毒蛇妙尼」の足元の雑草に付着した瞬間・・・

「・・・・・・!!」

悶絶寸前の嵐が目の当たりにした光景・・・
何と、滴を浴びた雑草が、悪臭を放ちジュクジュクと不気味な音を立てながら
蒸発して溶け去ったのだ。
これこそ、この蛇女が「毒蛇妙尼」と呼ばれる所以である。
この毒液の恐ろしさをまざまざと見せ付けられ、嵐は言葉を失った。

「そう急くな、「毒蛇妙尼」。さっきも言ったように、簡単に殺してはつまらん。」
「そりゃまぁ、そうだけどさぁ…あたい、もう待ちきれないよぉ。」
「本当にせっかちだな姐御は。この俺でさえ我慢してるってのによ。」

風前の灯火の嵐を前に、まるで遊びを楽しむように〜尤も、彼らにとっては
「今この時」が遊びなのであろうが〜賑やかしく談笑する。

岩壁に打ち付けられた打撃があと少しで癒えるといったところへ、この「蛇枷地獄」の責め。
嵐は再び蓄積されてしまった更なる大打撃と、「鬼火蝮」の操る抜け殻人形の攻撃で
またも力尽き、その場に崩れるように倒れてしまった。

78 :名無し天狗:03/10/28 17:52 ID:V49eP5EB
「む・・・むね、ん・・・・・・。」

父上、母上。ユキは親の悔恨も晴らせぬ親不孝者にござりました。
この上は、冥府において父上と母上よりのお叱りを賜る所存・・・・・・!!

嵐=ユキは、遂に死を覚悟した。

・・・その時!!

『ユキ…ユキ……。』
「な・・・何だ?この、聞き覚えのある…暖かい声は……?」

朦朧とした意識の中で、“ユキ”は自分を呼ぶ声に気付いた。

『ユキ、わしらだよ。』
「!・・・その声は…やはり!!」

ユキの目の前に現われた二人の老いた夫婦。この二人こそ・・・

「間違いない、あなた方は私の父上と母上!しかしなぜ…?」

戸惑うユキ。実はこの二人、肉体を失ったあとも、霊体となって
ユキを見守り続けていたのである。

『ユキや、お前はここで死んではいけない。
 まだわしらのところに来てはいけないんだよ。』
『そうですよ。あなたにはまだやらねばならぬことが山ほどある筈です。
 それに・・・「これからも」「あなたを必要とする人」が現われることでしょう。
 「その人たち」のためにも、あなたはここで挫けてはなりません。
 辛いでしょうが、それがあなたの運命(さだめ)なのです…。』
「こ・・・「これから」・・・「私を必要とする人」・・・・・・??」

79 :名無し天狗:03/10/28 18:11 ID:V49eP5EB
『母さんの言う通りだよユキ。そのためにもお前は、まずこの戦いに勝って、
 お前がどれだけ成長したか、わしらに見せておくれ。そしてわしらを安心させておくれ。
 そうでないと、わしらは死んでも死にきれん・・・・・・。』
『さあ、行きなさいユキ。自分の本当の力を信じるのです!』
「・・・・・・はい!!」

死の淵に立たされ、しかしそこで父母の霊の叱咤激励を受けたユキ=嵐は、
最後の望みを胸に再び立ち上がった!!

「うぉおおおおおおおおおおお……!!!!!」

決して諦めはしない!嵐、不撓不屈の雄叫び!!
その嵐の身体を、「蛇枷地獄」の蛇たちは未だに噛んでいたが、
今の嵐はそれに耐えることが出来る。
そう、亡き父母の思いを心にしっかと受け止めた今ならば。

「・・・!やぁだ、ちょっとぉ!こいつまだ立ち上がって来るよぉ!!」
「つくづく往生際の悪い奴だ!今度こそ息の根を止めてやる!!」
「おお!とっととくたばれ、この死に損ないめ!!」

相変わらず蛇たちは嵐の身体に纏わり付いたまま離れない。
だが、持てる力を振り絞ってハヤカゼを構える!
その切っ先が指し示すのは当然、目の前の邪悪で卑劣な三匹の化身忍者だ!!

80 :名無し天狗:03/10/28 18:27 ID:V49eP5EB
「どう足掻いても無駄だ、死ね!嵐!!」

「鬼火蝮」が抜け殻人形に一斉攻撃を指示する。だが・・・
その抜け殻人形の動きが突然鈍った。

「え・・・?」

突然の敵の異変に、嵐は呆気に取られた。だが、異変はこれだけではなかった。
更に見ると、三匹の化身忍者が急に苦しみ、痙攣を起こしている。
と同時に、嵐の身体を蝕んでいた「蛇枷地獄」の蛇たちも一匹残らず死滅し、
ポロポロと落ちていくではないか。

「一体何が・・・?」

事態が飲み込めない嵐。と、そこへ…

「ユキさん、息を止めて!!」

上空から嵐に呼び掛ける声が聞こえた。
その声の主たるや・・・

「・・・く…「狂い毒蛾」…お美和さん!!??」

そう、もう“一人”の化身忍者・「狂い毒蛾」ことお美和が、嵐の危機を救うため、
そして血車党の非道の犠牲にされた家族の怨みを晴らすため、また欺かれたことへの
報復のため、更には嵐たちへの懺悔のために、三匹の化身忍者に
「狂い粉」を浴びせていたのだ!!

81 :名無し天狗:03/10/28 18:49 ID:V49eP5EB
「!!…く…「狂い毒蛾」ぁ、貴様あああああ!!」

上空の「狂い毒蛾」に呪詛の声を上げる「鬼火蝮」。

「よくもあたしから大事な物を全て奪い、その上騙し続けてくれたわね!!
 許せない・・・・・・あんたたち、絶対に許さないんだからぁ!!」

涙混じりに絶叫し、「狂い毒蛾」、いや、お美和は怨みを込めて
「狂い粉」の勢いを強めていく。

その彼女を、嵐はいじらしい思いで見つめていた。

「お美和さん…あなたは……。」

だが、卑怯未練な三匹の化身忍者は・・・・・・!

「ぬうぅ…裏切り者めぇ!!」

「鬼火蝮」が、口から火を吐いてお美和…「狂い毒蛾」の片羽を焼き焦がした!
同時に「狂い粉」も止み、お美和は真っ逆さまに墜落していった…。

「お・・・・・・お美和さぁあああああああん!!!!!」

奮戦空しく、敵の手に掛かってしまったお美和に、嵐は慟哭する!

「フン、とんだ邪魔が入ったか。」
「やっぱりチャッチャと片付けた方がよかったんだよ、死に損ないも裏切り者もさ。」
「まぁ、裏切り者の処刑はあとでじっくりとやることにしてだ…
 まずはあのくたばり損ないから仕留めてしまおうぞ!!」
「「おお!!」」

・・・もう、彼らの非人道ぶりは、繰り返して書く必要もあるまい…。

82 :名無し天狗:03/10/28 19:18 ID:V49eP5EB
「く…き…貴様らああああああああ!!!!!!」

嵐は激昂した!!これまでとは比較にならぬ程の激しい怒りが、彼女の身体を、心を駆け巡る!!
そして仮面然とした鷹の目からは、滂沱の涙が滝の如く溢れ出す!!
血車党に対するこの世の物とは思えぬ憎悪を面に、嵐は外道共に飛び掛かる!!

だが、諦めの悪い敵は、なおも抵抗を試みる。

「「毒蛇妙尼」、参るぞ!」
「?・・・“あれ”をやるんだね、兄さん!判ったよ!」

お互い相槌を打ち合い、「鬼火蝮」は「毒蛇妙尼」を肩車に担ぎ、二匹はその身をくねらせた。
すると…みるみるうちに二匹の身体が溶け合い、一つの大きな塊となった。
更にその塊は前と後ろに向かってゴワゴワと伸び、その形を徐々に変化させていく。
そして遂には・・・二匹の身体は完全に一体の巨大な大蛇の姿を成した!!

「・・・う、うぉ!!??何だこれは!!??」

更なる予期せぬ事態に嵐は絶句する。その嵐を、大蛇は嘲りの眼で見据える。

「ウヮハハハハハハ…見たか嵐!!」
「これこそあたいら蛇忍者の合身忍法…「血車大蛇(ちぐるまおろち)」さ!!」
「ち・・・血車大蛇だとぉ!!??」

嵐はなおも驚愕する。恐るべき血車党の化身の技術!!
「血車大蛇」と化した「鬼火蝮」と「毒蛇妙尼」の悪辣な声が邪悪に轟く。
その頭上には、いつの間にか「不死身ましら」が乗っている。

「ヒーヒヒヒ!さぁ嵐、観念して兄貴と姐御に呑まれちまいな!!」

勝利を確信し、勢い付く「不死身ましら」。その様は、「虎の威を借る狐」さながらである。

83 :名無し天狗:03/10/28 19:40 ID:V49eP5EB
「不死身ましら」を乗せたまま、猛威を振るってのたうち回る「血車大蛇」は
嵐を追いながら、岩を蹴散らし、木を倒し、村を襲い、人を狙う。
嵐は逃げる先々の村人たちに避難を呼び掛けながら、
死に物狂いで人々に危害の及ばぬ場所を探す。

やがて嵐と「血車大蛇」は、人里を遠く離れて桂浜に辿り着いた。

「よし、ここならば誰にも危害は及ぶまい!さぁ行くぞ血車党!!」
「馬鹿が!自分から墓場を選ぶとはな!!」

激戦の火蓋が再び切って落とされた。
嵐は大きく舞い上がり、上空から斬り掛かるが、「血車大蛇」は
尻尾でいとも容易く彼女を弾く。
砂浜に叩き付けられる嵐。だが、彼女は挫けない。
両親との誓いがある限り、嵐は血車党に抗う。

「血車大蛇」の頭上では、「不死身ましら」が喚き散らしている。

「ヒャーハハハハ!兄貴ぃ!姐御ぉ!もっとやっちまぇー!!」

「不死身ましら」に捲くし立てられるまでもなく、「血車大蛇」は攻勢を緩めず、
嵐を一呑みにしようと彼女に肉薄する。

次々と間髪入れずに繰り出して来る巨大な「血車大蛇」の猛攻を、
嵐は(「血車大蛇」から見て)小粒ななりと俊敏さを活かして回避していく。

両親と、「これから出会うであろう人々」への熱い思い…
それが今の嵐の支えであった。

84 :名無し天狗:03/10/28 20:05 ID:V49eP5EB
回避しつつ、嵐は「血車大蛇」に斬り掛かるが、
「血車大蛇」の全身の鱗は、「不死身ましら」の「鉄ましら」並みの硬度を持ち、
ハヤカゼの刃は幾度となく弾かれた。

「ここまで必死に喰らい付くとは…見上げた度胸だな、嵐!」
「だけど、それもここまでだよ!大人しくあたいらの餌になりな!!」

蛇忍者二匹の声と共に、大口を開けて嵐を狙う「血車大蛇」!
嵐は走った!血を吐く程に!!その行く先には崖下と思しき岩壁が!!
それを見て、嵐は咄嗟に死中に活を見出した!!

「グァアアアアアア・・・・・・!!!」

嵐の背後に徐々に迫り来るのは「血車大蛇」そのものの唸り声だ。
だが嵐は臆することなく、「血車大蛇」を引き付けていく。
そして・・・嵐は眼前の崖へ跳び、その岩壁を蹴った反動で「血車大蛇」の
頭上高くまで舞い上がり、羽手裏剣を「血車大蛇」に投げ付けた!!

その狙いは・・・「血車大蛇」の両眼だ!!

「グギェエエエエエェェェ・・・・・・!!!!」

両眼を羽手裏剣で射抜かれ、苦しみ、もがき、のたうつ「血車大蛇」。
頭上の「不死身ましら」も、その影響をまともに受けて砂地に転落した。

そして嵐を散々苦しめた「血車大蛇」は・・・
堪らず元の二匹・「鬼火蝮」と「毒蛇妙尼」の姿に分離した。

85 :名無し天狗:03/10/28 20:23 ID:V49eP5EB
あの手この手で嵐に苦戦を強いた三匹の化身忍者であったが、
ことここに到り、遂に万策尽き果てた。
「血車地獄の罠」も、いよいよここに終焉を迎える時が来たのだ。
だが、この期に及んで未だ未練がましい三匹は、
「不死身ましら」の「鉄ましら」を盾になおも足掻く。

だが、彼らに代わって勝利を確信した嵐は落ち着きを取り戻し、ハヤブサオーを呼んだ。
仇を討つならハヤブサオー…お順と共に、と言う思いからである。
嵐の元に駆け付けたハヤブサオーはお順の姿に戻り、彼女の横に並んで小太刀を構える。

毅然と叫ぶ嵐。

「貴様らはもうお終いだ、父・母の仇、覚悟!!」

嵐は羽手裏剣を「不死身ましら」に見舞った。
先程の「血車大蛇」との戦いで、「どれ程身を強固にしたところで、目だけは
手の施しようがあるまい」と見極めた上での攻撃であった。
そしてその読みは見事に的中した。

「ウガアアァァァアアアァ…目が、お…俺の目があああぁぁぁああ!!!」

「不死身ましら」は苦悶からその場を転げ回る。

86 :名無し天狗:03/10/28 20:43 ID:V49eP5EB
そして遂には、激痛から「鉄ましら」の術を思わず解いてしまった。

「!・・・い、いかん!!」

慌てる「不死身ましら」。だが、彼の悪運はここに尽きた。
この機を逃さず嵐は走る!十三年間の万感の思いを抱きながら!!

「父上、母上・・・・・・
 秘剣!針千本!!・・・今こそ第一の首を!!」

瞬間、ハヤカゼの切っ先が目にも止まらぬ速さで次々繰り出され、
今やただの猿の化け物にまで堕ちた「不死身ましら」の身体を矢継ぎ早に貫く!!
刺突を繰り返す嵐。既に「不死身ましら」は息絶えていた・・・。
にも関わらず、なおも刺突を続ける嵐。
それ程までにこの一味には大きな怨みを抱いていたのであろう。
お順に「まだ二匹残っています!」と宥められるまで、彼女は必死の思いで
「針千本」を続けていた。

87 :名無し天狗:03/10/28 20:56 ID:V49eP5EB
さて、残るは「鬼火蝮」と「毒蛇妙尼」の二匹。
これで丁度二対二、五分の戦いとなった。
嵐は母の姿をやつした「毒蛇妙尼」に、
お順は住職に化けて偽の報せをもたらした「鬼火蝮」にそれぞれ挑む。

「よくも母の御霊を愚弄してくれたな!!」
「フン、あんたさえいなけりゃ、あたいらは今頃大金持ちになれたんだ!!
 こんなに邪魔になるんなら、あんたも殺っときゃよかったよ、あん時にね!!」

母の弔い合戦に燃える嵐に、「毒蛇妙尼」は捨て台詞を吐く。

「醜い欲のために“女の本分”を捨てて血車党に入ったとは・・・益々持って許せん!!」
「ハン、何とでも言いな!!」

半ば自暴自棄の「毒蛇妙尼」は、再び「蛇枷地獄」を仕掛ける!
だが嵐は・・・

「嵐・旋風斬り、蜻蛉剣!!」

手にしたハヤカゼを風車のように素早く回し、蛇の群れを打ち落としていく。

88 :名無し天狗:03/10/28 21:13 ID:V49eP5EB
一方、お順対「鬼火蝮」。

「兄上と義姉上が生きていたなどと…ようもまあ傷口に塩を塗り込むような
 大嘘を吐(つ)いたものですね!そなたによって受けた私たちの心の痛み…
 今こそ思い知りなさい!!」
「ほざけ、落人が!貴様も柳澤家と同じ目に逢わせてやろうか!?」
「やはり・・・柳澤のお家もそなたたちが滅ぼしたのですね・・・!!」
「だったらどうした!お喋りは終わりだ、死ねぇ!!」

口から毒液と火炎を交互に吐き、また杖の蛇頭からも火炎を噴き付けて
お順に迫る「鬼火蝮」。だが、お順も化身の手術を受けた身である。
「鬼火蝮」の猛攻を巧みにかわすと、お順とハヤブサオー、二つの姿を使い分けて
「鬼火蝮」を翻弄する!!

「くそぉ、このっ……!!」

お順=ハヤブサオーの変幻自在の攻勢に、流石の「鬼火蝮」もキリキリ舞いである。
「鬼火蝮」は「蛇抜け殻」で応戦しようと地に伏すが、それより一瞬早くハヤブサオーは
上空高く跳び上がり、そのまま高速の急降下!!

そしてハヤブサオーは、己の全体重を前足に集中させ、脱皮中の「鬼火蝮」の背中を
強く踏み付けた!!!

「ギェエエアアアアアアアア・・・・・・!!!」

断末魔の絶叫を残し、「鬼火蝮」はその悪意に満ち溢れた生涯を閉じた。
ハヤブサオーはお順の姿に戻り、一言呟いた。

「二番首、頂戴…。」

89 :名無し天狗:03/10/28 21:33 ID:V49eP5EB
悪鬼外道の「血車地獄の罠」、それも遂に「毒蛇妙尼」ただ一匹を残すのみとなった。

「これであとは貴様だけだな、「毒蛇妙尼」!!」
「うっさいねぇ!こうなったらお前だけでも、この手でブチ殺してやるよっ!!」

・・・だが、その幕切れは、意外過ぎる程呆気なく訪れた・・・。

毒の牙で噛み付こうと、嵐に跳び掛かる「毒蛇妙尼」。
その彼女を「やれやれ…」と言った風で見ていた嵐は、大きく開いた「毒蛇妙尼」の
口内目掛け、サックリとハヤカゼを突き入れたのだ…。

そしてそのまま・・・

「地獄へ落ちよ…嵐・唐竹割り!」

真下へと一直線に「毒蛇妙尼」の身体を斬り下げたのだった。
身も心も悪魔に売り渡した外道の女の、正にそれ相応の最期であった。

「ふぅ…三番首、頂戴…。」

ここに、嵐=ユキの心理につけ込んだ卑劣な「血車地獄の罠」は潰え去った。

「父上、母上、私たちは…今、やっとその無念を晴らすことが出来ました…。
 これからも世のため、人のために尽くし、いかなる運命も受け入れて、
 戦い抜くことを誓います。父上・母上におかれましては、どうか安らかに…。」

90 :名無し天狗:03/10/28 21:47 ID:V49eP5EB
感慨に浸るユキとお順。だが、それも束の間であった。

「・・・!そ、そうだ!お美和さん!!」

家族の命を奪い、自身の生涯の歯車を狂わせた血車党に一矢報いようと、
その身を挺して嵐に加勢したお美和=「狂い毒蛾」。

その彼女は、卑怯極まる「鬼火蝮」の手に掛かり負傷してしまっている。

本懐を遂げたあと、彼女が気掛かりになったユキとお順は、
急ぎ先の戦いの場へと馳せ戻った。

既に夜は明け、朝日が燦然と光り輝いている。
お順はハヤブサオーと化し、深手を負ったユキをその背に乗せてひた走る。
やがて彼女たちは、「狂い毒蛾」が墜落したと思しき場所に到達。彼女を探して回った。

「お美和さぁ――――ん!!!」

懸命にお美和の名を呼ぶ二人。ユキは立っていられず、這ったまま彼女を探す。

やがて・・・

「・・・・・・ううぅっっ・・・・・・。」

茂みから若い女の呻き声が聞こえて来た。


91 :名無し天狗:03/10/28 21:53 ID:V49eP5EB
「!・・・今の声…お美和さんでは!?」
「ユキ、あちらから!!」

声のする方角へと移る二人。やがて彼女たちが目にしたのは・・・

「・・・!お美和さん!!」

それは、背中に大火傷を負ったお美和の痛々しい姿であった…。
お順がユキを背負い、二人は彼女の許へと駆け寄る。

「お美和さん…お美和さん!!」

必死に呼び掛ける二人。暫くして・・・

「う・・・あ、ユキ…さん、お、順…さん……。」
「よかった、気が付いたか。」

92 :名無し天狗:03/10/28 22:07 ID:V49eP5EB
「ごめん…なさい…あ…あた、し、の…せい…で……。」

涙を浮かべ、今回の一件の一因を作ってしまったことを詫びるお美和。

「いや…良いのだ!!もう気になどしていない!!
 それよりもお美和さん、私たちは本懐を成就したぞ!!無論、そなたの
 家族の怨みも晴らした!!そなたには感謝している!!!」

お美和は根っからの血車ではなかったのだ。
ユキは心ならずも血車党の片棒を担がされていた心から許し、感謝の意を表した。

「え…あ…あたしの……か、ぞく…の、怨みも……嬉しい……。」
「そうだお美和さん、また一緒に旅をしよう!土地土地の民謡も一緒に唄おう!
 三人で楽しくワイワイやりながら、な!!私たちはこれからも仲間だ!!!」

改めてお美和を「仲間」として迎え入れ、親身になって彼女を励ますユキ。
今のお美和にとっては、彼女の「これからも仲間だ」と言う一言が、何よりも嬉しかった。

「あ・・・り・・・が・・・と・・・う・・・・・・。」

苦しい息の下から、感慨の涙を流すお美和。

そして彼女は、そのまま眠るように・・・。

93 :名無し天狗:03/10/28 22:22 ID:V49eP5EB
「お美和さん?・・・・・・お美和さん!!?」

事切れたか!?必死にお美和の身体を揺するお順。

だが・・・

「・・・いや、気を…失っただけです。かつての私と同様に…。」

ユキもかつて、生身であった頃、血車党の悪辣な罠に陥り、生死の境を彷徨っていた。
今のお美和も、正に今、生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされているのだ。

「ユキ・・・・・・。」

ユキは暫く黙していた。長いようで短い静寂の時…。

やがて、ユキの口から出た結論は・・・・・・

「…叔母上、私はお美和さんをこのまま死なせとうはありませぬ!
 ですが、今のお美和さんは医者の養生も叶わぬ程の深手……!!」
「となると・・・やはり・・・・・・。」
「ええ、叔母上、参りましょう!!」

お順はユキの言葉の意味を察し、同意した。
かくしてユキは、重体のお美和をお順=ハヤブサオーに乗せ、
自らはその手綱を引いて生まれ育った故郷を後にした。

「父上、母上、そして私の故郷…“前田村”よ、一先ずおさらば致します…。」


    多分第44話「父の魂・母の涙〜変身忍者嵐・第二章〜」 完

94 :名無し天狗:03/10/28 22:26 ID:V49eP5EB
さて、嵐・第二章、今宵をもちまして読み切りにございます。

皆様には大変ご迷惑をお掛けしました。今、ようやく終わったところです!
また暫くは読み手に戻って「第三章」、ひょっとしたら「第四章」まで作り、
その上で嵐を中澤軍団と合流させる、と言う運びの予定です。
長らくのご愛顧(←ウソコケ、コノ)、誠にありがとうございました。

では、次の方、ヨロシクです!

95 :名無し募集中。。。:03/10/28 23:01 ID:QoHIuPgc
楽しませていただきますた。また次も期待してまつ。

96 :名無し天狗:03/10/28 23:17 ID:V49eP5EB
>95さん
アリガトです。第三章は12月か、或いは来年になるかも…。

97 :名無し募集中。。。 :03/10/28 23:51 ID:bKKQkkop
怪人同士の合体って今月のライスピから取ったのか?

98 :名無し天狗:03/10/28 23:56 ID:V49eP5EB
>97さん
それ以前から考えてました。偶然とは恐ろしい…。

99 :名無し天狗:03/10/28 23:59 ID:V49eP5EB
>97さん(続き)
と言うか、蛇の化身忍者を二匹も出しちゃったもんでいっそのことと…。

100 :名無し募集中。。。:03/10/29 16:10 ID:vuBRE7IW
保守。

101 :ナナシマン:03/10/29 22:49 ID:mu7WyCRY
第45話 「狙われた秘宝伝説・インカ超エネルギーの謎!」


 霊峰富士の懐に抱かれた緑の魔界、それが富士樹海である。南米に勢力を誇る
ゼティマの大幹部、十面鬼はここにアジトを構え日本侵攻の拠点とした。彼の
目的はただ一つ、組織の野望のために絶対に必要となる密林の至宝、ギギの腕輪
とガガの腕輪を強奪することである。

 「出でよ、モグラ獣人」

地獄の底から響くような不気味な声。十面鬼により呼び出された新たなる尖兵、
それは赤い体毛に覆われたモグラの怪物であった。土煙を吹き上げながら、
モグラ獣人は地底より這い出して主である十面鬼に拝謁する。

 「チュチュー。お呼びですか十面鬼様」

 「モグラ獣人よ。貴様は今より東京へと向かい、仮面ライダーアマゾンから
二つの腕輪を取り返してくるのだ」

 軍団の尖兵に十面鬼はそう言って指令を与える。しかし、この獣人はこれまで
十面鬼が遣わした者達とはなんとなく風情が違う。何と言うのだろうか、十面鬼
の手先達が放っていた禍々しさが、このモグラ獣人からはあまり感じられない
のである。むしろそのたたずまいからはとぼけた味わいすら滲み出ている。


102 :ナナシマン:03/10/29 22:54 ID:mu7WyCRY
 「お任せください。アマゾンから腕輪を取り戻してみせます」

 「行け!」

 「奪い取るのだ!!」

 モグラ獣人の意気に十面鬼が応え、かくして獣人は東京を目指して再び土煙を
あげて猛進を始めた。獣人の身体が完全に地中に隠れ、地の底を掘り進んでいると
見た十面鬼は、更にもう一体の獣人を呼び出す。彼の召還に応じて現れたのは、
一匹の巨大なカニだった。

 「カニ獣人よ、モグラ獣人の後を追って東京へ向かうのだ。モグラ獣人が
しくじったならば、すぐにもお前が腕輪を奪い取れ!」

 十面鬼は善後策として、カニ獣人を第二の刺客として東京に差し向けることに
したのである。全身暗緑色のカニの怪物、カニ獣人は喜び勇んで巨大なはさみを
打ち振るう。

 「モグラの出番なぞあるものか。このカニ獣人が腕輪を奪い取ってご覧に入れます」

そう言うと、カニ獣人は巨体を揺さぶりながら十面鬼の前から姿を消す。2体の
獣人がそれぞれに東京を目指すこととなり、十面鬼は直ちに赤ジューシャ達に
命じて作戦の支援に当たらせた。

 「キョエーイ!モグラ獣人とカニ獣人のことは我らにお任せください」

例の赤ジューシャ二人組は、他の赤ジューシャ達と連れ立って東京へと向かった。
かくして、十面鬼がもくろむ腕輪強奪の二正面作戦は今始まろうとしていた。



103 :ナナシマン:03/10/29 22:55 ID:mu7WyCRY
今日の分は以上です。ちょっとまたとって出しになりそうなのですが、続きはまた明日。

104 :名無し天狗:03/10/29 23:14 ID:pFnr8wwR
>ナナシマンさん
お待ちしてました。現代に戻って、次はアマゾン、楽しみです!

105 :ヴィンセント:03/10/30 18:46 ID:A3WUpSUe
スレ汚し申し訳。

♪君は、見たか、亜依が〜、真っ赤に萌え〜るのを〜♪
(BLACKの主題歌より引用。)
すみません、思いついてしまったので…。

えっと、私が狩板でひっそりと頑張っていた
「仮面ライダー龍騎 VERSION・M」の「第一章」が終わりました。(w
もし良ければ、覗いてやってください。(w

スレ汚し申し訳。

106 :ナナシマン:03/10/30 22:30 ID:/7GRbcl8
 ちょっとストーリーのディテールを固めたいので、申し訳ありませんが次回更新は
明日に延期させてください。

>ヴィンセントさん
 やっぱりよぎりますよね、そのフレーズ。実は先ほど覗いてきました。「学園龍騎」
って感じなんですかね、第二部。こちらもまた楽しみです。感想のほうはまたお伺い
してその時に。

107 :名無し天狗:03/10/31 09:25 ID:fEv/OafD
保全がてらに
<スレ未登場の血車忍法>

*「鬼火蝮」
・忍法「毒流し」…天井裏から毒の香を焚いて人を眠らせる。
・忍法「撒き菱渡り」…懐から出した布状の物を撒き菱の上に敷いて、その上を渡る。

*「狂い毒蛾」
・忍法「毒蛾呪い」…天井裏から毒蛾の粉を飲ませて催眠術に掛ける。

いずれもTV版のみの忍法です。一応「補足」と言うことで…。

108 :名無し天狗:03/10/31 14:48 ID:hprv3sO1
うぎゃー!またまたやっちまった!!
第二章で「仇を捜して十三年」って書いたけど、「流浪の旅をしていた“八年間”」と
「美浜に仕えてからの三年間」を忘れてた!!

よって「三歳の頃両親を野盗に殺され、仇討ちのため八年間の修業の旅のあとに
谷一族に入門、そこで忍者の修業を十年積んだ。そして美浜に仕えること三年…」
…つまりユキが抱く怨みは「二十一年間」が正当!

申し訳ない、俺ってつくづく馬鹿…。

109 :名無し天狗:03/10/31 20:23 ID:qOWlRwl+
>悪の系譜編纂者さん
もしお作りの際には、>107-108の件、ヨロシクお願いします。

110 :ナナシマン:03/11/01 00:25 ID:OWuB2o8A
 その数時間後。舞台は変わっていつもの公園。静かなこの場所に、ちょっとした
異変が起きていた。
 はじめにそれに気がついたのは一人のサラリーマンだった。彼が営業先から帰る
途中に立ち寄ったその公園で、目撃したのは何者かによって掘られた穴だった。
穴、というだけなら何と言うこともなかったのだろうが、それは人間の常識の範疇
では考えられない、大きな生き物によって掘られたものとしか思えないものだった。
この異変はちょっとした騒動となったが、当然のごとくそれを看過できない者達が
いた。騒動が一旦鎮静化したところで、動き出したのはもちろんあの少女達だ。


 「これね・・・話題の穴は」

見慣れた公園の地面に突如開いた奇妙な穴。その前に立つ一人の女性。彼女の大きく
見開かれた二つの目が、この怪しげな穴を捉えていた。

 「こんな事をする奴は・・・あいつらしかいない」

眼光鋭い目が周囲を見回し、射る様な視線が付近一帯を巡る。と、その時彼女〜圭は
ただならぬ気配を感じ、植え込みのほうへと視線を向けた。すると案の定、覆面を
した二人の女が植え込みに隠れてこちらを窺っているのが見て取れた。しかし、その時
怪しい女達も圭の視線に気づき、すぐさま姿を消す。

 (あいつら・・・十面鬼の手下だ)


111 :ナナシマン:03/11/01 00:25 ID:OWuB2o8A
 一瞬で姿を消した怪しい女達が、十面鬼の放った赤ジューシャであることを見抜くと
圭はその後を追って植え込みのほうへと向かった。だが次の瞬間、植え込みを目指す
彼女の眼前に謎の土煙が吹き上がる。

 「うわっ!何?!」

突然の土煙に視界を奪われたじろぐ圭に対して、謎の敵が襲い掛かる。地中から突如
姿を現すと、いきなり地中から伸びた手が彼女の足を掴む。

 「くっ・・・誰っ!?」

しかし、謎の敵は圭が自分の正体を知る暇さえ与えない。そのまま圭を地中に引きずり
込もうと掴んだ手に力を込める。しかし圭は敵の機先を制して自分の足首を掴む手を
力いっぱい踏みつけ、この刺客からの攻撃を避ける。圭の捕獲に失敗したと悟ると、
謎の敵はついにその姿をあらわにした。圭の眼の前に現れたのは、赤茶色の体毛に
覆われた大きなモグラの化け物。そう、十面鬼によって送り込まれたあのモグラ獣人だ。

 「チュチュ〜!俺はモグラ獣人。俺の姿を見た奴は生かしてはおかんぞ!」

 「モグラ獣人?!さてはお前、あいつらの仲間だな!!」

地上にその姿を現したモグラ獣人に対し、姿勢を低く構えて臨戦態勢をとる圭。すでに
彼女の体内には野生の力がみなぎっている。一方のモグラ獣人もまた、自分の姿を目撃
した人間を生かしてはおかぬと、シャベル状に発達した手を突きつけて圭を威嚇する。
平和な公園を舞台に対峙する両者。とその時、両手を大きく広げて獣人を迎え撃つ圭の
姿に、ふと獣人は何かに気がついた。目の前にいる女の両腕にはめられた物が何なのか、
獣人は理解していたからだ。

 「それはギギの腕輪とガガの腕輪・・・じゃあお前が?!」

 「やっぱりゼティマだったか。そう、私はアマゾン!仮面ライダーアマゾンだ!!」

112 :ナナシマン:03/11/01 00:26 ID:OWuB2o8A
ちょっと少ないんですが、今日の分は以上です。明日またお目にかかりましょう。

113 :ナナシマン:03/11/01 02:49 ID:OWuB2o8A
 「お前がアマゾンか。おかげで手間が省けたぞ」

 目の前にいるのがアマゾンだとすれば、二つの腕輪を奪う機会は今をおいて他は
無い。モグラ獣人は勇んで両腕を振上げて圭と取っ組み合いに持ち込む。ショベル
状の爪はその切っ先にギザギザがついていて、それはアマゾンのカッターのように
相手を傷つけることも可能である。組み合ったその時に食い込む爪が、あっという
間に圭の肌に赤い筋を引く。

 「うあああっ!」

圭も負けじと叫び声を挙げ、モグラ獣人の毛だらけの肌に臆することなく喰らい
つく。獣人の体毛は瞬く間に黄色い雫を帯び、噛みつかれたモグラ獣人も苦痛に
呻きながら更に圭の身体に爪で一撃を加える。そして、両者痛み分けとなった
ところで二人は互いに大きく間合いを離した。

 「お前の両腕にある二つの腕輪は、伝説の超エネルギーの源。ゼティマの
ために無くてはならないものだ」

 「何ですって?!」
 
 獣人の言葉に圭の目が大きく見開かれ、獲物を狙う猛禽獣のような鋭い眼光が
相手を射抜く。敵の狙いが二つの腕輪にあることは、村を襲った連中の言葉から
彼女なりに理解していた。しかし、腕輪に隠された秘密の一端が獣人の口から
明らかになった以上、この腕輪を決して渡すわけにはいかない。


114 :ナナシマン:03/11/01 03:05 ID:OWuB2o8A
 「だったらなおさら渡せないね!命に代えても、腕輪は守り抜く!!」

そう言うと圭は一度腕を交差させると再び雄たけびと共に両手を広げ天に叫ぶ。

 「アァァァマァァァゾォォォォォン!!」

真っ赤な輝きを宿した鋭いまなざしに、みなぎる闘志が炎と燃える。そして、
まばゆい光と共に姿を現したのは大自然が生んだ正義の戦士、アマゾンライダー。
悪の野望を打ち砕くため、アマゾンは鋭い跳躍と共に獣人の機先を制すべく
飛び掛っていく。

 「ケェェェーッ!!」

 「ギャッ!」

鋭い爪がモグラ獣人の顔を切り裂く。飛び散る黄色い鮮血をも省みずアマゾンは
なおも更なる攻撃を加えていく。後ろ回し蹴りを鼻っ面にお見舞いすると、
たまらずモグラ獣人は鼻を押さえて後ずさる。

 「うへぇ、こりゃかなわん」

文字通り出鼻をくじかれて戦意を喪失したモグラ獣人、たまらずひざまずくと
そのまま物凄い勢いで土を掘り始めた。地中に逃げるつもりなのだ。そして
あっという間に土の中に姿を隠し、まんまと遁走したのである。



115 :ナナシマン:03/11/01 03:05 ID:OWuB2o8A
 しかし、この光景を物陰から見ていた者たちがいた。先ほど圭に発見されて一度は
姿を隠した赤ジューシャの二人組と新たに加わった赤ジューシャの一団、そして東京
に到着したカニ獣人だ。悪の尖兵たちは大勢決した戦いに乱入し、数に任せて一気に
アマゾンを葬り去ろうという算段だ。

 「お前達は!!」

 「モグラの奴はとんずらしたけど、あたし達は逃がしゃしないからね!!」

 アマゾンの怒りのまなざしが敵を捉える。カニ獣人を従えた赤ジューシャたちも
数の上では有利だとばかりに、奇声を挙げながらじりじりとアマゾンににじり寄る。
そして軍団を率いるのは巨大なカニの怪物、カニ獣人だ。

 「俺はモグラの様にはいかんぞ。者ども、かかれ!!」

116 :ナナシマン:03/11/01 03:06 ID:OWuB2o8A
書きあがった分を更新してみました。続きはまた今夜。

117 :名無し募集中。。。:03/11/01 11:00 ID:b5hBRPsw
これからに期待して保全。

118 :ナナシマン:03/11/01 13:07 ID:0HIJxQOi
>>115をちょっと訂正です。

 ×アマゾンの怒りのまなざしが敵を捉える。カニ獣人を従えた赤ジューシャたちも
 ○アマゾンの怒りのまなざしが敵を捉える。赤ジューシャたちも

寝ぼけ眼で書き込むとこういうミスが出ますね。失礼しました。


>>117
お手数かけてすいません。ご期待に沿えるよう今夜もガンガリます。


という訳で、続きはまた今晩。

119 :名無し天狗:03/11/01 20:25 ID:YN/QORKa
>118ナナシマンさん
ドンマイっス!私も>108のような「やらかし」をしがちですから。
今夜も期待してますんで頑張って下さい!!

120 :ナナシマン:03/11/01 22:39 ID:jCNR50yo
 「キョエーイ!!」

 カニ獣人の号令一下、赤ジューシャたちが一斉に襲い掛かる。モグラ獣人との
戦いを終えたばかりのアマゾンではあったが敵は待ってはくれない。鋭い光を放つ
爪で寄せ来る敵を切り裂き、またすばやいパンチで片っ端からなぎ倒す。手刀が、
そして回し蹴りが次々と赤ジューシャ達に炸裂し、強烈な一撃で叩きのめされた
敵はバタバタと倒れ伏していく。白のフリンジがひらひらと風に舞うように、
赤ジューシャ達は攻撃のたびにコマのように回りながら次々と地に伏す。

 「えぇい、ふがいないヤツらだねぇ!」

 「カニ獣人、出番だよ!」

そう言い残すと二人組みの赤ジューシャはそそくさと獣人の影に隠れる。いよいよ
カニ獣人のお出ましとなった。眼の前には好敵手、そして軍団の宿願である二つの
腕輪。大きなハサミを振りかざし、カニ獣人は機は熟したとばかりに勇んでアマゾン
に襲い掛かる。

 「アマゾンライダー!腕輪はこのカニ獣人が頂く!!」

 「そう言って奪えた奴は・・・一人もいない!」

両腕を大きくかざしてアマゾンを威嚇するカニ獣人。これに対してアマゾンも腰を
低く落とし、敵を引っかく仕草を見せて敵を威嚇する。獣人対野生の戦士、勝つのは
いずれの闘争本能か。


121 :ナナシマン:03/11/01 22:41 ID:jCNR50yo
 仕掛けたのはアマゾンだった。巨体をもてあまし鈍重なカニ獣人に対して、大跳躍し
飛び掛ると、雄たけびと共に必殺の噛み付きで獣人の固い甲羅に鋭い牙をつきたてる。

 「ヴァァァァーッ!」

しかし、そこはカニ獣人の名の通り、固い甲羅は伊達ではない。アマゾンの噛み付き
攻撃も文字通り歯が立たず、懐に入り込んできたアマゾンの頭上から巨大なハサミを
振り下ろして一撃を加えた。

 「バカめが、貴様の牙など俺の身体に効くものか!」
 
 「ウガァッ!!」

苦痛にうめき声を挙げるアマゾンに対して、一気に攻勢に出るカニ獣人。腹部に蠢く
脚でアマゾンの身体を抱え込み、両腕のハサミを代わる代わるアマゾンの頭に、背に
とぶち込んでいく。思いがけない劣勢に立たされたアマゾン。しかし、まだ彼女は
諦めたわけではなかった。何度目かのハサミ攻撃が振り下ろされた、その時だ。
膝を屈して敵の攻撃を受けることしか出来ないでいるかに見えたアマゾンは、獣人
攻撃を見切ってその腕を見事にキャッチした。そして、反撃の一撃が炸裂する!


122 :ナナシマン:03/11/01 22:42 ID:jCNR50yo
 「ケエエエエエーッ!」

 雄たけび一番、背びれが蠢く。叫びと共にアマゾンライダーは敵の腕めがけて手刀
一閃。アームカッターが骨身を絶つ必殺の荒業、大切断を放った。

 「ギャアアアア!!」

 その直後、噴水のように迸るオレンジ色の体液は獣人の血だ。苦痛にもがき苦しむ
カニ獣人の口から泡が飛び散る。アマゾンの必殺技でまずは左のハサミが血飛沫と
共に中に舞い、さらにアマゾンは続けざまにもう一撃とばかりに獣人の右腕にも
大切断を見舞う。ものの見事に両腕を切断されたカニ獣人にもはや攻撃の術は無く、
血を滴らせながら逃げ帰るしか出来なかった。

 「おっ・・・おのれアマゾン・・・覚えておけぇ!!」

 赤ジューシャ二人組に身を庇われるようにして、カニ獣人はアマゾンの前から
敗走した。


123 :ナナシマン:03/11/01 22:43 ID:jCNR50yo
 そして、2体の獣人が逃げ帰った先は富士の樹海。言うまでも無く、そこは彼らの
主である十面鬼ゴルゴスのアジトである。だが、十面鬼が敗走してきた獣人たちを
許すはずは無く、早々に2体は捕縛されて十面鬼の許へと引っ立てられた。最初に
裁きを受けるのは、戦意を喪失して逃げ帰ったモグラ獣人だ。

 「おのれモグラ獣人めが!作戦をしぐじったのみならず、アマゾンに腕輪の秘密
を自ら明かすとは何事か!!」

 「お許しを十面鬼様・・・つい喋っちまいまして」

うっかり口を滑らせてしまった、との獣人の弁解がますます十面鬼の怒りに火を
つけた。顔岩と重なった10人の悪しき者達、妖術師ゴルゴスと9人の悪人達を
総じて十面鬼と称するのだが、彼らのただでさえ不気味に赤い顔が怒気をはらんで
ますます真っ赤になっていく。

 「殺せ!」

 「殺してしまえ!!」

 「死刑だ!!」

 怒りにほだされて叫ぶ悪人達。そして九つの鬼面が全員一致で処刑の裁定を下す。
そしてゴルゴスの口からモグラ獣人への最終処分が下された。

 「お前はモグラだ。日の光が苦手であろう。縛り上げて日干しにしてしまえ!!」

 「十面鬼さまぁぁ、お助けを!」

命乞いもむなしく、そのままモグラ獣人は赤ジューシャに引っ立てられていずこかへ
と連れられて行った。



124 :ナナシマン:03/11/01 22:51 ID:jCNR50yo
 失敗者には死を。それが彼らの鉄の掟だ。そして、続いて十面鬼は無様な負けっぷり
をさらして帰還したカニ獣人に裁きを下そうと鋭い目つきで睨み付ける。跪いていた
カニ獣人は、切断された両腕を見せて許しを請おうと立ち上がる。

 「カニ獣人よ。お前もふがいないものよ」

 「両腕を失って不覚を取ったのも、腕輪を奪えなかったのも全てあのモグラのせい
です。このカニ獣人めにもう一度チャンスを!どうか命ばかりは!!」

カニ獣人の必死の弁明に、十面鬼はしばし黙り込んで思案する。そして、彼に対して
最終決定が下された。

 「よかろう。ひとまずお前の腕を治してやる。カニ獣人を連れて行け」

 数人の赤ジューシャがカニ獣人のもとへやってくると、獣人は直ちに獣人製造室
へと移送される。そして、それから数時間後。再び十面鬼の前に姿を現したのは、
切断されたハサミの代わりに切れ味鋭い鎌に両腕を交換したカニ獣人だった。

 「ありがとうございます!これで奴に不覚を取ることはありますまい」


すでに次なる作戦に向けて東京へ出発した赤ジューシャの後に続いて、カニ獣人も
その後に続く。アマゾンに切断された両腕の借りを返すべく、獣人は復讐を胸に
東京へと向かった。


125 :ナナシマン:03/11/01 22:52 ID:jCNR50yo
今日の分は以上です。また明日お目にかかりましょう。

126 :名無し天狗:03/11/01 22:55 ID:kr7H9/pn
>ナナシマンさん
原作ではアマゾンと戦うもやられたあと生死不明だった赤ジューシャでしたが、
ここでは殺されたってことになるんでしょうか?
・・・ともあれ、ワガママを聞いて下さって感謝と恐縮の一心です。
明日も楽しみにしてます。

127 :ナナシマン:03/11/01 23:31 ID:jCNR50yo
>>名無し天狗さん
 そこはテレビと同じということで一つ・・・(w。



128 :名無し天狗:03/11/01 23:38 ID:kr7H9/pn
>ナナシマンさん
ははは…(笑)。
まぁ、遺体(?)が回収されて蘇生手術で復活して再び出動…と脳内解釈してましたが。

129 :名無し募集中。。。:03/11/02 21:01 ID:mt/ADcqc
保守

130 :ナナシマン:03/11/02 23:36 ID:iZyqonyp
予定外の飲み会が入ってしまい、例によって潰れてしまって更新どころでは無くなって
しまいました。誠に申し訳ありませんが、次回は明日ということでお願いします。

131 :名無し天狗:03/11/03 00:43 ID:AzvZ3PtM
>ナナシマンさん
お待ちしてますので、お身体お大事に・・・。

132 :名無し天狗:03/11/03 03:58 ID:AzvZ3PtM
場繋ぎとして、血車党構成員の紹介などを・・・。

*血車魔神斎
千年以上の伝統を誇る血車党の頭領。
髑髏を模した鉄仮面と西洋風の甲冑に身を固めているが、その力量・正体は共に不明。
手にした槍状の杖にも恐ろしい秘密が隠されている。
日本征服のために「化身忍者誕生の法」の秘伝書を奪った。

*骸丸
原作漫画では「骨餓身丸」、TVでは「骸骨丸」と呼ばれた血車党の上忍で前線指揮官。
頭蓋骨が半分露になっているのは任務遂行中に負傷したため。
秘伝書奪回の指揮を執り、また奪った秘伝書を解読して化身忍者を作る。
ユキに異常な憎悪を示す彼にもまた恐ろしい秘密が…!

*化身忍者
骸丸の指揮によって作られた、二十一世紀で言うところの改造人間。
階級的には中忍に当たる。血車党の尖兵で、悪の企ては彼らを中心に行われる。

*下忍
所謂「戦闘員」。男女共にいるが、二対一の割合で男が多い。
その大半は、酌量の余地も無い極悪人であるが、
よんどころ無き事情から党入りする者も多く、その実態がユキの心を痛める。
言うまでも無く、悪の企ての実行者。全国のありとあらゆる忍群の忍法を会得しており、
「日本最強」と言われる。上には忠実で、「死」を賜れば即座に自決。

133 :名無し天狗:03/11/03 03:59 ID:AzvZ3PtM
秘伝書「奪回」ではなく「強奪」でしたね、失礼。

134 :名無し募集中。。。:03/11/03 17:45 ID:rR4lqtLg
保全。

135 :ナナシマン:03/11/03 23:15 ID:SwOIaXlA
 家に帰り着いた圭は早速公園での出来事と、腕輪にまつわる話を居合わせた
仲間達に聞かせた。彼女の両腕をまじまじと見つめながら、少女達はそれぞれに
今後のことを話していた。

 「この変な腕輪にそんな力があったなんてねぇ・・・おどろいたよ」

なつみはそんなことを言いながら、指先で腕輪をつつく。

 「おじいちゃんにもらったものを変って言わないの、もう・・・」

腕輪をつつく指を避けるように身をよじる圭。その様が何となく面白かったのか
居合わせた少女達が一斉に腕輪をつつこうと迫る。指は腕輪を外れて二の腕や
脇に入るものだから、だんだんと圭はくすぐったくなってきた。

 「こら、やめてってたら・・・ちょっと!」

と、そこへ外出から帰ってきたばかりの裕子が姿を見せた。ひとまず悪ふざけを
やめ、少女達は圭とともに腕輪の話を裕子にもして聞かせた。裕子は少女達の話
を一つ一つ聞き逃さず相槌をうちながら注意深く聞いていたが、ふと何かを
思い出したか、ハンドバッグの中から一枚の紙を取り出した。

136 :ナナシマン:03/11/03 23:16 ID:SwOIaXlA
 「・・・ほんならちょうど良かった。こんなの貰って来たんだけど」

それは一枚のチケットだった。そしてそこにはこう書かれていた。

 『失われた黄金の帝国〜古代インカ文明展』

 それは夢ヶ丘のデパートで今日から開催されている、インカ文明の博覧会の
チケットだった。聞けば裕子は、このチケットを綾小路夫人に貰ったのだという。
綾小路夫人といえば、斉藤瞳の口利きで始めたペット探しの元依頼人であった。

 「綾小路さんところのデパートで開催してる博覧会のチケット。もしかしたら
圭ちゃんの腕輪の謎に関わる展示品が、それと気づかれずに展示されてるかも
知れへんね。行ってみたら?」

裕子はそう言って、チケットを圭に手渡した。物珍しさでチケットを表にしたり
裏返したりとあれこれ眺めていた圭だったが、印刷されていた展示物の写真の中
にはやはり見覚えのある品があるようで、そのうちの幾つかを指差しながら、
これは見たことがあるとか、似たようなものが村にあったとか、懐かしそうに
語って聞かせていた。そして思い出話に区切りがついたところで、圭はチケット
を握り締めて裕子に言った。

 「ありがとう、裕ちゃん。あたし、ちょっと行って見てくるよ」

 「何かの手がかりになるとええね・・・そうだ、明日付き合うわ」

 こうして、圭と裕子の二人は腕輪の秘密を解き明かす手がかりを求めて、明日
博覧会会場へ足を運ぶことに決めた。この時二人は、やがて知る驚くべき古代の
伝承のことなど、まだ知る由も無かったのである。

137 :ナナシマン:03/11/03 23:17 ID:SwOIaXlA
 ちょっと少ないんですが、都合により今日はここまでとさせていただきます。続きは
また明日。

138 :ナナシマン:03/11/04 12:53 ID:drm3QdOP
 その翌日、時計は正午を回っていた。圭と裕子は昨日からの予定通り、二人で
夢ヶ丘商店街の中心にあるデパートで開催されているインカ文明の博覧会へと
出かけていった。
 ジャングラーは目立ちすぎるということで、裕子の運転する車での外出となった
が、その動きはすでに例の二人組の赤ジューシャに察知されていた。もっともこの
二人も外出の目的までは知らず、腕輪を持つ圭の動きをしつこく追っていたら、
たまたまこの光景に出くわしたという程度でしかなかった。

 「あいつら、二人してどこへ行くつもりだろう」

 「さあね・・・でも、追いかけてみる価値は十分にあるよ。お前達!」

鳥の巣のようなパーマ頭の、少し下膨れ顔の赤ジューシャが号令を発する。その
直後、いずこからとも無く現れたのは揃いの紫色のセットアップに身を包んだ
3人の女達だった。

 「キェーイ!赤ジューシャバイク部隊、ただいま参上」

赤ジューシャバイク部隊とは、オートバイによる卓越した機動力によって諜報
活動などの様々な任務をこなす、十面鬼が誇る機動部隊なのだ。

 「お前達、あの車の後をつけな。狙いが判ったら、あたしらに連絡するんだよ」

 「くれぐれも焦って下手打つんじゃないよ?判ったね?」

二人の赤ジューシャは、バイク部隊に対して目的はあくまでも圭達の尾行であると
念押しする。これに応えてバイク部隊は早速行動を開始した。


139 :ナナシマン:03/11/04 12:54 ID:drm3QdOP
ちょっとだけ更新です。続きはまた後ほど。

140 :ナナシマン:03/11/04 22:39 ID:drm3QdOP
 裕子の車が家を出たのを見計らって、バイク部隊はその後を尾行する。車は
住宅街を抜けてやがて大通りへといたった。このあたりは交通量も多く、油断
すればターゲットを見失うかと思われがちだが、実はかえって尾行はやりやすく
なるようである。何より違和感を持たれることなく周囲の交通に溶け込むことが
出来るようになるからだ。密林の奥地からやってきたとは思えないほど、都市
交通に対する認識の高さを持つあたりはやはり油断ならない女達である。

 「奴らはどこに行くんだろうね・・・」

 「この先を曲がって入りそうなところといえば」

 「夢ヶ丘デパートか・・・って、ちょっとアレ見なよ」

バイク部隊の一人が、デパートの壁面にかけられた催し物の垂れ幕を目ざとく
発見する。そしてそこには次の一文があった。

 『失われた黄金の帝国〜古代インカ文明展・8階催事場にて開催中』

一瞬彼女達の脳裏によぎった考えはこうだ。「自分達の知る限りでは、考古学に
興味のある女というものはそうそういるものではない」。つまり、よほどの
変わり者で無い限り、少なくともこのデパートで開催されているこの博覧会を
目当てにデパートに出向く女などいるはずが無い。大方DCブランドのショップ
でも覗きに行ったのだろう、とそのくらいにしか考えていなかったのだ。

 しかしそんな彼女達の眼の前で、車は立体駐車場の方へと入っていく。少なく
ともこのデパートに立ち寄るのは間違いない、そう踏んだバイク部隊は早速例の
赤ジューシャ二人組に連絡を取る。



141 :ナナシマン:03/11/04 22:40 ID:drm3QdOP
 「中澤と思しき女とアマゾンがデパートに入りました」

立体駐車場に停車したバイクに搭載した無線機を使って、バイク部隊の一人が
赤ジューシャに尾行の途中経過を報告する。

 『デパートねぇ・・・大方買い物にでも行ったんじゃないのかい』

案の定、返ってくるべくして返ってきた答え。念のためバイク部隊の女は、この
デパートで行われている催し物についても報告した。ところが、それを聞いた
赤ジューシャは何かを閃いたか、バイク部隊に新たな命令を下す。

 『いいかいお前達、よく聞きな。モグラの奴が腕輪の秘密を喋った。多分
中澤裕子とアマゾンは、手がかりになるような物を求めてインカ展に向かった
はずだ。どんなブツが置いてあるか知らないけど、秘密は知られちゃまずい』

 「どうしましょう?」

 『とりあえず二人から目を離さないこと。会場で注意深く動きを探るんだよ』

 「了解」

かくしてバイク部隊の女達は巧妙な変装でデパートガールになりすますと、圭達
がやってくるであろう8階催事場へと先回りしてその動向を注意深く探ることに
した。

 そしてそれから10数分後、古代インカ文明展が開催されているデパート8階の
催事場に、裕子と圭の姿があった。


142 :ナナシマン:03/11/04 22:42 ID:drm3QdOP
 今日の分については以上です。明日は二つの腕輪の秘密にまつわる、あのアイテムが
登場します。

143 :名無し天狗@兼保全:03/11/05 15:52 ID:Qj9jnTzE
>ナナシマンさん
変装した彼女たちの顔はTV版の「名古屋美里」同様
仮面を取った素顔ってことになるんでしょうか?それとも全く別の女の顔とか?

144 :名無し募集中。。。:03/11/05 18:23 ID:peoJVeOn
>>143
何でもかんでも聞くもんじゃないよ。

145 :名無し天狗@兼保全:03/11/05 19:26 ID:MbFnM7RM
>144
ゴメン。気になったもんだから…。

146 :ナナシマン:03/11/05 23:30 ID:H04We3F2
ちょっと所用ありまして、今日の更新は明日に延期させていただきます。
実はこれからまた酒の席だったりしまして・・・。

147 :名無し募集中。。。:03/11/06 12:12 ID:n6mQyZY8
保全。

148 :ナナシマン:03/11/06 21:08 ID:Fulq6RpO
 窓口でチケットを渡し、二人は会場内へと入っていく。中には黄金の装飾品や
土器、そして墳墓から発見されたと思しきミイラ化した遺体などが展示されていた。
しかし、それらのいずれも圭の腕輪の謎を解く手がかりとなるものとは、到底
考えられなかった。

 「見たところ、別に手がかりになるようなもんってないね・・・」

 「うん・・・圭ちゃんのソレに関係なかったら絶対来てないね、こんなとこ」

金や翡翠のあしらわれた帝王の冠などは、それだけでも学術的にも美術品としても
価値の高いものであることは二人の目にも明らかだった。だが、そこに腕輪の謎を
解く手がかりはない。それに、仮にそれらの展示品の中に有力な手がかりを発見
出来たとしても研究者の資料として収集された物ならともかく、これらはいずれも
展示目的で公開されたものである。触ってみたいなどと言ったところで許可が
下りるはずもないだろう。

 「何かハズレっぽいね、裕ちゃん」

 「せやなぁ・・・さっさと出てブランドショップでも見にいこか」

展示品に早々と見切りをつけ、二人は足早に出口へと向かう。と、その時不思議な
物が圭の目に止まった。それは一見すると作りかけの織物か何かのように見えた。
長く走る一本の縄に色や長さの違う縄が簾状に結わえ付けられており、視線を下に
落とすと、この縄に関する簡単な説明書きが添えられていた。


149 :ナナシマン:03/11/06 21:09 ID:Fulq6RpO
 『キープ〜結縄文字とも言う。古代インカ人は文字を持たなかったため、この
キープと呼ばれる縄の色や長さによって、数字や文字を表したといわれる』

 この不思議な展示物の前で立ち止まり、じっとそれを見つめている圭に、裕子は
不思議そうにたずねる。

 「圭ちゃん、この簾みたいなんがどないしてんの?」

 「裕ちゃん・・・あたし、これ読めるかも」

ガラスの向こうにあるキープを指差して、圭がつぶやいた。二人にとって幸いだった
のは、これが広げて掛けられていた事で縄文字が判読できる状態にあったことだ。
もし丸めて無造作に置かれていたとしたら、二人はこのキープの存在に気づくこと
すらなかったかもしれない。


 そして遂に、この色とりどりの縄に秘められた伝説が圭の心に語りかけてきた。
圭は縄の一本一本に視線を走らせ、その意味を読み解いていく。


150 :ナナシマン:03/11/06 21:10 ID:Fulq6RpO
 今より遥か昔、「太陽の石」と「月の石」という二つの宝玉を白い衣を纏った
神の使いから授かった若者がいた。若者に対して神の使いは二つの石を持つ者が
国を統一する王になると預言したが、彼は若者にたった一つだけ条件を付けた。
それは、自分が王の座から退くとき、日食の日に二つの石を二人の若者に与えて
争わせ、相手の石を奪い取った者を次なる王にせよ、というものだった。

 神の使いに石を与えられた若者は石の力で村々を自分の傘下に収めていった。
若者が石をかざすと敵の村には雷が落ちたような光が渦巻き、一瞬で敵の村は
焼き払われていた。敵対者を石の力でことごとく討ち果たし、若者は石の力に
よって村落を統一してインカの国を建国した。

 それから時がたち王となった若者が遂に年老いてその座を退くことになったとき、
彼は二つの石を自分の二人の息子に与えた。その頃には、王の持つ二つの石は夫婦
である二人の神になぞらえられて大切に保管されていた。
 王はある夜、二人の王子を呼びつけてこの二つの石を与えた。王と神の使いの
間で交わされた約束は当然二人に伝えられ、王子たちは互いに石を巡って争わねば
ならないことを悟った。


151 :ナナシマン:03/11/06 21:11 ID:Fulq6RpO
 太陽神「インティ」と月の女神「パチャママ」になぞらえられた二つの霊石。
太陽と月は夫婦であるから、当然二つはつがいでなければならない。かくして、
太陽の石と月の石を授かった者同士はこれを互いに奪い合い、二神合一を
果たした者こそが天地を統べる王となると定められた。

 インカの名は太陽神インティに通じ、インカの地の王はすなわち神に等しい。
二人の王子は我こそが神たらんと知恵を絞って石を守ることに腐心したが、やがて
共に考え付いたたった一つの方法こそ、「石を自らの体内に隠すこと」だった。
 かくして神の使いに伝授された秘術によって石はそれぞれ二人の王子に移植
されたが、その時驚くべき出来事が起こった。なんと太陽の石を持つ王子は
漆黒の肉体を持つ人ならざる者に、そして月の石を持つ王子はまばゆい銀の鎧を
纏った戦士にその姿を変えたのである。二人の王子は定めにしたがって石の力を
振い、三日三晩闘い続けた。だが決着がつかず、遂に二人とも斃れてしまった。

 約束とはいえ二人の息子を一度に失ったことを嘆き悲しんだ老王は、戦乱を
治めた以上は二度と石の力を使うまいと決心し、国一番の職人に命じて二つの石を
二つの腕輪に隠して神殿の奥に安置し、唯一腕輪を管理できる祭司「バゴー」を
任じてこれに当たらさせた・・・。

 

 縄文字はここで途切れていたが、圭が腕輪の謎を知るのには十分であった。自分
が持つ二つの腕輪の中には、手に入れた者が世界の王になれる二つの石が隠されて
いる。このことを知ったとき、彼女の心の中によぎったのは村を離れたあの日の出来事
だった。


152 :ナナシマン:03/11/06 21:12 ID:Fulq6RpO
 (あたしはおじいちゃんから、とんでもない物を授かったんだ・・・)

圭が読み取った縄文字の伝説は、もちろん隣にいた裕子もしっかりと聞き取って
いた。彼女は圭の腕に輝く二つの腕輪を眺めながら、秘められた伝説の意味を
彼女なりに受け止めていた。

 (奴らの狙いの一端はこれで明らかになった・・・ん?)

 その時裕子は、先ほどから二人の様子を窺う怪しい視線を感じ取った。それは
二人に先んじてこの博覧会の会場に忍び込んでいた、あのバイク部隊のものだった。

 『圭ちゃん・・・ヤツらがおる。ウチらを見張ってる』

 圭に小声で耳打ちする裕子。一方の圭も、キープのある展示ブースの付近に立った
時からただならぬ視線を感じていたらしく、裕子の言葉に答えて言った。

 『もうここに用はないよ・・・出よう?』

二人は足早に会場を後にする。無論、そんな二人をバイク部隊が尾行しないはずは
なかった。二人が何らかの手がかりを得たことは即座に二人組の赤ジューシャに
伝えられ、再びバイク部隊が行動を開始した。


153 :ナナシマン:03/11/06 21:14 ID:Fulq6RpO
 今日の分は以上です。次回更新では2体の獣人にも出番があるかと思います。

154 ::03/11/07 02:02 ID:nE2MgU5z
アイドル投票にご参加ください
http://multianq.uic.to/mesganq.cgi?room=mg7599


155 :名無しハンペン:03/11/07 11:13 ID:me7XTMx1
設定の消化の仕方がお見事ですね。
続きも楽しみにしています。


156 :名無し募集中。。。:03/11/07 23:42 ID:5Wn8Whck
保守

157 :ナナシマン:03/11/07 23:57 ID:0rP9vsIL
 やがて二人を乗せた車は河川敷のそばを通りがかった。離合のため車の
速度を落とした裕子の目に飛び込んできたのは、ススキの穂の間に蠢く赤い
物体だった。

 「圭ちゃん、あれ何やろ?」

裕子がそう言って指差したのと時を同じくして、強く吹きつけた風がススキを
揺らし、赤い物体の正体を明らかにした。それは両手両足をコンクリートの
基礎に縛り付けられた獣人の姿だった。

 「ああっ!あれ、モグラだ!」

 「モグラ?!」

 「そう、モグラ。モグラ獣人」

 圭は覚えていた。公園で自分を襲った地中からの刺客、モグラ獣人のことを。
腕輪の秘密を喋ったばかりか、敵前逃亡の罪を犯した彼は今まさに縛り上げられ、
日干しの刑に処されようとしていたのだ。圭の頼みで裕子は車で通れる所まで
緩やかな斜面を下り、二人は縛られて身を横たえたモグラ獣人の所へと駆けて
行った。

 「あぁ、暑い・・・誰か水を・・・助けてくれぇ」

獣人の身体はすっかり乾燥しきっていた。わずかに残された水分も汗となって蒸発
し、体表に浮き出た塩分が赤い体毛に塩を振ったような様相を呈していた。獣人の
うめき声が耳に届いたか、まず圭は川まで走って水を汲み、それから裕子と共に
獣人のそばへと近づいていった。


158 :ナナシマン:03/11/07 23:58 ID:0rP9vsIL
 「モグラ!あんたなんでしょ?しっかりしなさい!!」

 手にしたペットボトルにはなみなみと水が湛えられている。圭は獣人の頭を
ゆっくりと持ち上げ、口の中に水を注ぎ、また頭へも注いだ。突然身体を潤す
水分に獣人が正気づくと、そこにいたのは憎き敵、アマゾンライダーこと圭
だった。圭は獣人の手足を縛っていたロープを解いていくが、モグラ獣人は
自由になった手で圭の手を払いのける。

 「何すんのよ」

 「止めろ!お前の情けなど受けるものか!!」

敵に情けをかけられるよりは死んだほうがましだ、と言わんばかりに獣人は圭の
助けを拒む。だが、すでに死にそうになっていた獣人の抵抗など二人の前では
何の意味も成さなかった。もがいて身をよじる様にも力はない。そんな獣人の
眼前に立ち、裕子が言う。

 「『暑い〜』とか『助けてくれ〜』とか言うとったんはお前やろ?素直に飲みぃ!!」

 「・・・・」

 裕子に一喝され、モグラ獣人はそれっきり抵抗するのをやめた。圭の手から
ペットボトルを受け取るとそのままぐいぐいと水を飲み、ついに飲み干して
しまった。


159 :ナナシマン:03/11/07 23:59 ID:0rP9vsIL
ちょっとこの後の展開を構成しなおさなくてはならなくなりましたので、短いんですが
今日はこの辺で。

>>156
 いつもお手数かけてすいません。恐れ入ります。

160 :名無し天狗:03/11/08 00:04 ID:j3t3sTHh
>ナナシマンさん
お待ちしてますので、落ち着いて頑張って下さい。

161 :ナナシマン:03/11/08 20:28 ID:1m+DDNOu
 ちょっとこの後所用が入りまして、更新の方は明日のお昼ごろになります。
申し訳ありません。

162 :名無し募集中。。。:03/11/08 23:27 ID:7hz5KAh+
保全。
オリジナルでモグラ獣人の表面にあったあの白いのって、汗の残った塩分だったんだ…。

163 :名無し募集中。。。:03/11/09 01:21 ID:SensxVHe
保守

164 :ナナシマン:03/11/09 13:53 ID:mWB4pyE6
 身を起こし立ち上がるまでに回復したモグラ獣人。しかし、作戦に失敗した咎
で処刑される寸前であったわが身を、皮肉にも敵であるはずの圭と裕子に救われた
のである。恩義を感じ易々と敵に与するほど落ちぶれてはいない、と思うものの
さりとてもう十面鬼の下へは戻れない。圭の手に再びボトルを返すと、一言だけ
言い残してそそくさと土を掘り始める。

 「礼は言わんぞ・・・礼は・・・」

 獣人としてのささやかな抵抗。男の意地、いやモグラの意地を前にして、圭と
裕子は顔を見合わせて思わず噴き出してしまう。やがてモグラ獣人はあっという間
に身体が隠れるほどの穴を掘るとそのまま行ってしまうかと思われたのだが、
去り際に穴から覗いたのは誰あろう、モグラ獣人の顔だった。

 「止めたって無駄だからな。俺は行くぞ」

まだ誰も止めてなどいないのだが、モグラ獣人はそう言って穴の中へと身を潜めた。
圭と裕子はその様をしばらく見つめていたが、それからわずか数十秒後。

 「どしたん?忘れモン?」

 「俺はもう十面鬼の下には戻れない。でも、俺はモグラ獣人だ。ライダーどもの
世話になどならないからな。チュチュ〜」


165 :ナナシマン:03/11/09 13:54 ID:mWB4pyE6
 モグラ獣人はそう言うと、再び穴の中へと潜っていく。裏切り者として追われ、
異形の身として人からも疎まれるであろう獣人の定め。しかし、モグラにはモグラの
道があるだろう。そう思いつつ、踵を返す二人の眼の前で、再び土煙が噴出する。
そこに現れたのは、またしてもあのモグラ獣人だった。

 「助けておきながらこのまま見捨てるのかよぉ」

助けて欲しければ素直にそう言えばいいものを、見捨てていくなどと悪し様に言われる
筋合いはもちろんない。急ぎ足でもぐらに近づく裕子の全身に怒気が滲む。

 「助けられておきながらどういう了見や、お前は!」

いきなり現れて何を言い出すかと思えばこのセリフ。怒りの裕子に鼻を掴まれ、モグラ
は穴から引きずり出された。

 「いててててて!何すんだよぉ」

 「ゼティマに代わってウチが引導渡したる!ちょっとこっち来い!!」

 怒らせると怖いのは、何も十面鬼ばかりではない。命は取らぬまでも、一度コイツ
には判らせてやらねばならないと裕子は獣人を引きずって車のそばへと歩き始めた。
その時である。


166 :ナナシマン:03/11/09 13:56 ID:mWB4pyE6
 「キョエーイ!モグラを連れてどこへ行くつもりだい?」

 奇声を上げて現れたのは、紫色のライダースーツを纏った3人の女達。十面鬼の
放ったバイク部隊が、裕子の運転する車に追いついてここまでやってきたのだ。
鼻を掴まれたままのモグラ獣人にも、聞き覚えのある女達の声は当然届いていた。

 「こいつらは十面鬼のバイク部隊だ。すぐにアマゾンを呼ぼう」

獣人の言葉に事態の急を察し、裕子はモグラ獣人の鼻っ面から手を離す。その視線
の先にいるのはもちろん紫の女達だ。

 「デパートでウチらを見張っとったんは、お前達か」

 「その通りだよ。どうやらお前達は腕輪の秘密を知ってしまったようだねぇ」

 「こうなってしまった以上は、いっしょに来てもらおうか!」


167 :ナナシマン:03/11/09 13:57 ID:mWB4pyE6
敵わぬまでも黙って捕まるつもりはない、と取り囲むバイク部隊の女達に対して
拳を握って身構える裕子。モグラ獣人も立ち上がって女達と対峙する。そして
バイク部隊の女達は手のひらをかざして構えると、その正体である赤ジューシャ
の姿へと戻った。それを合図にどこからか、またも赤ジューシャの一団が現れ
二人の眼の前に立ちはだかった。

 「ここは俺に任せて、アマゾンを呼んでくるんだ」

 「そんな・・・あんたはどうすんの」

 「赤ジューシャに遅れを取るモグラ獣人じゃない。行くんだ」

モグラ獣人に促され、裕子は圭を呼びに再びコンクリートの基礎があった辺りまで
走って戻っていく。彼女の後ろでは、モグラ獣人と赤ジューシャ達の奇声と怒声が
飛び交っていた。


168 :ナナシマン:03/11/09 14:05 ID:mWB4pyE6
 今日の分は以上です。

>>162
 首や口に付着していたのは塩分だろう、というところであの描写を入れて
みました。テレビのやつは傷を負っていたこともあり血の可能性もありますし、
他にも唾液や吐しゃ物の可能性もあるとは思うのですが、それだとチョット(w。

169 :名無し天狗:03/11/09 16:46 ID:uM5UCkvz
>ナナシマンさん
いつもながら更新お疲れ様です。続きに期待してます。
ところで今日、こんな報せが届いてましたが・・・

ttp://morningmusume.dream.com/news/2_ichii.html

・・・快傑ズバットは、「今も生きている」!!
ですよね?

170 :ナナシマン:03/11/10 20:13 ID:FpKE3pNd
 ちょっと今日明日は仕事で更新出来なさそうです。続きは明後日の夜、ということに
なるかと思います。申し訳ありません。

171 :名無し募集中。。。:03/11/11 18:35 ID:caCcUV2F
保全

172 :名無し募集中。。。:03/11/12 13:22 ID:FLiro4OU
保守。

173 :ナナシマン:03/11/12 20:59 ID:4SGRi/4f
「圭ちゃん、出た!ゼティマが出た!!」

 圭に届けとばかりに叫びながら裕子は走る。モグラ獣人が縛られていたあの場所
まではそう遠くはなく、ちょっとひとっ走りしたところで彼女は再び圭のところに
たどり着いた。息を切らせて周囲を窺うと、圭はそこらに生えている雑草と思しき
植物を摘んで、身に着けたベルト「コンドラー」の中央に配置されたすりこ木で
すり潰していた。だが、そんな彼女も裕子の声を聞き、作業の手を止める。

 「ゼティマがどうしたの?」

 「あの赤い女達が現れたんよ。そんで、今モグラと闘ってる!」

 「モグラが?!」

 「遅れは取らんって言うてたけど、なんぼ獣人でも病み上がりには勝ち目ないよ」

 「・・・ちょっとあたし行って来る。モグラを助けなきゃ」

 圭はモグラ獣人のために、我々文明圏の人間には雑草としか思えない草の中から
薬効を持つ植物を集め、薬を作っていたのだ。しかし、そのモグラ獣人は弱った
身体を押して赤ジューシャ達と戦っている。ソレを知るや、圭はすりこ木を再び
ベルトのバックルにセットしてすばやく立ち上がると、モグラ獣人を救出するべく
戦いの舞台へと駆けていった。


174 :ナナシマン:03/11/12 21:27 ID:4SGRi/4f
 一方、赤ジューシャ部隊とモグラ獣人の戦いは一進一退の攻防の末、モグラ獣人
が数で勝る赤ジューシャ達をかろうじて撃退していた。精根尽き果てたその背中越し
に、這々の体で敗走する赤ジューシャたちの姿が見えた時、モグラ獣人は戦いの
終わりを悟った。

 「チュチュ〜。ちょっと手こずっちまったい・・・」

膝を折り、そのまま前のめりに倒れこむモグラ獣人。赤ジューシャを撃退しなければ
自分が裏切り者として処刑されてしまう。そして何より、自分を助けてくれた圭と
裕子に恩返しがしたかった。避けられない戦いだったが、彼は辛くも勝利を収めた。
ひとまず二人の危機を回避できたことで、彼にしてみれば二人に恩を返すことが出来た
格好になるはずだった。ところがである。

 「モグラ、貴様天日干しにされてバテたか?」

何者かの声が獣人の耳にとどく。疲労でおぼろげな意識にも、それは何者の声なのかが
はっきり認識できた。

 「お前は・・・カニ獣人?!」

 「その通り。アマゾンに切り落とされた、両腕の礼を言いたくてな」

 暗緑色の巨大なカニの怪物がモグラ獣人の眼前に立ちはだかる。カニ獣人は、移植に
よって手に入れた鎌の両腕を打ち振い、弱ったモグラ獣人に襲いかかった。

 「まずはお前から片付けてやるぞ、モグラ獣人!」

そう言うや、いきなりカニ獣人は立ち上がれないモグラ獣人を足蹴にする。カニ獣人の
強襲を避けるだけで精一杯のモグラ獣人は、殴られてもけられてもただ転がるだけしか
出来ない。


175 :ナナシマン:03/11/12 21:29 ID:4SGRi/4f
ちょっと少ないのですが今日の分は以上です。また明日お目にかかりましょう。

176 :ナナシマン:03/11/13 19:51 ID:XJEbeKZ4
 誠に申し訳ありませんが、ちょっと夕べから風邪を引いてしまいまして今日の更新を
お休みさせていただきます。季節の変わり目ですので、皆様もご自愛ください。

177 :名無し募集中。。。:03/11/14 01:53 ID:Ur1FxKHj
お大事に保全。

178 :名無し募集中。。。:03/11/15 00:03 ID:yRb7eyAQ
カムバック祈願保守

179 :ナナシマン:03/11/15 13:17 ID:G57+VlES
 「さぁて十面鬼様から授かったこの鎌の腕、早速試し切りさせてもらおうか・・・
モグラ、貴様でな!」

体重をかけてモグラ獣人を踏みつけ、カニ獣人は腕の鎌を振上げる。散々打ちのめされ
もはや虫の息のモグラ獣人には、カニ獣人のこの攻撃を避けるだけの体力は残っては
いないだろう。

 「十面鬼様の命令は絶対!そしてそれを守るのが我々獣人の本分なのだ。モグラ、
貴様はあまつさえ命令を遂行できぬばかりか、組織をも裏切ったのだぞ」

振上げた腕を重量に任せて振り下ろす。この他愛のない動作一つで、足元に倒れ付した
獣人の命をあっさりと奪うことが出来る圧倒的優位の状態。カニ獣人はその腕を、今
まさに振り下ろそうとしていた。と、その時だ。

 「コンドラー!!」

どこからともなく聞こえてきた叫び声の直後、カニ獣人の腕に絡みつく一本のロープ。
それは通常ではあり得ないような力獣人の腕に伝えて敵の動きを止めた。

 「ぐっ・・・もしやアマゾンか!」

カニ獣人が見やる先に、果たしてその姿はあった。モグラ獣人の危機を察して駆けつけた
圭がそこにいるのだ。


180 :ナナシマン:03/11/15 13:17 ID:G57+VlES
 「アマゾン・・・助けにきてくれたのか」

モグラ獣人もまた、圭の出現に気がついたようだ。カニ獣人に踏みつけにされながらも、
その目はしっかりと圭の姿を捉えている。

 「モグラ、あんた裕ちゃんを助けてくれたんだってね」

 「チュチュ〜。礼にはおよばねぇ・・・それより、今は俺をなんとかしてくれよぉ」

 「判ってる!!」
 
そう言うと圭はロープを引き絞った手に力を込め、自らの方へと獣人を引き込む。その
力はやがてカニ獣人をモグラ獣人から引き離し、その隙にモグラ獣人はかろうじて敵の
前から逃れることが出来た。

181 :ナナシマン:03/11/15 13:18 ID:G57+VlES
 「お前の目的はあたしなんでしょ!だったら相手してやろうじゃない」

 「自分から殺されに来たというわけか。いい心がけだなアマゾン。俺の腕の疼きを
止めるのは、やはりお前の血以外にはあるまい」

 獣人とは人の知能を持つ獣。それを思わせる不敵な言葉を並べ立て、カニ獣人は
圭のほうへとにじり寄る。迎え撃つ圭の瞳も炎と燃えている。悪辣な十面鬼の企みに
対する怒りと、自らの両腕に託されたさだめ。この二つと逃げることなく対峙する
決意と共に圭は吼える。

 「アァァァマァァァゾォォーン!!」

そして閃光の彼方から現れるのは、荒ぶる野生の魂。変身を遂げ仮面ライダーアマゾン
は大跳躍と共にカニ獣人の懐に自ら飛び込んでいく。

 「ケェェーッ!!」

中空にその姿を認めたカニ獣人は、アマゾンを撃墜せんと腕を振上げて叩き落そうと
するが、その腕をもまるで鞍馬でも飛び越えるかのような身のこなしで飛び越えると
獣人の背後に着地したアマゾンは強引にカニ獣人を向き直らせ、固い外骨格も厭わず
パンチを叩き込んでいく。


182 :ナナシマン:03/11/15 13:19 ID:G57+VlES
 この猛烈なラッシュに獣人はもんどりうって倒れ、反撃の機会を窺うべくカニ獣人
は一端大きく間合いを離す。やがて両者は戦いの場所を河川敷から川の中へと移して
いた。水しぶきを上げてカニ獣人の下へと走りよるアマゾンに対して、カニ獣人も
両腕を広げてこれを迎え撃つ。

 「ケェーッ!!」

切れ味鋭い跳び蹴りを繰り出すアマゾン。しかし、ひとたび水の中にその身を置いた
カニ獣人の身体は、固いだけでなく若干ながら滑る。それは水棲生物の故であり、
獣人にとってはこれが幸いした。アマゾンのキックが有効打とならないばかりか、
打点において足が滑り、そのまま水の中に突っ込んでしまったのだ。こうなると
今度はカニ獣人のほうに分がある。水の中に倒れたアマゾンの上に、全体重を
かけて押しつぶさんとばかりにのしかかる。

 「押しつぶしてくれるわ、アマゾン!」

獣人の下敷きになり、その身体は既に水の中。水中で脚を機用に使いながら、カニ獣人
はアマゾンの動きを封じていく。そして、獣人の視線は両腕の腕輪に注がれていた。

 「いい事を思いついたぞアマゾン。腕輪を奪い取るために、俺はお前の両腕を
切り落とすことに決めた。覚悟しろ」

 「くっ・・・させるかぁ・・・」

カニ獣人はアマゾンの腕めがけて両腕の鎌を振り下ろす。しかしアマゾンも黙って
やられているわけではない。下敷きにされた状態にあっても必死に抵抗し、獣人の
攻撃をしのぐ。そのたびに獣人の鎌が川底をえぐり、水面にしぶきが上がる。

183 :ナナシマン:03/11/15 13:28 ID:G57+VlES
 「今度こそ最後だ、喰らえアマゾン!」

 ひときわ強烈な斬撃を放つべく、カニ獣人が上体を起こして鎌を振上げたその時、
わずかにアマゾンの身体から獣人の身体が離れた。水の中に押しつぶした身体を
拘束する脚も、上体を起こしたことでその拘束を解いてしまっていた。その瞬間が
アマゾンにとって最大のチャンスだった。それはまさに一瞬の出来事。アマゾンは
すばやく獣人の足元から脱出すると、全身全霊の力を持って空中高く跳躍した。

 「ケェェェェーッ!!」

ジャンプと共ににわかに吹き上がる水柱。まるで水中で爆発でも起きたかのような
そのあまりの勢いに、カニ獣人の動きが一瞬止まってしまう。そして、その水柱が
再び水面に叩きつけられるのとほぼ同時に、空中から襲い来る影はアマゾンだった。
背びれが蠢き、照りつける真昼の太陽にアームカッターが光を放つ。

 「大ッ!切断ッ!!」

戦況は一瞬で逆転し、アマゾンのアームカッターがカニ獣人の頭に叩き込まれた。
落下の勢いはそのままアマゾンの腕を一気に水面の方向へと推し進め、その威力で
ひとたび頭蓋をぶち破ったアームカッターは一気にカニ獣人の身体を引き裂いていく。
そしてアマゾンが川面に着地したその時、カニ獣人の身体は血しぶきと共に真っ二つに
なって川の中へと崩れ落ちていく。もちろん、獣人には断末魔の叫び声を挙げる暇
などなかった。


184 :ナナシマン:03/11/15 13:29 ID:G57+VlES
 戦いを終え、変身を解いた圭は作りかけの薬をモグラ獣人に与えて飲ませた。
あまりの強烈な青臭さにモグラ獣人は最初飲むのを嫌がっていたが、やはりここでも
裕子が獣人を一喝し、モグラ獣人は渋々薬を飲んだのである。そして、その甲斐
あってか獣人の身体に再び活力がみなぎってきた。

 「二人ともすまねぇ。おかげで元気になれたよ」

 「まぁ、元気になってよかったよ。ね、裕ちゃん?」

圭と裕子はそう言って互いに笑いあう。と、そこへ二人の帰りを心配していた少女たち
が、河川敷にその姿を見つけてやってきた。亜依と希美の二人だ。

 「二人とも何してたんれすか・・・心配してたのに」

 「気になってきてみたら・・・ってコイツは!!」

モグラ獣人の姿を見た少女達は一瞬で身構える。だが、そんな二人をいさめたのは圭だ。



185 :ナナシマン:03/11/15 13:30 ID:G57+VlES
 「違うって二人とも。コイツはウチらの仲間。友達だよ」
 
 「まぁ、そう言うとこやろな・・・あぁ、また食い扶持が増えよった」

裕子もそう言って苦笑いしてみせる。そんな二人の姿を見た亜依と希美は、獣人に対する
警戒を解いてそばへと歩み寄った。そんな二人を大きな目で見やると、圭は不意に両手を
差し出してこんな事を言った。

 「いい機会だから、教えてあげるよ」

そう言って圭は両手の指を組み、そのまま小指を立てて外側に向けて見せる。圭に習って
亜依と希美、そして裕子も同じようにまねをしてみる。見たことのないハンドサイン。
しかし彼女が見せたこの仕草には、とても大切な意味があった。

 「これはね・・・『友達』って意味なの。友情の証」

そして四人は互いに顔を見合わせ、ハンドサインを一斉に出す。一人だけモグラ獣人の
手ではやはり不恰好だが、それもまたご愛嬌である。四人は互いの絆を確かめ合うように
にっこりと微笑んだ。


 戦いを終えて、仲間たちとの絆を確かめた圭。そして新たにモグラ獣人をその輪の中に
加えた圭は、戦いへの強い決意を秘めて太陽に叫んだ。いかなる敵がやって来ようとも、
決して負けることはない。共に戦う仲間たちとの友情と、育ての親に託された願いを
胸に戦い抜く。その誓いを込めた雄たけびは、いつまでも空にこだましていたのであった。


第45話 「狙われた秘宝伝説・インカ超エネルギーの謎!」 終


186 :ナナシマン:03/11/15 13:54 ID:G57+VlES
 以上で今回のお話は終わります。アマゾンにおけるやり残されたプロットはほとんど
取り入れた上でのストーリー展開でしたが、いかがでしたでしょうか。

187 :名無し天狗:03/11/15 17:32 ID:uTvApi7F
お疲れ様でした。楽しかったです!

188 :名無しスター:03/11/15 18:03 ID:Iemmu0V4
いいですね、「トモダチ」
しかし保田は本当にアマゾンがよく似合うなあw
面白かったです。


では私の方は今晩か明日ぐらいから始めさせていただきます。

189 :名無し天狗:03/11/15 19:01 ID:TJZGXmN7
>名無しスターさん
頼ンまっせ!!

190 :ナナシマン:03/11/15 20:39 ID:k7P3llKU
>>名無し天狗さん
 ありがとうございます。OP風ストーリー紹介、機会を見てぜひやって頂きたいところ
です。お待ちしてますよ。

>>名無しスターさん
 明日からと言わず今日からでもお願いしたいくらいです。楽しみにしてます。

>>187>>177さん
 すいません。風邪くらい自分だけは大丈夫と思ってたんですが、何とも申し訳ない
限りです。


191 :名無し天狗@中江真司:03/11/15 21:04 ID:TJZGXmN7
>ナナシマンさん
ほな、保全と繋ぎの意も込めて早速!

「仮面ライダーのの=辻希美は、加護博士によって造られた改造人間である。
 彼女の宿敵ゼティマは、世界征服を企む悪の秘密結社である。
 仮面ライダーののは、人間の自由のためにゼティマと戦うのだ!」

「仮面ライダーあい=加護亜依は、辻希美と梨花美によって造られた改造人間である。
 彼女の宿敵ゼティマは、世界征服を企む悪の秘密結社である。
 仮面ライダーあいは、人間の自由のためにゼティマと戦うのだ!」

「仮面ライダーV3=矢口真里は改造人間である。かつては星雲仮面マシンマリとして
 活躍していたが、悪の秘密組織ゼティマに重傷を負わされたところを仮面ライダーののとあいによって
 改造手術を受け、仮面ライダーV3として蘇った!」

「ライダーマン=ミカ・タレッサ・トッドはかつてはゼティマの優秀な科学者であったが、彼女を妬む
 ゼティマのヨロイ元帥の謀略によって裏切り者の汚名を受け、右腕を失ってしまう。
 死の間際を仲間の犠牲により救われた彼女は、新たな右腕・カセットアームと強化服でライダーマンとなり、
 ヨロイ元帥に怨みの牙を剥く!」

「巨大な悪の組織ゼティマに父と共に殺された高橋愛は、瀕死の父の手によって仮面ライダーXとして蘇った。
 その使命は、世界の平和と正義を守るため、敢然と悪のゼティマ軍団を相手に戦うことにある!」

・・・とりあえずここまで。

192 :名無しスター:03/11/15 21:19 ID:g6u93j9k
では行かさせていただきます。
うまいタイトルが思い浮かばなかったのでシンプルに



「5」

193 :名無しスター:03/11/15 21:21 ID:g6u93j9k
プロローグ

発端はTVのワイドショーだった。

紺野と小川は中澤家のリビングでTVを見ていた。
遊んでいるわけではない。ワイドショーで情報収集である。
たかがワイドショーと言うが、この手の番組が一番ゼティマの情報が得やすい。
噂話や超常現象、怪奇現象、心霊現象・・・
時にはジャーナリストが情報操作や報道規制をかいくぐってゲリラ的に放送するものもあった。
しかし、そのようなものは滅多にあるものではなく、たいてい芸能人の色恋沙汰や
グルメ情報など、どうでもいいような内容ばかりだった。
当番の2人はあまり期待をせず、ボーっと数台のTVを眺めていた。

突然あるワイドショーが内容を変更して緊急特集を始めた。
日本各地の施設や孤児院で子供の失踪が相次いでいる。という内容だった。
特集はワイドショーらしくなく、地味に伝えられた。

「これって・・・」
「え?・・・」

紺野はこの事件のことを知っていた。以前に自分達が解決した事件のことが含まれていたからだ。
しかしマスコミで報道されたのはこれが初めてだった。

194 :名無しスター:03/11/15 21:23 ID:g6u93j9k

「・・・取材班によりますと、類似の事件は各地で起こっていまして、東京をはじめ
 千葉、埼玉、群馬など首都圏の他、東北や日本海側の各地でも・・プツ」
キャスターが原稿を読んでいる最中に突然CMが入った。
そして長い長いCM明け・・・

「では続いて今日の星占いです・・・」
まるでさっきの特集など無かったかのように番組が進行していく。
明らかに不自然だったが、このようなニュースの後はいつもこうだった。

「・・・・やっぱり圧力かかっちゃったのかな?」
そう言いながら紺野は小川の方を向いた。
すると小川がこわい目でTVを睨んでいた。

「・・・まこっちゃん?」
「・・・どういうこと、あさ美ちゃん?」

「どうって?・・・」
「奴等なの?奴等の仕業なの?」

「落ち着いて。どうしたの?まこっちゃん!」
「日本海側って、まさか・・・私、新潟に行く!」

小川は突然立ち上がり、地下の格納庫へ走って行った。

「待って!・・・どうしよう。」


195 :名無しスター:03/11/15 21:25 ID:g6u93j9k

「何かあったん?・・・」

紺野がリビングに呆然と立っているところに、買出しから帰った高橋が現れた。
「あっ、愛ちゃん!ちょうどよかった。今、まこっちゃんがTVを見てて急に・・・
 えーと・・・私追いかけるからみんなにそう言っといて!」

紺野は一方的にそう言うと地下格納庫へ走っていった。
「へ?なんて?・・・」

今度は高橋がびっくりした顔のままリビングに呆然と立っていた。


ヘルダイバーに乗り北へ向かう小川。
それを紺野がスカイターボで追いかけた。

196 :名無しスター:03/11/15 21:28 ID:g6u93j9k

数時間後、小川は新潟にいた。
しばらく前まで自分が住んでいた施設の前だ。

施設はひっそりと静まり返り人影がなかった。
ポストには郵便物がたまっている。鍵のかけられた門は何日も開いた気配が無い。

「やっぱり・・・みんな・・・」
小川はその場に座り込み、途方に暮れた。

しばらくしてヘルダイバーからの信号を追跡してきた紺野が到着した。

「まこっちゃん・・・」
紺野は小川の様子を見てすぐに事情を察した。

「・・・あさ美ちゃ〜ん!・・・」
小川は泣きながら事情を話し出した。

「・・・きっとみんな今ごろ奴等に捕まって・・・」
「・・・でもまだゼティマの仕業と決まったわけじゃないし。とにかく情報を集めようよ。」

紺野はそう言って小川をなぐさめるしかなかった。


197 :名無しスター:03/11/15 21:30 ID:g6u93j9k

2人は小川が通っていた小学校を訪ねた。
施設の子も何人か通っていたし、ここなら何か手がかりが見つかるかも知れない。

「あそこの施設はつい最近、富山県に移ったんですよ」
「えっ?本当ですか?」
学校の教師の説明に小川が嬉しそうな声をあげた。

「ほらやっぱり・・・心配しすぎだよ。」
紺野もホッとした様子だ。

「なんでも大きなスポンサーが付いたらしくて、北陸とか新潟からいくつもの施設が
 まとまってあそこに移ったそうなんです」
「よかったぁ。みんな無事なんだ。」


「・・・でも、変なんですよね。」
「変?・・」


198 :名無しスター:03/11/15 21:33 ID:g6u93j9k

「うちのクラスの子が転校した子に手紙を書いたんですが、返事が来ないんですよ。
 転校先の小学校も聞いたことがない名前だし・・・」

小川の顔が曇った。

「あ、いや考えすぎかもしれませんけどね。ただ、最近変な事件が多いし。」
「その施設の住所を教えて下さい!」

「あ、はい。・・・ところであなた、うちの卒業生の小川さんですよね。
 確か陸上の特待生で留学したんじゃ・・」

「いやあその予定だったんですけど、飛行機事故にあっちゃいまして。あはは・・」
「え!事故?そんな話は聞いてないですよ!飛行機事故だなんて・・・よく無事でしたね?・・」

「いや、まあその、ええ・・・・」
ともかく2人は住所をもとに富山県に向かった。


199 :名無しスター:03/11/15 21:34 ID:g6u93j9k

「ここだよね・・・」
「間違いないと思うけど・・・」

2人の目の前には険しい山と深い森が立ちはだかっていた。

山道をどうにかバイクで登って来たが、ここからは歩くしかなさそうだ。

「やっぱりでたらめな住所なのかな?」
小川が住所のメモを見ながらつぶやいた。

「もしゼティマの仕業なら建物ぐらい作って偽装すると思うけど・・・どうしよう。
 手がりもなさそうだし、一旦戻って先輩達に相談してみる?」

「相談するにも情報が無いとね。とにかく行けるところまで行ってみようよ。」
そう言うと小川は林の中へずんずん進んで行った。

「あ、待って!」
慌てて紺野がそれを追いかけた。



「もぉ〜疲れたぁ〜!こんなところに施設なんてあるわけ無いよ!」
1時間ほど山中をさまよったところで小川がへたり込んだ。

「でも、この山一帯がこの住所なんでしょ?範囲が広すぎるよね・・」
紺野は地図を眺めていた。

「山頂へ行けば回りを見渡せるかなあ?・・」
「それならいっそ・・・」


200 :名無しスター:03/11/15 21:37 ID:g6u93j9k

紺野は両手を交互に前に出し、左手を大きく回しながら掛け声を出した。
「変・身!」
ジャンプするとベルトが光り、スカイライダーに変身した。




「うお〜高い高い〜」

「はしゃいでないでちゃんと周りを見てよ」
「はいはい」

スカイライダーに変身した紺野は、小川を抱えて空中高く飛び上がっていた。
「それらしい建物は無いよねえ・・・」
「まこっちゃん、あれ見て」

紺野が指差した方向に白い大きな建物と広場があった。よく見ると子供達が遊んでいる。

「あ!ほんとにあったんだ、よかったあ・・」
「でもあれじゃ見つからないよね・・」

紺野が言うように建物は山の間にあり、深い林を切り開いて、
まるで何かから隠すように建っていた。

「・・あっ、みんながいた!」
広場のすみにバスが停まっていた。小川と同じ施設の子供達がちょうど乗り込むところだった。

「行ってみる?」
スカイライダーは滑空を始めた。


201 :名無しスター:03/11/15 21:41 ID:g6u93j9k

その時、反対側の山で何かが光った。
そしてスカイライダーに向かって高速で接近するものがあった。
先に気付いたのは小川の方だった。

「あさ美ちゃん、危ない!」
小川はスカイライダーを空中で突き飛ばした。

ビュン!

突き飛ばされたスカイライダーと小川のちょうど中間をミサイルのようなものが通過していった。

「今のは?・・・あ!まこっちゃん!」

スカイライダーから離れた小川はまっさかさまに落下していった。



202 :名無しスター:03/11/15 21:43 ID:g6u93j9k






                                 つづく

203 :名無しスター:03/11/16 00:18 ID:wssVE7Ri

第一章  「麻琴」


「変・身!」

小川は空中でZXに変身し、なんとか無事に地上に着地した。

「まこっちゃ〜ん!大丈夫〜?」
それを見ていたスカイライダーが上空から声をかける。

「大丈夫だよ〜!それより・・・」
ZXは反対側の山を指差した。さっきミサイルらしきものが発射された方向である。

「うん、わかった。行ってみる」
スカイライダーはZXが指差した方向へ向かって行った。


ZXはスカイライダーを見送ると、ゆっくりと振り向いた。
「さてと・・・まずはこいつか。」

「貴様・・・ゼクロスか!何故ここにいる!」

204 :名無しスター:03/11/16 00:21 ID:wssVE7Ri

林の中から現れた怪人「ヘラクレス」は一瞬おびえたような表情を見せた。

「私を知っているのか?」
「貴様、本部にいたんじゃなかったのか?」

ヘラクレスはZXが脱走したことをまだ知らないようだ。それを察したZXは口調を変えて聞いた。

「・・・そんなことより、あの建物はなんだ?」
「あれか?あれは収容所だ。中にいる連中は孤児院だと信じてるがな。」

「・・・あそこにいる子供達はどうなる?」
ZXは怒りを抑え、なるべく落ち着いた口調で言った。

「あの山の中の支部に運ぶんだよ。労働力として我々のために働いてもらう。」
「人体改造もするのか?」

「貴様が知らないわけが無いだろ。あのうち何割かは実験体や改造人間になるんだ。
 素性が良いのは直接本部へ・・」

そこまで話したところでヘラクレスはZXの様子が変わったのに気付いた。
目は赤く染まり、体がわなわなと震えている。明らかに怒りの色・・
簡単に言えば「こわい」状態だ。

「・・・ところでゼクロス、貴様ここに何をしに来た?」

「おまえらゼティマを・・・ぶっ潰しに来た。」


205 :名無しスター:03/11/16 00:24 ID:wssVE7Ri

そのころスカイライダーはミサイルらしきものが発射された辺りに着地し、
まわりを警戒しながら歩いていた。

バシュ!!

突然林の中から発射音がした。
振り向くとミサイル・・・いや、「動物の角」が高速で迫っていた。

「くっ!」
スカイライダーはあわてて横に飛びのけた。

ドガァァン!

角は岩に当たり、巨大な岩はガラガラと音を立てて崩れ落ちた。

「・・・ちっ、すばしっこい奴め」
「・・・誰だ!」

スカイライダーは声の方向に向かい身構えた。
林の中からゆっくりと、拳に盾をつけた巨大な怪人が近づいてきた。

「ライダーだな。俺の名はミノタウルス。・・・死んでもらう!」

ミノタウルスは大きな拳を振り上げ襲い掛かってきた。


206 :名無しスター:03/11/16 00:27 ID:wssVE7Ri

「・・・貴様、本当にあのゼクロスか?」

「くそおっ!」

ZXは必死にパンチ、キックを放つ。
しかし全てかわされるかガードされてしまう。
逆にヘラクレスの攻撃をZXは避けることが出来ない。ガードするのが精一杯だ。
たまらず後方にジャンプし、一旦距離を取った。

「こいつ・・いつの間にこんなに強く・・」
ZXは驚きを隠せなかった。本部にいた頃は雑魚同然だったのに・・

「何だと?俺は何も変わってないぞ・・・貴様が弱くなったんじゃないのか?」
「私が?そんなバカな!」

「そうか。貴様、人間の記憶が戻ったのだな」
「それがどうした?」

「・・・だから弱くなったのだ」

「・・何だと!」


207 :名無しスター:03/11/16 00:29 ID:wssVE7Ri

ZXはカッとなりヘラクレスに殴りかかった。

「バカめ!」

しかしやはり攻撃は通じない。
ついにはヘラクレスの剛腕に押さえつけられてしまった。

「ぐうっ・・・」

「何故貴様が弱くなったか教えてやろう。」
ヘラクレスはZXの体を怪力で締め上げる

「脳改造というのは改造人間の体を最も効率的に動かす『システム』だ。
 人間や感情だの愛だのくだらないものは改造人間にとっては非効率。
 簡単に言うと邪魔なだけなんだよ。」

「ぐうううう!」
ZXはヘラクレスからなんとか逃れようともがく。

「無駄だ。いくら強靭な体を持とうが、頭の中身が人間では俺には勝てん・・・」

「マイクロチェーン!」

ZXは手の甲から鎖を出しヘラクレスに絡みつけた。
その鎖を通してヘラクレスに高圧電流が流れる。

「グオオ!」
その隙をつき、ようやくZXはヘラクレスから逃れた。

再びZXはヘラクレスと距離を取る。


208 :名無しスター:03/11/16 00:32 ID:wssVE7Ri

「何度やっても同じだ!」

「・・・人間の感情や愛がくだらないものだと言ったな?」

「そうだ。考えてもみろ、人間を一番多く殺しているのは誰だ?人間ではないか。
 何故だ?くだらない感情のせいだ。人間は感情の赴くまま殺し合い、裏切り合う
 ではないか。人間なんてそんなもんだ。」

「・・・・」

「人間は弱い。弱いから殺し合い、裏切り合う。人類が全員改造を受け、
 我々のように強くなれば、争いのない平和な世界が築けるんだ。
 俺たちは進化した人類の姿のなのだ。そうだろ?」

「・・・違う・・・」

「よく考えろ。貴様ももう一度脳改造を受ければまた強くなれる。
 今からでもこちらに戻ることができるんだぞ・・・」

「・・・違う!」

ZXは紺野の言葉を思い出していた。


209 :名無しスター:03/11/16 00:34 ID:wssVE7Ri

中澤家でみんなで話をしていた時のことだ。
「何故、何の為に闘うか」という話になった。

家族や友人の仇、正義のため、自分のため、宿命、運命・・・いろいろな意見が出た。

しかし政府や警察にまで裏切り者やスパイが大勢いる。政府すら敵なのか味方なのか分からない。
おまけに戦争は後を絶たない。ゼティマを倒せば本当に平和な世界が来るのだろうか・・。

何を信じて闘えばいいのか、正義とは何か。

そんな中最後に紺野が、静かにしかし力強く、まるで自分に言い聞かせるように言った。


「・・・私はそれでも人間を信じる。ただ私は人間のために闘う。・・・それだけでもいい・・・」


そこで議論は終わった。


210 :名無しスター:03/11/16 00:38 ID:wssVE7Ri

「・・・・ただ私は人間のために・・・」
ZXはそうつぶやきながら顔を上げた。

「・・・そうだよね。あさ美ちゃん。・・・」

「何をブツブツ言っている!さあどうする。ここで俺に殺されるか、
 もう一度俺達の仲間になるか・・・」

「・・・殺し合い、裏切り合う・・・でも・・それでも信じる・・それも人間だ!」

「・・・そうか、残念だよゼクロス。」
ヘラクレスが構えをとり、戦闘態勢に入る。

「『ゼクロス』だと?」
ZXはヘラクレスを睨みつけた。

「教えてあげる。私の名前は小川麻琴。そしてもう一つの名前は・・・」

体に力を込めながら静かに言った。


「 仮 面 ラ イ ダ ー ZX(ゼクロス)だ。」

ZXの体がみるみる赤く、熱くなっていく。


211 :名無しスター:03/11/16 00:40 ID:wssVE7Ri

「ライダー・・・だと?」

「とおっ!」
踵のジェットエンジンが始動し、一気に100m近くジャンプ!

「うおっ?」
ヘラクレスはそのスピードに目がついていかない。

ジャンプしたZXはそのまま急降下。さらに加速しながらヘラクレスに向かって一直線に進む。


「 Z X キ ィ ッ ク !!」


「ギャアアアアアア!!」

ZXキックはヘラクレスの体を突き破った。
ヘラクレスは大爆発して炎上した。


212 :名無しスター:03/11/16 00:41 ID:wssVE7Ri

「・・・やった・・・・・・・ぐうっ!」

ZXの体に異変が起きていた。
キックを放った瞬間に体がバラバラになるような衝撃が走り、全身に激痛が走った。

いつのまにか変身が解け、倒れこんでしまった。

「・・・あさ美ちゃん・・みんな・・・」

小川はその場で意識を失った。



同じ頃、スカイライダーの方も苦戦が続いていた。


213 :名無しスター:03/11/16 00:42 ID:wssVE7Ri






                           つづく

214 :名無し募集中。。。:03/11/16 01:29 ID:njwNQvzx
うおおおおおお!!

215 :名無し天狗@納谷悟朗:03/11/16 06:54 ID:B4LmzzLn
「保田圭、またの名をアマゾン!
 彼女は育ての祖父から授かったギギ・ガガと言う二つの腕輪の力で
 仮面ライダーアマゾンに変身し、凶悪なゼティマの猛威から
 “あしたの世界”を守るために戦う、大自然が遣わした神秘と野性の戦士なのだ!!」

216 :名無しスター:03/11/16 17:05 ID:BOnEmIZF

第二章 「あさ美」

「くそっ!」

スカイライダーは逃げ回るのがやっとだった。
ミノタウルスの拳の破壊力は凄まじく、パンチ一発で周りの大木が2、3本も吹っ飛ぶ。
おまけに時々角のミサイルが飛んでくる。

「どうした、逃げているだけか」
ミノタウルスが叫ぶ。しかしスカイライダーは逃げながらもチャンスを狙っていた。

ミノタウルスの角は2本。生え変わるのには少し時間がかかる。
今、残りの一本が発射され、いったん角が無くなった。

「チャンス!」
スカイライダーは距離を詰めた。ギリギリでミノタウルスのパンチをかわし、その拳にしがみ付いた。
拳を掴んだまま高速で振り回し、一気に放り投げる。

「遠心投げ!」

ミノタウルスは木をなぎ倒しながら転げ回り、岩盤に叩きつけられた。

「今だ!」

スカイライダーはセイリングジャンプで一気に上昇。
そのままミノタウルスに向かって急降下しながらエネルギーを充填。一気に放出した。


「スカーイキーック!」


217 :名無しスター:03/11/16 17:09 ID:BOnEmIZF
ガシィ!!

「グゥゥ・・・」

「そんな・・・」
必殺のスカイキックが、ミノタウルスの拳の盾に受け止められてしまった。

「・・・ククク。なかなかやるな。だがその程度では俺は倒せんぞ!」
そう言いながらミノタウルスはパンチを放つ。

バキィ!

「うわっ!!」
一瞬放心していたスカイライダーは、パンチを避けきれずそのままふっ飛ばされた。

「くそっ!スカイキックが通用しない?・・」
立ち上がりながら見ると、ミノタウルスの方もよろよろと立ち上がって来たところだった。
さすがに向こうもノーダメージではない。

「・・・ガアアアア!」
雄叫びを上げスカイライダーの方に向かって来る。

「セイッ!・・・シュー・・・・」
スカイライダーは空手の型と呼吸法で気を溜める。

「・・押忍ッ!」
両腕で十字を切って気合いを入れた。


「うあああああ!」

スカイライダーも大声を上げ、ミノタウルスに向かって行った。

218 :名無しスター:03/11/16 17:11 ID:BOnEmIZF

バキィ!

「うわっ!」
「グアァ!」

両者のパンチがカウンターで入る。
ミノタウルスとスカイライダーはお互い後方に吹っ飛んだ。

「グググ・・・」
「ううう・・・」

「なんてタフな奴だ・・・おまけにだんだん強くなって・・」
少しだけ早くミノタウルスが立ち上がり。よろよろとスカイライダーに歩み寄る。

「まだまだぁ!」
それを見てスカイライダーも立ち上がろうとする。


219 :名無しスター:03/11/16 17:12 ID:BOnEmIZF
ビシィ!

その時、2人の間に割って入るように衝撃音がした。
鞭のようなものが地面を叩いた音だ。

2人の動きが止まった。

「あさ美ちゃん!」

ライドルロープの音だ。Xライダーだ。

「愛ちゃん!・・・どうしてここに?」
「先輩達は帰って来んし、心配になったで追ってきちゃったんやよ。」

「私も来ちゃった」
後ろから新垣がひょっこり顔を出した。

「ありがとう。2人とも・・・でもこいつは私が」
「わかってるて。手出しはせんよ。でも1個だけアドバイスさせて」

「アドバイス?」
「安倍さんとの特訓を思い出して。」

「特訓?・・・」


220 :名無しスター:03/11/16 17:15 ID:BOnEmIZF
この1ヶ月の間、紺野は安倍の特訓を受けていた。
「強くなりたい」というのもあったが、先に高橋がパワーアップを果たしたことで少し焦っていたのかも知れない。

最初は飯田に特訓を願い出た。

「飯田さん。私に必殺技を教えて下さい!」
「紺野、間違ってるぞ。」

飯田は冷たくそう言った。
飯田が言うには、ライダーの体質はそれぞれ全く違う。
自分の必殺技は自分で見つけなければならない・・・ということだった。

「正直、どうやったらいいか私にもわからないんだけどね・・ただ私の場合は、
 最初のうちは必要な時に体が勝手に技を出したんだけど・・」

飯田の言うことは分かるような分からないような・・・次に紺野は安倍に頼んでみた。
安倍は紺野の特訓に付き合ってくれた。

だが安倍も飯田と言うことは同じだった。自分の技は自分で見つける。
そのかわりコツだけは教えてくれた。

「いい?何も考えちゃダメだよ。体の動きたいようにするの」
「どうやるんですか?」

「だからそうやって考えちゃダメなの。頭の中を真っ白にするの!」
「どうやって・・・」

「だからぁ!・・・」


特訓の甲斐も無く紺野は新しい技を見つけることも、パワーアップをすることも出来ないでいた。


221 :名無しスター:03/11/16 17:20 ID:kL8fZjxd

「何も考えるな・・・・って。今、ここで?」
「そうやで。もう少しやから頑張って!」

Xライダーはそう言って後ろに下がった。

ドーン・・・

その時、山の向こうで爆発音がした。

「今のは・・・そうだ。まこっちゃんがあっちに!」
「私が行く!」

新垣は走って林の中へ消えていった。


222 :名無しスター:03/11/16 17:22 ID:kL8fZjxd

「何をこそこそ話をしている!・・おまえら二人まとめて相手にしてやってもいいんだぞ。」
ミノタウルスは明らかに強がりながらそう言った。

「安心しろ、お前の相手は私1人だ」

再びミノタウルスと対峙するスカイライダー。
しかし、相手は強敵だ。この相手と何も考えずに闘うなど・・・

「・・これでケリをつけてやる。勝負だ!ライダー!」
ミノタウルスは最後の力を振り絞って向かってきた。

「さああ!来ぉい!」
スカイライダーも精一杯大声を出し、迎え撃つ。

「グオオオオオ!」
「やああああああ!」

お互いノーガードで強打を殴りあう。
巨大な拳で殴られ、筋肉が、骨が軋む。
スカイライダーの体のあちこちから悲鳴があがる。
オーバーヒート気味の動力源は限界に近付く。

苦しい・・・


223 :名無しスター:03/11/16 17:24 ID:kL8fZjxd

・・・段々と意識が薄れてきた。考えている余裕はない。
頭の中が「真っ白」になって来た。

無意識のうちにパンチやキックが出るようになる。昔習い覚えた空手の技だ。

「あさ美ちゃん・・もうちょっとやで」
Xライダーは何かを待っているようだった。

シュバッ!
突然パンチが鋭くなった。

「グオッ!」
ミノタウルスの顔色が変わる。

さっきまでの空手のパンチとはまるで違うフォーム。
続いて蹴りがでる。

バシイィ!
これもさっきまでとは違う。バネのある蹴りだ。

まるで野生の獣のような。いや、昆虫のような・・・
荒々しくも無駄の無い、しなやかな動き。

とことん自分自身を追い詰めることで頭の中から「紺野」の意識を追い出した。
その結果、スカイライダーの「本能」が目覚めたのである。


224 :名無しスター:03/11/16 17:27 ID:kL8fZjxd

「やったね。あさ美ちゃん!」

スカイライダーは一気に優勢に立った。
ミノタウルスはサンドバックのように打たれまくり、ついに膝を付いた。
スカイライダーはそれを見るとゆっくりと後ろに下がった。

「どうして?チャンスやのに・・・」
Xライダーは首をかしげる。

「グゥッ・・」
ミノタウルスはこのスキにわずかだがダメージを回復させ、ゆっくりと立ち上がろうとする。

「わかった・・・わかったよ愛ちゃん。安倍さん、そして飯田さん」
スカイライダーは両手を見つめながら全身の感覚を味わっていた。

紺野の意識によって押さえつけられていた細胞が、機械が解放され、狂喜するように躍動している。
「これがスカイライダーの力・・・」

スカイライダーは体の言うがままに、ゆっくりと頭の上で両手をクロスさせた。
クロスした手を戻し今度は左手を大きく回転しはじめた。


「・・・『スカイ』・・・変・身!」


スカイライダーの体が光に包まれた。


225 :名無しスター:03/11/16 17:31 ID:A57fpmsD

「・・・あさ美ちゃん!」
光の中から再びスカイライダーが現れると、体の色が濃い緑色から明るい黄緑色に変わっていた。

「とぉう!」

セイリングジャンプで一気に上空へ。速い!
今までの半分の時間で上空200mに到達する。

そこから反転し急降下。前方回転を繰り返しながらミノタウルスに迫る!


「 大 回 転 ス カ イ キ ー ッ ク !」


「・・・・チッ!・・」

ドガアァァァ!

ミノタウルスに直撃。致命傷だった。


226 :名無しスター:03/11/16 17:33 ID:A57fpmsD

スカイライダーは倒れたミノタウルスの横に立ち、上から見下ろしていた。
ミノタウルスはもう虫の息だ。

「・・・ありがとう。おかげで強くなれた。礼を言うよ。」
そう言うと背を向けてXライダーの方に歩き出した。

「・・・・フン・・」

ミノタウルスはそう小さくつぶやくと力尽き、爆発の炎に包まれた。


227 :名無しスター:03/11/16 17:35 ID:A57fpmsD

「愛ちゃん!」
「あさ美ちゃん!」

2人は走りより、抱き合った。

「愛ちゃん、ありがとう!おかげで強くなれたよ。」
「いや、私もあそこまでとは思わんかった・・・すごいよあさ美ちゃん!」

しばらく手を取り合い喜び合っていたが、スカイライダーは大事なことを思い出した。

「・・・そうだ!まこっちゃんが!」
そう言ってスカイライダーは林の中へ駆け出した。

Xライダーはその背中を見送った後、ちょっと遅れて走り出した。


228 :名無しスター:03/11/16 17:36 ID:A57fpmsD






                           つづく


229 :ナナシマン:03/11/16 23:37 ID:HE0q+V8U
 ZXがライダーを名乗り、スカイライダーがパワーアップ。四者四様(?)のストーリーが
展開されていくわけですね。楽しみです。

230 :名無し募集中。。。:03/11/17 00:22 ID:LoGht7PU
うおおおおおお!!(2回目)

231 :名無し募集中。。。:03/11/17 12:34 ID:uVvCc1+n
>>215
 納谷悟朗チョトワロタ。
 出来れば今回みたいに一つか二つずつくらい出して行ってくれると楽しみが続く(w。

232 :名無し天狗@中江真司:03/11/17 17:25 ID:GlgG/fcj
>231さん
アリガトです。今回はコレ!

「仮面ライダーストロンガー=安倍なつみは、自ら進んで改造手術を受けて電気人間となり、
 日本の平和と正義を守るため、世界征服を狙う悪の組織・ゼティマ軍団を倒すべく敢然と立ち上がった!」

233 :名無し募集中。。。:03/11/17 20:31 ID:uVvCc1+n
>>232
 ちょうどファミ劇でストロンガーやってるからなおさらソレっぽさが出るね。

234 :名無し募集中。。。:03/11/17 20:47 ID:J5guvRDq
四倍密度のストーリーってそれだけでスゲェ楽しみ。ガンガッテ。

235 :名無しスター:03/11/17 21:36 ID:kT2D5IEk

第三章  「愛」

林の中で小川は仰向けに眠っていた。隣に新垣が座っている。

「まこっちゃーん!里沙ちゃーん!」
スカイライダーが2人に駆け寄って来た。

「・・・あさ美ちゃん?随分様子が変わったね・・」
新垣は色が明るくなったスカイライダーを見て驚いた様子だった。

「あ、なんかちょっとね。」
「あさ美ちゃん、さっきすごかったんやから。・・それより小川さんは?」
高橋は変身を解いて言った。

「・・・あ、そうだ、まこっちゃんは大丈夫?」
紺野も変身を解いていた。・・・どういうわけか髪の毛の色も明るくなっていた。

「うん、疲れて眠ってるだけみたい。目立った外傷もないみたいだし。」
「そう、よかった・・・」
紺野は新垣の隣に座り、小川の顔を覗き込んだ。

「でも、どうして?」
「あっち・・・」
新垣が指差した方向に爆発の跡があった。おそらく怪人のものだろう。

「苦戦したのかな?まこっちゃんあんなに強いのに・・・」


236 :名無しスター:03/11/17 21:38 ID:kT2D5IEk

「・・・それじゃあ、私あっち見て来るし。」

3人の様子を見ていた高橋は不機嫌そうに言うと、爆発跡の方に歩いていった。
それを紺野と新垣は黙って見送った。

「・・・里沙ちゃん。愛ちゃんのことだけど・・・」
「・・・うん、やっぱりそう思う?」

高橋の小川を見る目はどこか冷たかった。
新垣と紺野は「まこっちゃん」と呼ぶが、高橋だけはいまだに「小川さん」と呼ぶ。

「やっぱり加護さんと辻さんのことをまだ気にして・・・」
「うん。愛ちゃん、あの2人のことを尊敬してるし。何度か助けてもらったりしてすごく世話になってるからね。」

加護と辻は以前ZXに瀕死の重傷を負わされていた。

紺野は小川の方をちらりと見た。
「でも、あの時のまこっちゃんは脳改造されてたんでしょ?」
「うん。愛ちゃんもそれは分かってるはずだよ。でもあの時は加護さんも辻さんも
 かなり危なかったし・・・いまだに割り切れないものがあるんじゃないかなあ?」

「でも、良くないよね。このままじゃ・・・」
「・・・私、ちょっと話してくる。」

新垣は立ち上がり、高橋の方に走っていった。


237 :名無しスター:03/11/17 21:40 ID:kT2D5IEk

「愛ちゃん。ちょっと話が・・・」
「何?」
「まこっちゃんの事なんだけど。やっぱりまだ・・・」

そう言われて高橋は小川の方を振り返った。小川はまだ眠ったままだった。
さっきの激闘で疲れたのか、いつの間にか紺野も小川の隣で眠り込んでいた。

「うん・・小川さんはいい子やと思うし。それはわかってる・・・」
高橋は顔を伏せて言った。

「やっぱり。・・・でもこれから一緒にやっていく仲間なんだから・・・」
「あれは仕方が無いってことはわかるんやけど。そんでも・・・」

「一度話し合ってみたら?言いたいことを言えばすっきりするかもしれないし。」
「うん・・・でも・・・」
高橋はもう一度小川の方を振り返って見た。

「あれ?・・・」
高橋が異変に気付いた。

「あっ!・・」
新垣も驚いて声を上げた。


238 :名無しスター:03/11/17 21:40 ID:kT2D5IEk

振り返るといつの間にか小川の姿が消え、紺野一人だけが眠っていた。
「大変だ!」
「あさ美ちゃん、起きて!」

高橋が紺野を揺り起こす。

「あ・・いつの間にか眠って・・・あれ?まこっちゃんは?」
「消えちゃったの!あんな体でどこへ・・・」


「・・あ、そう言えば・・・あの孤児院!」
紺野はあの建物のことを思い出した。

「多分こっちだよ!」
紺野に続いて2人も走り出した。


239 :名無しスター:03/11/17 21:42 ID:kT2D5IEk

「ククク・・なにがパーフェクトサイボーグだ。ザコじゃないか。」
「・・・畜生!」

孤児院の建物に向かっていた小川は、途中「鉄腕アトラス」と遭遇した。
ZXに変身したものの、あっさりと組み伏せられ、腕をねじ上げられていた。

「こんな奴に・・どうして・・」
ZXはうめくようにつぶやく。どうしても力が出ない。

「時間が無い・・・」

ZXキックを使うしかない。
しかし今度はあの激痛に体が耐えられるかどうか・・・
でも他に方法は無い。ZXの体がだんだん赤くなっていく、

鉄腕アトラスもZXの異変に気付いた。
「何をする気だ・・・」

「待って!」
「だめ!まこっちゃん!」
その時、鉄腕アトラスの後方から叫び声が聞こえた。

「おまえの仲間か?」
「・・・・」
ZXは黙っていた。

鉄腕アトラスは振り向きながら言った。
「ふん!こいつを助けに来たのか?俺が相手をしてやる!まとめてかかって来い!」


240 :名無しスター:03/11/17 21:43 ID:kT2D5IEk
「よしっ!」
「わかった!」


「・・・・ちょっと待・・・」

「サナギマンの・・・キーック!」
バキィ!
「ライダームーンサルト!」
ドガァ!
「ライドル脳天割り!」
グシャァ!

「・・・今だ!まこっちゃん!」

「ぜ・・・ZXぱんち・・・」
ペシッ!

鉄腕アクロスはその場で崩れ落ち、バッタリと倒れた。
(ライダームーンサルトで決着は付いていたのだが・・)


241 :名無しスター:03/11/17 21:45 ID:kT2D5IEk

ZXの変身が解け、がっくりと両手を付く小川。

「まこっちゃん!」
あわてて紺野が駆け寄る。

「どうしてこんな無茶なことを・・・」
「だって・・・施設のみんなが・・」

「言ってくれれば手伝うのに・・・ねえ?」
新垣の言葉に高橋も紺野もうなずく。

「だって、これは私の闘いだもの・・・」
「何言ってんの!小川さん!」
高橋が大声を出した。

「私達、全員仲間やし!1人の敵はみんなの敵やし、ましてゼティマ相手やったら・・・
少しぐらい私達に甘えてくれたっていいやない!」

「・・・・」
小川は黙っていた。

「それに、ここのアジトは多分、私のお父さんの仇やの。あなただけの敵やない。
私の『獲物』でもあるんやから・・」

「え、そうなの?愛ちゃん。」

紺野は少し驚いた様子だった。そういえば福井県はすぐ隣だ。


何故か新垣だけは、高橋の話を複雑な表情で少し伏目がちに聞いていた。

242 :名無しスター:03/11/17 21:47 ID:kT2D5IEk

「それと・・・小川さん。あなたに前から言いたいことがあったんやけど・・・」

「・・・ちょっと、愛ちゃん!」
「今ここで言うことじゃないよ!」

紺野と新垣が割って入る。

「いや、いいから。今言わせて・・・小川さん、あんたなあ・・・」

高橋はチラッと紺野の方を見た。


「・・・小川さん・・・ちょっとあさ美ちゃんとベタベタし過ぎやし!」


243 :名無しスター:03/11/17 21:48 ID:kT2D5IEk

「はぁ?」

「へ?」

「え?」

3人はそれを聞いて固まった。

「あさ美ちゃんもあさ美ちゃんやん!そりゃ小川さんが来たばかりで寂しがっとるのは分かるけど・・・
 最近全然私の相手をしてくれへんやんか!」

それだけ言うと高橋は黙り込んだ。

「・・・あの・・それで終わり?」
新垣が聞いた。

「そうやけど?・・」


244 :名無しスター:03/11/17 21:50 ID:kT2D5IEk

「・・・・」
「・・・・」
「・・・プッ!」

「キャハハハハハ!」
「アーハッハッハッハ!!」
「あ、愛ちゃんってかわいー!キャハハハハ・・・」

3人はたまらず大声で笑い出した。

「な、何よみんな。何がおかしいの?私真剣やのに!」
「ご・・ごめんって・・ごめ・・キャハハハ・・・」

紺野は謝ろうとするが、おかしくて言葉が出ない。

「く、苦しい・・・ヒー!」
小川も新垣も腹を抱えて笑い続けた。


245 :名無しスター:03/11/17 21:52 ID:kT2D5IEk

「みんな・・・ひどい!」
高橋はその場にしゃがんで泣き出してしまった。

「・・な、泣くことないでしょ。愛ちゃん。」
新垣と紺野があわててなだめる。

「ご、ごめんなさい、高橋さん。私、ついあさ美ちゃんに甘えちゃって・・」
小川は高橋の前にしゃがんで言った。

「・・・もういいよ。言いたいことを言ったらスッキリしちゃった・・・
 とにかく仲間なんやから、何でも相談してよね。・・『まこっちゃん』!」

「・・・うん。ありがとう・・『愛ちゃん』・・」

2人は立ち上がって握手をした。


246 :名無しスター:03/11/17 21:54 ID:79pAwU62

「これでみんな仲間だよね。」
紺野が2人の手の上にポンと手を置いた。新垣も紺野に促され、遅れてその上に手を置いた。

4人はお互い手をつないだまま顔を見つめあう。

「これからは4人仲良く一緒に・・」
「頑張って・・いきまっ・・・」

「しょい!」

4人で「気合い」を入れた。
中澤家で出陣前によく行う儀式だった。

「・・じゃあ、早速なんだけど。みんな力を貸して。」
「わかってるよ。あの孤児院でしょ?」

「よし行こう!」
3人は元気よく駆け出した。

新垣だけは少し元気がない様子だった。


247 :名無しスター:03/11/17 21:55 ID:79pAwU62






                           つづく

248 :名無し募集中。。。:03/11/17 22:45 ID:J5guvRDq
何か4人が女の子らしくて良いね。ヒーロー然としたメンバーも良いけど、こういうのも
斬新な感じがする。

249 :名無し天狗@中江真司:03/11/17 22:59 ID:K9y0uZ/6
>名無しスターさん
ライダー達がアトラスをフクロにするくだり…笑っていいんですかねぇ?
あと、高橋の突然の「関西弁」も気になりますが…。

「スカイライダー=紺野あさ美は改造人間である。
 世界平和を守るため、悪の秘密組織・ゼティマの軍団と戦うのだ!
 ライダー達の手術によって飛行能力を得た彼女に敵はない!!」

250 :名無し募集中。。。:03/11/17 23:11 ID:J5guvRDq
>>249
 怪人の求めどおりまとめてかかって行った、と(w。あとナレーターの人の名前
よく覚えてるね。そこまでは覚えてないよ。

251 :名無し天狗@中江真司:03/11/17 23:28 ID:K9y0uZ/6
>250さん
中江氏は現在トリビアの泉にナレーション出演してます。

あと、>249はNGなのでTAKE−2!

「スカイライダー=紺野あさ美は改造人間である。
 人類の自由のために、悪の秘密結社・ゼティマと戦うのだ!
 ライダー達の手術によって飛行能力を得た彼女に敵はない!!」

子供たち(NRに被る)「仮面ライダー!仮面ライダー!仮面ライダー!」

252 :川o・-・):03/11/17 23:48 ID:yhreyJKe
川;・-・)<パソコンの買い替えやら、ADSLに乗り換えで
     てんやわんやしてたらかなり話が進んでいた。

253 :名無し募集中。。。:03/11/17 23:56 ID:cdK8IFPi
>>252
 最近見ないので心配してたよ。久しぶり。

254 :名無し募集中。。。:03/11/17 23:57 ID:cdK8IFPi
>>251
 そういやノリダーも中江さんだっけか。

255 :名無し天狗:03/11/18 00:39 ID:oAcYaCK7
>254さん
そーそーそー。

256 :名無し募集中。。。:03/11/18 11:56 ID:97/vwzT+
>252紺ちゃん
待ってたよ。大丈夫?

257 :名無し天狗@中江真司:03/11/18 20:25 ID:zKpjcqKz
「仮面ライダースーパー1=飯田圭織は惑星開発用改造人間である。
 だが、彼女の宇宙開発の夢は無惨にも悪のゼティマによって踏みにじられてしまう。
 仮面ライダースーパー1は、その能力を人々の夢を守るために使うことを強く誓った!、
 ファイブハンドと赤心少林拳が、悪の野望を打ち砕くべく火花を散らす!!」

258 :名無しスター:03/11/18 20:29 ID:kyx1a0kb
第四章  「麻琴(その2)」

4人は孤児院の建物の前に着いた。3階建ての立派な建物だった。
バスはもう無くなっていた。
とりあえず建物の正面から入った。中に事務所があり、中年の女性が座っていた。

「あの!さっきここに停まっていたバス、どこへ行ったか知りませんか?」
紺野が声をかけると、女性は驚いた様子で答えた。

「今日は遠足ですけど・・あなた達は誰ですか?」
「この人は関係ないみたいだね。・・・どうしよう。」
「とりあえず責任者の所へ行ったらええんやない?」

高橋がそう言うと、4人は事務所の奥の「理事長室」と書いてある部屋に向かった。

「何ですか!やめて下さい!」
女性が間に入る。

「ギャッ!」
新垣がパンチで女性を吹っ飛ばした。

「里沙ちゃん!・・・」
3人が驚いて倒れた女性を見た。
すると女性は手に武器を持っている。
段々と変装が解け、戦闘員の姿になっていった。

「・・・やっぱり、全部『奴ら』みたいだね。」
「じゃあ遠慮なく・・・」


259 :名無しスター:03/11/18 20:30 ID:kyx1a0kb

バキャ!

ドアを蹴破り、3人のライダーとサナギマンが理事長室になだれ込んだ。
大きな机にスーツを着た中年の男性が座っている。

「な、何だね君た・・・ぐわっ!」
男性が立ち上がるより早く、4人が一斉に押さえつけた。

「お前の正体はわかっている!」
「バスはどこへ行った!」
「な・・何のことだ!」
「答えろ!」

ボキッ!

「ぎゃあああ!!」
ZXが男性の腕をねじ上げ、一気に折った。

それでも男性は答えない。

グジッ!
今度はサナギマンが左の足首を破壊する。

「!!!!!!」
もう男性は声も出せない。

「もう一本!」
Xライダーが男性の右足に力を入れる。

「・・・・・わかった・・・教える・・・やめてくれ・・」


260 :名無しスター:03/11/18 20:31 ID:kyx1a0kb
男性は口から泡を吹いていた。

「どこだ!」
ZXが詰め寄る。

「ここ・・だ。アジトの入り口になっている・・・」
男性は地図を指で差し示した。

「どうやって行くんだ!」
「・・・一本道だ。」
窓から外を見ると、正門から道がつながっている。
この建物から外に出る道はこの一本しかなかった。

「よし、行こう!」

4人は右手しか動かなくなった男性を置いて建物を後にした。
名前すらわからないこの怪人は、変身する暇さえ与えてもらえなかった。


261 :名無しスター:03/11/18 20:32 ID:kyx1a0kb

「みんな・・無事でいて・・」

ZXは全速力で一本道を駆け上がった。
後ろからスカイライダーとXライダーが追う。
サナギマンだけはスピードが遅く、置いていかれた。

バスだと1時間ぐらいはかかりそうな山道を、ZXは数分で駆け抜けた。
前方にバスが見える。

「間に合った!」
ZXはバスの後部にしがみつくとエンジンを破壊し、強引に停止させた。
バスのドアが開き、中から運転手と孤児院の職員らしき男性が飛び出てきた。

ドガッ!
ZXは迷わず2人をぶちのめした。予想通りこの2人も戦闘員だった。
前方を見ると100mほど先にトンネルが見える。
中は真っ暗だ。おそらくここがアジトの入り口だろう。

ギリギリセーフだった。


262 :名無しスター:03/11/18 20:35 ID:7ZSZA9nR
「キャー!・・・」

バスの中から悲鳴が聞こえた。ZXは急いでバスに乗り込む。

「みんな!大丈夫?」
「ウワァー!!」

ZXがバスの中に入るとなぜか悲鳴がいっそう大きくなった。
見渡すと全員無事なようだ。怪人も戦闘員もいない。とりあえずホッとした。
突然、ZXの前に男性が飛び出てきた。

「こ・・子供達には手を出すな!」
小川がよく知っている、新潟の施設の先生だった。

「こわーい!」
「助けて・・・」

後ろで子供の悲鳴や泣き声が聞こえた。


263 :名無しスター:03/11/18 20:36 ID:7ZSZA9nR

ドカーン!・・・

ちょうどその時、遠くで爆発音が聞こえた。
バスの窓から見ると、孤児院の建物から煙が上がっている。
さっきの「理事長」が制裁を恐れて自爆したか、それとも始末されたのか・・・

「ああっ!なんてことを!」
先生が大声を上げた。

「あんた達は一体何なんだ!?どうしてこんなことを・・・やっとみんな不自由なく
 暮らせるようになったのに・・・」

バスのあちこちから子供のすすり泣く声が聞こえた。

ZXは下を向き改めて自分の改造された姿を見た。
赤い仮面、緑の目、バッタのような顔、そして機械の体・・・ZXは言葉を失った。


264 :名無しスター:03/11/18 20:37 ID:7ZSZA9nR
「・・それは違います!」

スカイライダーとXライダーがバスに入って来た。
再び悲鳴が上がった。

「実はこの人は・・・」
スカイライダーが何か言おうとするのをZXは手で制した。

「・・・いいか!おまえたち、よく聞け!俺達はゼティマの怪人、仮面ライダーだ!」
「・・ゼティマ?」
「・・・まこっちゃん?」
スカイライダーとXライダーはキョトンとしてZXの方を見ている。

「孤児院は破壊した!愚かな人類どもめ、滅びるがいい!」
ZXがそう言うと子供達がいっせいに泣き出した。

「は・は・は・は!いいか、『いい生活がしたい』などと欲を出すからこんなことになるのだ!
 お前らには貧乏な生活がお似合いだ!さっさと柏崎のボロい施設に帰れ!二度とくだらない夢など見るな!」

「そんな・・・」

「いいから言うとおりにしろ!もう二度とこの辺りをウロウロするな!今度あの施設から
 出ようとしたら必ず殺す!覚悟しておけ!」


265 :名無しスター:03/11/18 20:38 ID:7ZSZA9nR
バスの中が一斉に静まり返った。

「・・・さあ、帰るぞ!」
ZXはスカイライダーとXライダーを連れてバスを降りた。
バスを降りる直前、チラリとみんなの顔を見た。

「(みんな、さよなら・・・元気でね・・)」
心の中でそうつぶやき、ちょうど到着したサナギマンと共に山の中に消えていった。

(ちなみにサナギマンが現れた時、子供達の悲鳴は最高潮に達した)


「・・・どうして『柏崎』って知ってるの?・・・」
「どこかで会ったことがあるような気がするけど。まさかね・・・」

先生と子供達はヒソヒソと話し合った。
みんなが全ての真相を知るのはかなり後になってからのことだった。・・


266 :名無しスター:03/11/18 20:41 ID:LAh7ZBCs

ZXは山の中を肩を落として歩いていた。
スカイライダーもXライダーも声をかけられないでいた。

「これでいいよね・・・あそこに私の帰るところは無いんだもの・・・」
ZXはつぶやくように言った。

「まこっちゃん・・・」
「でもさ・・いいんだ。今の私にはみんながいるよ!」
ZXは3人の方を振り返って言った。

「・・・立派だったよ。まこっちゃん・・」
スカイライダーとXライダーがZXに駆け寄った。

サナギマンだけはぽつんと1人で立っていた。

「う・・・・・・」
サナギマンの様子がおかしい・・・突然1人で走り出した。

「里沙ちゃん?」
「どうしたの?」

サナギマンは林の中に消えていった。


267 :名無しスター:03/11/18 20:59 ID:LAh7ZBCs

第五章 「里沙」

「里沙ちゃん、一体どうしたの?」
「わからへん・・どこへ行ったんやろ?」
「待って・・・何か聞こえる・・・」

遠くで誰かが泣いている声がした。


「うううう・・・うああああん!ああああああ・・・」
3人が声の方向に行ってみると、新垣があたりかまわず大声で泣いていた。

「・・・里沙ちゃん・・」
「どうしたの?」

3人は変身を解き、声をかけたが泣き止もうとしない。
涙と鼻水を流しながら顔をくしゃくしゃにして、まるで子供のように泣き続けた。

ここまで取り乱す新垣を見たのは3人とも初めてだった

268 :名無しスター:03/11/18 21:00 ID:LAh7ZBCs
・・・5分後、ようやく泣き止んだ新垣はハンカチで顔を拭き、
鼻をかむと何事もなかったように立ち上がった。

「ごめん、もう大丈夫だから。さあ行こ。」

「・・・大丈夫じゃないよ!」
「一体どうしたの?」
高橋と紺野が心配そうに声をかけた。

「・・・なんでもない。」
「どうして隠そうとするの?さっきみんなでなんでも相談しようって・・・」
小川は悲しそうな顔をした。

「・・・さっきのまこっちゃんを見て、デスパーシティの子供たちを思い出しただけだよ。」
「本当にそれだけ?」
「まだ何か隠してるよね・・・」
高橋と紺野が新垣の表情を見てそう言った。

「・・・・・」
新垣は黙っていた。


269 :名無しスター:03/11/18 21:02 ID:LAh7ZBCs
「・・・私達にも言えないようなことなん?」
「私達を信じてよ!」
「私に出来ることならなんだって・・・」

「・・・ダメだよ・・」
新垣が小さな声で言った。

「ダメって・・・そんな・・・」
3人はガッカリした表情で新垣を見る。

「・・・だってさ。みんなは・・・」
新垣は振り絞るように言った。

「・・・みんなは・・優しすぎるんだもん・・・」


270 :名無しスター:03/11/18 21:03 ID:XrLFy0c4

「・・・一体どういうこと?」
「詳しく説明してよ、里沙ちゃん。」

「わかったよ・・・」
新垣は観念したように話し始めた。

「私がデスパーシティから逃げてきたことは知ってるよね。」
3人はうなずく。

「そこに残してきた人がいるの・・・」
「子供たちのこと?」
「うん・・・それもそうだけど・・・実は・・・」

新垣は少し間を置き、とても辛そうな表情で言った。

「・・・お母さんがいるの。」

「えっ?」
「お母さん、生きてるの?」

3人は驚きの声をあげた。


271 :名無しスター:03/11/18 21:05 ID:XrLFy0c4
「うん。もう何年も会ってないけど、シティのどこかにいるはずなんだ。」
「・・・そうだったんだ・・」

「私が逃げたことでひどい目に遭っていないか心配で・・・まだ生きているのか・・
 ひょっとしたら明日にも処刑されるんじゃないか・・・そんなことを考え出すと
 気が狂いそうになって・・・」

「・・・そうやったの・・」
「普段は思い出さないようにしてるんだけど、さっきみたいなことがあるとつい
 デスパーシティのことを思い出しちゃって・・・」

「・・・じゃあ、すぐ助けに行こうよ!」
小川が身を乗り出した。

「・・・そういうわけにはいかないよ・・・」

「どうしてさ?お母さんのこと心配なんでしょ?」
「デスパーは『私の敵』なの。」

「わかってるよ、でも一人の敵はみんなの・・・」
高橋が割って入る。

「・・・無理だよ・・」


272 :名無しスター:03/11/18 21:06 ID:XrLFy0c4

「無理?・・」
高橋の顔が曇った。紺野は何も言わない。

「みんなはゼティマと戦っているんだもの・・・この上デスパーを相手にするなんて不可能だよ。
 巻き込むわけにはいかない。」
高橋と小川は黙り込んだ。新垣の言うとおりだった。ゼティマだけでも手一杯なのに、
これ以上得体の知れない組織と戦うことは出来ない。

「デスパーは私が倒す・・・いつか必ずお母さんを助け出すんだ。」
3人は黙って新垣の言葉を聞いていた。

「だから、今はなるべくデスパーに見つからないようにしながら力をつけなきゃ・・・」

「そやからあんな闘い方を・・・」
「ひょっとして先週もそれで?」
紺野と高橋には心当たりがあった。


273 :名無しスター:03/11/18 21:10 ID:XrLFy0c4
新垣は普段あまり積極的に戦闘に加わらない。

家のことや雑務は一生懸命にこなすが、怪人との戦闘では前に出ようとしない。
そしてその闘い方も、後ろから殴りかかったり、怪人を羽交い絞めにして二人がかりで
闘おうとしたり、不意打ちをしたり・・・

良く言えば地味に効率よく。悪く言えば汚い闘い方をしていた。
しかも相手が手強いと「一旦引いて立て直しましょう」と・・・つまり逃げろと一番に言う。
おまけにサナギマンのままで闘い、なかなかイナズマンに変身しようとしない。
本人は「なかなかエネルギーが貯まらない」と言うが・・・

「本来の敵はデスパーだからね。こっちは手伝ってもらってるわけだし・・・」
「ライダーの私達とは闘い方が違うし・・」

なるべく良心的に解釈しようとはしていたが、先輩達の評判は良くなかった。
紺野と高橋も「クールな闘い方」と表現していたが、あまり感心はしていなかった。


「それでいいんだよ。みんな真面目すぎるんだよね。」
ただ1人ひとみだけはそう言ってくれた。

「無理せず、効率的に闘うべきだよ。1人ぐらいそういう子がいた方がいい。」
そう言うひとみもキカイダーになると真面目に戦うのだが・・・
ともかく同じ「ライダーではない」ことと、変身後の姿形がなんとなく似ていることで
親近感を持ったのかも知れない。

ひとみは新垣を妹のようにかわいがってくれた。

274 :名無しスター:03/11/18 21:12 ID:XrLFy0c4
そんな中、先週ちょっとした「事件」があった。
パトロール中の飯田と紺野から怪人が出たとの連絡が入り、応援を送ることになった。

そのとき、出動場所を聞いた新垣は出動を拒否した。
理由を聞いても答えない。ただ「嫌です」と言い続けるだけだった。
仕方なくケイと安倍が出動し事なきを得たが、飯田は激怒していた。

「なによあいつ!やっぱりゼティマと戦うのが嫌なんじゃないの?」
怒りに任せてそう言い放った。

「そんな言い方はないよ。何か理由があるんだって・・」
新垣の断り方を見て、ただならぬ様子を感じていた安倍は新垣を擁護した。

「じゃあ理由を言えばいいじゃない!なんで黙ってるのよ!・・・」
この日はさらに矢口とケイまで巻き込んで大喧嘩になった。
それ以来中澤家では重い空気が漂っていた。

「このままではいかんなあ・・・」
中澤はそう言って今朝あたりから心配を始めていた。


275 :名無しスター:03/11/18 21:13 ID:XrLFy0c4

「・・・あの時の出動先って確か埋立地・・まさかあそこが?」
紺野がそう言うと新垣がうなずいた。

「あのすぐ先の地下がデスパーシティなんだよ・・」
「そうやったん・・デスパーに見つからんために・・・」
「あの普段の闘い方も、なるべく目立たないためなんだ・・」
2人はようやく謎が解けたといった様子だった。

「他にこのことを知ってる人はいるの?」
「・・・中澤さんには言ったよ。内緒にするって言ってたけど。」

「・・・でもさ、だったらなおさらちゃんと先輩達には説明した方がいいんじゃない?」
小川の言葉に、紺野と高橋がちょっと呆れた顔をした。

「まこっちゃん・・・」
「ちゃんと話聞いてた?」


276 :名無しスター:03/11/18 21:14 ID:XrLFy0c4
「え?」

「今の話を先輩達にしたらどうなると思う?」
「・・・う〜ん・・・先輩達ってみんな正義感に燃えた熱い人たちばかりだもんね・・・」
「しかも熱くなると周りが見えなくなって突っ走るし・・・」

「熱血というか・・・」
「直情径行というか・・」
「・・・単純だもんね・・」
小川が笑って言った。

「・・さっき『すぐ助けに行こう!』って言ったの誰だっけ?」
紺野の言葉に小川が恥ずかしそうに頭をかいた。
その様子を見て新垣が少し笑った。

「あ、笑ったなぁ!」
小川が怒ったふりをして言った。

残りの二人もクスクスと笑い出した。

「・・・とにかく、今の話はしばらく先輩達には黙ってようよ」
「そうだね・・」
紺野がそう言うと小川と高橋も同意した。


277 :名無しスター:03/11/18 21:18 ID:XrLFy0c4
「ありがとう。・・・なんかみんなに話したら気持ちがスゴく楽になっちゃった。」
新垣は笑って立ち上がった。紺野も小川もホッとした様子だ。

「里沙ちゃん・・・でもね・・・」
突然高橋が真剣な顔で話し始めた。

「これだけは約束して・・これからもし何かあっても1人で何とかしようなんて思わんといて。
 絶対に1人で動かんといて・・必ず私達に相談して!・・」

「・・・・」

「もし里沙ちゃんがある日突然いなくなって、そのまま帰って来んかったら、
 私・・・どうしたら・・」

そう言うと高橋はボロボロと泣き出した。
紺野と小川もつられて泣き出す。

「お願い!」
高橋は新垣をギュッと抱きしめた。

「お願いだよ!」
「里沙ちゃん!」
小川と紺野も駆け寄り、新垣に抱きついた。


278 :名無しスター:03/11/18 21:19 ID:XrLFy0c4
「・・・痛いなあ、愛ちゃん・・」
「里沙ちゃん!・・・」

「・・わかったよ。絶対にみんなの前から黙って消えたりしない。」
「約束だよ!」
「・・・・うん。」

「よかった!・・・」
4人はしばらくそのまま抱き合っていた。



「・・・みんなさあ・・・いいかげん離れてくれない?暑いんだけど。」
しばらくして新垣が言った。普段の新垣の憎まれ口だ。

「あ、ごめん。」
3人は慌てて新垣から離れた。

そしてお互いの顔をみてクスクスと笑い出した。


279 :名無しスター:03/11/18 21:20 ID:XrLFy0c4

「でも・・・」
しばらくして小川が口を開いた。

「これでやっとみんなが一つになれた気がするね」
「・・・そうだね。」
「今日はいろんなことがあるなあ・・」

「じゃあさ・・・」
高橋が片手を前に出した。
続いて紺野が、小川が、新垣がその上に手を重ねる。

「じゃあ・・」
「これから4人仲良く・・」
「頑張って・・・」
「いきまっ・・・」

「 し ょ い ! 」

4人の元気な声が澄み切った山の空に響いた。


280 :名無しスター:03/11/18 21:23 ID:XrLFy0c4






                         まだつづく

281 :名無しスター:03/11/18 21:41 ID:XrLFy0c4
とりあえずこれで「前編 完」にしたいと思います。
後編もかなり長くなっているので少し全体を見直したいと思いますので・・

282 :名無し天狗@中江真司:03/11/19 00:50 ID:3BWJnqVw
>名無しスターさん
期待して待ってます!

「記憶と生身の身体を奪われ、全身の99%を冷たい機械に変えられた小川麻琴…
 仮面ライダーZX!
 最凶の殺戮マシーンとしてライダーを圧倒したが、残り僅か1%の人の心が
 彼女に光を与え、正しく生きる道を指し示した!!」

283 :名無し募集中。。。:03/11/19 19:31 ID:U7pV1CJH
長くてもいいから書いて欲しいと思うのは俺だけか?

284 :ナナシマン:03/11/19 19:37 ID:XcZe/0qp
>>名無しスターさん
 戦士である以前にひとりの女の子、これって実はあまり具体的に描かれたことが
なかったかもしれないな、と読み終えて感じています。「人間」として描かれるよりも
もっと具体的でかつリアリティのある立ち位置に4人を置いてのストーリー展開が
楽しかったです。

>>名無し天狗さん
 保全ネタって仰ってたんですが、なんかもったいないくらいの出来ですよね。毎回
の引き出しの多さに驚かされます。



285 :名無し天狗@村越伊知郎:03/11/19 19:50 ID:d2fVCy8M
>ナナシマンさん
そんなことないですよ。OPナレの無いものは殆ど強引に作ったものですし・・・。

「イナズマン=新垣里沙は、人類の幸福を取り戻すため
 デスパー軍団やゼティマ軍団と戦う自由の戦士である!」

・・・で、参考資料はこちらです。

ttp://homepage2.nifty.com/io_secretbase/list_tokusatu.html

286 :名無しスター:03/11/19 21:03 ID:NhhBxngN
では「後編」スタートです(早)

287 :名無しスター:03/11/19 21:07 ID:NhhBxngN
第六章  「4人」

「・・・それで、どうする?」
道路から少し離れた山中で小川が言った。

「何が?」
「あれだよ、あれ・・・」
そう言いながら小川はトンネルを指差した。

おそらくアジトの入口だろう。

「・・・チャンスだよね。」
高橋もやる気だ。偶然とはいえ敵のアジトを発見したのだ。これを逃す手はない。

「・・・でも、先に先輩達に相談した方がいいんじゃない?」
紺野が二人を抑えるように言う。

「これから東京に帰って?そんなのんびりしてたら入口が消されちゃうよ。
 中にはさらわれた子供達もいるんだし。」

「あさ美ちゃん、いつも先輩先輩って・・少しは自分で判断せんとダメやよ。」
「そうだよ。自分の意見って物を持たないとさ・・」

「なんでよ!私は、今この4人であそこに潜り込むのが危険だ、って言っているんじゃない!
 私は私なりに現状を分析して『先輩に相談するべき』って判断したのに・・・
 あそこの中にどんな怪人が何人いるか分かんないんだよ?ムチャをするのが
 カッコいいとでも思ってるの?」
高橋と小川の言葉に紺野が反発した。

「あ、いや・・・」
「ごめん、そんなつもりじゃ・・」
2人とも黙ってしまった。

288 :名無しスター:03/11/19 21:08 ID:NhhBxngN

「でも・・・」
新垣が口を開いた。

「このまま帰ったらもったいないよ。ちょっとでも中の様子を偵察して情報を集めて・・
 先輩達に相談するにしてもそれぐらいはしておいた方がいいと思う。
 危なくなったらさっさと逃げればいいんだし」

「そうだよね、何も今必ずアジトを潰す必要はないし。」
「そうしようよ、ね、あさ美ちゃん。」

「・・・うん。そうだね。いざとなったら逃げればいいよね。」
3人にそう言われ、紺野もしぶしぶ同意した。

「じゃあさ、ヤバくなったらその場で多数決を取ろうよ。進むか逃げるか、ね?」
高橋がそう提案すると3人は喜んで賛成した。


289 :名無しスター:03/11/19 21:10 ID:nGeP6fNx

4人は慎重にトンネルの中を進んだ。
入口付近は照明が付いていたが、途中から真っ暗になった。

警戒されないよう変身をしていないので前が暗くてよく見えない。手探りでゆっくり進む。
しばらく行ったところで壁にぶち当たった。

「行き止まり?」
「わかんない・・・」

小川がペタペタと壁を触っていると、なにかスイッチのようなものに触れた。
カチャと音がして壁が少し開き、光が漏れた。

「・・・空いちゃった?・・」

壁の隙間から中をのぞくと通路の奥に検問がある。
検問の周りを4人の怪人と大勢の戦闘員がウロウロしていた。

「・・・どうする?」
「いい手があるよ。」
新垣が言った。


290 :名無しスター:03/11/19 21:12 ID:nGeP6fNx

新垣は堂々と通路を歩いて行った。
戦闘員は誰も手を出そうとしない。
検問の前に来ると怪人の1人が声をかけた。

「おい待て、見ない顔だな。おまえの所属とIDを・・・」
「おまえ、何も聞いてないのか?」
新垣は怪人を睨みつけ、自信たっぷりに言った。

「・・・まあいい、通れ・・」
怪人がそう言うと新垣は検問を通過し、中に入っていった。

「・・・おい、今のは誰だ?・・・」
「・・・さあ、新しい改造人間じゃないか?あの態度はただものじゃないし。逆らわない方がいいぜ。」

怪人2人はヒソヒソ話し合った。


291 :名無しスター:03/11/19 21:14 ID:nGeP6fNx

「・・・なるほどぉ!」

残りの3人は感心してそれを見ていた。
続いて高橋が同じように続く。

「・・・おい・・・」
「さっき女が通らなかったか?」
「あ・・・はい。あちらに・・・」

そう言って怪人は新垣が歩いて行った方を指差した。
同じように小川も検問を通過した。

最後は紺野だ。

「・・・あ、あの・・・」
怪人が遠慮がちに声をかけた。

紺野は大きな目でじっと怪人を見つめた。
「・・・・・・」

紺野は目を伏せ、何か言いたげに口を半開きにして固まってしまった。
「え・・えっと・・」


「・・・貴様!何者だ!」


292 :名無しスター:03/11/19 21:15 ID:nGeP6fNx

ドガッ!

Xライダーが飛んで来て怪人を突き飛ばした。
後ろに小川と新垣もいる。

「あさ美ちゃん!しっかりやらなきゃダメじゃない!」
「・・ごめん!」

戦闘員がわらわらと集まってきた。100人近くいる。

「ええいしょうがない!変・身!」
「強 力 招 来!」
「みんなごめんね・・スカイ・・変・身!」

戦闘員の前にライダーとサナギマンが立ちはだかった。


293 :名無しスター:03/11/19 21:18 ID:TeykAPTy

「みんな、手をつないで!」
「え?どうして?」

「いいから早く!」
サナギマンの言うとおりに4人は手をつないだ。

「このまま突っ込むよ!」
「あ、そうか!」
「それー!」

4人は手をつないだまま横に広がり、戦闘員の群れに突入した。
ブルドーザーのように戦闘員を壁に押し込む。

グシャ!

大勢の戦闘員は4人と壁の間に挟まれ、バタバタと倒れていった。

「お〜、こりゃ楽だあ!」
ライダー3人は感心しながら言った。

「おのれぇ!ライダーめ!」
パニック、キクスロプ、イカルス、プロメテス・・・4人の怪人が一斉に襲い掛かった。


294 :名無しスター:03/11/19 21:19 ID:TeykAPTy

「・・・くそう!」
ZXはパニックを相手に苦戦していた。やっぱり力が出ないようだ。

「死ねえ!」
パニックは手にした棍棒を振り上げた。

グシャア!
・・・鈍い音がしてパニックがうずくまった。

「え?」
うずくまるパニックの後ろにサナギマンが立っている。

「まこっちゃん、大丈夫?」
「・・・うん」
後ろからの不意打ちであった。

「さあ、今のうちに!」
「ひ・・卑怯者・・」
ZXとサナギマンは2人がかりでパニックをボコボコにして倒した。

「貴様、なんてことを!・・お前の相手はこの俺だ!」
イカルスが叫びながらサナギマンに突進してくる。

「まこっちゃん、今度はあっち。」
「う、うん・・」
サナギマンはイカルスを無視して、スカイライダーとキクスロプのほうに向かった。


295 :名無しスター:03/11/19 21:20 ID:TeykAPTy

あっけにとられるスカイライダーの目の前で、後ろから2人で殴りかかりキクスロプを倒した。

「・・・次はあっち!」
サナギマンはイカルスを指差した。

スカイライダーは何か言いたそうだがサナギマンの後に続く。

それを聞いたイカルスはその場で固まった。

「ま、待て・・・」
3対1では相手にならない。あっけなく倒された。

「さあ、残りは1人だよ。」
3人はXライダーと対峙しているプロメテスを取り囲んだ。

「き、貴様ら・・卑怯ではないか・・・」
「卑怯って何が?」
「4対1だぞ!正々堂々と闘え!」

プロメテスは激しく動揺しながら言った。
正直3人のライダーも同じ意見だった。

(さっきは4人で鉄腕アクロスを倒したがあれは「緊急事態」だった・・)


296 :名無しスター:03/11/19 21:22 ID:TeykAPTy

「もともと4対4じゃない。それに先に何十人も戦闘員を出してきたのはそっちでしょ?」

「・・・あ!」
「・・なるほど。」
「そう言えばそうだね」
4人の意見はまとまり、プロメテスは無残に倒された。

・・どうやらこのクールな闘い方だけは新垣の「地」だったようだ。

「ちょっと納得いかないけど・・・」
「確かに楽だよね、この闘い方」
「でしょ?別にルールがあるわけじゃないし・・・」

「・・・・」
3人が盛り上がる横で、ZXだけが落ち込んでいた。


297 :名無しスター:03/11/19 21:24 ID:TeykAPTy
以前にライダー1号2号を2人まとめて圧倒したZXとは思えない。

「ZXが仲間になる」そう聞いてみんな実は心強かった。
しかし思ったほど力が出せない。
ドラフト1位、期待の即戦力がプロの壁にぶち当たったようなものだ。
スカイライダーが心配そうに声をかけた。

「まこっちゃん。どうする?『進む』?『逃げる』?」

「もちろん『進む』だよ!・・・でも、私が闘ったって全然強くないから
 戦闘は愛ちゃんにさせて下さい・・・」

「・・な、何もそこまでイジけることないじゃない・・・」

「まこっちゃん、調子悪いの?」
Xライダーも心配そうに声をかける。

「ううん・・・体は何ともないよ。」
「じゃあどうして?」
ZXはヘラクレスの言葉を思い出していた。

「わからない・・ひょっとして記憶が戻ったせいかも・・・
 やっぱり人間の脳ではZXをうまく制御できないのかな。」

「クスクス・・・」
それを聞いてXライダーとスカイライダーが笑い出した。

298 :名無しスター:03/11/19 21:26 ID:TeykAPTy

「何がおかしいの?」
「それ、私と同じだよ。」

「まこっちゃん、感覚がまだ人間のままなんやよ。簡単に言えば『慣れてない』ってだけ。」

「ジャンプする時もパンチを出すときも人間の体のつもりで考えちゃうんでしょ?
 無意識のうちにZXのパワーを抑えちゃってるんだよ。ZXの体の感覚に慣れないと。
 ・・・今風に言うと『シンクロする』って言うのかな?」

「・・・なるほど。」

「偉そうに言うけど、私もさっき気付いたばかりなんだよね。」
スカイライダーは少し恥ずかしそうに言った。

「あさ美ちゃんみたいに荒療法より、少しずつ意識して慣れていった方がいいやよ。
 今日は4人いるし、後ろに下がって闘ったら?」

「うん、そうさせてもらうよ・・・なるほどね。・・・ブツブツ・・・」
ZXはあれこれ考え始めた。

「・・・ところで、体が痛いのはどうするの?」
「それも我慢して慣れるしかないよ。」

「・・・あ、そう・・・」

299 :名無しスター:03/11/19 21:27 ID:TeykAPTy

「超 力 招 来!」
サナギマンは突然そう叫ぶとイナズマンに変身した。

「・・・私も少しは慣れておかないとね。」
「里沙ちゃん・・・大丈夫なの?」

「うん・・・ゼティマのアジトの中だし、ここまでデスパーの目は届かないでしょ。
 今日は思いっきり暴れるからね!」

「じゃあみんな、とりあえず今は『進む』でいいよね?・・・がんばっていきまっ・・」

「 し ょ い !」
本日3回目の「しょい」だった。

4人はさらに奥へと進んだ。


300 :名無しスター:03/11/19 21:29 ID:1cKspGWS

「ライダーか!俺様はマッハ・・グアッ!」

「よく来たなライダー、ここが貴様の墓場・・ギャ!」

「飛んで火に入・・・グオオ!」

「俺様の力を見せ・・グハァ!」


次から次へと現れる怪人をドミノのようにバタバタと倒していく。
4人は火の玉となってアジトの奥へと進んだ。

「なるほどね・・・」
ZXは次第にパワーを回復しつつあった。

スカイライダーとイナズマンはその順応速度に舌を巻いた。
「なんか・・・自信なくすなあ。」

「ああいうのは、あさ美ちゃんみたいに考え過ぎるタイプより、
 まこっちゃんみたいに単純な方が向いてるんだよ。」

「・・・何か言った?」


301 :名無しスター:03/11/19 21:29 ID:1cKspGWS

アジトの中は完全にパニックになっていた。

「ミノタウルス様は一体何処へ行ったんだ!」
「・・・連絡が取れないらしい。こんな大事な時に!」

怪人の「リーダー格」であるミノタウルスはスカイライダーによって既に倒されていた。


しかも責任者の呪博士は不在だった。


302 :名無しスター:03/11/19 21:30 ID:1cKspGWS





                          つづく

303 :名無し天狗@岡部政明:03/11/19 22:47 ID:d2fVCy8M
続きに期待しつつ保全。

「ギターを背負った渡り鳥…ひとみは
 加護・つんく両博士によって造られた人造人間キカイダーである。
 不完全な良心回路を持つ彼女は、善悪の板ばさみを抱えつつ
 悪のダークやゼティマと戦うのだ!」

304 :名無し募集中。。。:03/11/20 09:35 ID:G/R8cYde
保全

305 :名無しスター:03/11/20 20:01 ID:65KuRE6X

第七章 「悪」

某地某所のゼティマ日本本部。今日はここで地方支部長の会合があった。
円卓に10人ほどの支部長と、数人の本部の中堅幹部が座り話し合いをしていた。

「北信越支部長、何か意見はないか?」
「・・そんな呼び方をするな。『GOD総司令さま』・・そう呼べ!」

北陸・新潟・長野を統括する「北信越支部」の責任者、呪博士は不機嫌そうに言った。
それを聞いて他の支部長から笑い声が上がる。

「何がおかしい?」

「貴様、ゼティマの軍門に下って何年になるのだ?GODなんて組織はもう存在しないのだぞ」
北関東支部長がそう言って睨みつけた。

「そう呼んでほしいのなら勝手に独立すればいい。別に止めはしないぞ。」
そんなことをすればあっという間に潰される。呪博士は黙り込んだ。

「今回は目をつぶるが、滅多なことは言わんことだな」
本部の中堅幹部が凄みながらそう言った。

「・・・おまえ、いつまでもそんなことを言っているからいまだに地方支部長なんだよ。
 早く割り切って本部に来い・・」
その隣の幹部は知り合いらしかった。

「・・・それで、何か意見はないのか?」
「ライダーについてだが・・・」

呪博士がそう言うと会場の空気が変わった。

306 :名無しスター:03/11/20 20:03 ID:65KuRE6X
「いつまであんな奴らをのさばらせておくのだ!私に任せてくれればあんな奴らは・・・」

「この田舎者が!貴様はあいつらの怖さを知らんのだ!」
南関東支部長が声を荒げた。この支部はライダーの被害が最も大きい。

「好きであんな田舎にいるわけではないわ!私が関東にいればあんなやつらの好きにはさせん。」

「・・・フン!」
関東の各支部長は不機嫌になった。

「・・・ライダーについては今までどおり、『生かさず殺さず』だ。各支部で対応しろ。」
「待ってくれ!本部は何もしないのか?本部か関東の全支部で攻めに出れば楽に勝てるのでは・・・」

「楽に勝てるとは思えない。多かれ少なかれ被害が出る。我々の敵はライダーだけではないのだぞ。
 デスパーやZ対、FBI、ICPO・・・隙を見せるわけにはいかん。今のようにライダーが襲ってきたら
 対応するぐらいでちょうど良いのだ」

「じゃあ本部の改造人間を出してくれ!関東の支部の改造人間はライダーにやられてどこも数が足りないのだ
 ・・貴様少しは現場の苦労を知れ!」

本部の幹部の言葉に各地の支部長が噛み付いた。

「本部でも被害は出ているのだ!侵攻作戦用に温存している改造人間を警備に回すわけには・・・」
議論は荒れ出した。


307 :名無しスター:03/11/20 20:05 ID:65KuRE6X
「・・・ちょっと待ってくれ、緊急連絡だ。」
本部の幹部が議論を遮った。

「・・・北信越支部長。さっきは何か威勢のいいことを言っていたようだが・・」
「・・・それがどうした?」

「北信越支部がライダーの襲撃を受けているらしい。関東の各支部に救援の要請が来ているそうだ。」
「なんだと!」

「・・おい、助けてやろうか?」
北関東支部長はニヤニヤと笑っていた。

「助けなどいらん!あいつら何をやっているのだ!・・・すまんが私は帰らせてもらう。」
呪博士は慌てて席を立つと、会議場から出て行った。

会議場はざわついていた。

「・・・どうせ支部の近くで小競り合いでもあったのだろう。大げさな奴らだ。」
南関東支部長が笑って言った。

「・・念のため俺のところで助けを出しておこう。貸しを作っておいて損はない。」
北関東支部長は通信機を取り出し、自分の支部と連絡を取った。


308 :名無しスター:03/11/20 20:07 ID:65KuRE6X

そのころ敵のアジト、「ゼティマ北信越支部」では4人の快進撃が続いていた。
その勢いに何人かの怪人が逃げ出した。

「助けてくれ!」
「・・化け物だ!」

「待て!逃げるな」
4人が逃げた怪人を追う。

「ギャ!」
通路の角の向こうで怪人の悲鳴が聞こえた。

「今のは何?・・」
4人が立ち止まる。

角の向こうから赤い仮面の怪人が現れた。
逃げた怪人を掴んで持ち上げ、締め上げている。

各支部を巡回し、たまたまこの支部を監視に来ていたゼティマ秘密警察の怪人だった。

「貴様、何故逃げる!」

309 :名無しスター:03/11/20 20:09 ID:H5V4/adV

「あ、あいつら・・・不意打ちをかけてくるし、口上どころか俺達の名前すら
 聞かずに攻撃するし、こちらの攻撃を『受けて』くれないし・・・
 データにあるライダーとは闘い方が違いすぎる・・・もう嫌だ!」

「お前らは元寇の北条軍か!汚い攻撃はこちらの専売特許だろ・・
 とにかくお前達の行動は本部に報告する。」

「お、お許しを・・」
「・・どうせ結果は同じだな。今ここで処刑する。」

赤い仮面の怪人は、掴んでいた怪人を地面に叩きつけ、持っている銃を撃ち込んだ。
見るからに非情、かなり強そうな怪人である。

「フフフ・・・なかなかやるようだな。しかしこのアポロガイストを倒・・」

「Xパンチ!」

バキィ!

Xライダーの不意打ちもだいぶサマになってきた。

「・・・・き、貴様らぁ!」

普段冷静なアポロガイストは激怒して銃を乱射した。

4人は四方に飛び避けた。


310 :名無しスター:03/11/20 20:12 ID:H5V4/adV

「・・・こいつ、今までの奴らと全然違う。」
「強いね・・・なかなかスキがない・・・」
ZXとスカイライダーが逃げ回りながら言った。

「ねえ!どうする?里沙ちゃん。」
Xライダーの言葉に3人とも一斉にイナズマンの方を見た。

「・・・どうせ私に『逃げろ』って言わせたいんでしょ?・・・ダメダメ、
 私の意見は『どんな手を使っても勝て』。以上。」

「じゃあ私も同じ。」
「私も!」

「しょうがないなあ。じゃあみんな、一斉に行くよ・・」
「おう!」

Xライダーの声に全員が一斉に構え、跳び上がった。

「ライダー連続キック!」

「何っ?」


311 :名無しスター:03/11/20 20:13 ID:H5V4/adV

「加速が足りないけど、ZXキィーック!」
「天井低いけど、スカイキーック!」
「ライダーじゃないけど、イナズマンフラッシュキーック!」
「こっちが本命! X必殺キーック!」

「・・・グアアアア!!」

アポロガイストはもんどりうって倒れた。

「・・この私が不覚を取るとは・・・くそ・・最近の若いライダーは・・・」

アポロガイストはそう言って意識を失った。

「うわぁー!」
「逃げろ!」

アポロガイストが倒されたのをきっかけに、残りの怪人たちは一斉に逃げ出した。

「やったね!」
4人は手を叩きあって喜んだ。


312 :名無しスター:03/11/20 20:17 ID:H5V4/adV

その頃、北信越支部の反対側の山に4人の怪しい人影があった。

「気が進まねぇなあ・・・」
「上の命令だ、黙って進め・・」

救援に来た北関東支部最強の改造人間4人、通称「四天王」である。

4人ともただならぬ雰囲気に包まれ、相当の実力者であることは間違いなかった。

「あそこだ。一気に突っ込むか?」
遠くからトンネルを見つけた1人が言った。

「まあ待て、少し様子を探ってからでもいい・・」
4人はそこで立ち止まった。


313 :名無しスター:03/11/20 20:20 ID:H5V4/adV

Xライダーたち4人は支部のかなり奥まで進み、目の前の大きく重たい扉を空けた。
暗く広い空間があり、その奥にさらに大きなドアがある。

その扉にはドクロのマークが書かれ、よく見るとG・O・Dのアルファベットが見える。
明らかに今までの部屋とは雰囲気が違った。

「司令室とか、親玉の部屋かな?」
4人が扉の方に向かうと、その中から改造人間が現れた。

「よく来たな。・・・俺の名はタイガーネロ。ここが貴様らの墓場だ、ライダー!」

「まだいたんだ・・」
「こいつもかなり強そうだよ・・・」
「どうする?またみんなで・・」

「待って。」

イナズマンが3人を制した。


314 :名無しスター:03/11/20 20:21 ID:H5V4/adV

「どうしたの里沙ちゃん。まさか『逃げる』とか?」
「違うの。こいつは私1人で闘ってみたいんだ。」

「なんで?・・・里沙ちゃんらしくもない。」
「ちょっと試したいことがあって・・・」
そう言ってイナズマンは前に出た。

「試す?・・」
3人は心配そうにイナズマンの後ろ姿をみつめた。



支部の反対側の山中では4人の改造人間が中の様子を探っていた。
高性能な目と耳で、ずっと中の4人の様子を監視し、会話を聞き取っている。

「どうする?」
「もうちょっと様子を見よう・・・」


315 :名無しスター:03/11/20 20:23 ID:H5V4/adV

「いい度胸だ・・・」

イナズマンが前に出る。タイガーネロも前に出る。
部屋の中央で闘いが始まった。

タイガーネロは青龍刀で切りかかる。素早く力強い攻撃だがイナズマンはひらりとかわす。

「くそっ・・このっ!」

バシッ!

イナズマンは振り下ろした青龍刀を真剣白羽取りで掴むとタイガーネロの腹部に蹴りを入れ、
青龍刀を奪い取る。

「グウッ!・・なかなかやるな・・」

タイガーネロは体勢を立て直し、今度は殴りかかる。
しかしイナズマンはこれを全部よける。見事な身のこなしだ。

「すごい・・・」
3人はイナズマンの闘い方をみて驚いた。考えてみればイナズマンの本気の闘いを見るのは初めてかもしれない。

想像以上に強い。

しかし3人ともどういうわけか複雑な表情をしていた。

「・・こんなに強いなら、あんな闘い方をしなくてもいいのに・・・」


316 :名無しスター:03/11/20 20:25 ID:/qMldqem

「貴様!逃げてばかりいないでかかって来い!」

痺れを切らしたタイガーネロが叫ぶ。
それを聞いたイナズマンは動きを止め、棒立ちになった。

「何のマネだ・・・」
「好きに殴ってみてよ。」

タイガーネロは一瞬躊躇したが、すぐに攻撃を再開する。

ゴツ!
ガツッ

パンチ、キックが次々と当たった。かなりの強打だ。
しかしイナズマンはそれを涼しい顔をして全部顔面で受け止めた。

「・・・くっ、この・・」
タイガーネロは驚いて一旦退いた。

「その程度なの?」
「何だと?」

「そんなんじゃ私は倒せないよ。あなたの一番強い技を出してみたら?」
イナズマンはそう言って挑発した。

「・・・俺をバカにするのもいいかげんにしろ!」


317 :名無しスター:03/11/20 20:27 ID:/qMldqem

部屋中の空気がタイガーネロの方向に集まって行く。

「何が起きるの?」
「里沙ちゃん!気をつけて!」

3人は何があってもいいように身構え、加勢の準備をする。

タイガーネロが大きく構える、体が光る。

そして溜めていた気を一気に放出した。



「食らえ! タ イ ガ ー 竜 巻 地 獄 !」


318 :名無しスター:03/11/20 20:28 ID:/qMldqem


「 逆 転 チ ェ ス ト !」


「・・ギャアアアア!」

イナズマンの逆転チェストにより、全ての攻撃がタイガーネロに跳ね返された。
自分の必殺技を受けたタイガーネロは派手に吹っ飛び、倒された。

「・・・き、汚ねぇ!・・・貴様、やっていいことと悪いことが・・・」
タイガーネロはそう言って力尽き、爆発した。

「・・さ、行こ。」

イナズマンはドクロマークの大きな扉を開き、中に入って行った。

「・・・クールさに磨きがかかってるね。」
「・・・便利な技だねえ・・」
「・・・・っていうかズルじゃん。」

3人は呆れてイナズマンの後を追った。


319 :名無しスター:03/11/20 20:29 ID:/qMldqem





                          つづく

320 :名無し天狗@岡部政明:03/11/21 00:36 ID:unpKrdeH
「哀しきハープの音色を奏でる少女・・・梨華は、
 加護・つんく両博士によって造られた人造人間・ビジンダーである。
 彼女は未完成ながらも完全な良心回路を内蔵している。が、それ故に彼女なりの苦悩も多い。
 哀しみを内に秘め、ビジンダー=梨華はダークそしてゼティマと戦うのだ!」

・・・イマイチかも…。

321 :名無しスター:03/11/21 18:33 ID:yQClSJvq
第八章  「愛(その2)」

ドアを開くと中は機械だらけだった。大きなモニターがあり、
一段高いところには豪華で悪趣味な椅子が置いてある。

どうやらここが司令室のようだった。

・・・それから1時間後

「貴様ら、ここで何を!・・・まさか、ライダーか!」
やっと本部から帰って来た支部長、元GOD総司令の呪博士が司令室に入って来た。

「・・よくぞここまで来た。だがここが貴様らの墓場だ!」

「この台詞を聞くの、今日で何回目だろうね。」
「悪党ってボキャブラリーが貧困だよね。」
ZXとイナズマンが顔を見合わせて笑った。

「うるさい!・・・タイガーネロ!こいつらを始末してしまえ!」
呪博士がマントからスイッチを取り出した。
司令室の右側の扉が開く。

「・・・どうした?タイガーネロ!さっさと出て来い!」
壁の向こうは無人だった。

「タイガーネロなら倒したよ。」
「何?そんなバカな!」


322 :名無しスター:03/11/21 18:35 ID:yQClSJvq

呪博士はイナズマンの言葉を聞いて、慌てて椅子のモニターで怪人のステータスを確認した。

「・・・何てことだ!・・くそ、アポロガイスト!貴様ただ見ていただけか!」
またスイッチを取り出し、監視用モニタでアポロガイストを探す。

・・・しかし飛び込んできたのは倒れたアポロガイストの姿だった。

「まさか!・・・お前達は一体・・」


「・・誰か来てくれ!ミノタウルスでもいい!・・・誰でも・・・」

呪博士は全怪人のステータスを確認して落胆した。
半分以上が倒され、残りは脱走・・・

おまけにせっかく集めた子供達と研究員も残らず開放されていた。


323 :名無しスター:03/11/21 18:36 ID:yQClSJvq

「許さん・・許さんぞ貴様ら!」
そう言ってスイッチを押す。

後ろの壁が大きく割れ、音を出して開きだした。
「フフフ・・私がゼティマに復讐するため作った最強の巨人だ。まずは貴様達から血祭りにあげてやる!」

壁が完全に開ききると、呪博士は振り向きながら大声で叫んだ。

「さあ!キングダークよ!目を覚ませ!全世界を滅ぼすのだ!」


324 :名無しスター:03/11/21 18:38 ID:jR50AHtA

「・・・・・・」

「ね、壊しておいて正解でしょ?」
「さすがあさ美ちゃん、カンがいいね」

さしもの最強ロボットも、操縦者がいなければただのデカイ人形であった。
キングダークは徹底的に破壊され、ただのガラクタと化していた。

「そんな・・・私の何十年間もの苦労が・・」
呪博士はよろよろと倒れかかり、椅子にしがみ付いた。

「なんか哀れになってきたね・・・」
スカイライダーはちょっとだけ同情した。


「・・貴様ら!一体私になんの恨みがあって・・・」

「恨み?・・・」
そう言われると、ZXとXライダーが前に出た。
XライダーはZXを手で制し一人で前に進み出た。

「私たちは恨みだけで戦ってるわけやないよ。・・・でも、あなただけは違う。」
そう言って静かに変身を解いた。

「呪のおじさん・・・久しぶりやね・・・」

「お前は!高橋・・愛か!・・・お前がライダーだったとは・・・」


325 :名無しスター:03/11/21 18:41 ID:jR50AHtA

呪博士はまるで幽霊にでも会ったかのように驚いた顔をした。

「愛ちゃん。知り合いなの?」

「お父さんの親友やったんや。昔よく遊んでもらったし。・・・おじさん、なんで私とお父さんを殺そうとしたん?」

呪博士はしばらく沈黙し、やがてゆっくりと話し始めた。
「・・・私には野望があったのだ。この世界全てを手に入れるという野望が・・・
 しかし親友であるお前の父親はそれを理解しなかった。その上邪魔までしようとしたのだ!」

「だからお父さんを殺したの?・・・」

「・・許してくれ、愛!私はどうかしていたのだ・・・私はゼティマに利用されていたのだよ。
 ・・・この組織も乗っ取られ、しかも今はお前達のために全てを失い、もう目が覚めた・・・」

「・・・・」

「この上は死をもって償おう。さあ愛よ、こっちへ来てお前の手でひとおもいに
 私を殺してくれ・・・頼む・・・」

「おじさん・・・」


326 :名無しスター:03/11/21 18:43 ID:jR50AHtA

高橋はゆっくりと階段を登り、呪博士のそばに立った。
呪博士が顔を上げる。

その瞬間、高橋はマントの上から素早く呪博士の腕を掴んだ。

「おじさん・・・じゃあこの銃は必要ないよね・・・」
そう言ってマントの下の拳銃を奪い取った。怪人用の強力な銃だった。

「おじさんの気持ち、よく分かったよ・・・・・」
高橋は後ろに下がって銃を捨て、腕をまっすぐ上に伸ばした。

「大・変・身・・・」

「おじさん・・・じゃあ、望みどおりにしてあげる。・・・」
Xライダーは恐ろしく冷たい声で言うとゆっくり呪博士に近付いた。

「う、くそ!・・・」
呪博士はまたマントの下からスイッチを出した。

突然呪博士を囲むように、上から強化ガラスの箱が降りてきた。
ガラスの向こうで呪博士が不適に笑う。

「しまった!」
Xライダーは慌てて破壊しようとするがびくともしない。

「今日のところは見逃してやる。だが、必ずこの借りは返してもらうぞ!」
呪博士はマントからスイッチを出しボタンを押す。すると椅子が横に動き出した。

どうやらこの下に秘密の脱出通路があるようだ。


327 :名無しスター:03/11/21 18:45 ID:jR50AHtA

「・・・・あれ?・・」
呪博士は通路に入ることが出来なかった。すべて土砂で埋まってしまっていた。

ガラガラガラ・・・

おまけに強化ガラスの箱が勝手に上に上がった。
「・・・どうしたことだ?」

「地下通路も、その先の脱出用ロケットも、自爆用水爆も、全部使えませんよ。」
スカイライダーが司令室のパネルを操作しながら言った。

「くどいね、この人・・・」
イナズマンはその様子を見て呆れていた。

「・・くそおおお!!」
呪博士はまたマントの下に手を入れた。

それを見てZXは呪博士に飛びつき、体を持ち上げ足を持って逆さに降った。
マントの下からスイッチなどがバラバラと何十個も出てきた。

「・・・まだこんなにあったんだ・・・」
イナズマンが拾い集める。怪人用スタンガン、毒霧スプレー・・・スイッチ類は20個以上、
自爆用だけでも4種類ある。

「なんで1つにまとめようとしないんだろうね・・」
スイッチを見ると全部ボタンは1つ。「ON」だけだ。

「年寄りだからじゃない?」

328 :名無しスター:03/11/21 18:48 ID:uxsS+llz

「さて・・・」
4人は呪博士を取り囲んだ。

「・・・待て、取引をしよう。私が知っている限りのゼティマの情報を・・」
「ダウンロードしました。」
スカイライダーは磁気テープとDVD数枚と、念のためハードディスクまで持っていた。

「・・・おい、私の心臓が停止したらこの基地は無数の爆弾で吹っ飛ぶぞ。それでもいいのか?」
「あさ美ちゃん・・」

「うん、知ってる。停止後5分で爆発するんでしょ?この司令室から脱出ルートは6本。
 私たちの足なら最短2分、最長4分」

「・・・・」

「残るパターンとしては、本人が怪人に変身して闘うぐらいだけど・・」
「でもそれって、たいてい隊長とか幹部より弱いんだよね。」
「そうそう、あっさり負けちゃうの。」

「・・・貴様らぁ!私をコケにするのもいいかげんにしろ!」


329 :名無しスター:03/11/21 18:50 ID:uxsS+llz

突然呪博士の体が青白く光った。

頭が裂け、虫のような目と口が姿を現す。
色は濃い紫だ。

腕も足も体中全てが巨大化していく。
足と腕はそれぞれ2つに裂け全部で8本になった。

4本の腕の先には刃物のように鋭い爪が光り、無気味にカチャカチャと音を立てている。

「グォォォォォ・・・・」

不気味な声を出し、上からライダー達を見下ろした。
口から粘液質の液体が落ち、ジュッという音を立てて床を焼け焦がした。

「・・・貴様ら、とうとう私を本気で怒らせてしまったようだな・・・」

見るもおぞましい、まるで巨大な蜘蛛のような姿だった。


330 :名無しスター:03/11/21 18:50 ID:uxsS+llz







・・・でもやっぱり弱かった。








331 :名無しスター:03/11/21 18:53 ID:uxsS+llz

4人が出口から脱出すると、直後に大爆発が起こった。

「ふう、危ない危ない・・・」

「愛ちゃん、しつこいぐらいに追い討ちかけるから・・・」
「ごめん、ああいうタイプって何度も生き返りそうで怖くて・・・」

「派手に燃えてるね・・・」
山のあちこちで爆発が起こり、北信越支部は跡形もなく吹き飛んだ。

おそらく「火山の噴火」としてマスコミは伝えるのだろう。


Xライダーはその様子をじっと見つめていた。


332 :名無しスター:03/11/21 18:55 ID:CXq6jlw0

「お父さん・・・やったよ。」

しかし、呪博士の言葉が頭に浮かぶ。

『・・・私はゼティマに利用されていたのだよ・・・この組織も乗っ取られ・・・』

あれは果たして本当に父の仇だったのか・・・


いや、真の敵は他にいる。


「・・戦いはまだ始まったばかり、か・・・・」

「愛ちゃ〜ん。何してるの?帰るよ〜。」
後ろから3人の声がした。

高橋は大きく息を吐くと振り返って歩き出した。
「うん・・・今行く!」

「疲れたね。」
「長い一日だったね・・・」
「おなか空いた・・・」
「先輩達、心配してるかな?・・・」

4人はバイクの方へ歩き出した。辺りはすっかり暗くなっていた。


333 :名無しスター:03/11/21 18:58 ID:CXq6jlw0

その様子を隣の山から監視していた4人の改造人間は驚きを隠せなかった。

「・・・壊滅か・・・」
「手を貸す暇もなかった・・」
「まさか・・・」

「・・・『勢い』ってすごいね・・・・」
赤い仮面の改造人間、V3が半ば呆れつつ言った。

「若いっていいよね・・・」
アマゾンがつぶやく。

「あの4人、強くなったね。」
ストロンガーは驚きながらも嬉しそうな様子だ。

「どうしよう、帰ってきたら褒めてあげる?」
スーパー1が3人に聞く。

「いや、そうするとあいつら調子に乗っちゃうから、少しシメてやろうよ」
「そうだね。私達から見たらまだまだだもんね・・・」
V3とアマゾンは顔を見合わせて笑った。


334 :名無しスター:03/11/21 18:59 ID:CXq6jlw0

「でもさ、新垣のこと・・・」
「うん・・・放っておくわけには行かないね。」

「まったくもう・・それならそうと言ってくれればいいんだよ・・・」
「しょうがないよ、私達『単純』だもん」

ストロンガーがそう言うと全員が笑い始めた。

「言いたいことを言ってくれるよね。」
「・・・否定しないけどね。」

「たぶんおいらもすぐ助けに行っちゃうよ・・・」
「でも、本当にどうしよう・・・」

「困ったね・・」

4人は暗い顔で話し合いながら山を下り始めた。

すぐ近くには北関東支部最強の4人の改造人間、通称「四天王」が倒されていた。


335 :名無しスター:03/11/21 19:01 ID:CXq6jlw0

「なんということだ!」

報告を受けた本部の会議場では悲鳴が上がっていた。

「いくら支部長が不在で統率が取れなかったとはいえ、決して弱い支部ではないぞ・・・」
「まさか奴らが攻めに出るとは・・予想外だ!」

「うちの4人も連絡が取れない。四天王までまとめて倒すとは・・・奴ら、化け物だ・・」
北関東支部長は頭を抱えた。

「・・今回のメンバーは『二線級』のはずだ。しかもたったの4人・・この分では主力は・・・」
「いや、実は奴らの隠し玉だったのかも・・・」

「どうするのだ?明日にでもうちの支部が襲われるのかも知れんのだぞ!」
「いや、まずは北信越支部の再建について考えねば。それと逃げた改造人間達の処分を・・・」

「処分だと?そんなもったいないことをするなら全部うちにくれ!あの4人がやられた代わりだ。
 ・・・今のままでは怖くて支部に帰れない・・・」
北関東支部長は情けないことを言い出した。

「・・・一から新しい支部を作る予算は当面出せない。周りの支部でなんとか・・」
「無理だ!本部から応援を出してくれ!」
「見殺しにする気か!」

本部の中堅幹部の発言に全支部長が一斉に抗議した。


336 :名無しスター:03/11/21 19:03 ID:Fs8dv0Gv

「・・だいたいどうして支部長が不在だと知ってたのだ?まさかスパイが・・」

「・・・ライダーの情報が間違っていたではないか!本部の情報部の責任問題だ!」

「手を広げすぎだ!前のように関東だけに集中するべきではないのか?」

「支部で何とかしろと言うのなら上納金の金額を減らしてくれ!」
「その通りだ、あれだけの予算を本部は一体何に使っているのだ!」

「知っているぞ!莫大な予算を使って大幹部の通勤用に空間転送装置を作ってるそうだな・・」
「本当か?!無駄遣いだ!ジェット機やヘリで十分だ!」

「貴様ら!上層部を批判する気か!今の発言は許さんぞ!・・・・」


337 :名無しスター:03/11/21 19:03 ID:Fs8dv0Gv

「やれやれ・・・」
ある支部長がウンザリした表情で言った。

「予算・責任・命令か・・・こういうことが嫌いだから外務省を辞めて、
 改造手術まで受けて悪の道に入ったのに・・」

「まったくだ・・これでは議員をしていた頃と何も変わらん・・・」
隣の支部長も腕を組み、ブスッとした表情をして議論を眺めていた。

「これからいろいろ金がいるな・・また支部を奥に移して住宅地でも売るか?・・・」
「いっそゼティマの技術で特許を取って一儲けした方がいいんじゃないか?」

「強盗も最近リスクが大きいしな。すぐにライダーか守備隊が飛んでくる・・」
「しかも今度の首相はなかなか言うことを聞かん。Z対なんてものを作るし・・」


「・・・ちょっと待てやぁ!金沢はもともとうちのシマじゃけぇの!・・」
どこかの支部長が大声でわめき出した。

「はぁ・・・」
「はぁ〜あ・・・」
二人の支部長は大きくため息をついた。

会議はなかなか終わりそうになかった。


338 :名無しスター:03/11/21 19:06 ID:Fs8dv0Gv





                       つづく(次回最終話)

339 :名無し募集中。。。:03/11/21 23:51 ID:vzsWr6R8
すごい。凄すぎる。

340 :名無し天狗@岡部政明:03/11/22 00:15 ID:WBZXGWeg
「孤高のトランペッター…まいは、
 加護・つんく両博士によって造られた人造人間・キカイダー01である。
 キカイダー・ビジンダーと違い、良心回路を持たない彼女は一切の躊躇いも見せず
 太陽エネルギーの力でダーク・シャドウ・そしてゼティマに挑む!!」

341 :ナナシマン:03/11/22 02:07 ID:EwGGmFwJ
板立ててみました。打ち合わせスレはこちらです。
http://jbbs.shitaraba.com/music/bbs/read.cgi?BBS=6849&KEY=1069433973

 他の娘。ライダー作者さんや今後登場するであろう他の娘。変身ヒーローもの
の作者さんにも使っていただければと思い、当面の仮名として「モ板(変身!)」と
しました。


342 :名無し募集中。。。:03/11/22 08:41 ID:frFzZ+D0
>>341
サーバーが見つかりません…。

343 :ナナシマン:03/11/22 12:12 ID:UPEC5WP9
>>342さん
 現在仕事中ですので、その時間帯に何が起きたのか把握しかねますが、今は
大丈夫だと思いますのでもう一度お試しください。

344 :名無し天狗:03/11/22 12:14 ID:Auxf1Eym
>ナナシマンさん
行けました。因みに>342は実は私…。

345 :名無しスター:03/11/22 12:14 ID:7aLdVMkh

最終章 「先輩」

深夜近くになって、ようやく4人は中澤家に帰ってきた。
リビングに入るなり、いきなり怒鳴り声が響いた。

「あんたたち!勝手なことばかりして、危ないじゃないの!何かあったらどうするの!」

そのあまりの勢いに4人ともリビングの入口で固まってしまった。

「裕ちゃん・・・」
「まだ4人とも何も言ってないよ・・・」

「あ、そうか・・・」
飯田と安倍にそう言われると、中澤はゆっくりと深呼吸をした。

にっこりと笑い、4人に話しかける。
「・・お嬢ちゃんたちぃ、こんな遅くまでどこで遊んでたのぉ?怒らないからお姉さんにお話ししてごらん?」

「・・・こ・・・怖い・・・」

「・・今日一番怖い・・・」


346 :名無しスター:03/11/22 12:17 ID:7aLdVMkh

「・・・そうか・・まあそういう成り行きやったらしゃあないな・・・」

「すいません・・・」

「これからはあまり無茶したらあかんで。でも4人ともいい経験になったやろ。・・・それと小川。」
「はい。」

「あんまり1人で突っ走ったらあかんで、ちゃんとみんなに相談しいや。」
「はあい。そうしまあす。」
小川は中澤の前ではなぜか甘えたような仕草を見せる。

「・・・・・新垣もな。」

「・・・・・はい。」

「じゃあ今日は遅いし、みんな早く・・・」

「あの、中澤さん。来週ぐらいにみんなで花巻に行きません?」
紺野が突然妙な提案をした。


347 :名無しスター:03/11/22 12:18 ID:7aLdVMkh

「花巻?岩手の?なんや、わんこそばでも食べに行くんか?」

「あそこの支部は守りが薄いんですよ。」
「そうそう。私、お弁当作りますから。」

「・・人の話聞いとったんかい・・」

「でも〜、私、いま成長期なんですよお。闘う相手が欲しいんですう。」
小川が上目遣いで手をすりながらお願いした。

「あかん!あかん!来週行ったって、明日行ったってこの情報どおりなわけがないやろ!」
中澤がDVDを振り回して怒鳴った。

「・・・私も試したい技がたくさんあるのに・・」
紺野も残念そうな顔をした。

「あんたらなあ・・・」


348 :名無しスター:03/11/22 12:18 ID:7aLdVMkh

「・・そんなに力が有り余ってるなら・・・」

「私たちが相手をしてあげる。」
4人の後ろから飯田とケイが声をかけた。

「・・・あ、いや、あの・・」

「あさ美ちゃん、今日の特訓サボったね?」
安倍がにっこりと紺野に話しかけた。

「・・・あ、ごめんなさい・・」

「お豆ちゃ〜ん・・・」
矢口がそう言って新垣に近寄る。

「待って、新垣は私が相手をしてあげるよ。」
間にひとみが割って入った。


「・・さあいらっしゃい。今日はたっぷりしごいてあ・げ・る。」

飯田が優しくそう言うと、全員地下室へ消えていった。

「・・・さて、どうしたもんか・・」
中澤は目の前のDVDや磁気テープを見て考え込んだ。


349 :名無しスター:03/11/22 12:22 ID:ehzQAe12

「さ、いつもどおり好きにかかっていらっしゃい」

「あの〜・・飯田さんたち、ひょっとして今日あそこにいました?」
Xライダーが聞いた。

「え?何の話?私たち支部の隣の山になんか行ってないよ。ねえ?」
「隣の山?」

「しまった・・」

「カオリぃ・・・」

「実はその隣の山で、怪人が倒されていたんですよ。」

「あ!あの4人は私たちじゃないよね!ね、みんな!」

「4人?」
「・・・みなさん、あそこにいたんですね?」

「なっちぃ・・・」
あまりに嘘の下手なスーパー1とストロンガーを見て、アマゾンと矢口は呆れていた。

キカイダーだけはキョトンとしている。

「やっぱり助けに来てくれてたんだあ・・・」
そう言ってZXが目を潤ませた。


350 :名無しスター:03/11/22 12:24 ID:ehzQAe12

「あの、ひょっとして私のことも・・・」
イナズマンが心配そうにつぶやいた。

「え?いや、知らないよ。里沙ちゃんのお母・・モガモガ!」

「知らない!知らない!新垣のことなんて何にも知らな〜い!」
あわててスーパー1がストロンガーの口を塞いだ。


「・・・・・」
とことん嘘の下手な2人の姿を見ながら、アマゾンと矢口はうなだれていた。

「・・・はい、わかりました!」
イナズマンはそう言って少しだけ嬉しそうに笑った。

「あの・・・先輩達から見て私たちの今日の闘い方はどうでした?」

「まだまだね。さ、その鼻っ柱を折ってあげるからかかってらっしゃい。」

「はい!よろしくお願いします。先輩!」

4人は元気に走り出した。


351 :名無しスター:03/11/22 12:26 ID:ehzQAe12
「どう?解析できた?」

中澤の部屋には石黒と加護、辻、梨華が集まっていた。

「DVDの方は簡単やったわ。・・・けっこうすごい情報やな。」
「すごいのれす。」
「愛ちゃんたちすごいやんか。」
「大戦果だよね。」

「・・・そう喜んでばかりもいられへんわ。支部の情報は充実してるけどな・・」
「本部の情報が少ないね・・・」

「じゃあ、まず支部を全部つぶすのれす。」
「あさ美ちゃんの言うとおり、花巻がええ感じやな・・」

「あんた達までバカなこと言ってんじゃないの・・」
中澤がはしゃぐ辻と加護に釘を差した。

「多分こっちが本命なんやろうな。・・」
中澤は映画のフィルムのような磁気テープを持ち上げながら言った。


352 :名無しスター:03/11/22 12:27 ID:ehzQAe12

「そっちのデータは読めないの?」

「データを吸い出そうとしたらあのザマや・・・」
中澤はガラクタと化したパソコン達を指差した。

テープを機械にかけ再生したとたんパソコンが沈黙し、二度と起動しなくなった。
他のパソコンに変えても同じだった。

「今うちでまともに動くパソコンはこのノート1台だけや・・・」

「あっ、私のVAIOまで!・・・裕ちゃん、ヒドイよ!・・・」
「大丈夫や、ちゃんとバックアップは取ってあるから。」
「そーゆー問題じゃないよ!・・・」

石黒は買ったばかりのノートを手にして泣きそうな顔をしていた。

「まあそんなわけやから、しばらくみんな食事はご飯と漬物だけやで。」

「う・・・」
「あう・・・」


「そんなことより・・・」
「うん・・・心配やな。」

石黒と中澤は顔を曇らせた。

「なにがれすか?」

「・・・向こうを本気にさせてなければええんやけどな・・」


353 :名無しスター:03/11/22 12:30 ID:7Xanw0mO

地下室では特訓が続いていた。

「あさ美ちゃん、ちょっとタイム・・・」
「どうしたんですか?安倍さん」

「小川・・・今日は遅いし、そろそろ終わりにしない?」
「何でですか?ケイさんらしくないですよ?」

「高橋・・そのライドル使うのやめてくれない?」
「え?いつも使ってるじゃないですか。」
「だめ!とにかくだめ!今日からだめなの!」


「さあ、私の攻撃をよけてみなよ!・・・・」

「逆転チェスト逆転チェスト逆転チェスト逆転チェスト逆転チェスト・・・」

「・・ま、真面目にやれー!」
「えー?ひとみさんまでそんなこと言うんですかぁ?」

「こりゃマズイな・・・」
矢口は4人の予想以上の成長を見て戸惑っていた。


354 :名無しスター:03/11/22 12:31 ID:7Xanw0mO

「今日の私、強いですか?」
スカイライダーが多彩な技を繰り出す。

「自信もって闘っていいですか?」
イナズマンが超変則的な、トリッキーな攻撃を仕掛ける。

「今日の私、力強いですか?」
ZXのパワーがみなぎる。

「まっすぐにぶつかって平気ですか?」
Xライダーのマーキュリー回路に火が入る。

4人はいったん離れて構えをとり、ほぼ同時に叫んだ。

「・・・先輩!」

特訓は深夜に及んだ。


355 :名無しスター:03/11/22 12:32 ID:7Xanw0mO
翌朝、玄関の前・・・

「・・・あ、あれ?カオリも?」
「なっちも?」

「うん・・あれじゃどっちが特訓受けてるんだか分かんないもの・・」
「だよねぇ・・」

そこへあくびをしながらケイが現れた。

「・・あ!ケイちゃんも!」

「あれぇ?・・2人ともひょっとして・・・」
「うん、今日から朝錬するの。」
「あの4人に負けるわけにはいかないもんね・・」

「・・ということは、そろそろ・・」

3人が玄関を見ていると、矢口が赤いジャージにハチマキ姿でストレッチをしながら出てきた。

「・・やっぱり来た!」

「・・・あれ、みんなどうしたの?」
「あんたと同じよ・・・」


356 :名無しスター:03/11/22 12:34 ID:7Xanw0mO

「・・みんな考えることはいっしょだねぇ。」

「じゃあ、とりあえず4人で走ろっか。」

「・・ちょっと待ってよ!」
その声に4人が振り向くと、白いスウェットに身を包んだひとみが立っていた。

「うそ・・」

「マジで?・・」

「どういう風の吹き回し?」

「・・なんでよ!別にいいじゃない。わたしにだって意地があるんだから・・」

「まあまあ、いいじゃん。みんな一緒にトレーニングしようよ。」
矢口がそう言うとようやく全員で走り出した。


357 :名無しスター:03/11/22 12:35 ID:SN3rktKh

ひとっ走りした5人は公園のベンチでへたり込んでいた。

「ふう・・・」
「結構しんどいね・・・」

突然、遠くから聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「・・先輩〜!」

「げっ!」
「なんであんたたちここにいるの?」

「私たち毎日ここでトレーニングしてるんですよ。ねえ?」
紺野の言葉に高橋と小川と新垣がうなずいた。

「あ・・・そうなの?」


358 :名無しスター:03/11/22 12:38 ID:SN3rktKh

「先輩達は今日からですか?」

「いや、あの・・」

「一緒にやりましょうよ。」

「・・・冗談じゃない!」
「あんたたちはもう当分強くならなくていいの!」

5人は慌てて走り出した。

「あっ!」
「どうしたんですか?」
「待ってくださいよ!」
「先輩〜!」

4人が走って追いかけた。

まるで学校のクラブ活動のような光景だった。
普通なら全員そのぐらいの年頃である。

散歩やランニングに来ていた人達は、元気に走り回る彼女達の姿をにこやかに眺めていた。
まさか彼女達が命を懸けて正義のために闘う改造人間などとは誰も夢にも思わない・・・


柔らかい陽射しが降り注ぐ穏やかな朝だった。
季節はもう冬になろうとしていた。


「5」おわり

359 :名無し天狗@小林修:03/11/22 12:51 ID:Auxf1Eym
名無しスターさん慰労の意も込めて

「ヴィーナス星団はセクシー星からやってきた、その名も星雲仮面マシンマリ!
 彼女は地球では矢口真里を名乗り、子供たちの笑顔を奪う悪と日夜戦い続けるのだ!!」

360 :名無し募集中。。。:03/11/22 13:03 ID:UPEC5WP9
お疲れ様。新鮮で味のあるストーリーで良かったでつよ。

361 :名無し募集中。。。:03/11/22 14:17 ID:zcJq5Ept
キ、キングダークまで……(涙
いやしかし面白いわ。こういうのも良いね。


362 :名無し募集中。。。:03/11/22 15:29 ID:0zfQe/wh
あぁ、ろくな出番も無いままGODが次々と(w。でも実際面白かった。

363 :名無し募集中。。。:03/11/22 15:29 ID:0zfQe/wh
あと途中に挿入されるキャラ紹介もそれっぽくていい感じ。

364 :名無しスター:03/11/22 17:18 ID:fGdT61Lc
>>361-362
そこら辺りが後編を書く前に少し悩んだことですが。

私が偉そうに言うことではないですが、「本編の話を少しでも進めたい」
という考えが根底にあるのです。

それと燃えろ!兄弟拳さんの「ハメを外さないか」の一言が一番のきっかけだったり。
詳しくは相談スレで書きますが・・・


まあ、やっちまったもんはしょうがねえやな(w

365 :ナナシマン:03/11/22 23:33 ID:diH+IxF4
http://jbbs.shitaraba.com/music/bbs/read.cgi?BBS=6849&KEY=1069510488
 作品に対する忌憚の無いご意見などを頂きたく、このたび新たにスレッドを
立てさせていただきました。本スレで書き込みにくいご意見・ご感想でもお寄せ
いただければと思います。スレの1が少々そっけないのですが、よろしくお願い
いたします。




366 :ナナシマン:03/11/22 23:44 ID:diH+IxF4





 『復讐とは冷めると不味い料理である』

            

 


367 :ナナシマン:03/11/22 23:46 ID:diH+IxF4
第48話 「友よ!魔道に咲いた修羅の花」




 殺された友の仇を求め、さすらいの旅を続ける一人の少女がいた。悲しみを
乗り越え、幼いながらに生き馬の目を抜くが如き娑婆を渡り歩く少女は生きる
ために、彼女は様々な技を極め生業に生かしてきた。復讐の牙を研ぎ澄まし
ながら、悲しみの夜を超えて少女はたった一人で生きてきた。誰にも組せず、
ただ一人往く娘。彼女の名は紗耶香。彼女の物語は、ある出来事から始まる。


 それはある雨の日の夜のことだった。宇宙開発のための研究施設であり、
後に惑星開発用改造人間スーパー1、後の仮面ライダースーパー1を生んだ
E&Sでの飛行士訓練を受けるべく、渡米を来月に控えていた紗耶香。
そんな彼女の壮行会が、友人宅を会場にクラスの仲間たちによって行われて
いた。少女達の笑顔があふれるパーティは終始和やかな雰囲気で進んでいたが、
やがて終わりに近づいた頃、不意に彼女の携帯電話が鳴った。スカートの
ポケットの中から探り当てた携帯電話、その表示部分には見慣れた少女の名前
があった。


368 :ナナシマン:03/11/22 23:47 ID:diH+IxF4
 『着信:明日香』

 (明日香のやつ・・・何だよ、今頃かけてきて・・・)

 電話の主は彼女の親友である福田明日香であった。当初紗耶香は明日香も
パーティに誘っていたのだが、明日香は再三の誘いにもかかわらず、この時間
まで顔を出すことは無かった。バイトがどうしても抜けられない、と彼女は言って
いたのだが、他校の生徒であることを気にして紗耶香とその友人達に気を使った
のかもしれない。

 「はい、もしもし市井ですが」

 電話の向こうから聞こえてきたのは、いつもと変わらぬ親友の声。壮行会に
行けなかった事を一言詫びた後で、明日香は紗耶香に言った。

 『ねぇ、これから・・・時間あるかな?』

 「うん、大丈夫だけど?」

 『それじゃ、いつもの公園で。待ってるから』

 「うん。じゃ、後で」

 そっけない電話口の言葉にも、いつもの事と笑顔で応える。旅立つ友の顔を
見ておきたいと言う気持ちはやはり抑えきれないのか、明日香はほとんど一方的に
約束をとりつけてさっさと電話を切ってしまった。

369 :ナナシマン:03/11/22 23:52 ID:diH+IxF4
 「ホント、あの子らしいよ・・・」

紗耶香はそう言って一人つぶやくと、再びポケットの中に携帯電話をしまう。仲間
達に別れを告げて友人宅を後にすると、紗耶香は約束の公園へと駆けていった。

 時計は既に夜の9時を回っていた。少なくとも女子生徒が外を出歩いているのを見て
あまり良い顔はされない時間帯である。今日日塾や習い事でこれくらいの時間に帰宅
するとは言っても、やはり大人はそんな少女達に心配のまなざしを向けることだろう。
しかし、今の紗耶香にはそんなことは全く関係ない。日本を離れる前に、どうしても
会っておきたかった親友が待ってくれているのである。時間など関係なしに、彼女は
会いに出かけただろう。


370 :ナナシマン:03/11/22 23:52 ID:diH+IxF4
 すると、そんな彼女の邪魔をするかのように突然雨が降り始めた。しかし、紗耶香
には雨宿りをする暇などありはしない。この降り出した雨の中で、明日香が一人自分の
ことを待っているかもしれない。そう思うと、雨になど構ってはいられなかった。
 土砂降りの雨の中、息を弾ませて公園への道を急ぐ紗耶香。この先の角を曲がれば、
公園まではすぐそこだ。と、そんな彼女のすぐ脇を、けたたましいサイレンを鳴らし
ながら一台の救急車が水しぶきを蹴立てて走っていく。その直後、回転する赤い閃光の
眩しさに一瞬立ち止まった少女の視線の先で救急車は停車した。そう、そこは約束の
場所、親友の待つ公園の前を横切る道路であった。
 胸騒ぎを覚えた紗耶香は脇目も振らずに公園への道を急ぐ。息を切らせて駆けつけた
彼女は、取り囲む人だかりの中をストレッチャーに載せられて救急車へと運び込まれる
一人の少女の姿を目撃することとなった。


371 :ナナシマン:03/11/22 23:52 ID:diH+IxF4
今日の分はここまで。また明日お目にかかりましょう。

372 :名無し天狗@小林修:03/11/23 00:49 ID:6zlazorJ
今後への期待も込めて

「海蛇座第V星団の守護神ペガサスに、そのペガサスの心を持つ者として選ばれた
 二人の娘・・・村田めぐみと、大谷雅恵。
 幼き日より姉妹のように育った彼女たちは、ペガサスから与えられた不思議な力で
 姉妹拳バイクロッサーとなり、自らの欲望のために人々を泣かせるデスターと
 世界征服を目論むゼティマを相手に戦うのだ。
 飛べ!バイクロッサー・メグミ!走れ!バイクロッサー・マサエ!」

373 :ナナシマン:03/11/23 22:30 ID:o8N/U6HA
 「どうしたんだ?」

 「何かひき逃げらしいよ・・・女の子が」

 「助からないかもね・・・」

 野次馬の喧騒を掻い潜って、紗耶香は毛布に包まった少女を乗せたストレッチャー
へと駆け寄る。毛布に覆われたその下から、かろうじて覗く少女の髪と目が紗耶香の
視界に入り込んだその時、その刹那に彼女が己の目に焼き付けた残酷な事実が心を
激しく揺さぶり、どん底に叩き落とした。

 「明日香っ!しっかりして!明日香っ!!」


374 :ナナシマン:03/11/23 22:31 ID:o8N/U6HA
 突然現れてわめき散らす少女の姿に、怪訝な視線を送る野次馬達。そんな人々の
声など無論紗耶香の耳に届いているはずはない。なおも降りしきる冷たい雨が
紗耶香の身体を、そして心を叩く。とその時、そんな彼女を見かねたか一人の
救急隊員が声をかけてきた。

 「あなた、この子の友達?」

 「・・・明日香は、あの子は助かるんですか?!」

 「とにかく乗って。あんたまで風邪を引いてしまう」

 かくして一段と強さを増した夜の雨の中、雨粒が叩きつけるアスファルトに轍を
残し、二人を乗せた救急車は一路救急病院へと走り出した。生と死の狭間でゆれて
いるであろう親友の命。その身を案じ引き裂かれんばかりの思いを抱え、紗耶香は
ただひたすらに友の命の無事を祈っていた。 



375 :ナナシマン:03/11/23 22:32 ID:o8N/U6HA
 飲み会が入ってしまったせいで今日の分は少量の更新となってしまいました。
申し訳ありませんが、続きはまた明日。

376 :名無し天狗@沢りつお:03/11/24 18:43 ID:PD/j1+aB
「カゲスター=後藤祐希とベルスター=成膳任はそれぞれの正義の心が
 それぞれの影に宿って実体化した影の魔人である。
 影の魔力を駆使して、日常の平和を脅かす諸悪と戦うのだ!!」

・・・もう終わったのはわかりますが「全キャラ網羅」を宣言した手前…。
あと、ソニンの本名の字、これ(成膳任)で合ってましたっけ?

377 :名無し募集中。。。:03/11/24 21:17 ID:hjckkXr4
保全。

378 :ナナシマン:03/11/24 23:21 ID:K09j1KWB
 救急病院での治療が始まった。その間紗耶香は病院が貸し出してくれた毛布に
包まったまま、友の無事だけを祈り待ち続けていた。そして、日付は翌日に変わり
時間は既に深夜。緊急救命室のドアが開き、中から疲れきったような表情を浮かべた
一人の医師が姿を現した。

 「先生、明日香は・・・」

疲労困憊のあまり眠りに落ちかかっていたが、ドアの開く音に目を覚ました紗耶香
すがるような思いで医師の元へと駆け寄る。30代くらいの比較的若い、落ち着いた
感じの男性だった。彼は憔悴した紗耶香の表情を見るや、彼女の両肩に手を置き、
疲労の色をにじませながらも笑顔で応えた。

 「お友達は大丈夫ですよ。腕と脚に複雑骨折があるけれども、命に関わる大事じゃ
ないから安心して。今日のところはおうちに帰ってゆっくり休むといいですよ」

明日香の命が救われた。紗耶香の顔に安堵の表情が浮ぶ。と、不意に脱力感が襲い
思わずその場にしゃがみこんでしまった。やがてあふれ出す安堵と喜びの涙をぬぐい
ながら、彼女はタクシーを呼ぶと医師に後を任せて救急病院を後にした。


379 :ナナシマン:03/11/24 23:21 ID:K09j1KWB
 その後旅行に出かけていた両親も事故を知って病院へと駆けつけ、ひとまずの
無事を確認して安堵のうちに帰途に着いたようだった。当の明日香は翌日には意識を
取戻したが、当面1ヶ月は入院する必要があるという事で、地域でも最新の施設を
もつ総合病院へと移った。その間、紗耶香はほぼ毎日のように明日香の病室を訪れて
は、その日の学校での出来事や日常の些細な話をした。明日香の方も退屈な入院生活
を送る上で、紗耶香の存在は大きかった。

 「紗耶香が来ると退屈しないですむからね」

 「へへっ。そう言ってもらえると嬉しいけどね」

 腕の包帯が痛々しかったが、紗耶香が訪れるたびに明日香はそう言って笑っていた。
あの夜のことは不幸な事故だったが、明日香はこうして生きている。そのことに感謝
したい。このまま彼女が回復してくれれば、自分は何の憂いも無く渡米できる。
紗耶香の頭の中からは事故そのものの存在は薄れ、その目にはただ親友が順調な回復
を見せる姿だけが映っていた。


 運命の日、四月九日を迎えるまでは・・・。






380 :ナナシマン:03/11/24 23:27 ID:K09j1KWB
 以上が、四日ほど前に見つかった書きかけのストーリーに若干加筆したものです。
V3誕生編と大体同時期に書いていたものの、その後比較的早い段階でライダーマン
登場編を書き始めた関係上、中座してしまったものだったと記憶しています。

 ストーリーの練り直しをしながら書いている関係上、続きはもしかしたら明後日になる
かもしれません。それでは、また次回。

>>名無し天狗さん
 確か合ってたはずです。逆にユウキの方が知らないんですが(w。


381 :名無し天狗@沢りつお:03/11/24 23:42 ID:zKx7MM3p
>ナナシマンさん
スイマセン!もっと詳しく調べたらユウキの名前の字、間違ってました!!
よって>376はNG、ってことでTAKE−2!!

*[ ]内が訂正箇所です。

「カゲスター=後藤[祐樹]とベルスター=成膳任はそれぞれの正義の心が
 それぞれの影に宿って実体化した影の魔人である。
 影の魔力を駆使して、日常の平和を脅かす諸悪と戦うのだ!!」

大変失礼しました。

382 :ナナシマン:03/11/25 00:20 ID:R3gAPJbX
>>379
 日付に誤りがありましたので訂正いたします。『四月十八日』の間違いです。
お詫びして訂正いたします。

383 :名無し天狗@中江真司:03/11/25 12:28 ID:lgc4iiPj
「変身忍者嵐は、越前美浜藩の五木家に仕えるくノ一のユキである。
 彼女の宿敵血車党は、美浜藩から奪った秘伝を元に造った化身忍者を操って、
 日本征服を企む恐怖の忍者集団である。
 その彼らとの戦いで重傷を負ったユキは変身忍者嵐として蘇り、日本の平和を守るために
 血車党と戦うのだ!」

384 :名無し募集中。。。:03/11/26 21:26 ID:50gatiAL


385 :ナナシマン:03/11/26 23:03 ID:+26KQC0r



 『命の道を行く女 涙はとうに捨てました』

             ─── 修羅の花/唄:梶 芽衣子より





386 :ナナシマン:03/11/26 23:03 ID:+26KQC0r
 前日まで続いていた長雨も止み、久々の晴れ模様となった四月十八日の
正午。すでに下校途中に病院に立ち寄り、明日香の顔を見ることが紗耶香
の日課になっていた。

 明日香の入院している総合病院は小高い丘の上にあり、路線バスは丘を
下ったところを走る道路の前でしか停車しない。そのため病院まで歩く
労力を考えてほとんどの患者や見舞客はタクシーを利用し、バスでこの
病院に足を運ぶ者は紗耶香のような、そう多くない小遣いの中から運賃を
捻出するような学生くらいしかいなかった。

 バスを降り、紗耶香は病院までの道を歩く。少し強い日差しの中、今朝方
の曇天模様を気にして傘を持ってきてしまった紗耶香はそのことをぼやき
ながらも、友のことを思い歩を進める。やがて彼女は病院の正門をくぐる。
そのころには中央玄関とその付近に行き来する車の姿を見ることが出来た。
しかし、そのころから彼女は少しだけいつもと違う、微妙な空気を感じ
始めていた。



387 :ナナシマン:03/11/26 23:03 ID:+26KQC0r
 病院の玄関付近のロータリー、そして駐車場に見える車の様子がいつもと
違っていた。客待ちのタクシーが一台もいないのは出払っていたからだろうが、
それにしても不思議なのは同じ型の黒塗りのバンとセダンが数台、なぜか等間隔
で止められていることだ。黒いセダンに乗っているのは政治家か暴力団、紗耶香
の頭にはそんな認識があった。だから最初は、その手の関係者が連れだって
やってきたのだと思った。

 (うっわぁ・・・これ絶対ヤクザ屋さんかなんかだ・・・)

 見つかって妙な因縁でも吹っかけられたら大変だ、と紗耶香は小走りに玄関へ
と急ぐ。どうせ中から出てくるのは無頼の輩、関わり合いになるのは危険という
ものだ。すぐに紗耶香は玄関の自動ドアを抜け、見舞客用の受付へと向かう。
このころには受付の事務員とも顔なじみになっており、紗耶香を見るなり受付の
手続きを省略してすぐに外科病棟へと通してくれた。

 「お友達、早くよくなるといいですね」

事務の女性がかけてくれた何気ない一言が、紗耶香にはとてもうれしかった。



388 :ナナシマン:03/11/26 23:05 ID:+26KQC0r
 明日香の病室へと向かうその途中、紗耶香は数人のナースを連れた医師と
行き会った。その姿を認めた紗耶香の会釈にも、まるで気づかないようなそぶり
を見せる医師達。
 せっかく挨拶しているのに、と少しむっとした様子で彼らを見送る紗耶香。
そんな彼女の視線がナースの一人と交錯した。その時である。紗耶香と目が
あったナースが、すれ違いざまに意味ありげな微笑を浮かべていたのである。
彼女は明らかに紗耶香のことを笑っていた。微笑と言うよりはむしろ嘲笑
とも言える不敵な笑みだった。紗耶香は憮然とした表情のまま医師達を見送った
が、まずは明日香の顔を見るのが先と思い直し、再び明日香のいる病室へと
歩き出す。


389 :ナナシマン:03/11/26 23:07 ID:+26KQC0r
 そして、程なく紗耶香は明日香のいる病室の前にたどり着いた。壁と同色の
乳白色のドアに『福田明日香』とかかれたネームプレートがかけられている。
ここが明日香の入院している病室だ。ここは個室のため、回診の時でない限りは
通常この部屋の中には明日香一人しかいない。眠っていた場合を考え、紗耶香は
ドアをゆっくりとあけて病室へと入る。そこには、ベッドの上で身を起こして
昼のテレビ番組をつまらなそうに見ている明日香の姿があった。

 「おら、お見舞いにきてやったぞ」

そんな明日香の前に、おどけたような表情で得意の「しんちゃん」の物まねを
しながら現れた紗耶香。やがて二人は顔を見合わせて笑いあう。明るい少女の
笑い声が二人だけの病室に溢れていた。その直後に現れた、突然の乱入者が二人
の絆を引き裂こうなど、少女達には思いもよらないことだった。


390 :ナナシマン:03/11/26 23:09 ID:+26KQC0r
 今日の分は以上です。いよいよ「その時」がやってきます。では、また次回
お目にかかりましょう。

391 : :03/11/27 22:46 ID:oW0FdS5a
ナレーション:松平定知アナ

保全。

392 :名無し募集中。。。:03/11/27 22:56 ID:eBUd0AS2
>391
やめなさいって。(w

393 :ナナシマン:03/11/27 23:17 ID:p7elb9eU
 「福田さーん、回診ですよ」

 不意に扉の向こうから声が聞こえる。どうやら担当医が回診にやってきた
ようだ。しかし、明日香はこの声に対して怪訝な表情を浮かべて言う。

 「おかしいな・・・午後の回診は3時のはずなのに」

 「予定より早まったんじゃない?よくあるじゃん、そういうの」

明日香の疑問に対して、気にすることは無いと紗耶香は言う。だが、なおも
明日香は続けた。

 「ううん。予定が変更になるんなら事前に電話が入ってくるはずなんだ。
あたしの担当の先生、ヘンに几帳面って言うか・・・」

すると、そんな言葉をさえぎるように病室のドアが開く。そこに姿を現した
のは、一人の男性医師と数人のナース達だった。それは先ほど紗耶香が
出会った、あの失礼な一団だ。



394 :ナナシマン:03/11/27 23:18 ID:p7elb9eU
 「福田さん、回診の時間ですが」

 医師もナース達も、その顔には遠慮やいたわりなどという人間味は微塵も
感じられない。まるで作り物のような目から注がれる、冷徹な視線が二人に
突き刺さる。

 「ちょっとねぇ、いくら自分とこの患者だからってノックもなしに病室に
入るなんて失礼じゃない!」

 廊下ですれ違ったときの無礼をまだ根に持っていた紗耶香は、ここぞと
ばかりに非難の怒声を浴びせる。と、その時だ。

 「ごちゃごちゃとうるさい小娘め・・・」

 「係わり合いになると命は無いぞ」

脅迫めいたセリフを口々に吐きながら、医師の後ろに控えていたナース達が
にじり寄る。やがてその能面のような顔には赤い隈取が走り、その顔はまるで
死人のように青ざめた顔へ変化していく。そして次の瞬間、白衣を脱ぎ捨てた
彼女達は、黒いレオタードに身を包んだ怪しげな姿に変わっていた。


395 :ナナシマン:03/11/27 23:18 ID:p7elb9eU
 「あんた達は・・・一体何者なの?!」

急いでベッドから飛び降りた明日香を庇うように、そばにおいていた傘を剣の
ように構える紗耶香。相手は明らかに、自分達に害意を持ってその正体を
現した。ただならぬ気配の中、身構える紗耶香の前に歩み出たのはこの怪しい
女達を引き連れて現れた男性医師だった。

 「もしかして、あんたも偽の医者・・・?」

 「・・・いかにも。見せてやろう、この俺の正体を」

そう言うと、偽医師は両腕を交差して構え、ゆっくりと円を描くようにして
動かす。その怪しい腕の動きにあわせ、男の顔は紫色の鱗に覆われた蛇のような
顔へと変貌していく。そして、脱げ落ちた白衣の下から現れたのは、顔と同じ
紫色の鱗と、黄色がかった蛇腹の身体だった。眼の前で彼は見たことも無い
ような異形の者へと変化したのである。

 「きゃーっ!!」

異形の者のあまりのおぞましさに悲鳴をあげる紗耶香。異形の者の片腕は毒蛇を
象った形をしていて、その毒蛇もまるで一個の生命体のような禍々しい毒気を
放っている。異形の刺客〜怪人の姿は毒蛇の王、コブラを思わせた。

 「俺は『コブラ男』!公園ではしくじったが、今度は間違いなく殺す!」


396 :ナナシマン:03/11/27 23:30 ID:p7elb9eU
 紗耶香はコブラ男に対して傘を振りかざして打ちかかる。しかし、敵の身体を
いくら打ち据えようともびくともしない。右に左に振り下ろしても、コブラ男は
表情一つ変えず平然と紗耶香の攻撃を受け続けている。

 「ちくしょう・・・これならっ!!」

敵はもはや人間の常識など通用しない化け物だ。紗耶香は意を決して、怪人の
懐に飛び込むとその腹に傘の先を突き刺す。だが、5ミリほど先端が突き刺さった
ところで傘は無残に折れ曲がってしまった。コブラ男と視線が交錯した瞬間、
右腕から放たれた強烈な一打が紗耶香を吹き飛ばした。ベッドで腰の辺りを強打
した紗耶香、衝撃で息が詰まってしまった。

 「うぐっ!!」

立ち上がれない紗耶香。そんな彼女の元へと歩み寄ると、コブラ男は首根っこを
掴み、そのまま紗耶香を片手で吊り上げた。

 「それほどまでに死にたければ、お前から先に殺してやろうか?!」

首を掴む手に尋常ならざる力が込められ、紗耶香の頚動脈を締め上げる。意識が
自然と遠のいていき、その視界には徐々に狭まっていく。と、その時。


397 :ナナシマン:03/11/27 23:33 ID:p7elb9eU
 今日の分については以上です。今回の話は誕生前夜編のような感じで、これに続く
次のストーリーが正調ズバット風と言った感じになります。

398 :ナナシマン:03/11/27 23:41 ID:O/cC7Ux3
>その視界には徐々に狭まっていく。と、その時。
「その視界は」ですね。すいません。

 今日の分の更新は以上です。今回の話は誕生前夜編で、正調ズバット編とも言うべき
話はこの後という事になる予定です。ただ前後編ではありませんので、何回か後、という
ことになりそうです。


399 :ナナシマン:03/11/27 23:42 ID:O/cC7Ux3
書き込み失敗した分がそのまま残ってしまいました。失礼しました。


400 :ナナシマン:03/11/28 18:13 ID:gRsgYez1
 「えええいっ!」

近くに置いてあった消火器をとっさに掴んだ明日香が、ピンを引き抜き勢い良く
コブラ男に向かって噴射した。この突然の攻撃に面食らったコブラ男は紗耶香の
首を締め上げていた手を離してしまった。やがて白い煙が病室内に立ち込め、
それが目くらましとなって二人の少女の姿を隠してしまった。その隙に明日香は
紗耶香の手を引き、病室から脱出した。


 途中二人は目にした火災報知器のスイッチを片っ端から押していく。非常ベル
が鳴り響き、スプリンクラーから勢い良く水が噴射される。やがてコブラ男達が
病室から姿を現し、二人の後を追う。少女達は異形の者から逃れるために、ただ
ひたすらに逃げた。


401 :ナナシマン:03/11/28 18:13 ID:gRsgYez1
 一方、建物内の異変は鳴り響く非常ベルによってたちどころに病院の外にいた
者達の知るところとなった。停車していた黒塗りのバンから次々と姿を現した
のは、まるでハリウッド映画にでも出てきそうな、日本では考えられないような
重武装の特殊部隊であった。黒い戦闘服と黒の防弾チョッキ、ヘルメットを装備
したこの部隊は、ある一人の男によって指揮されていた。彼は自分の指揮する
部隊が次々と病院内に進入していく様を車の中から見ていた。

 「それにしても意外でした・・・彼らがこの病院にまで潜入していたとは」

男は自らが「彼ら」と呼ぶ者たちが、明日香の命を狙うことを知っていた。そして
彼女の存在は、男にとっても重要な位置を占めていた。

 「ただいま病院内に進入。ゼティマと思しき者の姿は見えません」

 男が手にした携帯端末に、病院内に進入した部隊からの報告が入る。病院内に
入った部隊からの報告で、彼は中で起こっている出来事の大筋を掴むことが出来
るのである。


402 :ナナシマン:03/11/28 18:14 ID:gRsgYez1
 「あなた方は世界のどの作戦部隊と比較しても上の上の存在・・・ゼティマに
邪魔などさせてはいけない。くれぐれも頼みますよ」

男はパワーウインドウのスイッチに手をかけ、車の窓を全開にして病院の様子を
窺う。その時、戦いの兆候はまだなかった。

 「彼女の知識と研究を渡してはいけません。彼女自身の命を奪ってでも死守
してください。それと病院のほうは放棄してもかまいませんよ・・・証拠隠滅の
ためにはやむを得ません」

そう言うと男は携帯端末の通話スイッチを切った。

 「福田明日香・・・それにしても大した娘です。しかし、彼女の研究がゼティマ
の手に渡れば、我々の優位性が危うくなる。隠密裏に進めてきたことが、すべて
水泡に帰してしまう」

 男は明日香の研究と知識がゼティマに知れることを恐れた。そして研究がゼティマ
の手に渡りさえしなければ、明日香殺害も辞さずとの意志を部下に示したのだ。

 「王の眠りは深い・・・時が満ちるまで、決して誰も近づけてはならない」

男はそう言って車の窓を閉めると、しばしの間物思いにふけっていた。



403 :ナナシマン:03/11/28 18:15 ID:gRsgYez1
今日の分は以上です。続きはまた次回。

404 :ナナシマン:03/11/28 20:02 ID:VfhGYuyy

Φ∧ミ∧     
∩゚Д゚,ミ  standing by...変身!!
ミヾ  ⊃  
ミ[ ]ミ   
 ∪∪   


∋oノハヽo∈
○( ´D`)○ complete
\(  )/
(ノ(ノ 

405 :ナナシマン:03/11/28 21:27 ID:gRsgYez1
もしかしたら明日はお休みするかもしれません。そのときは申し訳ありません。

406 :名無し天狗@中江真司:03/11/29 00:26 ID:+OJgI6Az
ヒサブリにいきます。今回は「劇中」ナレ風です。兄弟拳さんのリクにお答えして・・・

「彼女の名は、中澤裕子。かつて加護・つんく両博士の助手を務めていた彼女は
 あのハカイダー騒動以来、強制的に働かされていた組織…ゼティマへの疑問から脱走。
 今は人知れず悪と戦う戦士たちの生活の支持を一手に担っている。その常人の理解の範疇を超える
 強力な統率力と絶大な威圧感は、敵には恐怖の、味方には畏怖の対象となっている。
 その彼女の素性・過去を知る者は、誰一人として存在しないと言う……。」

407 :名無し募集中。。。:03/11/29 21:08 ID:RsHQWEmK
>>406
 姐さんの解説ワロタ
 そういえば姐さんの素性ってあんまり知られてないね。でもおやっさんの設定とか
シリーズごとに毎回変わるし、気にしなくてもいいのかな。

408 :ナナシマン:03/11/30 20:41 ID:WBUEmhid
 『現在総合受付付近を通過。数名の職員の死亡を確認・・・』

 病院内部に進入した黒ずくめの特殊部隊は、各自が小銃を手に周囲を警戒しながら
施設内をさらに奥へと進んでいく。隊員はそれぞれ真っ黒なヘルメットを被っている
ため互いの表情を知ることは出来ないが、中に何者が待つとも知らず、外の男の
命ずるままに隊伍を組み明日香を捜索していた。

 と、その時である。先頭の隊員が何かを見つけたか、手で後続の隊員を制する。
その動きに従って、隊員は壁に張り付く。先頭に立つ隊員は、銃の先端に取り付け
られたCCDカメラで異変を察知した方向を調べる。カメラに映し出されたのは、
戦闘員達を引き連れて二人の少女の行方を追う改造人間の姿だった。当初明日香と
紗耶香の前に姿を現したコブラ男の配下以外に、新たに黒いベレー帽を被った全身
黒尽くめの男達十名ほどが加わっていた。


409 :ナナシマン:03/11/30 20:45 ID:WBUEmhid
 『・・・真ん中のあれは、もしかして改造人間ってやつか?』

 映像の内容は、既に他の隊員の知るところであった。各自が持っている携帯端末
によって、カメラの映像は隊員の間で共有されているのである。隊員たちは全員、
敵の一団の中に未知の者の姿があることを知っていた。この事が、作戦の遂行に
おいていかなる障害になるかは判らない。先頭の隊員が敵の動向を注視しながら
外で指揮をとる男への報告を促す。

 『判らん。一応、村上さんに知らせたほうが良いかもしれないな』

 すぐさま隊員の一人が表で待っている男と同じ形の携帯端末を取り出し、まるで
携帯電話でもかけるかのように端末のキーを操作すると、外で部隊を指揮する男に
対して報告を入れた。


410 :ナナシマン:03/11/30 20:45 ID:WBUEmhid
「どうしました?福田明日香は見つかりましたか」

 『いえ、それが少々厄介な相手が現れまして・・・改造人間と思しき敵の姿を発見
しました。蛇型の改造人間です』

 そう言って中にいる隊員は男〜村上峡児に改造人間出現の報を知らせた。しかし
この事態の急転に際しても、村上は表情一つ変えることはない。隊員にはうかがい
知れるはずは無いが、やれやれと言った表情でため息を一つつくと村上は言った。

 「言ったはずです。皆さん方は作戦部隊としては上の上の存在だと。ならば私の
期待に応えるべきでしょう・・・それに」

一瞬間をおき、怪しい笑みを浮かべて一呼吸置くと村上は報告を入れた隊員に対して
こう続けた。

 「オルフェノクが『模造品』などに遅れを取るはずがありません。必要ならば
見せ付けてやればいい・・・あなた達との格の違いをね」

そう言って村上は一方的に通話を切る。ゼティマの改造人間、そして謎の集団。
二つの勢力が拮抗する病院内のサバイバルゲーム。その真っ只中に自分達がいる
ことなど、二人の少女は勿論知る由も無い。


411 :ナナシマン:03/11/30 20:47 ID:WBUEmhid
 仕事が月末整理のため少々少なめになりましたが、今日の分は以上です。


412 :ナナシマン:03/12/01 23:16 ID:2lm4sKZO
 怪しい女達を引き連れた改造人間の手から逃れるべく、少女達は病院内を
逃げ回っていた。火災報知器が作動し、けたたましく非常ベルが鳴り響き
サイレンが激しく明滅する。断続的に降り注ぐスプリンクラーの放水をくぐり、
明日香を連れて紗耶香は行く先も判らぬままに逃げた。

 「がんばって外に出よう?外に出れは何とかなるから!」

肩にすがる明日香を励ましながら、紗耶香は病院の外へ出るべくロビーへと
急いだ。

 しかし、その時二人は背後から近づいてくる者たちの姿に気づかなかった。
非常ベルの音と、スプリンクラーの水の音が二人の注意力を殺いでいたのだ。
二人がようやく自分達を探している者達の存在に気がついたのは、黒い手袋
のような手が少女の肩に伸びたその瞬間だった。



413 :ナナシマン:03/12/01 23:17 ID:2lm4sKZO
 「いっ!!」

 驚きと緊張、背筋を伝う冷たい感覚と共に振り返ると、そこには黒ずくめの
男達がいた。彼らは銃を構え、ただならぬ気配を放ち二人の背後に立っていた。

 『福田明日香だな?』

間違いない、こいつらも敵だ。紗耶香はとっさにそう判断し、男の手を振り払う
と明日香を連れて黒ずくめの男達の前から全力疾走で離脱した。その直後、男達
は躊躇することなく銃を構え、二人に向かって発砲した。

 「うそぉ?!」

自分たちの身柄を拘束できなければ殺すことも厭わない、男たちの意図を察し、
血の気の引く思いのまま紗耶香と明日香は走って元来た道を引き返す。


414 :ナナシマン:03/12/01 23:17 ID:2lm4sKZO
 そして男達の銃声は、もう一方の追跡者であるコブラ男の一団にも聞こえていた。
二人の姿を求めてさまよっていたちょうどその時、階下からの銃声を耳にしたのだ。

 「銃声・・・だと?」

病室から二人に逃げられた直後、アジトからの増援がやってきたことは知っていた。
そしてその増援部隊と合流し、現在の自分達の部隊編成は把握している。

 「増援はお前達だけだったな?」

そう言ってコブラ男はベレー帽の男達の方を見やって言う。その時ベレー帽を被った
赤いスーツの戦闘員が歩み出た。彼は増援部隊のリーダーだったので、コブラ男の
前に歩み出るやこう言った。

 「間違いありません、コブラ男様。本部からの増援は我々だけです」

 「と、いう事は・・・」


415 :ナナシマン:03/12/01 23:21 ID:2lm4sKZO
コブラ男の眼が鋭い眼光を放ちながら周囲を見わたす。発砲した者達は自分達のそば
にはまだいないようだが、彼はある結論に達して部下達に言った。

 「何者かは判らぬが、俺達以外にあの小娘を狙っている奴らがいる。そいつらも
見つけ次第殺せ!!」

 「イーッ!!」

コブラ男の命令と共に、男女のゼティマ戦闘員が揃って奇声を挙げる。ここまできたら
もはや二正面作戦である。福田明日香の殺害と、謎の攻撃部隊の殲滅。やがて始まる
であろう戦いを思い、コブラ男は舌なめずりしてニヤリと笑う。

 謎の攻撃部隊とコブラ男率いる軍団、ついにその両者が互いの存在を察知した。一方
紗耶香と明日香も、自分達を狙っている者たちが先ほどの蛇のような怪物たち以外に
存在することを知った。この両者から逃げ延びない限り、二人の命はない。


416 :ナナシマン:03/12/01 23:21 ID:2lm4sKZO
今日の分は以上です。続きはまた次回。

417 :川o・-・):03/12/03 00:13 ID:5xw/EJlY
川o・-・)<久しぶりに保全

418 :ナナシマン:03/12/03 00:30 ID:b/gQfEJn
 誠に申し訳ありません。今日明日の二日間、仕事の都合で更新をお休みさせて
いただきます。続きは金曜日。

419 :名無し天狗@中江真司:03/12/03 19:03 ID:RisEdW1s
保全隊参上!

>406より
「そして、その中澤の隣にいる印象的な顔立ちの女…名を、石黒彩と言う。
 彼女は一時的に薬物によって洗脳され、その上、のちに仮面ライダーV3になることになる
 義妹の矢口真里を人質に獲られていた。が、洗脳も解け、救出された真里が改造人間となった今、
 彼女は中澤と共に戦士たちを側面から支援しているのだ。

 その彼女の過去もまた、知るすべはない…。」

420 :名無し募集中。。。:03/12/04 20:59 ID:sNDNDrBZ
保全。

421 :名無し天狗:03/12/05 01:35 ID:tAduWrxf
キッズの一人を主人公にした「大鉄人17」…

ってのは、ストーリーの都合から避けたほうがいいですかね?
(因みに、「大鉄人17」も石ノ森ブランドです)

422 :名無し天狗:03/12/05 01:48 ID:tAduWrxf
>421は誤爆です、失礼しました!

423 :ナナシマン:03/12/06 00:18 ID:t4AxUzZ4
今晩から再開する予定だったんですが、ストーリーの再構成のため土曜日の夜から
再開させていただきたく思います。まことに申し訳ありません。

424 :名無し募集中。。。 :03/12/06 16:19 ID:UuMBE5qr
>>421
いいんじゃない?
巨大ロボットがあれば便利だし。
ゼティマなんか1日で壊滅だね!

425 :名無し募集中。。。:03/12/06 19:14 ID:LP9RcjSe
>424
早くやめろってことか?
俺は反対だね。

426 :名無し募集中。。。:03/12/06 20:23 ID:4MCDbtkp
>>425
 単純に大鉄人17がいれば怪人なんて踏み潰せば終わり、みたいなモンじゃない?
これまで特撮モンに飽きるほど繰り返されたつっこみだよ。最初からスペシウム光線
撃てばいいのにとか、最初からライダーキック出せよみたいなのと同レベル。

427 :名無し募集中。。。:03/12/06 20:29 ID:LP9RcjSe
>424-426
あれから>421がどう考えてたかが
したらばの「今後を考えるスレ」に書いてある。

428 :ナナシマン:03/12/06 21:44 ID:I0tQIEEg
 黒ずくめの部隊はさらに病院内を捜索する。既に内部では紗耶香が逃亡の際に
めちゃくちゃにスイッチを押しまくった火災報知器のせいで非常ベルが鳴り響き、
スプリンクラーも未だ止むことなく消火用の水を噴射している。そのため、まるで
台風でも通り過ぎたかのように室内は水浸しであった。彼らがしばらく歩を進めると
廊下のいたるところに倒れている病院関係者や患者の姿があり、ゼティマの改造人間
は目的のために無差別な殺戮を行った形跡が見て取れた。

 『外科病棟の見取り図を』

 一番後方にいた部隊のリーダーらしき男が口を開く。彼の求めに応じ、隊員は
すぐさま携帯端末で見取り図のデータを男の端末に送信する。そして男はさらに
病棟の廊下に設置されていた防犯カメラの画像を転送させ、改造人間と二人の
少女の居所を探す。紗耶香がスプリンクラーを作動させたせいであちこち水浸しに
なり、結果いくつかのカメラは既に水でだめになっていた。しかし、それでも彼ら
が対象としている者達の動向を把握するには十分だった。


429 :ナナシマン:03/12/06 21:44 ID:I0tQIEEg
 『・・・ゼティマの方が距離は近いな。先を越されるかもしれない』

 男はそう言って、おもむろにヘルメットを脱ぐ。そして、後方から隊員たちに
命令した。
 
 『ゼティマの連中が小娘どもの近くまで来ているようだ。お前達はC−2、
第一外科手術室へ急行。俺は改造人間を排除する』

 男はそう言うと、一人隊伍を離れて走り出した。彼が目指す、目下の標的は
二人の少女から改造人間の率いる部隊に変わった。男は一瞬にやりと笑ったかと
思うと、その直後既に彼の姿はそこには無かった。


430 :ナナシマン:03/12/06 21:48 ID:I0tQIEEg
 そのころ、外に止められた車の中で村上は再び携帯端末を取り出し、部隊の作戦
行動をチェックしていた。そもそもこの病院は彼ら〜スマートブレイン社の施設の
一つだった。そこに一体どのような偶然が働いたかは判らないが、明日香は目論見
どおり彼らの手に落ちた。明日香が運ばれてきたことに、村上やスマートブレイン
の作為は働いていなかったのだ。
 だが、彼らにとって予想外だったのは、敵であるゼティマまでもが病院に潜入
していたことだった。村上は恐らく、自らの知る範囲でゼティマが内部に潜入して
いたことは把握していただろう。しかし、それは彼の予想の範疇を超えていた。

 「私の社長就任までには・・・まだまだ仕事が多そうだ」



431 :ナナシマン:03/12/06 21:48 ID:I0tQIEEg
 一人つぶやくその間にも、病院内の様子は時々刻々と彼の元に伝えられている。
再び端末に眼をやると、そこには彼の見たことのない姿の異形が映し出されていた。
彼が知る者たち、オルフェノクとは明らかに違うその異形の者こそが、二人の少女
を狙うもう一つの勢力が送り込んだ刺客であった。

 「これが改造人間・・・なるほど、開発は成功していたというわけですか」

画面に映し出された改造人間は、引き連れた戦闘員とともに未だ少女達の姿を捜し
求めていた。二人の少女の姿を見つけ出せていないのは、自分が指揮する部隊とて
同じだったが、病院の施設内についての情報があるのとないのとでは違う。現状に
おいて、状況はやや村上に有利であった。


432 :ナナシマン:03/12/06 21:50 ID:I0tQIEEg
 「おのれ、小娘どもはどこへ行ったのだ!」

 少女達に一杯食わされて病室を脱出されて以来、怪人たちは二人の姿をまだ
見つけ出せないでいた。苛立ちを隠さないコブラ男は、目に付く窓ガラスを
片っ端から叩き割り、ドアをぶち破って二人の姿を探すが少女の姿はない。

 「おかしな奴らもうろついている・・・我々には時間がないのだ」


 苛立つ怪人が拳を振るうたびに割れて飛び散るガラス。その音と衝撃を背中で
感じながら、紗耶香と明日香は端末が知らせた情報の通りに第一外科手術室と
書かれた部屋の中に身を隠していた。手術台の陰に身を隠し、コブラ男のぎらつく
視線を感じながらも息を殺して敵が過ぎ去るのを待っていた。まるで土砂降りの
雨のように降り注ぐ水、ひっきりなしに点滅する赤色灯に鳴り響くサイレン。
光と音、そして改造人間と謎の男達の姿におびえ、いつ終わるとも知れぬ恐怖の
時間を過ごしていた。

 (大丈夫・・・こんな悪い夢はきっと終わる。二人とも生きて帰れるから)

 怪我をおして紗耶香を逃した明日香の肩を抱き、紗耶香はただひたすらにこの
悪夢の時が過ぎるのを待った。肩を寄せ合って互いの存在を、生を確かめ合うその
時に、紗耶香は明日香の身体の異変を知った。極度の疲労と心労によって、彼女は
高熱を出していたのである。事故で負った怪我が完治していない身体で、これほど
の極限状態に置かれた明日香は体力を消耗しきっていた。熱にうなされ始めた
彼女は、うわごとのように友にささやく。

 「紗耶香・・・このまま逃げて。二人とも殺されるよりは、その方がいいに
決まってるから・・・」


433 :ナナシマン:03/12/06 21:51 ID:I0tQIEEg
今日の分は以上です。保全してくださった皆様、お手数をおかけして申し訳
ありませんでした。

434 :名無し天狗@中江真司:03/12/06 22:03 ID:sWzNmOAq
>ナナシマンさん
お待ちしてました。

「稲葉貴子は、仮面ライダーを始めとする戦士たちに協力するFBIの特命捜査官である。
 同僚の裏切りと死と言う悲しみと苦境を乗り越え、彼女は今日も悪の陰謀が渦巻く真っ只中へと
 飛び込んで行くのだ!」

435 :名無し三等兵:03/12/06 22:56 ID:t4+ps4B5
あの、、、、
「のの555」と「ののアギト」はいつになったら
過去ログで読めるようになるのでしょうか?他のは
読めるのですがこの二つが読めないので今ひとつ
流れが読めないんですが

436 :名無し募集中。。。:03/12/06 23:01 ID:+WLlB6hO
>>435
http://nono-reina-earlgrey.web.infoseek.co.jp/cgi-bin/upload/upup3.html
ここのあぷろだにjane用のdatがあるから行ってみれば?てかまずsageて。

437 :名無し募集中。。。:03/12/06 23:05 ID:+WLlB6hO
>>435
 すまん、今見てきたら無くなってた。

438 :名無し募集中。。。:03/12/08 00:13 ID:K1MllEJ7
 「バカなことを言わないで!明日香と二人で帰るんだから!!」

 恐怖か、それとも熱のためか小刻みに震える身体を抱き寄せて紗耶香は明日香に
そう言って応える。明日香を残して自分ひとりで脱出することなど考えられない。
そんなことをするくらいならいっそ二人とも死んでしまったほうがいい、とさえ
紗耶香は思っていた。

 かつて経験したことのない恐怖と戦いながら、二人の少女が身を縮め息を潜めて
いる頃、壁とドア一枚を隔てた廊下では二人にとって絶望的とも言える邂逅が実現
していた。コブラ男が率いるゼティマの部隊と、特殊部隊から一人飛び出した
隊長格の男。ついに両者が遭遇したのだ。紗耶香たちに気づかなかったコブラ男
達が別の場所を捜索しようとその場を離れようとしたその時、彼らの眼の前に
立ちはだかった一人の男。それが、あの特殊部隊の男だったのだ。



439 :ナナシマン:03/12/08 00:13 ID:K1MllEJ7
 「ゼティマの改造人間だな」

男はコブラ男達を見るや、そう言ってニヤリと笑う。一方のコブラ男も、二人の
少女を狙う謎の一団の一人が眼の前にいると知るや、ただならぬ闘争心を燃やして
男をにらみつけた。

 「貴様も小娘どもを探しているようだな・・・だが、貴様らなどには渡さんぞ」

 「元々お前達のものでもないだろうに。手間を取らせやがる」

そういうと、男は鋭い眼光を放つ両目を大きく見開く。その直後、男の顔面には
しわとも模様とも取れる深い溝がくっきりと浮かび、人と異形の中間のような、
奇怪な人相へと変貌する。それはコブラ男にとっては思いがけない光景だった。


440 :ナナシマン:03/12/08 00:17 ID:K1MllEJ7
 「きっ、貴様も改造人間なのか?!所属は?」

眼の前で起きた異変、もしかしたらこの男も改造人間なのか。だとすれば同士討ち
だ。そう思い、コブラ男は男の所属支部を問う。だが、眼の前の男は完全に異形
への変貌を遂げていた。眼の前に立っていたのは、灰白色の半獣人。そして、その
姿は獅子を思わせた。

 『・・・スマートブレイン・・・オルフェノク』

灰白色の異形の者「ライオンオルフェノク」は一言だけ答えてコブラ男に向かって
飛び掛った。その行く手に立ちはだかるのはコブラ男ではなく、彼に付き従う
戦闘員達だ。コブラ男の命令が下るや、戦闘員達はそれぞれに武器を構えて敵を
迎え撃つべく身構えた。
 
 「おのれ・・・構わぬ、殺れ!!」

恐怖におびえる少女達を他所に、二つの異形が激突する。


441 :ナナシマン:03/12/08 00:18 ID:K1MllEJ7
ちょっとコテ間違って申し訳ありません(w。ともあれ、今日の分はここまでです。

442 :名無し天狗@小林修:03/12/08 02:12 ID:MTExo/vt
今日は訳あって携帯からです。 「斉藤瞳は、何でも屋「ハローワーク商会」の「ボス」である。 戦いに明け暮れ、ともすれば困難になりがちな 戦士たちの生活のために、職業を斡旋して 暮らしを支えているのだ!

443 :名無し:03/12/09 23:28 ID:vsgepv0a
いやあ、OSをWinMEから2000に変えたらウィルスもらいまくりでやんのw

仕方がないからノートンインターネットセキュリティを入れたら書き込めないんでやんのw

保全。

444 :名無しスター:03/12/09 23:31 ID:vsgepv0a
おまけにコテ間違えるし。

445 :ナナシマン:03/12/09 23:36 ID:cfivSgM2
 ちょっと急に飲み会が入ってしまい、今帰りました。更新のほうなんですが、
明日のお昼ごろになるかと思います。申し訳ありません。

>>442
 ボスのナレーターの方はどの作品なのかちょっと勉強不足で判りませんが、
面白かったですよ。

>>443
 何か大変ですね・・・お見舞い申し上げます。そのような中で保全してくださり
恐縮です。


446 :名無し天狗(今日からまたPCです):03/12/10 00:24 ID:s3rqbB/n
>ナナシマンさん
お気になさらず・・・。
あと、斉藤はバイクロッサー陣営のキャラと言うことで
バイクロッサーの1キャラとして捉えた上で小林修氏風のナレをってことで。

今回は岡部政明氏の登場です。

「漆黒の稲妻、ハカイダー・マキは、頭に生みの親・つんく博士の脳を棲まわせ、
 キカイダー・ひとみを殺しの標的として追い続けることを宿命づけられた、
 悲運の戦士である。つまり、キカイダーの抹殺こそが、彼女の存在意義なのだ!!」

447 :ナナシマン:03/12/10 13:20 ID:cB90HEVg
 ステッキ状の武器を手に、次々と打ちかかる戦闘員たち。廊下に響く鈍い
打撃音。しかし、その攻撃を両腕で防いだオルフェノクは手近な戦闘員の胸倉を
わしづかみにするや、そのまま片腕で引っこ抜くようにぶん回し始めた。次々と
なぎ倒される戦闘員の悲鳴にも似た奇声と、その攻撃によって破壊される廊下と
その周囲の音が手術台の下に潜む少女達の恐怖心を掻き立てる。外では一体何が
起きているのか。しかし、何が起きていようともここから離れるのは危険だ。

 (敵同士で・・・殺し合い?)

両者の戦いが決着を見るとき、そのときこそがチャンスだと紗耶香は考えた。
少なくとも自分達を追う勢力のうちの一方は無くなる訳である。脱出の機会は
その分増えるはずだ。

 「明日香、もう少しの辛抱だからね・・・」

小声でつぶやきながら、二人はさっきよりもきつく肩を寄せ合ってこの悪夢の
ような時間を耐える以外になかった。



448 :ナナシマン:03/12/10 13:20 ID:cB90HEVg
 廊下に目を転じると、そこはまさに死屍累々の有様であった。数の上では
優勢なはずのコブラ男らゼティマの一団は、ライオンオルフェノクの文字通り
獅子奮迅の戦いによって倒されていた。最後の一人が青白い炎を上げて灰に
なったと同時に、いよいよ戦いは改造人間とオルフェノク、二つの異形の者が
直接対決する事態となった。

 「まさか我々がここまでの被害を被るとは・・・だが、俺が相手ではそうは
いかんぞ!」

怒気に声を荒げ、コブラ男は右腕のコブラをオルフェノクに突きつける。更に
頭部のひれが大きく蠢くと、コブラの口から真っ白い煙が迸る。オルフェノクは
難なくそれをかわして再び身構えるが、煙の触れた方向に目を遣ると、廊下の
壁が白い泡まみれになり、ボコボコという音を立てて溶解しているのが判った。

 『毒ガスか・・・』

コブラ男の放った毒ガスは、浴びたものを溶かす効力がある。それでも何の被害
も受けなかったのは、噴射されたガスの範囲が狭かったためだろう。

 「俺の技はまだこんなものではない。これでも喰らえ!!」

次の瞬間、先ほど毒ガスを噴出させたコブラ男は今度は口から炎を吐いて攻撃
してきた。長く伸びた火柱は廊下の天井までも届き、瞬く間に真っ白い壁は
すすで真っ黒に汚れてしまった。コブラ男は再び炎を迸らせると、その熱は炎の
触れた窓ガラスを打ち砕き、やがて炎と共にガラス片が降り注ぐ廊下は一面
火の海となった。


449 :ナナシマン:03/12/10 13:21 ID:cB90HEVg
今回はここまでです。続きはまた後ほど。

450 :ナナシマン:03/12/11 23:35 ID:pdBoV6hf
 紗耶香は周囲を窺いながら、手術台の影から身を乗り出して廊下の様子を
見る。時折ガラスの向こうにちらちらと覗くのは、コブラ男の火炎攻撃で
発生した火災の炎だった。
 やがて炎が燃え広がるにつれ、周囲には煙が立ち込めだした。煙と炎の
向こうに、せめぎあう二体の怪人の姿が見える。廊下で起きた強い衝撃と壁の
崩れる音が、手術室の中まで聞こえてくる。そして時折、手術室の扉が外れん
ばかりの強い衝撃が加えられると少女達は扉がいつ破られるかという不安に
駆られた。

 (外の戦いが終わるまでなんて待てないかも・・・)

紗耶香の不安も無理はない。廊下では火災まで発生してしまった状況なので
ある。二人の怪人のうちどちらかが敗れたとしても、生き残ったほうが二人の
脅威となる。仮に二人とも共倒れしたとしても、煙と炎は容赦なく二人の少女に
襲い掛かるだろう。二人の異形の者同士の戦い、その中に訪れるであろう一瞬の
チャンスに賭けるしかない。

 「明日香、もう少しだけがんばって。今、外で二人の化け物が戦ってる。二人
の戦いの隙を突いて、ここから逃げ出そう?」

そうつぶやいて、紗耶香は明日香の手を握り締める。明日香もそんな紗耶香の
手を握り返したが、その手から力が少しずつ失われているのは明らかだった。
自分達に与えられた時間はわずかだ。紗耶香は覚悟を決めた。


451 :ナナシマン:03/12/11 23:38 ID:pdBoV6hf
 一方、二体の異形の者の戦いは一進一退を繰り返していた。突入した部隊に
対して、村上はこう言っていた。「改造人間は所詮模造品にすぎない」と。
しかし今、その認識は修正する必要がある、とライオンオルフェノクは考える
に到っていた。思いがけない敵の戦闘力。これが本当に人間の作ったもの
なのだろうか。

 『思いのほかやるものだな・・・』

彼は事実、思いがけず攻めあぐねていた。狭い廊下で戦っているせいもある
のだろうが、力にものを言わせて肉弾戦に持ち込みたいにもかかわらず敵が
それを許さないのだ。火炎と溶解毒ガス、この二つの飛び道具が存外にやっかい
な代物で、相手の懐に入れない。

 「どうした、貴様のそのなりはこけおどしか?」

不気味に笑うコブラ男。右腕のコブラの鎌首を突きつけ、床や天井と所構わず
ガスを撒き散らす。その度に不気味な化学反応と共にガスの触れた場所は泡と
共に解けていく。
敵は一見、全く無関係とも思える場所にガスや炎を噴射する。しかし、その意図
するところは別にあった。あたり構わずガスや炎を巻き散らかしているように見えて、
その実は相手の行動範囲を狭めているのだ。そうして敵の退路をふさぎ、袋小路に
追い込んで一気に止めを刺そうという腹なのである。
 そしてまたもコブラ男の毒ガスが噴射された。この攻撃も彼の思惑に基づき
直接命中することは無かったが、その時あるものがライオンオルフェノクの目に
飛び込んできた。それは子供の背丈ほどはあろうかというボンベだった。


452 :ナナシマン:03/12/11 23:39 ID:pdBoV6hf
仕事が年末進行なのでちょっと更新が遅れがちになり申し訳ありません。続きは次回。

453 :ナナシ:03/12/13 00:39 ID:oLQvTFTV
 コブラ男の口元がピクリと動く。次なる攻撃は火炎と読んだオルフェノクは
そのまま目に入ったボンベを顔面めがけて投げつけんと引っ掴む。そして
そのまま敵の顔めがけて投げつけた。

 「ここまで来て悪あがきか!!」

コブラ男は飛んでくるボンベを右腕で払いのけると、ボンベはそのままの勢い
で手術室のガラスを突き破り、二人が潜んでいる手術台のあたりに落ちた。

 「ひっ!!」

小さな悲鳴を上げる二人の少女。そしてそれは、運悪く改造人間の耳に届いて
しまっていた。

 「小娘が。そんなところに隠れて・・・」

と言いかけたその時だった。手術室から聞こえた悲鳴に気を取られ、目の前の
敵の行動から目をそらしていたコブラ男。そんな彼に、オルフェノクが近づく
ことは容易であった。

 『余所見をしていていいのか・・・?』

 猛スピードで近づいてきたライオンオルフェノクは、まさに肉食獣が獲物を
倒すかのようにコブラ男の首根っこに取り付くと、そのまま首相撲で相手の
動きを制し膝蹴りを見舞う。鈍い金属音と共にコブラ男の身体がくの字に折れ
曲がるのもお構いなし、とにかくオルフェノクは怪力に任せて組み付いた敵を
逃すまいと殴る蹴るの攻めを浴びせた。やがて、コブラ男の動きが止まったと
見るやライオンオルフェノクはそのまま勝ち誇ったかのごとく片手でコブラ男
の首を掴んでつるし上げ、ベルトのあたりに手をかける。



454 :ナナシ:03/12/13 00:40 ID:oLQvTFTV
 一方、この機を逃してはならないと紗耶香と明日香はゆっくりと身を起こし、
敵に気づかれぬように手術室のドアの脇に張り付き、外の様子を窺いながら
機会を見て一気に駆け出そうと待っていた。友の手を握り締める紗耶香の手に
冷たい汗が流れ、その目は外の戦いと明日香の様子を交互に映しだす。まさに
修羅場のど真ん中に身を置きながら、少女達は息を潜めていた。


 ついに廊下では二人の怪人同士の戦いにピリオドが打たれようとしていた。
もはや反撃の力のないコブラ男は無抵抗のまま、対してライオンオルフェノクは
組織のエンブレムが刻まれたバックルプレートにかけた手に一気に力を込めた。
その瞬間、宙吊りにされたコブラ男は腰の当たりから真っ二つに引きちぎられ、
オルフェノクは勝ち誇ったように分断された上半身と下半身を掲げて雄たけびを
挙げる。


455 :ナナシマン:03/12/13 00:42 ID:oLQvTFTV
 そしてそれとほぼ同時に紗耶香達も行動を開始した。勢いよくドアを蹴破り、
手術室においてあったストレッチャーをオルフェノクにぶつけると、不意の
攻撃に敵は思いがけず足を取られて転倒してしまった。この隙に紗耶香と明日香
は敵の手を逃れんと手を取って力の限り走り出した。一方、彼女達の後方では
不意を付かれて二人に逃げられたオルフェノクが再び人間の姿に戻り、付近で
待機していた隊員たちに追跡を命じていたがそんな様子に構っている暇はない。
階段を駆け下り、総合受付までの長い廊下を走りきれば外へと脱出できる。
二人の少女はあらん限りの力を振り絞り、とにかく必死で走った。廊下は今や
消火用水で水浸しとなり、煙と炎はまるで二人の後を追うように、たどり着いた
一階にまで達していた。だが、もう一階までやってきた。もう少し走れば、外
への出口はすぐそこなのだ。

 そして、二人が赤いテープで総合受付ロビーへの案内が示された、曲がり角に
差し掛かった、その時。



456 :ナナシマン:03/12/13 00:46 ID:oLQvTFTV
 その時、まるで雷鳴のような音が廊下に響き渡った。「ダーン!」という
激しい音の直後、紗耶香の手に奇妙な衝撃が伝わる。音のした方向へと、視線を
走らせるその最中に、彼女の目に飛び込んできたのは明日香の肩口の辺りに広がる
真っ赤な染みだった。

 「明日香っ!!」

 特殊部隊の後方からの射撃が、彼女の肩に命中してしまったのだ。そして続く
第ニ波の銃声が響くと、二人の少女の身体はまるで後ろから見えない何かに突っぱね
られたかのように跳ね飛ばされ、そしてそのまま二人は水浸しの廊下に倒れこんで
しまった。とたんに二人の周りの水は真っ赤に染まっていく。ゆっくりと立ち込める
煙、時折揺らめく赤い炎の中、満身創痍の身体で壁にもたれかかり、明日香はヨロヨロ
と立ち上がるが、その度に空を切り裂くような音がしたかと思うと銃弾は二度三度と
その身体を跳ね飛ばし、少女を水浸しの床に這わせた。

 「いやぁぁぁ!明日香ぁぁ!!」

紗耶香の叫びは耳を劈くような銃声にかき消される。涙のにじむ両目はまるで人形の
ように吹き飛ばされる親友の、生々しい有様をかろうじてぼやけさせていた。

457 :ナナシマン:03/12/13 00:47 ID:oLQvTFTV
 最後の命のともし火が燃え尽きようとしていたその時、明日香は廊下の壁にスイッチ
があるのを見つけた。それは病院の地下駐車場へと通じる、配膳用のエレベータで
あった。震える手つきでスイッチを押すと、すぐにエレベータは彼女たちのいる一階に
到着した。手でシャッターを開けると、明日香は最後の力を振り絞って紗耶香をその
中へと押し込める。

 「紗耶香だけは・・・紗耶香だけは生きて・・・」

 「明日香!?明日香ッ!明日香ァァァァ!!」

紗耶香の叫びを遮るように、ゆっくりとシャッターは閉ざされた。頭上で響く銃声も
今の彼女には聞こえてはいなかった。茫然自失、まるで付き物でも憑いたかのような
うつろな視線のまま、紗耶香は地下駐車場を抜けて外へと到るとどこへ行くでもない
まま、ただひたすらに走り続けた。血と煤で汚れ、ずぶ濡れになった身体のまま、
うわ言のように友の名を呼びながら紗耶香は走った。


458 :ナナシマン:03/12/13 00:48 ID:oLQvTFTV





 『恨みの道を行く女 心はとうに捨てました』







459 :ナナシマン:03/12/13 00:52 ID:oLQvTFTV
 そして、時は現代。
 単独で壊滅させてきた各地の末端組織のボスたちから得た情報を元に、彼女は再び
この街に帰ってきた。年の瀬も押し迫ってきた12月のある晴れた日。とある空港の
滑走路上に、青い空に映える真っ白いセスナ機が空の散歩を惜しむかのようにゆっくり
と着陸した。そして操縦席のドアが開くと、中から姿を現したのはテンガロンハット
を目深に被り、ギターを担いだ少年・・・いや少年と見まがうかのような少女の姿
だった。

 「明日香・・・。あたしは帰ってきたよ、この街に」

少女はそのままタクシーを拾う。ドアが開くと同時に車内に入ってきた、まるで一昔
前の風来坊のような少女の姿に一瞬怪訝な表情を浮かべた運転手を他所に、少女は
行き先を告げる。

 「夢ヶ丘まで」

 しばらく走ったところで、タクシーはテンガロンハットの少女を彼女の目的地で
ある夢ヶ丘の繁華街に下ろした。代金を支払っておつりも受け取らず、少女はそのまま
タクシーを降りて久々に戻ってきた街の空気に鼻を動かす。

 「相変わらず・・・この街は悪い奴らの嫌なにおいがするね」

 そう言ってハットの前を少し持ち上げてみせると、少女〜市井紗耶香は不敵な笑みを
浮かべて歩き出した。


460 :ナナシマン:03/12/13 00:55 ID:oLQvTFTV
 今日の分は以上です。ようやく後半戦、正調ズバット編に突入できそう
です。正調、とつけるからには当然例の対決もやっていただきます、ええ。


461 :名無し募集中。。。:03/12/13 00:56 ID:sSOeinJs
始めてリアル更新見れた。なんか妙に嬉しい。

462 :名無し募集中。。。:03/12/14 07:07 ID:MbnoYD8i
保全。

463 :名無し天狗:03/12/14 20:15 ID:1PBqMN0z
どうしよう・・・555のナレーターやナレーション判らん・・・。

464 :名無し募集中。。。:03/12/14 21:22 ID:SIJSef7i
>>463
 ファイズはナレーションらしいナレーションは殆どないといって良いよ。それよりは
一端他のキャラクタにいったほうがいいと思われ。



465 :名無し天狗@小林修:03/12/14 21:32 ID:1PBqMN0z
>464
んじゃあ…
引き続きバイクロッサー陣営の柴田あゆみで。

「バイクロッサー…村田めぐみ・大谷雅恵と共に悪に挑む少女・柴田あゆみ。
 斉藤瞳と同じくバイクロッサーの正体を知った彼女は、合気道を武器に戦うが
 力量不足を痛感し修業に勤しむ。だが、悪を憎み平和を求める正義の心は、
 誰にも引けを取らない。」

OPではなく劇中ってことでひとつ…。

466 :ナナシマン:03/12/14 21:32 ID:pg1rTotp
 今晩更新の予定だったんですが、ちょっと仕事の都合で書けませんでした。明日の夜
再開いたします。

>>461さん
 そう言っていただけると書き手冥利に尽きます。今後ともよろしくお願いいたします。

>>462さん
 お手数をおかけして申し訳ありません。続きはまた明日ということで。

>>名無し天狗さん
 >>464さんの書き込みにもあるように劇中にはナレーションはなく、入るのは次回予告
くらいですが「のの555」の時に一回やって間違っちゃったアレしかありません。なんか
平成ライダーはそこら辺が淡白というか・・・(w。



467 :名無し天狗:03/12/15 23:50 ID:8egRpFSO
>ナナシマンさん
何だかかつての自分を見てるようです…。
お待ちしてますのでムリなさらずに…。

468 :ナナシマン:03/12/16 19:48 ID:ItE90H+k
すいません、PCの不調で昨日は接続できませんでした。結局再セットアップで
何とかなったんですが、これから再開です。

469 :ナナシマン:03/12/16 19:49 ID:ItE90H+k
 彼女がこの街を離れていたのは、決して何年もの間と言うような話ではない。
それでも、街というものは日々刻々とその表情を、そしてその姿を変えていく
ものである。紗耶香のいない間にも、街は変わり続けているのだ。

 (こんな所にこんな店あったっけか・・・)

 そんなことを一人つぶやきながら、少女は雑踏の中を行く。それにしても、
彼女の出で立ちは人混みの中にあっても非常に目立つ。平成の世に突如現れた
渡り鳥ルックのその姿は、有り体に言えばかなり浮いた存在だった。道行く人
がすれ違いざまに振り返るのもお構いなしに、紗耶香は一人街を行く。

 彼女の目指す先、それは明日香の実家だった。亡き友の霊前に復讐を誓って
から、彼女は長い旅の末に再びこの地に帰ってきた。未だ誓いは果たされては
いないが、せめて自分が誓いを胸に未だ戦いを続けていることを報告したい。
そんな思いで紗耶香は歩を進めていった。


470 :ナナシマン:03/12/16 19:49 ID:ItE90H+k
しばらく歩いたところで、路地を裏手に回ると景色は一変して繁華街から
住宅地へと様変わりしていた。目指す亡き友の家はもうすぐだ。しかし、
そんな彼女の思いは明日香の家にたどり着いたその瞬間にうち砕かれることに
なる。明日香の家の玄関前に掲げられた看板にひときわ大きく書かれていた、
「売家」の二文字。それは、この家にもはや主がいないことを意味していた。

 「そんな・・・」

 驚きに声を挙げる紗耶香。しかし、看板に書かれた不動産会社とおぼしき
番号に電話を書けたが、間違いなくこの家は現在売りに出されているという
ことだった。それでもなお信じられず、紗耶香は近くを通りがかった女性に
声をかけて事の真相を確かめることにした。

 「あの、ここのお宅のことなんですが・・・」

 「ここのお宅は私が越してきた時にはもう売りに出てましたよ。今からもう
かれこれ半年くらい前かしら」

そう言って、その女性はこの家にまつわる話を紗耶香に聞かせた。彼女自身も
伝聞でしか知らないと言うことであったが、それによると以前、この家に住んで
いた家族の娘が入院先の病院の火災によって死亡した。その後、今度は家族が
謎の死を遂げ、結局主を失った家は親類の手によって売りに出されたのだという。

471 :ナナシマン:03/12/16 19:50 ID:ItE90H+k
 自分が明日香の仇を求めて各地を転々とする間に、今度は明日香の家族にまで
敵の魔手は伸びていた。そしてついに、親友の魂は戻るべき場所まで奪われたと
いうのだ。紗耶香の心に、激しい怒りの炎が燃える。と、その時である。女性は
この家のたどった顛末を意外な言葉で締めくくったのだ。

 「そう言えば、前にもあなたと同じようなことを聞いた女の子がいたような
気がする・・・ショートカットの小柄な女の子だったかしら。すごくショックを
受けたみたいで・・・ここの家の人だったんじゃないかっていうくらい」


ショートカットの小柄な少女が前にこの家を訪れた。そのころにはこの家は既に
売りに出され、その事実を知った少女はひどくショックを受けていた。女性の
言葉が本当ならば、それは驚くべき真実を紗耶香に突きつけることになる。

 (まさか・・・明日香が生きてる?!でも、そんなはずは・・・)

女性が立ち去った後も紗耶香はその場を離れることが出来ず、ただ立ちつくして
でいた。明日香が生きているかもしれない、これまで何度となく裏切られた一縷の
望みが、ここにきてかすかな輝きを放ち始めていた。と、その時。彼女の後方遠く
から、かすかなエンジン音が聞こえてきた。そして、それがよりはっきりしてくると
同時に、けたたましいクラクションが閑静な住宅街に響き渡る。

 「ん?なんだ、あいつら・・・」

スモークフィルムを貼ったフロントガラス越し、かすかに見えたのはドラマの世界の
住人にしか見えない柄の悪い男達。道の真ん中に立っている紗耶香を口汚く罵って
いるようにも見え、そんな彼らの横柄な態度が気に障った紗耶香はあえて道を譲らず
車の行く手を遮った。やがて車はゆっくりと停車し、中からは先ほどガラス越しに
見えた柄の悪い与太者二人が降りてきた。

 「おいコラァ、俺達が鬼勘一家と知ってて舐めたマネしてんのか?!」

472 :ナナシマン:03/12/16 19:57 ID:ItE90H+k
今日の分は以上です。明日から出張のため、ちょっと更新できないかもしれません。
那覇市内のカフェから更新できればいいのですが。もし更新できなかった場合は、
22日からの再開になります。

>>名無し天狗さん
 ご心配おかけしました。何せこればっかりはPCの調子にかかるところが大きくて。
一年もたたずに買い替えを考えさせられるのは正直頭痛モンなんですが(w。

473 :名無し募集中。。。:03/12/17 22:21 ID:sligjfXh
保全。

474 :名無しちゃんいい子なのにね :03/12/18 19:59 ID:8UPnRRTR
保全。

475 :名無しスター:03/12/18 21:19 ID:NtxovPqr
ついでに保全

476 :名無しさんの次レスにご期待下さい:03/12/19 20:19 ID:4y3qtHZ7
保全。

477 :名無し募集中。。。:03/12/20 19:54 ID:CFHRdCPZ
ほぜん。

478 :名無し天狗@こじつけナレ:03/12/20 23:52 ID:WAYn2mG1
「謎の脅威・オルフェノクを駆使して世界征服を目論むスマートブレイン社によって
 運命を狂わされた少女、田中れいなと亀井絵里。彼女たちは父と慕う
 流星塾の恩師から授けられた“ファイズギア”と“カイザギア”の力で
 れいなは仮面ライダーファイズに、絵里は仮面ライダーカイザにそれぞれ変身し、
 スマートブレイン社を初めとする様々な巨悪と戦うのだ!!」

…ナレーターの方わからんので一応中江氏で…。

479 :名無し募集中。。。:03/12/21 22:01 ID:srZqXyUM
保全。

480 :川o・-・):03/12/22 00:07 ID:mymQBPCo
从*・ 。.・从<ホゼンスル

481 :ナナシマン:03/12/22 21:19 ID:b1/ddUYG
 鬼勘一家、極道渡世に生きるものでその名を知らぬものはいない。この街で最も
勢力を誇る暴力団組織である鬼勘一家の「鬼勘」とは、一家を仕切る大親分である
「鬼の勘三」の通り名を縮めたものである。
 鬼勘は拳龍会と組んでゼティマに通じ勢力を拡大してきた男であり、そのことは
紗耶香もすでに承知していた。そう彼女はあの日以来、修羅と化して各地の暴力団
組織や犯罪組織を独力で壊滅させてきたのである。
 かつて異形の者達や謎の軍団の前に、力なく怯えることしか出来なかった少女は
いつしか百戦錬磨、そこいらのヤクザ者や愚連隊などとうてい足元にも及ばぬ胆力
と技を身につけていた。そんな彼女にとって、この手の輩などさして問題ではない。

 「ここは天下の往来、あんた達みたいな与太者のためにあるんじゃないよ?」

人差し指でスッ、とハットのひさしを上げて紗耶香はニヤリと笑う。大胆不敵と
しか言い様のないこの振る舞いに、極道の面目を汚されたか二人組の男は声を荒げ
少女に詰め寄ってきた。


482 :ナナシマン:03/12/22 21:20 ID:b1/ddUYG
 「ガキだと思って大目に見るとでも思ってんのか?!ふざけやがっ・・・」

 男が最後まで言い終わらぬうち、紗耶香はすばやく男の懐に入り込むと隠し持った
銃のグリップで腹部に一撃を加える。腹部を襲った鈍痛に男が苦悶の表情を浮かべて
崩れ落ちると、その様子を見たもう一人の男が紗耶香の胸倉に掴みかかろうと襲って
きた。だがその直後、男の鼻先に突きつけられたのは銀色に輝く銃身だった。

 「とりあえず・・・あんたの親分さんのところに案内してよ」

 「なっ・・・お前どっかの鉄砲玉か?!」

 「さぁね・・・案内する気がないなら無理にとは言わないけど、もしかしたら
鼻と口以外にもうひとつ、顔に穴が開くことになるかもね♪」

不敵な笑みを浮かべながら、紗耶香はゆっくりと撃鉄を親指で引く。リボルバーが
回転する音を間近に聞き、男の額に滝のような脂汗がにじむ。


483 :ナナシマン:03/12/22 21:20 ID:b1/ddUYG
 「・・・待ってくれぇ!親父に会いてェなら俺が口を利いてやってもいい!」

 「利いてやる、って態度が気に食わないなぁ・・・」

 「わっ、判りましたっ!紹介させていただきます、はい!!」

肩で風切る極道者の勢いはもはや無く、目の前にいるのは倍も年が離れているで
あろう少女〜もっとも相手は気づいていないだろうが〜に命乞いする哀れな男。
銃を突きつけたせいとはいえ、すっかり従順になった男に紗耶香はにっこりと
微笑み、こう言った。

 「はい、よくできました♪」

言うや紗耶香はいきなり引き金を引く。一気に血の気がうせ、男は死を覚悟する。
しかし、その瞬間に聞こえてきたのはガチッ、という乾いた音だけだった。鼻っ面
を打ち抜き銃声を響かせるはずの銃には、実は最初から弾など入っていなかった
のだ。へなへなと崩れ落ちる男を尻目に、紗耶香はさっさとセダンのドアを開け、
勝手に後部座席に乗り込む。

 「ふん・・・サービス悪いね」

後席で大きく足を投げ出すと、紗耶香はそのままテンガロンハットを再び目深に
被って眠り込む。因縁を吹っかけてきたヤクザ者を返り討ちにしただけでなく、
事務所に案内しろと言い放った紗耶香。そこにはいかなる思惑があるのか。そして、
そんな彼女乗せたまま車は走り出した。


484 :ナナシマン:03/12/22 21:22 ID:b1/ddUYG
 ようやく出張も終わり、晴れて休暇に突入です。これからは自由な時間だらけ(w
ですので今までの分までどんどん更新していきたいと思います。保全してくださって
いた皆様、本当にありがとうございます。続きはまた明日。

485 :ナナシマン:03/12/24 00:43 ID:wIwEsAZC
 鬼勘一家の事務所へと到る道すがら、紗耶香はひとり考えていた。もし、さっきの
女性の言葉が真実ならば、明日香が生きている可能性があるということになる。
車窓に映る町並みに目もくれず、目深に被ったテンガロンハットの奥に伝う涙を軽く
指ではらい、あくび一つしてみせると紗耶香は車を運転する男に尋ねた。

 「ねぇ、あとどれくらいなの?」

 「どれくらい、ってったってまだ走り出してそんなにゃ・・・」

 どうやらあれだけ痛い目を見てまだ口答えするつもりらしい。紗耶香は後部座席
から身を乗り出し、隣に座っている男の首を背後から裸締めで締め上げる。彼女は
洒落のつもりなのだが、男達は紗耶香の言動が気が気でない。それを知ってか
知らずか、紗耶香は極めた腕を解くことなく、今度は抑揚を抑えた冷たい口調で再び
尋ねた。

 「どれくらい?」

 「・・・あと5分くらいです」

 

486 :ナナシマン:03/12/24 00:56 ID:wIwEsAZC
 そんなこんなで車は目的地である鬼勘一家の事務所に到着した。道路を隔てた
高い壁の、その向こうに広がるのは日本庭園をしつらえた豪華な作りの邸宅で、
文字通り豪邸という言葉がぴったりの建物だった。一見するとどこかの老舗の料亭
のようにも見えなくは無かったが、これはおそらく主である鬼勘の趣味に違いない。

 「お帰りなさいやし!」

 「お疲れ様です!」

 掃き掃除に精を出していた若い衆が、先頭を切って歩く男に威勢のいい挨拶をする。
一方男はといえば、若い衆の挨拶に対して特に言葉をかけるでもなく、さっと手を振る
だけ。肩で風を切って歩くその姿には先刻の無様な有様など思いもつかない。そして
その後ろを歩く紗耶香にも、若い衆の視線が注がれていた。二人の男の後をついて
くる、奇妙な出で立ちの少女が気になった若い衆の一人が、掃き掃除の手を休めて
兄貴分の男に尋ねる。

 「兄貴、そちらの方は・・・」

 「親父の客人だ。失礼のないようにな」

若い衆の言葉に一言だけ答える兄貴分の男。極道とはメンツに生きる人種である。
少しばかりのお灸を据えた後には早々自分に歯向かうことはない、そう考えた紗耶香
は彼らのやり取りには特に口を挟まず、ただ黙って二人の後についていった。獅子脅し
の音が冬の空気を震わせ、池へと注ぐ冷たいせせらぎに漂う落ち葉が冬枯れの妙を
かもし出していた。

487 :ナナシマン:03/12/24 01:12 ID:wIwEsAZC
 やがて3人は玄関から屋敷へと上がった。板張りの床をきしませ、3人は一路鬼勘の
待つであろう部屋へと向かう。その道すがら、二人組の男が紗耶香に言葉をかける。

 「親父に会わせろ、というのはどのようなご用件で?」

 「話によっちゃ、お通しできかねる場合もあるんですが・・・親父の身に何かあっちゃ
俺達も極道の名折れってもんでして」

 先ほどの不覚も厭わず、紗耶香の目的如何では自らの親分を守るために身を挺する
覚悟を語る二人の男。そこはさすがに任侠の徒である。その点は尊重せねばならないと
思ったか、紗耶香は早々に二人に対して理由を打ち明ける。


488 :ナナシマン:03/12/24 01:13 ID:wIwEsAZC
 「実はね・・・用心棒の口をさがしててね」

 「用心棒ですか・・・」

二人はそう言って互いに顔を見合わせる。自分の腕ならば先刻身をもって思い知った
はずだ、そんな勢いで紗耶香は二人の前に回りこんでさらに駄目押しする。

 「だめ?いい仕事するよ?」

確かに「いい仕事」はしそうではある。それは既に確認済みでありその点は保証できる。
だが、二人はまたお互いに顔を見合わせると、申し訳なさそうに言った。

 「客人、申し訳ねぇ・・・ウチは用心棒の先生が既に一人いるんだ。あんたの食い扶持
はないかも知れねぇ」

 「聞いたことは無ぇかい。日本一の拳法使い、『ワルツ・リー』の名前を」

そう言って男達は紗耶香に詫びる。鬼勘一家には既にワルツ・リーなる男が用心棒と
して雇われており、紗耶香を雇うことはできないだろうというのだ。しかし、そう言われて
引き下がる紗耶香ではない。

 「ワルツ・リー・・・じゃあ、先にそいつに会わせてもらおうかな」




489 :ナナシマン:03/12/24 01:14 ID:wIwEsAZC
今日の分は以上です。続きはまた明日(というか今晩でしょうか)。


490 :名無し天狗:03/12/24 10:04 ID:LZqM/PIb
>ナナシマンさん
お待ちしてました、お疲れ様です!
こうなると…ズバットスーツとズバッカーの開発の経緯を知りたいものですが…。

491 :ナナシマン:03/12/24 22:24 ID:CFaCwO4l
 ようやく実家に帰り着きました。本来ならばこれから更新、となるところなのですが
更新は明日にさせていただきたく思います。というのも、実は地元のレンタルビデオ店
に置いてるんですよ、ズバット。これを借りて、ディテールを固めてから更新に臨もうと
思います。

>>名無し天狗さん
 今後はその点も触れて行きたいと思ってます。まだ描いてない場面は残ってます
ので(w。次回更新の際は「日本一対決」、やります。

492 :名無し天狗:03/12/25 21:24 ID:NqUJM5sp
>ナナシマンさん
日本一対決!?待ってました!!

493 :ナナシマン:03/12/26 02:21 ID:Mh9bE4MT
 「どうしてもお会いになりてぇ、と」

 「うん。会いたいな♪」

 もはやどう言葉を取り繕うとも、紗耶香はワルツ・リーと会いたいと言って
きかないだろう。二人は一度リーに会ってその腕っ節を確かめれば、さしもの
この流れ者も諦めがつくだろうと思ったか紗耶香をリーのもとへと案内した。
しばらく廊下を歩いたところに、再び広い中庭があるのが見える。と、そこに
いたのは拳法着を着た一人の男。裂帛の気迫と共に繰り出される突きと蹴りが
空気を切り裂く。眼の前に立っている男こそ日本一の拳法使いと名高い、かの
ワルツ・リーなのである。しかし、紗耶香は彼の名に既に覚えがあった。
おもむろに中庭へと降り立つと、彼女は不敵な笑みと共にこう言い放った。



494 :ナナシマン:03/12/26 02:21 ID:Mh9bE4MT
 「鬼勘一家の用心棒、ワルツ・リー。日本じゃ2番目の拳法使い」

 出会うなり飛び出したこの大胆な言葉に、周囲の空気が一気に凍りつく。
一心不乱に鍛錬に打ち込んでいたワルツ・リーも、この瞬間自分が何を
言われたか察しがついたらしく、型の稽古を止めて少女のもとへと歩み寄る。
 そしてその直後、緊迫した中庭にもう一人の男が姿を現した。大親分の貫禄を
漂わせ、別の二人組に付き添われてやってきた初老の男。この男こそが、誰あろう
鬼の勘三、通称鬼勘だった。しかし、それは彼女にとっては願ってもないこと
だった。鬼勘もまた、紗耶香の言葉を耳にしていたらしく、開口一番にらみを
利かせて言う。

 「2番目だと? 若造、このワルツ・リーより腕のたつ男が日本にいるっての
かい!」

 自慢の用心棒が日本で二番目などとけちを付けられて、黙っていたのでは極道の
名折れ。鬼勘は文字通り鬼の剣幕で紗耶香を睨み付ける。


495 :ナナシマン:03/12/26 02:23 ID:Mh9bE4MT
 しかし、紗耶香はその視線を全く意に介することなく目深に被ったテンガロン
ハットのひさしを人差し指でスッ、と持ち上げる。そして、口笛一つ吹くと、
お得意のあの仕草を決めて見せた。

 「チッチッチッ・・・」

なんとも挑発的な仕草。相手がその筋の達人であろうとも、自分の腕には及びも
つかない、と言わんばかりに人差し指が相手の腕っ節をいかなる言葉よりも饒舌
に否定して見せる。これには鬼勘もリーも怪訝な表情を見せる。そして、最後に
力強く立てた親指が自らを指し、真の日本一を知らしめるための戦いの序曲と
なるのだ。

 「なめやがって・・・だったらお前とこのワルツ・リーで勝負してみろぃ!!」


496 :ナナシマン:03/12/26 02:29 ID:Mh9bE4MT
怒気に顔を赤らめて鬼勘が叫ぶ。鬼勘の言葉にワルツ・リーも応え、彼はゆっくりと
庭の片隅に置いてある石灯籠の前に立った。そして、腰を少し落として丹田に力を
ため、そのままその力を拳に乗せて気合と共に強烈な突きを放つ。

 「キエエエエーッ!!」

 リーの拳が石灯籠を打ち抜き、拳打でふっ飛ばされた石灯籠の一部が玉砂利を
敷き詰めた中庭に鈍い音を立てて落ちる。なるほど拳法の達人との呼び声どおり、
彼は常人には不可能な打撃を披露して見せたのだ。この光景に鬼勘の頬が緩み、
どうだ、と言わんばかりの視線を紗耶香に送る。ワルツ・リーもまた、お前にこれが
できるか、と言いたげな表情とともに親指で鼻をひとなでする。その仕草は、あの
カンフースターを彷彿とさせた。

 「今のを見たかい?お前さんがどこまでやるか、見せてもらおうじゃねェか」

鬼勘とリーは、この対決の行方が既に見えたとばかりに余裕の表情で紗耶香を見る。
一方の紗耶香も鬼勘一家の男達が見つめる中、先ほどリーがして見せたように石灯籠
の前に立つと、静かに呼吸を整えた。


497 :ナナシマン:03/12/26 02:30 ID:Mh9bE4MT
 ビデオを借りたのがつい先ほどだったので、実はまだ見ていません。一応ビデオを
見てから文章を詰めたいと思いますので、続きは明日。

498 :名無し募集中。。。:03/12/28 06:35 ID:e/VL365P
保全。

499 :名無し募集中。。。:03/12/29 08:26 ID:hfxS3peX
保、保全。

500 : :名無し募集中。。。 :03/12/29 11:38 ID:Bd0Xh/71
test

501 :名無し募集中。。。:03/12/29 11:38 ID:Bd0Xh/71
てst

502 :名無し募集中。。。:03/12/29 11:41 ID:Bd0Xh/71
てst

503 : :名無し募集中。。。 :03/12/29 11:42 ID:Bd0Xh/71
test

504 :名無し天狗:03/12/29 21:46 ID:lSr0qUG6
以前「嵐・第二章」の船上のクダリで
ユキの変装を「鳥越」と書いたけど「鳥追い」の間違い…。
保全も兼ねてお詫びと訂正、ご容赦!

505 :保全:03/12/29 21:59 ID:5WcBLfPA
「みんな聞こえる?聞こえるよね?」

友人との楽しい思い出になる筈であったあの日、彼女は全てを失った。

「ほら、あのマシンの爆音・・・大地が轟き、風が唸る」

ゼティマの怪人の前に散って行った友。その現場で彼女は呟く。

「あれはね・・・そう、あれは・・・」

彼女は近づくマシンを指差すと言った。

「あのマシンに乗る仲間の熱い思いの高鳴りの音なの。悪を・・
 ゼティマを憎む怒りの雄たけび・・・そう、仮面ライダーだよ」

そう言うと彼女はそのマシンに手を振る。

「あのね、私もそうなんだ、私の名はスカイライダー。
 私も悪と戦うよ。みんなの仇を打つんだ。だから・・・見守っていてね」

彼女の名は紺野あさ美。紺野は迎えに来たZXこと小川のマシンに乗ると
その場を後にした。

506 :名無し天狗@「嵐よ叫べ」:03/12/29 22:42 ID:lSr0qUG6
時は江戸・・・

稲妻がきらめき、雷鳴が轟く中、死地を駆ける一人の女。
越前美浜藩十四万八千石・五木家家臣、くノ一のユキである。

彼女は宿敵・血車党と対峙していた!

「吹けよ嵐・嵐・嵐!とぉりゃああぁー!!」

彼女は叫ぶ、“嵐”を呼ぶ程の勢いで!
赤鷹の鳥人に変身した彼女の手には「秘剣・影うつし」で
数多くの血車化身忍者を葬った神剣・ハヤカゼが握られている!
そして正義の忍者は空を駆け、血車党の眼前に立ちはだかり、
声高に名乗りを上げた!

「我が名は嵐!変身忍者嵐、見参!!」

今、血車党との次なる死闘の火蓋が切って落とされた!!



・・・お粗末でした。

507 :名無しスター:03/12/29 23:56 ID:TWuoVdtE
実家から酔っ払って保全


あっはは♪

508 :名無し天狗:03/12/30 00:44 ID:dalqwz15
>名無しスターさん
忘・新年会シーズン。ムリしないでネ♪

509 :ナナシマン:03/12/30 01:06 ID:2+8RuAIK
 そして、ちょうど時を同じくして鬼勘が紗耶香の前にその全貌を現した。彼がその
ドスの利いた声で紗耶香の言葉に異議を唱えたとき、なぜかその半身は柱の影に隠れ
紗耶香の目に触れることは無かった。一見すると羽織と豪奢な金刺繍の和服に身を
包んだ時代劇にでも出てきそうないかにも悪い親分さん、という人相なのだが中庭に
降り立った彼の姿は一種異様だった。顔の半分だけが覆面に覆われており、傷だらけの
顔とあいまってその容姿はさながら出来損ないの改造人間のようですらある。

 「さぁ、大口叩いただけの技ァ、見せてもらえるんだろうなァ」

鬼勘の傍らで、紗耶香の姿を鼻でせせら笑うワルツ・リー。そんな二人をちらりと
見やると、紗耶香は手のひらを縦にすると、そのまま灯篭の火をともす部分に四本の
指をそろえてそえた。そして、その直後。

510 :ナナシマン:03/12/30 01:07 ID:2+8RuAIK
 「はっ!!」

そろえた四本の指を再び握りこぶしに戻すその刹那の間に、常人では考えられぬ
驚くべき力が発揮される。紗耶香の拳が触れたと思ったその直後、石灯籠は各部分
ばらばらに吹っ飛んでしまったのだ。あっけに取られる鬼勘一家の面々。

 「・・・寸頸?!」

この絶技に真っ先に口を開いたのは、やはりワルツ・リーだった。寸頸、別名を
「ワンインチ・パンチ」、究極の密着打撃技法である。中国拳法の達人にのみ
使いこなせるこの必殺奥義を、いかなる故か紗耶香はマスターしていた。しかし、
彼女の妙技はそれだけではなかった。吹っ飛ばされた石灯籠のパーツは、あろう
ことか屋根から順に次々と落下し、なんと眼の前で逆さになった状態のまま
キチンと積みあがっているのである。まさに神業。こんな芸当、彼女以外に一体
誰ができうるというのだろうか。


511 :ナナシマン:03/12/30 01:07 ID:2+8RuAIK
 「馬鹿な!!」

我が目を疑う鬼勘に対して、紗耶香はウインクしながらこう答える。

 「これがあたしの・・・『逆さ灯籠』、ってね」

そして、仕上げとばかりに指をパチン!とはじく。その直後、逆さに積みあがった
石灯籠は音を立てて真二つに割れた。これだけの腕を見せ付けられては、鬼勘も
彼女の話を聞かざるを得まい。

 「お、おぅ・・・若けぇの、話聞こうじゃネェか」

こうなると話は早い。こうして紗耶香は見事鬼勘一家のもう一人の用心棒として、
組織に入る事に成功した。



512 :ナナシマン:03/12/30 01:13 ID:2+8RuAIK
沖縄との気温の差のせいか風邪を引いてしまいまして、二日ほど臥せってしまい
ました。そのため更新が滞ってしまって申し訳ありませんでした。復調しましたので
更新再開です。それと一部訂正事項があります。「すんけい」の漢字は多分「寸勁」
だったと思います。お詫びして訂正いたします。

513 :名無し天狗:03/12/30 01:31 ID:dalqwz15
>ナナシマンさん
お身体、お大事に。ムリなさらずガンバッテ!

514 :ナナシマン:03/12/31 02:58 ID:SHTltxf+
 鬼勘との話が付いたら後は大してやることはない。組の若い衆が見送る中を
紗耶香は外へと出て行く。このやり方は彼女がかつて蝙蝠男のアジトに潜入し、
味方を装い矢口真里を救い出したのと変わらないものだった。明日香について
の情報を聞き出せば後は用はない。これまで彼女が叩き潰してきた無頼の輩と
同様に壊滅させるだけだ。


 ちょうど門の外にさしかかったとき、紗耶香の耳に男たちのやりとりが
聞こえてきた。耳を澄ませてよく聞いてみると、それは組の者とおぼしき男と
かたぎの男の会話である。

 「期日はとうに過ぎてるんだ、金が用意できねぇんなら家でも何でも
売っちまって作れ!」

 「そ、そんな・・・」

 「まぁ、担保に金を借りても、博打の負けには足りねぇけどな。ウチが
貸してやってもいいんだが」

 どうやらこの男は鬼勘一家が仕切る賭場で大負けし、その金の取り立てに
あっているらしかった。男に助け船を出してやっても良かったが、今はまだ
その時ではない、そう考えた紗耶香はひとまず彼らのやりとりを無視して
門の外に出た。すると、入り口のそばには人待ち顔の少年が立っていた。
少年と紗耶香の視線が一瞬交錯したものの、少年はむくれてそっぽを向いて
しまった。


515 :ナナシマン:03/12/31 02:59 ID:SHTltxf+
 「誰を待ってるの?」

紗耶香は少年の方へと歩み寄るが、少年は彼女を拒絶するかのように一言
こう言い放った。

 「来るな!おまえもやくざ者の仲間だろ!」

 「・・・仲間、か。そう見えてもしかたないかな。ねぇ、お姉ちゃんに
話してくれないかな?」

そう言って紗耶香は少年の方へと再び歩み寄る。彼女の優しげな微笑みは、
かたくなな少年の心を少しだけ開くことができたようだ。少年は周囲を
見回して、紗耶香に鬼勘の悪事を話した。少年の話によると、鬼勘は夜な夜な
屋敷で賭場を開き、いかさま博打で大負けさせては暴利の金を博打に負けた
者に貸し付けているという。しかし、借りた金を返せなければどんな仕打ちが
待っているか知れたものではない。事実、鬼勘はそういった人々から家や
めぼしい財産を取り上げ、血の一滴までもすすり上げているのである。

 (そう言うことか・・・外道のやりそうなことだ)

 非道の輩に対する怒りをいったん腹の底に収め、紗耶香は少年の頭を軽く
なでて優しく言葉をかける。

 「大丈夫。お父さんも他の人も、奴らの良いようにはさせないからね」

やがて程なくして、少年の父親が門の方から姿を見せた。彼の父親は案の定、
先ほど鬼勘一家の者に取り立てを食らっていた男だった。みれば口元には
どす黒い痣が見え、彼が鬼勘の手先に暴行を受けたのは明らかだった。それを
見た少年の目に涙がにじむ。互いに駆け寄り、ひしと抱き合う親子の姿を見つめ
ながら、紗耶香の瞳は鬼勘一家に対する怒りに燃えていた。


516 :ナナシマン:03/12/31 03:02 ID:SHTltxf+
 少年の父に限らず、このあたりにすむ人々はたいてい鬼勘一家の横暴に
苦しめられていた。そんな罪なき人々の姿を、紗耶香はこの復讐の旅路において
何度も目にしてきた。

 希美たちがゼティマの改造人間と見えざる戦いを続ける一方で、紗耶香は一人
孤独な戦いを続けていた。改造人間でない彼女は、友の託した特殊強化服である
「ズバットスーツ」に復讐の力を求めた。ズバットスーツはかつて明日香が
残した設計図を元に、紗耶香が完成させたものだった。あの悲劇の後、ゼティマと
スマートブレインが血眼になって探した福田明日香の才知の結晶はついに彼らの
手に渡ることはなかった。しかし、二つの理論だけが紗耶香の手元に残された。
それは紗耶香の宇宙行きが決まった日に、明日香が手渡したものだ。宇宙への旅を
目指す友のために完成されるはずだった、研究の結晶。それがズバットスーツと
ズバッカーだった。しかし、それは結局復讐の道具として完成した。

 悪への怒りを涼しげな瞳の奥に隠し、白いギターにそっと手を添える紗耶香。
胸に燃えるのは復讐の炎、そして亡き友への思いだった。

 (明日香・・・あんたの生きた証が残るこの街で、あたしは必ず自分の思いを
遂げるつもりだよ。そしてもし、明日香が生きているのなら、あたしは・・・)

 傷を負った父を気遣い家路につく少年の姿が、木枯らしの彼方に少しずつ小さく
なっていく。友の復讐と鬼勘の悪事に対する怒りとを胸に刻み、紗耶香は二人の
姿が見えなくなるまで見送っていた。


517 :ナナシマン:03/12/31 03:03 ID:SHTltxf+
 今日の分は以上です。今回の話は年内には終わりたかったんですが、どうやら
年を越しそうな感じです。お休みしていた間保全してくださった皆様、本当にありがとう
ございます。

 


518 :名無し天狗:03/12/31 18:42 ID:oD+QHjbV
他愛のない話題で恐縮。
今この時間テレビでTvh(テレビ東京)にチャンネルを合わせてたら
ついさっきまで“高山源五右衛門殿”が唄ってました(「心凍らせて」)。

519 :名無し募集中。。。:03/12/31 21:44 ID:6SzXt5fj
ここの作者タン達は仮面ライダーブレイドはどうなんだろ。

520 :名無し天狗:03/12/31 22:09 ID:oD+QHjbV
>519
まだ何とも・・・。

521 :ナナシマン:03/12/31 23:59 ID:6SzXt5fj
 しかし、この姿を物陰から見つめていたものがいた。先刻の対決で敗北を喫した
あのワルツ・リーが少年と紗耶香のやりとりを目撃していたのだ。

 (あいつめ、ボウズどもと何を話していたんだ・・・)

早速リーは、紗耶香の不審な行動を鬼勘に報告した。リーの話を聞いた鬼勘は、
ふてぶてしい笑みを浮かべて彼に答えた。

 「なぁに企んでいやがるか知らねぇが、この鬼勘をだまくらかそうなんざ
十年早えってモンよ。見てな、思い知らせてやる」

紗耶香に二心ありと睨んだ鬼勘は、そう言って部屋の奥へと消えていった。そして
リーもまた、鬼勘に恭しくお辞儀しながらも不気味な笑みを浮かべていた。


522 :ナナシマン:04/01/01 00:35 ID:xqfiG1lO
 翌日。鬼勘は紗耶香を呼びつけ、彼女に使いを頼んだ。鬼勘の部屋にやって来た
紗耶香に、鬼勘はいやらしい笑いを浮かべながら用件を告げる。

 「実はなぁ客人、あんたに一肌脱いでもらいてぇ仕事があるんだが」

 「さっそく仕事か。いいよ、引き受けるよ。それで?」

何も知らない紗耶香は、屈託のない笑顔とともに答える。その様子に満足げな表情
を浮かべて鬼勘は言った。

 「まぁ、チョロい仕事よ。」

 鬼勘はそう言って、紗耶香に一枚の紙切れを渡す。そこには、地図が書かれていた。


523 :ナナシマン:04/01/01 00:36 ID:xqfiG1lO
 「ちょっと使いを頼みてェんだよ。その家に行って、軽く取り立ててほしいんだ、
貸した金をよぉ・・・あんたの年でも判る理屈だぁ、借りたモンは返さねぇとなぁ」

 「まぁ、そう言うことだよね・・・」

 「その通りだ、あんたァさすがに物わかりが良いや。それじゃ、頼んだぜ」

それから十数分後、紗耶香は鬼勘の地図を手に借金を取り立てるべく、示された家へ
と向かった。だが、そこに鬼勘の悪巧みがあろうことなど、紗耶香はまだ知るよしも
なかった。


524 :ナナシマン:04/01/01 00:40 ID:xqfiG1lO
 更新途中で年を越してしまいました(w。これから初詣に行きますので、とりあえず
今晩はこの辺で。2004年が読者の皆様方にとってすばらしい一年でありますように。
そして今年も旧年同様にご愛顧頂きますよう、がんばりますのでよろしくお願いします。

>>名無し天狗さん
 「心凍らせて」ですか。久々聞きましたそのタイトル(w。氏最大のヒット曲でしたよね。
今年もよろしくお願いします。

>>519さん
 もはや平成ライダーは、意匠はこの際置いといてストーリーに注目していくべきかと
思います。龍騎も555もデザインはアレですけど、ストーリーは良いな、というのが
個人的な感想です。

525 :名無し天狗:04/01/01 00:44 ID:XAOWRtw5
>ALL作家様
謹賀新年〜本年もよろしく〜

526 :名無し募集中。。。:04/01/01 13:42 ID:25sxZ0Xk
作家の方々、あけおめです。
今年も更新楽しみにお待ちしてます〜。

527 :名無し募集中。。。@怪人墓場:04/01/01 20:25 ID:sw3zgrhK
死神「死神博士だ。今日は地獄大使と怪人墓場から出張してきてやったわい」
地獄「新年だな、死神の。今年もよろしく頼むぞ」
死神「正月早々薄気味の悪い台詞を・・・全く縁起でもないわい」
地獄「相変わらず食えん男よ・・・ともかく、読者諸君には我々の世界征服
  までの道のりを、今後とも見届けてもらいたいぞ」

(鷲のエンブレムが赤く光る。首領の声が響く)

首領「おめでとう諸君。2004年の幕開けだ。今年こそ、我らの新しい
  時代の到来を期するのだ」


528 :名無し募集中。。。@怪人墓場:04/01/01 20:28 ID:sw3zgrhK
(ここで団歌斉唱)

悪魔のゼティマ(「悪魔のショッカー」の節で)

風が吹く 見よゼティマ
嵐が荒れる 力よゼティマ
世界は征服 偉大なゼティマ
怪人あやつる 恐怖だゼティマ
邪魔な相手は許さんぞ
出撃 それゆけ 怪人軍
人呼んで 悪魔のゼティマ
人呼んで 悪魔のゼティマ  

稲妻走る 光るゼティマ
雷ひびく 起きよゼティマ
世界は征服 偉大なゼティマ
悪魔の使い 恐怖だゼティマ
邪魔な相手は許さんぞ
出撃それ行け怪人軍
人呼んで悪魔のゼティマ
人呼んで悪魔のゼティマ

首領「今年も我がゼティマは強力な改造人間を続々と送り込んでいく所存だ。
  読者諸君もよろしく頼むぞ!」



529 :ナナシマン:04/01/01 20:38 ID:sw3zgrhK
本日年始回りのため更新をお休みさせて頂きます。続きは明日また。

530 :名無しスター:04/01/02 21:25 ID:HqeM9SSH
保全だよー

ところで「寸勁」ですが、一時期真面目に練習してましたw
掴み有りの空手とかやってたもんで。

柔道の練習中に中学生相手に使ったら怒られました。

531 :a:04/01/02 23:51 ID:zRwl6X8w
http://henachoko.homeip.net/uploader/updata/20040102202056.jpg
http://henachoko.homeip.net/uploader/updata/20040102202119.jpg
http://henachoko.homeip.net/uploader/updata/20040102202139.jpg
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http://henachoko.homeip.net/uploader/updata/20040102202515.jpg

532 :名無し募集中。。。:04/01/03 01:08 ID:U9QGnVyl
>531
「仮面ライダー2号(ライダーあい)」の雄姿!

533 :ナナシマン:04/01/03 03:06 ID:cThPvCgK
 それから十数分後。鬼勘が示した地図の家にたどり着いた紗耶香は扉の前に
立っていた。用心棒として雇われたはずの初仕事がなんと借金の取り立てである。
彼女にとっても決して本意ではなかったが、鬼勘の信用を得て組織に食い込ま
なければならない都合上仕事を選ぶわけにはいかない。気乗りしなかったが、
紗耶香はとりあえず家の戸をたたく。

 「もしもーし、誰かいませんか?」

声をかけてみるが返事はない。少し時間を空けて再び声をかけてみるも、やはり
返事はない。そこで何気なく引き戸になっている戸に手をかけると、なんとも
あっさりと開いてしまった。どうやらこの家には鍵がかかっていなかったようだ。
少々不審に思いながらも、紗耶香はゆっくりと戸を閉めると玄関から家の中の様子
を伺う。

 「誰かいませんか?」

返事がない。もしかして誰もいないのだろうか。しかし、それにしても鍵をかけずに
不在にするとは何とも不用心な家である。紗耶香はとりあえず、玄関から見える範囲
で視線を走らせる。と、その時だ。



534 :ナナシマン:04/01/03 03:07 ID:cThPvCgK
 床に視線を落としたその時である。奥の部屋だろうか、その一角から人間の足の
ようなものが見えているのがわかった。瞬時に脳裏をよぎるただならぬ予感。紗耶香
はそのまま玄関をあがると、奥の部屋へと進んでいく。そして、そこで彼女が見た
ものは、血まみれになって倒れていた一人の男の姿だった。紗耶香は彼の顔に見覚えが
あった。そう、それは昨日鬼勘の屋敷で見かけた少年の父親だった。ここはあの少年の
家だったのである。

 「なっ・・・一体誰がこんな事を」

すぐに紗耶香は男のそばに駆け寄り彼の容態を看る。だが男はすでに事切れていた。
横たわる男の体を見つめる紗耶香。傷口は腹部のあたり、おびただしい出血を生じ
体の回りに赤い染みが広がっている。横にきれいに並んだ二つの傷。そして、その傷は
銃創ではなく何かで突き刺されたようではあるが、それは鋭利な物ではないと紗耶香は
判断した。

 (これは・・・なるほど、抜き手でえぐったか。もしや、鬼勘のところの用心棒?)

紗耶香が疑ったのは鬼勘一家の用心棒、ワルツ・リーであった。中国憲法の達人である
リーならば、徒手空拳で人の命を奪うのはたやすいことだ。

 とりあえず犯人の目星はついた。紗耶香は目をひん剥いて苦悶の表情を浮かべる男
の目を指でそっと閉じてやると、少年の父親を殺した敵に対する怒りを胸に、少年の
家を後にしようとした。と、その時。

 「ただいまー」

玄関先から聞こえてきたのはあの少年の声だ。そしてそれから間髪を入れず、少年は
靴を脱ぎ捨てて玄関から家の中へと上がり込む。その直後、少年は血まみれになって
倒れ伏す父親と、見覚えのあるテンガロンハットの少女の姿を見た。


535 :ナナシマン:04/01/03 03:15 ID:cThPvCgK
今日の分は以上です。続きはまた明日。

>>名無しスターさん
 寸勁についてはブルース・リーの「ワンインチ・パンチ」をビデオで見た覚えが
あった程度で、詳細は余りよく判らないままですがやらせてみました。それにしても
ご自身で練習されましたか、寸勁。かくいう僕もブルース・リーやジャッキー・チェン
のカンフーにあこがれたことはありまして、ヌンチャクとか酔拳ごっことかやってた
ことがありました。

>>aさん
 残念ながらデリられたっぽいです。見ることができませんでしたが、>>532さんの
書き込みからすると何かかっこいい絵だったんでしょうね。





536 :名無し募集中。。。:04/01/03 09:34 ID:jz7rdzrP
>535
ハロプロスポーツフェスタでのあいぼんの活躍の写真のことでしょ。

537 :名無し三等兵:04/01/03 15:39 ID:SS/0jjuu
555とアギトを早く読みたいあげ


538 :名無しスター:04/01/04 01:44 ID:HV0s4fd5

ダブルライダーが・・・

みんながんばれ。
俺はがんばる・・・


>「戻らない昨日を求めるより、来るべき明日に希望を託して・・・・」


539 :ナナシマン:04/01/04 23:58 ID:+tWbZxhf
 「父ちゃん!!」

 少年の悲鳴が部屋中に響く。部屋にいたのは二人だけ。誰が見ても、誰に何と
言おうと、この状況は紗耶香にとって最悪の展開だった。涙のにじむ少年の目が、
怒りと恨みの色とともに紗耶香の顔を見据えている。

 「お前が・・・お前が父ちゃんを・・・」

 「違うの!あたしが来たときにはもうお父さんは・・・」

少年の誤解を解こうにも、状況は明らかに紗耶香に不利だった。と、そこに
だめ押しとばかりに姿を見せたのが鬼勘一家の面々だった。鬼勘を筆頭に
ワルツ・リー、そして数名の若い衆が彼に付き従いわざわざ少年の家にやって来た
のである。

 「客人・・・あんた、さすがにこれはやりすぎじゃあねェのかい?」



540 :ナナシマン:04/01/04 23:58 ID:+tWbZxhf
鬼勘の何とも憎たらしい笑み。この瞬間紗耶香は自分が鬼勘の罠にはまったことに
気づいた。

 「鬼勘、お前・・・」

 「おっとぉ、妙な勘ぐりは止めてもらおうか。俺は銭は取っても、命まで取る
つもりはねェ・・・このままおまわりにでも付き出してやらぁ」

鬼勘はそう言って顎で指図すると、若い衆が紗耶香の両側に立ち、おのおので彼女
の両腕をつかむ。紗耶香なら難なく振り払うこともできたが、その振る舞いは
ますます自らの立場を悪化させるだけだろう。この場はおとなしく連中にされる
まま、両腕を縛られた状態で連れられていった。


541 :ナナシマン:04/01/04 23:59 ID:+tWbZxhf
 「さてと、あの若ぇのがいなくなったところで、だ・・・」

 鬼勘は未だ泣きじゃくる少年の方を見やると、そのすぐ後に今度はワルツ・リー
と視線を交わす。そしてのど元に親指を突き立て、一気に掻き切る仕草を見せた。
鬼勘は今度は少年を殺すようにリーに命じたのだ。少年もまた紗耶香と同じように
鬼勘一家の若い衆に引き立てられ、家の裏手にある神社の境内へと連れられていく。

 「ボウズ、冥土の土産って言葉を知ってるか?今に見てな、おめぇの親父だけ
じゃねぇ。俺たちゃこのあたりに住んでる奴を徹底的に追い込んで、辺り一帯にゃ
人っ子一人いなくなるんだ」

 鬼勘はそう言って、少年の顎のあたりをつかむ。恐怖におびえて言葉を発する
こともできないまま、少年は父親を殺害した真犯人の顔を見つめている。

 「ゼティマの大親分さんがこの鬼勘に言ったのさぁね。この街の深けぇところに
何でも秘密基地を作るってぇ話だってよ。それで俺たちゃここいらの連中を
追いはらうついでに、暴利の金を貸してケツの毛までむしり取るって寸法よ」 

鬼勘一家はゼティマの秘密前線基地建設の手先として地上げを行う傍ら、さらに
住民をいかさま博打に誘い込んで暴利の金を貸し付けていたのだ。まさに鬼畜生の
所行である。そして今まさに、鬼勘はおもむろに来ていた羽織を脱ぎ捨てる。と、
彼の腰には一降りの日本刀が見えた。


542 :ナナシマン:04/01/05 00:03 ID:GcUxfNLn
 「さぁて・・・おぅボウズ、『死人に口なし』って知ってっか?俺もちぃと
ばかし喋りすぎたんでな、お前も生かしちゃおかねェぞ」

腰の日本刀が抜き身の鋭い光を放つ。その切っ先が少年の鼻っ面に突きつけられる
と、鬼勘はにやりと笑って刀を振り上げる。と、その時いずこからともなく飛んで
きた石の礫が鬼勘の手首に命中し、鬼勘は痛みのあまり刀を手元から落として
しまった。手をさすりながら、礫を投げつけた者の姿を探す鬼勘。

 「野郎・・・嘗めたマネしやがって、どこの誰でぇ!!」

その直後、何者かの笑い声が高らかに響き渡る。鬼勘一家の面々がめいめいに視線を
走らせ、声の主を捜す。そして次の瞬間、社の影から姿を現したのは連れられていった
はずの紗耶香の姿だった。白いギターを抱え、一節かき鳴らしたところで目深に
かぶったテンガロンハットをスッと人差し指で持ち上げると、怒りの眼差しとともに
鬼勘一家を目の前にして叫ぶ。

 「鬼の勘三・・・お前の悪事はしっかり聞かせてもらったよ!」

543 :ナナシマン:04/01/05 00:23 ID:GcUxfNLn
 今日は朝からちょっと衝撃的なニュースが入りましたが、この世界の物語が
変わることはないでしょう。二人の活動が形を変えても続く以上、この物語での
活躍も続きます。今日の分は以上です。続きはまた明日。

>>536さん
 そうなんですか。でも、それも何か見たいなと思ったり。

>>名無し三等兵さん
 どこかアプロダあればjane用のログうpましょうか?


>>名無しスターさん
 まぁ、そう言うことです。物語はこれまで通り続いていきます。ただ、その辺りで
メモリアル的なエピソードとかあると面白いかもしれませんね。



544 :ナナシマン:04/01/05 00:50 ID:GcUxfNLn
>>541を少し訂正です。

 鬼勘は未だ泣きじゃくる少年の方を見やると、そのすぐ後に今度はワルツ・リー
と視線を交わす。そしてのど元に親指を突き立て、一気に掻き切る仕草を見せた。
鬼勘は今度は少年を殺すつもりなのだ。リーもにやりと笑って頷く。少年もまた
紗耶香と同じように鬼勘一家の若い衆に引き立てられ、家の裏手にある神社の
境内へと連れられていく。

とさせて頂きたく思います。

545 :ナナシマン:04/01/05 18:45 ID:MplFtwEw
( ‘д‘)<この雨だって絶対に止むよ。そしたら青空になる!今だって、
       雨を降らせている雲の向こうには、どこまでも青空が広がってるんだ!

何となく思い出しましたので、ちょっと入れてみました。更新はこの後。


546 :ナナシマン:04/01/06 01:29 ID:i/BLX8DO
 「あのガキ・・・生きていやがったのか」

紗耶香にしてみれば悪党のやり口など心得たもの。ひとたびあの場を離れれば、後は
自分を引っ立てて連れて行こうとするヤクザ者をふりほどき、叩きのめす事など造作も
ない話だ。思惑がはずれて歯がみする鬼勘。しかしすぐさま手下の者達に命令を下す。

 「おぅっ野郎ども!構うこたぁネェや、撃ち殺せ!!」

鬼勘がそう言うや、ヤクザ者達はやおら銃を手にすると、紗耶香のいる社に向かって
撃ちまくった。素早く紗耶香は身を潜めたが、社の一角はすぐさま硝煙に包まれ、
激しい銃声とともに壁といわず石垣といわず、片っ端から土煙と火花が上がり紗耶香の
姿は硝煙の彼方に消えた。


547 :ナナシマン:04/01/06 01:30 ID:i/BLX8DO
 「おねーちゃん!!」

紗耶香を呼ぶ少年の声も鳴り響く銃声にかき消され、その稲妻のような轟音はしばらく
静かな境内の空気を切り裂いて響き渡っていたが、ひとしきり弾を撃ち尽くしたところで
鬼勘が子分達の銃撃を手で制した。

 「そのくらいで良いだろう・・・これだけ鉛弾食らわしゃあのガキも生きちゃいねぇ」

紗耶香の死を確信したかのようにほくそ笑む鬼勘一派。だが、その時何処から爆音が
とどろくと、白銀に輝くジェットファンを回転させながら真っ赤なマシンが鬼勘の
手下達をはねとばし突っ込んできた。

 「なっ・・・なんでぇありゃあ!!」


548 :ナナシマン:04/01/06 01:30 ID:i/BLX8DO
 マシンを駆る赤いスーツの戦士を乗せて、万能マシン「ズバッカー」は鬼勘の元へと
切り込むようにうなりを挙げて爆走してきた。さすがに自分の親分を轢き殺されまいと、
その間に素早くワルツ・リーが割って入る。ズバッカーは彼らの前方に少し距離を置いた
状態で停車した。
 そこからさらに電光のような鞭の一撃がうなり、少年をとらえていたヤクザ者の顔面を
切り裂く。顔面を襲う激痛にヤクザ者達がうめく中、少年は見事この謎の戦士によって
救い出された。そして、華麗な大跳躍とともに操縦席から飛び出し、先ほどまで硝煙に
包まれていた社の屋根の上に立つのは白いマフラーをなびかせて赤いスーツに身を包み、
額に「Z」をかたどったヘルメットで素顔を隠した戦士。それは紗耶香のもう一つの
顔であった。


549 :ナナシマン:04/01/06 01:33 ID:i/BLX8DO
 市井紗耶香が復讐の誓いを胸に友の遺したズバットスーツに身を固めた時、彼女は
「快傑ズバット」として悪に敢然と立ち向かうのだ。風になびく白いマフラー、青空に
映えるは赤と黒のコントラスト。ズバットは右と左に腕を構え、左腕を高くかざすや
そのまま両腕で天地を指すごとく開き、眼下の悪人どもに見得を切る。

 「ズバッと参上、ズバッと解決!人呼んでさすらいのヒーロー、快傑ズバット!!」

これを見上げるのは大極道、鬼の勘三とその子分達。突如現れたズバットを目の前に
して、残る手下どもを呼び集めて迎え撃たんと身構える。

 「ゼティマの秘密基地建設に荷担して住民を虐げ、あまつさえいたいけな少年の
父親を殺した鬼の勘三・・・許さん!!」

ズバットは集まった眼下の悪党たちを指さし、怒りを込めて叫ぶと社の屋根から身を
翻して敵のまっただ中へと舞い降りた。手近なヤクザ者に鉄拳一発食らわすと、
すぐさま鬼勘一家との戦いが始まった。


550 :ナナシマン:04/01/06 01:34 ID:i/BLX8DO
今日の分は以上です。続きはまた明日。

551 :名無し募集中。。。:04/01/06 19:18 ID:MvXpHP43
ハロプロ新メンバー・三好絵里香の登場は・・・!?

552 :ナナシマン:04/01/07 00:15 ID:McCcaHXm
 寄せ来る敵を次々となぎ倒すズバット。みるみるうちに鬼勘一家のヤクザ者たちは
境内の玉砂利の上に倒れていった。そして銃を構えた相手には電光石火の鞭裁きで
稲妻のような一撃を加え、苦悶の表情とともに敵はよろよろと崩れ落ちていく。瞬く間
に鬼勘一家の愚連隊は総崩れ。親分を置いて逃げ去る者も現れる始末だ。玉砂利を
蹴立てて這々の体で逃げ出す子分達の姿に、狼狽える鬼勘。そうこうしている間にも、
ズバットは無言のまま鬼勘にゆっくりと歩み寄っていく。

 「お・・・おいてめぇら、どこ行きやがるんでぇ!!」

うわずった声で逃げる子分達を呼び止めようにも、ここまで圧倒的な強さを見せつけ
られては逆らう方が愚かというもの。とうとう境内に残ったのはズバットと、それに
相対する鬼勘とワルツ・リーの三人だけだ。

 「フッ・・・自慢の若い衆はもういないみたいだけど?」

 「ちきしょう・・・ワルツ・リー、殺っちまえ!!」



553 :ナナシマン:04/01/07 00:16 ID:McCcaHXm
頼るべきはもはやこの男を置いてほかにない。鬼勘は自ら歩みでたリーの陰に隠れ、
ズバットを抹殺するよう命じた。ゆっくりと手刀を切って身構えるワルツ・リーに
対して、ズバットもまた同じく身構える。ゆっくりと間合いを詰めながら、すり足
でリーに近づいていくズバット。これに対して、身体を半身に構えたワルツ・リー
もまた間合いを計りつつズバットににじり寄る。

 「キエエエエエーッ!!」

裂帛の気合いとともに、ワルツ・リーの右の抜き手が空を切り裂く。ズバットは
これをすんでの所でかわしたが、さらにリーは猛獣の爪のような左の拳撃を胸元に
叩き込む。その攻撃に一瞬姿勢を崩したズバットに対して、リーはここぞとばかりに
パンチの連打を見舞う。常人ならば立っていることはまず不可能な、この打撃に
対してズバットはこれを真っ向から受けて持ちこたえる。ズバットスーツの強靱さが
可能にしたこの芸当に、リーはさらにムキになって突きを繰り出すが、その一撃を
片手で受け止めたズバット、そのまま身を翻してワルツ・リーの背中側へと回り込み
脇腹にボディブローを叩き込んだ。

 「グウェッ・・・!!」

 脇腹を襲う激痛に、思わず呼吸も止まる。目をひん剥き、ゆがんだ口はまさに
はらわたも飛び出さんばかりの有様だ。鈍い音ともにグローブ越しに骨の砕ける
感触が伝わったその直後、動きの止まったワルツ・リーに対してズバットは鋭い
連続蹴りを繰り出す。打点の高い、高速の蹴りが三連続でリーの顔面に炸裂する。
いわゆる「李三脚」とよばれる、あの映画スターが見せた電光石火の連続蹴りだ。
三発目の蹴りが炸裂したところで、ワルツ・リーは姿勢を崩したままよろよろと
後退した。これだけの攻撃に立っていられただけでもたいしたものだが、ズバットは
追撃の手をゆるめない。そして神社の石灯篭を背にして息も絶え絶えのリーに対して
とどめの一撃。一瞬の踏み込みから強烈なサイドキックを放つと、ワルツ・リーは
がらがらと音を立てて崩れ落ちる石灯篭もろともぶっ倒れ、完全にノックアウト
されてしまった。


554 :ナナシマン:04/01/07 00:16 ID:McCcaHXm
 ワルツ・リーとの戦いを終えたズバット。そのヘルメットにあるZの文字を
かたどった飾りは、実は戦いの制限時間を知らせるタイマーとしての機能が
備わっている。

 (残りわずかか・・・)

ズバットスーツを装着し、紗耶香が戦うことができるのは5分間だけなのである。
この制限時間を過ぎるとズバットスーツは機能の限界を超えて爆発してしまう。
さりとてこの機能を解除してしまえば、今度はズバットスーツは単に鉛のように
重いだけの服になってしまうのである。限られた時間の中で、紗耶香はこのスーツ
から超人的な力を引き出して戦わなければならないのだ。

 頼みのワルツ・リーも叩きのめされた今、鬼勘はズバットに背を向けてそそくさと
逃げだそうとする。しかし、もちろんズバットが彼を逃がすはずはない。鋭い鞭が
まるで意志を持つかのように空を切り裂き鬼勘の首に巻き付くと、渾身の力を込め
ズバットは鞭を引き絞る。その勢いで鬼勘は宙に投げ出され、そこからようやく
立ち上がって刀に手をかけると、今度は手首を鞭打たれ痛みに顔をゆがめる。ズバット
は続けざまに鞭を入れると、鬼勘の着物の前がはだけてしまう有様だ。

 「ひっ・・・たっ、助けてくれぇ!」


555 :ナナシマン:04/01/07 00:18 ID:McCcaHXm
顔面蒼白、必死の表情でズバットから逃れようとする鬼勘だったが、またもズバットの
鞭が彼の首根っこをとらえた。強烈な力で締め上げられ、絶息寸前の鬼勘をさらに自分の
手元に引き寄せるべくズバットは鞭を引き絞る。

 「ぐっ・・・ぐええええっ」

鬼勘のうめき声と鞭を引き絞る音が静かな境内に響く。ぎりぎりと締め上げられていく
鞭の音を聞きながら、もがき苦しむ鬼勘に対してズバットは問いつめる。

 「福田明日香という少女を殺したのはお前か!」

 「しっ・・・知らん!」

 「嘘をつけっ!!」

病院で明日香の命を奪った一団と鬼勘自身の関わりを聞き出そうと、鞭を引き絞る
手に更なる力を込めるズバット。しかし、鬼勘は自らの関与を否定する。その度に
ズバットは鞭を引き絞っては振り上げ、鬼勘を宙に舞わせては叩き付ける。

 「そんなガキ、殺しちゃいねぇよォォォ・・・・!!」


556 :ナナシマン:04/01/07 00:20 ID:McCcaHXm
 「まだシラを切る気かっ!」

やがてズバットの責めに失神寸前の鬼勘は、最後の最後になって耳を疑うような
言葉を発した。

 「ヒイッ!そっ、そういや・・・同じ名の娘をゼティマの連中も探してた。蜘蛛
みてぇな成りのおかしな奴が来て写真を置いてった・・・俺が知ってんなぁ・・・
それぐれぇだぁ・・・!」

鬼勘の言葉に、ズバット〜紗耶香は住宅地でのあの女性の言葉を思い出した。
もしかしたら、明日香は生きているのか。これ以上のことを鬼勘は知らないと判断
したズバットは、鞭を振り上げて振り上げてまたも鬼勘を宙に舞わせると、相手が
起きあがるのを待たず自らも華麗に宙に舞う。そして空中で何度もドリルのような
高速回転を繰り返してから、地上の鬼勘に対して両足蹴りを食らわす。これが必殺
の「ズバットアタック」だ。

 「ズバット、アッタァァァァーック!!」

胸板を力一杯蹴り抜く一撃に、大極道鬼の勘三はあえなく大の字にぶっ倒れた。
戦いの終わりを確信したズバットは、ヘルメットのゴーグルとマスクを開く。


557 :ナナシマン:04/01/07 00:20 ID:McCcaHXm
 「明日香。あんたがもしこの世界のどこかにいるのなら・・・あたしは必ず
探し出してみせる。それまで、あたしの旅は終わらない・・・!」

 ここに鬼の勘三一家はズバットの活躍によって壊滅した。ほどなくして鳴り響く
サイレンとともに、鬼勘一家の魔手から逃れた少年を乗せたパトカーが神社に
やって来た。パトカーを降りた刑事達が見たのは、徹底的に叩きのめされて身動き
一つとれない鬼勘一家の面々。そして、大の字になったままの鬼の勘三の姿だった。
その着物の帯には、真っ赤な一輪のバラとともに一枚のカードが挟まれていた。
白地を稲妻のように赤く切り裂く「Z」の文字をあしらったそのカードには、

 『この者、極悪殺人犯人!』

と、書き付けられていた。



558 :ナナシマン:04/01/07 00:22 ID:McCcaHXm
 紗耶香の姿を求めて、町内を走り回った少年が河川敷にやって来たとき、一艘の
渡し船が一人の少女を乗せて川面をゆっくりと進んでいた。舳先に近い辺りにギター
を抱えて腰掛けた少女は見覚えのあるテンガロンハットをかぶり、どこか寂しげな
調べを奏でていた。

 「おねーちゃーん!!」

 河川敷を船の後を追って少年は走る。しかし、少女は少年の声に答える風でもなく
ただただギターをかき鳴らしていた。その音色は、少年と少女の惜別の調べであり、
父親を失った少年に雄々しく生きよと語りかけているかのようであった。少年は、
渡し船が見えなくなるまで、手を振って見送っていた。


 友の復讐を心に誓い、修羅の道を生きてきた一人の少女。しかし、運命はそんな
彼女に予想だにしない展開を見せようとしていた。明日香を殺した犯人を捕まえる
まで、戦いを終えるつもりはない。だが、もしも明日香が生きているならば今すぐ
にでも探し出したい。己の技にすべてを任せ、恨みの道を行く娘の行く手に待つ
ものは果たして生か、それとも死か。定めの川の流れが導く先は、誰も知らない。


第48話 「友よ!魔道に咲いた修羅の花」  終


559 :ナナシマン:04/01/07 00:24 ID:McCcaHXm
 今回の話は以上で終わりです。今はただただ長くなってすいませんと言った
ところでしょうか。二本の話を一つにまとめただけでなく、出張や風邪でしばしば
中断させてしまってホント申し訳ありませんでした。

560 :名無し天狗:04/01/07 01:51 ID:MKY/dWSH
>ナナシマンさん
お疲れ様でした。色々大変でしたでしょうが、今はゆっくりお休み下さい。
次回作に期待しつつ次の方どうぞ!

561 :保全:04/01/07 22:07 ID:cmGxT1Nq
秘密結社ゼティマの悪事が繰り広げられる中に1人の少女が姿を現す。

「セタップ・・・セタップ・・・セタップ・・・・」

ビルの谷間にこだまする声。少女の怒りは今、頂点に達していた。
少女は銀色の戦士に姿を変えると言い放つ

「銀の仮面に黒いマフラー・・・そして額のV!覚えておくがいい。
 ゼティマの陰謀はこの私が止めて見せる」

突然現れた戦士にゼティマの戦闘員が襲い掛かった。

「聞こえる!父の叫びが・・・あの日の波の音と一緒に・・・・ライドル!」

銀の戦士はは腰のベルトからスティック状の武器を取り出すと
戦闘員に斬りかかった。
ものの数分もしない内に十数人の戦闘員が戦士の足元に倒れ込む。

「Xライダーは今日も戦う!私は仮面ライダーX!・・・・x・・・x・・・」

元の姿に戻った少女の叫び声がまたしてもビルの谷間にこだまする。
そう彼女こそ・高橋愛・仮面ライダーXその人なのだ。

562 :名無し募集中。。。:04/01/08 20:46 ID:3udfVhfX
保全。

563 :名無しスター:04/01/08 21:11 ID:KBluqXCv
じゃあ、まだ半分程度の出来ですが、短編行かさせていただきます。

ところで

感想はコチラ↓
http://jbbs.shitaraba.com/bbs/read.cgi/music/6849/1069510488/l100

いや、ここに書いてもいいんですが。

564 :名無しスター:04/01/08 21:25 ID:KBluqXCv
『黒い仮面ライダー?』




「じゃあ、今日はこのぐらいにしよっか。」
「そうだね」

早朝の公園。矢口と飯田の二人はそう言って歩き出した。
朝のトレーニングだった。

トレーニングを始めて一ヶ月、残ったのはこの二人だけである・・・

「まったく・・・ひとみもケイちゃんもなっちも三日坊主なんだから!」
「本当にね。根性が無いんだから・・・」

「・・・でも、変身前の体で運動して効果があるのか分かんないんだけどね」
「まあね、朝ご飯がおいしいからやってるんだけどね。」

そう話しながら二人は公園の外周を並んで歩いていた。

朝の冷たい空気が気持いい。

「ん?・・」

突然飯田が立ち止まり、遠くを眺めだした。

「・・・カオリ、どうしたの?また交信中?」

「違うよ!あれ見て・・」


565 :名無しスター:04/01/08 21:26 ID:KBluqXCv

飯田が指差す方向を見ると、高校生ぐらいの少女が一人で空手の稽古をしていた。

素早い華麗な動きで蹴りと突きを繰り出す。
バランスの良い美しいフォームだ。

「なかなか大したもんだよ。」
「ふーん、赤心少林拳の達人が言うなら間違いないね・・・」

空手の少女は視線に気付き、動きを止めると二人のほうを見た。

「・・・あっ!!」

そして驚いたような声を上げ、こちらに向かって走ってきた。

「・・・カオリ、知り合い?」
「いや、知らないけど・・・」

少女は二人の前で立ち止まった
「あのう・・・」

「・・・何?」

「暴走族のお姉さん達ですね?」

いきなりぶしつけにそう言った。


566 :名無しスター:04/01/08 21:29 ID:KBluqXCv

「ぼ、暴走族う?」

「あれ、違うんですか?大きなバイクで夜中に出かけるからてっきり・・」

「あ、ごめん。うるさかった?」

「いいえ、音は静かですけど・・・でも、あのおばさんの家が溜まり場なんでしょ?
 この辺りじゃちょっと有名ですよ。」

「おばさん?・・」
「裕ちゃんのことじゃない?」

「あぁ、なるほど・・・」

飯田は納得しような顔をした。


567 :名無しスター:04/01/08 21:32 ID:KBluqXCv

「私たちそんな有名だったんだ・・・ところであなたは?」

「私、雅と言います。この近くに住んでるんですよ」

「『雅さん』か・・下の名前は?」
「雅が名前ですよ。苗字は夏焼・・・夏焼雅です。」

「へえ、変わった名前だねえ・・ところで空手じょうずだね」

「はい、近所の道場に通ってるんです。全日本の大会で優勝したこともあるんですよ。
 男の子だって私に勝てる子はいないんだから。」

そう言って雅は空手のポーズをして見せた。

「ふうん、すごいねえ。・・・ところで私たちに何か用?」

「仮面ライダーって知ってます?」


568 :名無しスター:04/01/08 21:35 ID:KBluqXCv

「知りません。」

飯田はキッパリ言い切った。

「そうですか・・・・。今私の学校で話題になってるんです。バイクに乗って
 悪い奴らをやっつける正義の味方!・・・私、一度合ってみたいんですよ。」

「へーえ・・・」

「お姉さん達もバイクに乗ってるから、知り合いかなって思ったんですけど・・・」

「・・・じゃあ、もし見かけたらよろしく言っておくよ。」
「お願いしますね!」

そう言って雅は元気に駆けて行った。

「・・・なんか失礼な子だよね。」
飯田は少しだけ不機嫌そうな顔をした。

「でも、仮面ライダーのことが噂になってるんだね。」
矢口はちょっと嬉しそうだった。

「喜んでる場合じゃないよ。気をつけなきゃね・・・」

二人はそんな会話をしながら公園の周りをもう少しだけ歩くと中澤家へと帰って行った。


569 :名無しスター:04/01/08 21:40 ID:KBluqXCv
今日は以上です。

本編とはあまり関係のない軽いお話です。

570 :名無し天狗:04/01/09 11:45 ID:HbjkZaTa
治部大輔殿、ご難・・・。

ttp://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/oreore_fraud/

571 :名無しスター:04/01/10 11:58 ID:a03Me4mJ

「いるわけねーだろ!」
「絶対にいるってば!」

翌日、雅は学校で男子数人と言い争いをしていた。

「じゃあ誰か見たことある奴いるのかよ。」
「それは・・・・」

「そら見ろ。いい歳してガキみたいなこと言ってんじゃねーよ!」

「バカじゃねーの?」

「・・・・バカって言った?」
雅はジロっと男子を睨みつけた。

「すいません。ごめんなさい。言い過ぎました・・・」


「雅ちゃん、そんな奴ら放っとこうよ・・」
「そうだよ、行こ行こ。」

そう言われて雅は取り巻きの女子数名と教室を出て行った。

「絶対にいるもん・・」
「わかってるって・・でも実際誰も見てないんだよね・・」
「うん・・」

雅はちょっと元気が無かった。


572 :名無しスター:04/01/10 12:00 ID:a03Me4mJ

それから一週間後・・・

「なあ一昨日の夜、誰か出掛けたか?・・・」

中澤が少し困ったような顔で全員に尋ねた。

「一昨日のパトロールはひとみと梨華だったよね?」
「うん、でも特に何も無かったよ?」
ひとみが言った。

「なにかあったの?裕ちゃん。」
矢口が心配そうに中澤に尋ねた。

「うん、変な噂を聞いたんやけど・・・」

変な噂とはこうだった。

ここ数日、夜になると「仮面ライダー」と名乗る輩が現れる。
スクーターに乗り、黒い衣装にヘルメット姿で暴走族やコソ泥を退治している。
どうやら正体は女の子らしい。

「・・・じゃあやっぱり偽者か。」
中澤が納得した様子でつぶやいた。


573 :名無しスター:04/01/10 12:04 ID:a03Me4mJ

「偽者って、まさかまたゼティマの・・・」
辻が心配そうな顔をした。

「いや違うやろ、やつらなら悪事を働くはずやし。」
「第一、姿形が違いすぎるもんね。ライダーのことよく知らないんじゃない?」

加護と矢口がそう言うと辻は少し安心した。

「そうれすね。でも評判が良くなるならいいれすよね。」
「いや、でも危ないよ・・・」

辻の言葉に飯田が答えた。

「危ないってなにがれすか?」
「相手が暴走族とか自転車泥棒ぐらいならいいんだけど・・・」

「そうやねん。あまり噂が広がると『本物の悪人』が出てくるかも知れんからな。」
中澤も心配そうに言った。

「でも一体誰が・・・」


574 :名無しスター:04/01/10 12:06 ID:a03Me4mJ

「あ、そういえば先週も私たちの噂を聞いたんだけど・・・」
飯田と矢口は先週の公園での出来事を話し出した。

「・・・ふーん。そんなことがあったの。」
「今回の件と関係あるかどうかわかんないんだけどね・・・・」

ともかく夜間のパトロールを強化するということで話し合いは終わった。


575 :名無しスター:04/01/12 00:30 ID:WdRtamO+

ブオォン!!ブオォォォン!!
ファーーン!ファン!ファアン!

その日の夜、町内を2台のバイクが走り回ってた。
2台とも二人乗りで消音器を外し、爆音を響かせている。
乗っているのは高校生か、ひょっとしたら中学生ぐらいの若い男たちである。
周りの人や車の運転手は眉をひそめつつ、黙ってそれを見ていた。

そのバイクが路地に入ったところで、前に1台のスクーターが立ちはだかった?

「止まりなさい!」
若い女の声だった。

「何だあ、お前は?」

「私は・・正義の味方、仮面ライダー!」

「はぁ?・・・」

「深夜に爆音を撒き散らし、安眠を妨害する悪者め、成敗してやる!」

そう言うと、フルフェイスのヘルメットを被った若い女は、バイクの男たちに向かって行った。

576 :名無しスター:04/01/12 00:33 ID:WdRtamO+

ドガッ!バキッ!


「ウウ・・・」
「いてえよぉ・・・・」

男たちは最初だけ威勢が良かったが、女の使う空手の技にたちまち倒されてしまった。
ヘルメットの女は男たちを見下ろすと、得意げに話し始めた。

「いいこと?今度悪さしたらこの仮面ライダーが承知しないからね・・」

「・・・待ちなさい!」

その時、突然背後から大声がした。


577 :名無しスター:04/01/12 00:36 ID:WdRtamO+

ヘルメットの女が声の方を振り向くと、こちらに歩いてくる人影があった。

「誰だ!こいつらの仲間か?それ以上近づくと・・・」

ヘルメットの女は大声でそう叫び、近づいてくる人影を威嚇した。
しかし、その人影は止まるどころかむしろ歩く速度を増しながらずんずんと近づいてくる。
あっという間に目の前に立ち、身構えるヘルメットの女の手を掴み上げた。


「乱暴はやめなさい!」

パトロール中のケイだった。

「くそっ!はなせ!・・・」

女はケイの手を振り払おうとするが、びくともしない。

「このっ!」

反射的にケイの顔面にパンチを見舞う。


578 :名無しスター:04/01/12 00:39 ID:WdRtamO+

ドシャ!

その瞬間女は足をすくわれ、ケイの足元に倒れこんだ。

「ええっ?嘘・・・」

女は慌てて立ち上がり、体勢を立て直すとケイに襲いかかった。

鋭いパンチ、キックが放たれる。
しかしケイはそれらをなんなくかわす。

「キャア!」

今度は足を掴まれ、軽くポーンと投げ飛ばされた。


579 :名無しスター:04/01/12 00:45 ID:WdRtamO+

「あんまり手間を取らせないで・・・ちょっと聞きたいことがあるだけなの。」

ケイがそう言いながら女に近づく。

「(まさかこいつが暴走族の親玉?・・・どうしよう事務所とかに連れて行かれたら・・・)」


「・・・あっ!空飛ぶ円盤!」

女は突然そう言いながらケイの後ろを指差した。

「えっ?うそ?どこどこ?」



・・・・キュルルルル・・・ブゥン!


「しまった!」

ケイが再び前を向くと、ヘルメットの女がスクーターにまたがり
エンジンをかけているところだった。

580 :名無しスター:04/01/12 00:47 ID:WdRtamO+

「待てー!」

ビィーーーーーーーン!・・・・

ケイが叫ぶのを尻目にスクーターはあっという間に夜の闇に消えていった。


「ふう、怖かった・・・」

スクーターに乗った女、夏焼雅はチラと後方を振り返った。
どうやら誰も追って来ない。
ようやくほっとした様子でアクセルを緩めた。

「世の中には強い人がいるなあ・・・」

いくら空手のチャンピオンでも、文明人と野蛮人では勝負にならないようだ・・・

「でも・・・仮面ライダーって本当にいるのかな?・・・」

雅はスクーターのアクセルを緩め、少しうつむき加減に考え込んだ。


581 :名無しスター:04/01/12 00:51 ID:WdRtamO+

「・・・・・・ぇぇぇぇぇぇ!・・・・」

その直後、かすかに人の叫び声が聞こえた。
雅は驚いて振り向くが後ろには誰もいない・・・

「気のせいか・・・」

そうつぶやき再び前を向いた時、今度ははっきりと声が聞こえてきた。

「・・・待てえええええ!」

「?」

さっき振り向いた方と反対側を見ると、ケイが全力疾走でスクーターと並走していた。

「・・・・・・」

雅はあっけにとられてその光景を見ていた。


582 :名無しスター:04/01/12 00:52 ID:WdRtamO+

「止まれえええええ!!」

ケイは走りながら必死の形相で雅に怒鳴りつけた。



「きゃああああああああああ!!」

雅はスクーターのアクセルを全開にし、全速力で逃げ出した。


583 :名無しスター:04/01/12 00:53 ID:WdRtamO+
今日の分は以上です。
更新遅くてアレですが、書き溜めた分がなくなったのでさらに遅くなりそうです。

スマソ

584 :名無し募集中。。。:04/01/12 20:28 ID:f4dD7gvb
保全。

585 :名無し募集中。。。:04/01/12 23:57 ID:9oZA9yTm


586 :名無しスター:04/01/13 20:54 ID:LW8QsSTs
「くそっ!・・・」

さすがのケイもこれ以上追いかけるのは無理だ。
その場で立ち止まり、肩で息をしながら膝に手を付いた。

キキィ!!

そこへ猛スピードで走ってきたバイクが音を立てて止まった。

「ケイちゃん、乗って!」

「遅いよ、矢口!」

ケイはそう言ってバイクの後部シートに飛び乗る。

「やっぱりあの子なの?」

「うん、多分間違いないよ。」


587 :名無しスター:04/01/13 20:57 ID:LW8QsSTs

矢口とケイは2人で夜間パトロール中だった。
(ジャングラーは目立つので、今日は矢口と2人乗りだった。)

そこで偶然さっきの場面に出くわした。
ケイすぐに出て行こうとしたが、矢口は少し躊躇した。
あの空手の動きに見覚えがあったからだ。
顔が知られているかも知れない・・・

矢口は物陰に隠れ、とりあえずケイ一人で様子を見に行ったのだった。

「でもあの子、どうしてあんなことを・・・」

「くそ、追いつけなかった・・・やっぱり明日からトレーニングを再開するよ!」


「・・・・いや、必要無いと思うよ・・・」


588 :名無しスター:04/01/13 21:10 ID:LW8QsSTs

雅は後ろをチラチラと振り返りながら必死に逃げようとする。
しかし無改造のスクーターでは60km/hが限度だ。
矢口の運転するバイクは雅のスクーターにみるみる近づいていく。

キキキィィィ―!

矢口が追いついたと思った瞬間、突然スクーターがブレーキをかけた。

「あっ!あぶない!」

慌てて矢口は横に避ける。

勢い余った矢口はスクーターを追い越してしまった。
スクーターはその隙に路地に逃げ込む。

「・・・・しまった!」

矢口は慌ててUターンして路地に入った・・・


589 :名無しスター:04/01/13 21:13 ID:LW8QsSTs

「あれ?・・」

路地に入るとスクーターが倒れていた。

「・・・コケたのかな?」
「でも、あの子は?」

雅の姿が見当たらない。

「走って逃げたのかな?・・・」

「ちょっと、これ見てよ・・・」
ケイがスクーターの異変に気付いた。

「コケた跡が無いね。」
地面にも、スクーターの側面にも擦ったような跡が無い。

「それに、これ・・・」

逆にフロントカウルは穴が開き、握り潰されたように曲がっている。

「壁にぶつかった・・・わけじゃないよね、これ。」

二人は立ち上がり、警戒して周りを見渡し始めた。


590 :名無しスター:04/01/13 21:22 ID:LW8QsSTs

「あれ見て!」

矢口がそう言って指差した方向に、月明かりに照らされた人影があった。
いや「人」とは思えないシルエットだ。屋根の上をジャンプしながら移動している。

「あっ、あの子が!」
よく見るとその影が雅を抱えている。

「追いかけるよ!」

「バイクじゃ無理よ・・・ハァーー!・・・」

バイクに飛び乗った矢口の横でケイが腕をクロスさせた。

「ちょっと!まさかここで・・・」


「アーーマーーゾーーン!・・・」

そう叫びながらクロスさせた腕を開くとケイの目が赤く光り、全身がまばゆい光に包まれた。

「先に行って待ってるからね」

光の中から現れたアマゾンはそう言ってをジャンプし、さっきの影を追いかけた。

591 :名無し募集中。。。:04/01/14 22:23 ID:VX6rnaDi
保全。

592 :名無しスター:04/01/15 00:48 ID:JRHTTgnd

「こいつのどこが仮面ライダーだ!」

郊外の廃ビルの地下室で、怪人「ガマゴエモン」は大声で叫び、雅を投げ飛ばした。
雅は数メートル飛ばされ、隅に積んであったゴミの山に落っこちた。

「ガキのお遊びだったとはな、汚名返上のチャンスだと思ったのに・・・」
もう一人の怪人「サラマンドラ」は呆れてその様子を見ていた。

「くそ!」

ガマゴエモンは悔し紛れに手にした槍を振り回すと、太い鉄筋コンクリートの柱が真っ二つに切り裂かれ、
音を立てて崩れ落ちた。

「(この人たちは一体なんなの?・・・)」
雅は怯えて声も出せない。

「ともかく、この辺りにライダーが出現するという噂はガセだったな。おい、一足先に帰って報告しておけ」

「イーッ!」
ガマゴエモンがそう言うと戦闘員の一人が出口に向かって走って行った。


593 :名無しスター:04/01/15 00:53 ID:JRHTTgnd

「で、こいつはどうするんだ?」
サラマンドラが雅のほうを指差した。

「そうだな、姿を見られたからな・・・」
ガマゴエモンはそう言いながら雅に近づく。

雅は逃げようとするが射すくめられたように動けない。

「気をつけろよ、油断させる作戦かも知れん。急にライダーに変身するかも知れないぜ。」

「(変身?・・・)」

「なあに、そのほうが好都合だ。いずれにしろ体を切り刻めば分かることだ」
ガマゴエモンはそう言って手にした槍を光らせた。

「い・・・いやあーーー!!」

ここでやっと雅は悲鳴を上げた。

「大声を出しても無駄だ。誰にも聞こえやしねえよ」

この辺りはゴーストタウンと化していた。
なんでも地元の暴力団と怪しい拳法使いが組んで、あくどい手で強引に地上げを進めていたらしい。

暴力団は最近姿を見せなくなったらしいが、半径500メートルに人は住んでいない。
ましてや地下室である。悲鳴は誰にも聞こえないはずだった。


594 :名無し募集中。。。:04/01/15 22:24 ID:epOcB009
↑あ、一昨日ネタスレにいた人だ。
保全。

595 :名無しスター:04/01/16 00:36 ID:l3ZBrxBY
すいません。今日はお休みさせて下さい。

>>594
なんのことやらw

596 :名無し募集中。。。:04/01/17 09:20 ID:/YbLiyO5
保全。

597 :名無しスター:04/01/17 16:05 ID:mA9qnl+a

「・・助けてー!」

雅は精一杯大声を出しゴミを投げつけながら抵抗するが、ガマゴエモンはそんなものにお構いなくじりじりと近づく。

「うるさい奴だ。さあ、ライダーなら変身してみろ!」

ガマゴエモンは雅の目の前に立ち、槍を振り上げた。


598 :名無しスター:04/01/17 16:07 ID:mA9qnl+a

「待て!」

地下室に大声が響いた。

「誰だ!」

ガマゴエモンは声の方を振り返る。しかし誰もいない。

「足元だ!」

サラマンドラの声に足元を見ると、ちょうどアマゾンが雅を抱え飛び上がろうとしているところだった。

「こいつ!」

ガマゴエモンは慌てて槍を振り下ろすが既に遅く、槍は地面に突き刺さった。

「どこへ行きやがった!」
「上だ!」

599 :名無しスター:04/01/17 16:08 ID:mA9qnl+a

アマゾンは雅を抱えたまま天井のパイプにぶら下がっていた。

「ちょっとここで待っててね。後で話があるから。」
そう言って雅をパイプの上に乗せ、下に降りていった。

「ライダー!貴様どうしてここが!」
「あれだけ大声出したら分かるわよ。それと、もう少し目立たないように移動したら?」


「あれが、ライダー?・・・・」
雅はパイプにまたがるように乗っかり、下の様子を見ていた。

「少しイメージと違うなあ・・・」


600 :名無しスター:04/01/17 16:11 ID:mA9qnl+a

「ふん、ちょうどいい。貴様の首を手土産に支部に帰ってやる。そうすればもう『負け犬』と言われずに済むからな。」
ガマゴエモンはそう言いながら手にした槍をアマゾンに向けた。

「あ、あんたたちひょっとしてこの前潰された支部の生き残り?それにしてはずいぶんな自信ね。」

「ふん、確かにあの時は逃げたがな・・あの4人以外だったら怖くは無いんだよ。」
「あの4人は今『最も危険な人物』としてマークされている。しかしそれ以外は大したことは無いらしいじゃないか。」
サラマンドラが後ろからせせら笑いながら言った。

4人とは北信越支部を壊滅させたX、スカイ、ZX、イナズマンのことである。

「・・・なんつー場当たり的な評価だ・・・・説教してやるから責任者呼んで来い・・・」
アマゾンは呆れて吐き捨てるように言った。


「死ね!」

ガマゴエモンがいきなり襲い掛かった。
アマゾンは軽く槍を受け流すと反撃を開始した。


601 :名無し募集中。。。:04/01/18 17:26 ID:/06+PYvs
 

602 :名無しスター:04/01/19 00:35 ID:digSgObn

「・・一体何が起こってるの?」

雅には二人の闘いが全く見えない。風を切る音と衝撃音のみが聞こえてくる。
入り口近くで衝突音が聞こえたかと思うと真下で何か音がする。

音の方向を見ると何もない。既に移動した後だ。
人間の目には見えないスピードで闘いが繰り広げられていた。

しかしサラマンドラの目にははっきりと二人の姿がとらえられていた。
「・・・チッ、情報と違うじゃねーかよ・・」

ガマゴエモンの威勢が良かったのは最初の一撃だけ。
あとはアマゾンの一方的な攻撃からひたすら逃げ回るだけだった。

サラマンドラでも到底かないそうもない。いや、二人がかりでもかなり怪しい・・


603 :名無しスター:04/01/19 00:39 ID:digSgObn

アマゾンはあっという間にガマゴエモンを追い詰めた。

「・・・さあ、覚悟しなさい。」
腕を振り上げ、とどめの一撃を食らわせようとしたその時、突然後方から怒鳴り声が響いた。

「待て、ライダー!こっちを見ろ!」
アマゾンが振り返ると、いつの間にかサラマンドラが雅を捕らえていた。

「それ以上攻撃を続けるとこの娘の命は・・・」

サラマンドラがそう言いながら液体を吐く。液体を浴びた木製の椅子はみるみる石に変わっていった。

「・・・こうだ!」
悪党の常套手段であった・・・

「・・・やれやれ。」

アマゾンはその様子を見るとサラマンドラの方に向き直り、構えを解いて腕をだらりと下げた。

「そうだ・・・そのまま動くんじゃねえぞ・・・」


604 :名無し募集中。。。:04/01/19 00:54 ID:digSgObn

アマゾンの後ろではガマゴエモンが槍を構えてにじり寄る。

「・・・やめて!」

それを見て雅が大声をあげた。

「私なんかに構わずにそいつらを・・・」

「うるせえ!静かにしろ!」
サラマンドラはそう言って雅の口を塞ぐ。

「心配しなくても大丈夫よ・・・しかし遅いなあ・・・」
アマゾンはちらりと入り口の方を見た。

「・・何ブツブツ行ってやがる!」

そう言ってガマゴエモンは背後からアマゾンに槍を突き立てた。


「ギャア!!・・・」


605 :名無しスター:04/01/19 00:58 ID:digSgObn

悲鳴を上げたのはガマゴエモンの方だった。

突き刺した槍はアマゾンの外皮に阻まれて脆くも砕け散り、ガマゴエモンは逆に腕が痺れてその場にうずくまってしまっていた。

「化け物め!こうなれば俺の石化泡で・・・」

サラマンドラがそう言って口を開けた。これを食らってはさすがにただで済みそうもない。
しかしアマゾンは余裕たっぷりでその様子を見ていた。

「・・・動くなよ。避けたりしたら娘がどうなるかわかってんだろうな。」

サラマンドラはアマゾンの様子を見て釘を刺すように言った。
再び口を開け、泡を吐く準備に入る。


「?!」
突如サラマンドラの背後から何者かの手が伸びた。
その手はサラマンドラの腕を掴むと雅を引き剥がした。

「遅かったじゃない。」

「だって、結構距離あったんだもん。」


言わずと知れたV3であった。


606 :名無しスター:04/01/19 01:02 ID:digSgObn
>>604
名前間違いました。

607 :名無し募集中。。。:04/01/19 01:08 ID:WfZj2uto
>>606
 問題なし。面白かったよ。

608 :名無し募集中。。。:04/01/20 21:04 ID:Ovig/U1W
保全。

609 :名無しスター:04/01/20 23:31 ID:jcJ2E8Fj

サラマンドラの腕から解放された雅はがっくりと膝を付いた。
アマゾンが素早く雅を抱きかかえ、安全な所に運ぶ。
それを見たV3が腕をひょいと振り回す。

ドガァ!

腕を掴まれていたサラマンドラは勢い良く壁に叩きつけられた。

「グウゥ・・・」
サラマンドラはうめき声を上げながら倒れこんだ。


「何やってたのよ、矢・・・V3。」

「そっちを見失っちゃって・・それよりこんな奴らを相手に何をモタモタしてんの?ケイ・・・・ケ、ケメコ。」

「・・・・誰がケメコよ。あんたのために相手を残しておいたんじゃないの。」

「どうだか・・・」


610 :名無しスター:04/01/20 23:34 ID:jcJ2E8Fj

「食らえ!」

突如二人を炎が襲う。ガマゴエモンの火炎ガマ油だ。

「このっ!」
アマゾンは炎をかいくぐりガマゴエモンに突進する。

「ぐああ・・・」

ガマゴエモンはあっけなく叩きのめされ地面に伏した。

「弱えーなあ・・・」

V3は呆れてその様子を見ていた。
サラマンドラもガマゴエモンも、あまりにも歯ごたえが無さ過ぎる。


「くっ!・・・カァッ!」

V3が振り返ったスキを突いて、サラマンドラがV3に石化泡を吐く。
V3の背後から複数の泡が襲う。


611 :名無しスター:04/01/20 23:37 ID:jcJ2E8Fj

「・・・なにっ!」

V3はまるで後ろに目でもあるかのように、後ろを向いたまますべての泡を避けてみせた。

実力が違いすぎた・・・

V3は悠然と振り返り、サラマンドラに向かって歩き出した。

「う・・・くそう!」
サラマンドラは苦し紛れに再び泡を吐いた。

「あっ!」
泡はV3にではなく雅に向かっていた。

「くそっ!」
V3は泡に向かってジャンプ。身を挺して雅をかばおうとする。

バシャア!

「?」
突如V3の前に人影が現れ、体で泡を受け止めた。
泡をかぶった足がみるみる石になっていく・・・

「ううう!!」

悲痛なうめき声が地下室にこだました。


612 :名無しスター:04/01/20 23:46 ID:jcJ2E8Fj

「貴様!・・・この人でなしめ!」
サラマンドラの怒鳴り声が響く。

「ぐぐぐぐ!!ひでえ!」
V3の足元ではガマゴエモンが石になった足を押さえてうめいていた。
アマゾンにぶん投げられたのだった。

「どっちが人でなしだ・・・ねえ、さっさとやっつけちゃおうよ。」
V3はそう言ってサラマンドラを引きずり起こした。

「そうね。でも必殺技を使うまでもないよね。」
アマゾンもそう言いながらガマゴエモンに近づく。

「く、くそ。あの4人だけじゃなかったのか!・・・」

「本部の情報部め・・いい加減なことばかり言いやがって・・」

サラマンドラとガマゴエモンが怯えながらつぶやいた。

「『あの4人』って?」

「あ、それはねえ・・・」

アマゾンがV3に説明を始めた。


613 :名無しスター:04/01/20 23:57 ID:jcJ2E8Fj

「・・・私らがあの4人より下・・・ってかい!」

「馬鹿にしてるでしょ?」
アマゾンは片足が石になったガマゴエモンを引っぱり上げながら言った。

「気が変わった、本当の力を見せてやる!・・・行くよ!」

「おう!」

そう叫ぶと二人は互いに怪人を投げつける。
そして飛んできた怪人に向かって同時にジャンプ!

「V3マッハキィック!」

「大切断!」


「・・・ギャアー!」
「グワアア!!」

2人の怪人は必殺技をモロに食らい爆発した。


614 :名無しスター:04/01/21 00:01 ID:sUAierAw

「ひっ!・・・」
強烈な爆風が雅を襲う。雅は思わず目を閉じた。

「あれ?」
いつまでたっても爆風は来ない。
そっと目を開けると目の前に2人のライダーがいた。
2人は盾となり、爆風から雅を守ったのだった。

「・・・あの、あなたたちはひょっとして仮面ライダーさん・・ですか?」

2人は黙ってうなずいた。


615 :名無しスター:04/01/22 01:22 ID:+iNfzJst

「・・・・あの・・・」

雅は何かを言おうとするが、聞きたいことが多すぎて言葉が出てこない。
とりあえず真っ先に浮かんだ疑問をぶつけてみた。

「・・・あの、あなたたちは人間・・・・ですか?」


「・・・もちろん人間だよ!」
V3は一瞬の沈黙の後、力強く答えた。

「で・・・でもその姿と、あの力は・・」

「正確には『改造人間』って言うんだけどね・・・」

「とにかく、私たちは危ない組織と闘っているわけよ。だから『仮面ライダー』の名前を語ると
今回みたいに狙われることになるの。わかった?」

アマゾンの言葉に雅は黙ってうなずく。

「それと、私たちのことはなるべく秘密にして頂戴ね。・・・じゃ・・」

アマゾンはそう言ってV3と出口に向かって歩き出した。


616 :名無しスター:04/01/22 01:25 ID:+iNfzJst

「・・・待って下さい!『危ない組織』って何ですか?さっきの怪人は何ですか?
なぜあんな姿で、あんなに速く動けるんですか?なぜ炎が出たり泡に触れると
石になったり・・あなたたちはなぜ怪人と戦っているんですか?
それに・・・なぜ助けてくれたんですか?・・・」

雅は去っていこうとする2人にありったけ質問をぶつける。

「今回の件で懲りたでしょ?あまり深入りしない方が身の為よ。
次は助けてあげられるかどうか分かんないんだからね。」

「・・・・」

アマゾンの言葉に雅は黙り込んだ。


617 :名無しスター:04/01/22 01:26 ID:+iNfzJst

「で・・でも、今回のお礼がしたいんです。何かお役に立ちたいんです・・・」

「今言ったことが聞こえなかったの?これはあなたには関係の無いことなの!」

「まあ、いいじゃない。じゃあさ、まわりで今回みたいに妙な事件があったら私たちに教えてよ。それぐらいなら大丈夫でしょ?」
V3が間に入る。

「まあ、そうね。一般からの情報も欲しいし・・・でも絶対無理しちゃ駄目よ。」

「は・・はい!」
二人の言葉に雅は元気良く返事をした。

「じゃあ・・・」

そう言うと二人は地下室から出て行った。
雅は去っていく二人の姿をいつまでも眺めていた。

618 :名無しスター:04/01/22 23:35 ID:ghiyK0UP
スマソ
保全

619 :ナナシマン:04/01/22 23:56 ID:iqKkuS58
 ここ数日自分とこの話を書いてましたので、こちらを見る機会があまりありませんで
すいません。

>>名無しスターさん
 GOD怪人生きてたんですね(w。それにしてもテンポのいい勢いのある展開で、参考に
したいです。

620 : :04/01/24 03:35 ID:SQvVOLbP


621 :名無しスター:04/01/24 23:34 ID:1rwG+cTt
数日後の朝

「じゃあ、今日はこのぐらいにしよっか。」
「そうだね」

早朝の公園。矢口と飯田の二人はそう言って歩き出した。
トレーニングを始めて一ヶ月、残ったのはやっぱりこの二人だけである・・・

「・・・ケイちゃん、今日は来なかったね。」
「やっぱり三日坊主だったね・・・・まったく根性ないんだから!」

そう話しながら二人は公園の外周を並んで歩いていた。
朝の冷たい空気が気持いい。

「ん?・・」

突然飯田が立ち止まり、遠くを眺めだした。

「・・・カオリ、どうしたの?また交信中?」
「違うよ!あれ見て・・」

飯田が指差す方向を見ると、数人の少女が空手の稽古をしていた。
数人の小学生の真ん中であの雅が皆を指導をしている。

「あの子でしょ?矢口がこの前助けた子って。」

「うん。でもなんか人数増えてるね・・・」


622 :名無しスター:04/01/24 23:38 ID:1rwG+cTt

「・・・あっ!!」

雅は二人の視線に気付き、指導を中断してこちらに向かって走ってきた。

「おはようございます!この前は失礼しました!」
雅は元気良く二人に話しかけた。

「・・・おはよう。朝から元気いいね。」
「今日は一人じゃないんだね。あの子達は空手道場の後輩の子?」

「いいえ、学校の同じクラスの子です。」

「同じクラスって・・・・もしかしてあなた小学生!?」
「え?そうですけど。」

「えええええええ?」

飯田と矢口は目を丸くして驚いた。

「(辻や加護より大人っぽいじゃん・・・)」
「(ていうか、バイク運転したらダメじゃん・・・)」

「どうしたんですか?」

二人のあまりのうろたえぶりを見て雅が心配そうに聞いた。


623 :名無しスター:04/01/24 23:46 ID:1rwG+cTt

「あ、ごめん。そうは見えなかったもんで・・・」
「で、クラスの子に空手を教えてあげてるの?」

ようやく落ち着いた飯田と矢口は雅に聞いた。

「はい。最近『探偵団ごっこ』を始めまして、護身術の練習をしてるんです。」

「探偵団ごっこ?」

「周りで変な事件とか、奇妙な人とか動物がいたら調べるんです。お二人も何かあったら教えて下さいね。」

もちろん雅を含め、みんなは「ごっこ」だとは思っていない。
仲間うちでは探偵団は「少年仮面ライダー隊」と呼ばれている。
少なくとも彼女たち本人は真剣だ。
彼女たちは雅の呼びかけに応じ、ライダーに協力しようと集まった。
雅の知り合いの中でも特に口の堅い、信用できる子だけが選ばれた。

表向き「ごっこ」と言っているのは「なるべく内緒にしてほしい」というアマゾンの約束を守ってのことだろう。
矢口も飯田もすぐにそのことを察した。

624 :名無しスター:04/01/25 00:23 ID:WUmyLy9/

「・・・それで、調べてどうするの?警察にでも通報するの?」
飯田はちょっと意地悪な質問をしてみた。

「え、えっと・・ある人に伝えるんです。」

「ある人って?私立探偵とか?それとも『正義の味方』とか?」
「もしかしてこの前話してた『仮面ライダー』のこと?」
「やだ!そんなのいるわけないじゃない。」

矢口も飯田といっしょになってからかって笑って見せた。

「・・・・・」

雅は少し悔しそうな顔して何も言わず黙っていた。

「・・・そんなこと言わずにつき合って下さいよぉ。」
しかしすぐに顔を上げ、笑ってそう言った。

それを見て飯田と矢口は感心した。
ひょっとしてカッとなってこの前のことを話してしまうのでは・・と疑っていたのだ。
この子なら信用してもよさそうだ。

「あ、うん。わかったわかった。」
「そうだね。何かあったら伝えるよ。」

「お願いします。」


625 :名無しスター:04/01/25 00:29 ID:WUmyLy9/

「じゃあね。」

矢口はそう言って帰ろうとした時、ふとあることに気付いた。

「・・・えっとさ。ちょっと気になったんだけど・・・その『ある人に』どうやって情報を伝えるつもりなの?」

「それは・・・・・」

雅はじっと矢口を顔を見た。
それを見て矢口はドキッとした。

「(・・・まさか、おいらの正体に気付いてるんじゃ・・・)」



「あぁ!忘れてた!・・・どうしよう!・・・・あぁ!・・・」

雅は突然頭を抱えて座り込み、激しく動揺し始めた。

「・・・みんなになんて言えば・・・あぁ!・・・あああ・・・」

どうやら考えてなかったらしい・・・

626 :名無しスター:04/01/25 00:46 ID:WUmyLy9/
「・・・えっと。じゃあね」

矢口はそそくさと帰り始めた。
慌てて飯田が追いかける。

「ちょっと矢口!あの子に連絡先を伝えなかったの?」

「うっかりして・・・それに住所とか教えるわけにも・・・」

二人は少し離れてヒソヒソと話し始めた。
振り返ると、雅は座り込んだまま気の毒なくらい落ち込んでいる。

「なんとかしないとね・・・」

「あれ?・・」

飯田と矢口は雅の後方から走ってくる人影に気付いた。

「・・・ケイちゃん?」


627 :名無しスター:04/01/25 00:49 ID:WUmyLy9/

ケイは雅のすぐ横を走り抜け、二人に駆け寄った。

「ごめん。寝坊しちゃって・・・」

「遅いよぉ。」
「また三日坊主かと思っちゃった。」

「今度はちゃんとやるよ。・・・そんなことより二人でコソコソ話して、何かあったの?」

「いや、あの子が・・・・」
矢口は雅の方を指差した。

「あれ?・・・あの子はこの間の・・・」

ケイがそう言いながら雅の方を見るとちょうど雅も顔を上げ、二人の目が合った。


628 :名無しスター:04/01/25 00:51 ID:WUmyLy9/

「・・・ひいっ!」

雅はケイの顔を見るなり飛び上がるように立ち上がった。

「やっぱりあの二人も暴走族だったんだ!」

そう叫ぶと一目散に逃げ出した。


「・・雅ちゃーん!」
「どうしたの?・・・」

少年仮面ライダー隊の女の子たちも雅を追いかけて走って行った。


「あらら逃げちゃった・・・・あの子がどうしたの?」

「いや、実はね・・・・」

矢口はケイに事情を話し始めた。


629 :名無し募集中。。。:04/01/25 19:26 ID:jDky8mkN
名無しスターさん
余計なつっこみかもしれないが少女だけなのに「少年」とはこはいかに?

630 :名無しスター:04/01/26 01:06 ID:xvXPifSm
>>629
男性しかいないのに「筋肉少女帯」とはこれいかに?


・・・というのは冗談ですが。
「少年仮面ライダー隊」って組織が元々ありまして。(ファンクラブみたいなもんか?)
「少女仮面ライダー隊」だとちょっと語感が悪いし、ジュニアライダーは良く知らないし。
まあ広義の「少年」ってのは少女も含むわけで・・・

ところで、本編はあとエピローグ的なものも含めて数話です。
(いつもこれが本編より長くなったりするのだが・・)

631 :名無し天狗:04/01/26 21:23 ID:pLTakdCW
保全

632 :名無し募集中。。。:04/01/27 20:37 ID:XTir3+At
ほぜん。

633 :名無しスター:04/01/28 00:09 ID:8Acd0Psh

「で、妖怪ポストを作ってるわけかい。」

黙々と工作をしている二人に中澤が声をかけた。

「妖怪ポストじゃないよ。これは『ライダーポスト』!」
矢口はそう言って木や葉っぱでカモフラージュされたポスト(のようなもの)を持ち上げた。

「でもなあ・・・」
中澤は半笑いで『ライダーポスト』を見ていた。

「なんでー?こんなにかっこいいのにね。」
「いや、かっこいいかどうかは・・・目立たないからいいけど。」

矢口にそう言われてケイは少し落ち込んだ。どうやらケイのデザインらしい。
そこへ買い物から帰った安倍が部屋に入ってきた。

「ただいま〜・・あれ?どうしたのケイちゃん。妖怪ポストなんか持って。」

「・・・ほらな」
「うう・・・」

ケイはますます落ち込んだ。


634 :名無しスター:04/01/28 00:11 ID:8Acd0Psh

「・・・で、そのポストどうすんねん?」
落ち込むケイに中澤が聞いた。

「学校の裏山に置くの。場所はあの子たちにしか知らせないつもりだし。」

「でも、回収に行く時にバレたりしない?」
安倍もちょっと心配そうに聞いた。

「大丈夫よ。底が1日に1回開くように細工してあるから。」

「それで、手紙はパイプを伝って地下150mのトンネルに落っこちるから、そこに拾いに行けば誰とも顔は合わせなくて済むんだよ。」

「そのトンネルの出入り口はさらに1キロぐらい離れた山のトンネルの、そのまた避難道につながっていて・・・」


「・・・ちょっと待て。」

中澤がケイと矢口の説明を遮った。


635 :名無しスター:04/01/28 00:14 ID:8Acd0Psh

「その150mのパイプとか、1キロのトンネルとか・・・そんなもん誰が作んねん。」

「こいつが『朝飯前』だって。」

「俺に任せてくれれば1日もかからないよお。チューチュー」

「モグラ・・・おったんかい。」


「お前、目立つからあんまり上がって来るなと言っとるやろ・・・」

「あー、はいはい帰りますよお・・チューチュー・・・」
地下室に行きかけたモグラ男は何か思い出したように立ち止まって言った。

「あっ姐さん、これ新しい部屋の鍵です。今度は防音仕様にしときましたよお。チューチュー・・」
モグラ男はそう言って中澤に鍵を放り投げると地下室に帰っていった。

「・・・あいつ地下室に住んでるの?」

安倍がちょっと驚いた様子で言った


636 :名無しスター:04/01/28 00:17 ID:8Acd0Psh

「住んでる、ちゅーか勝手に地下室増設してるんやけどな・・・」
新しい鍵を眺めながら中澤が言った。

「どーりで最近地下室が広くなったり、部屋が増えたりしたと思ったら・・・」

「食事とかどうしてるの?それに地下室の資材とか電気とか・・・」

「まあ『聞かぬが花』ってやつや。」

「最近農作物の盗難が増えたと思ったら・・・」

「・・・いいのかな?」
中澤以外の3人はそう言って顔を見合わせた。

「言っとくけど、時々野菜とか差し入れしてもらってるからあんたらも同罪やで。」

「・・い、いいのかな?」




・・その晩V3は雅の部屋に忍び込み、直接ポストのことを伝えた。
雅は大喜びで「がんばります!」と張り切っていた。


637 :名無しスター:04/01/28 01:02 ID:8Acd0Psh
そして数日後・・・

「ただいま〜・・」

「おぉ〜!」

矢口が十数通の手紙を抱えてリビングに入ると歓声が起きた。

「な、何?どうしたのみんな?」

リビングにはケイをはじめ、辻加護、安倍、紺野、高橋、小川、新垣らが集まっていた。

「いや、今日が『第一便』って聞いたもんで・・」
「すごーい、ちゃんと手紙来たんだね。」
「早く読んでほしいのれす」

「あーうるさいなあ。わかったよ。」

矢口はそう言いながら嬉しそうに手紙の封を開けた。


638 :名無しスター:04/01/28 01:04 ID:8Acd0Psh

「じゃあ読むよ。コホン・・・」

矢口の言葉に全員が身を乗り出す。

「・・・・・・」
しかし矢口は手紙を見るなり黙り込んでしまった。

「どうしたのれすか?」
「もったいぶらず、早く読んでよ。」

「・・・わかったよ。・・・『わー!かいじんだー!ライダーはやく助けてー!』・・だってさ」

「・・・・・」

「・・・・・」

「え?たいへんなのれす!はやく助けに行かないと・・・」
「アホ・・・」

加護は辻にやさしく突っ込んだ。


639 :名無しスター:04/01/28 01:05 ID:8Acd0Psh

「どうする?助けに行く?」

しばしの沈黙の後、安倍が矢口に聞いた。

「・・・聞くか?普通?」
「ライダーに会いたいだけじゃないの?・・・まあ一発目だしね。次行こ!」

「そうだね。」

ケイにそう言われ、矢口は2通目の封を開けた。

「『ライダーさんへ。ぼくのクラスにあやしいやつがいます。きっとかいじんです。たいじしてください・・・』」

「おっ?・・・」

「『・・・そいつはすごくらんぼうで、すぐにぼうりょくをふるいます。しげおというなまえです。ぜったいにやっつけてください』・・・」


「そいつ、ただのいじめっこでしょ・・・」

「自分で解決しろ!次!」


640 :名無しスター:04/01/28 01:07 ID:8Acd0Psh

「・・・『拝啓、ライダーさんへ。僕は勉強が得意です。そして家はお金持ちです。・・・』」

「・・・何が言いたいんだこいつは・・」


「『・・・(中略)でも僕は父の後を継ぎたくはないのです。僕は本当は医者になって
 貧しい病気の人をたくさん助けてあげたいのです。どうしたら父を説得することが
 出来るのでしょうか。』・・・って大変だねえ。」


「素敵な夢だよね。」

「応援してあげたいよね。」

「がんばってほしいのれす!」

「・・・ええ話や・・・って人生相談に乗ってどうする!次!」



641 :名無しスター:04/01/28 01:09 ID:8Acd0Psh

「えーと、『ライダーさん!私には好きな人がいるんです!その人っていうのは隣のクラスの先生でぇ〜・・・』」

「今度は恋愛相談かよ!」


「『・・・(中略)とにかく、すっごくステキなんです!わたし、先生にだったら私の・・・私の・・・』」

矢口は急に顔を赤くして黙り込んでしまった。

「どうしたんですか?矢口さん・・・」

そう言って高橋たち4人は手紙を覗き込んだ。
「わ!」
「キャ!」
「わあ!」
「あは!」

そして4人も苦笑いをしながら黙り込んでしまった。


642 :名無しスター:04/01/28 01:12 ID:8Acd0Psh

「一体なんやねん・・・」

「どうしたんだべさ?・・・」

加護は黙り込む矢口から手紙を奪い取った。
そして覗き込んだ安倍と共に固まってしまった。

「どうしたのれすか?」

「ダメ!ダメ!ののは見ちゃダメ!」

安倍は慌てて手紙を高く持ち上げた。



「何やってんの、あんたたちは。」

そう言ってケイは安倍の手から手紙を奪った。

「まったくなっちも矢口もいい歳して、中学生じゃあるまいしうわあ・・・・」



・・・結局中澤が帰って来るまで妙な沈黙が続いた。


643 :名無し募集中。。。:04/01/28 19:27 ID:SFqgga5m
こういうほのぼのとした話っていいね。

644 :名無しスター:04/01/29 00:57 ID:tvuKOQQs

「みんなネンネ(死語)やなあ・・・」

「だってねえ・・・」
「最近の小学生ってスゴイよね・・・」
「レディコミの読みすぎだよ・・・」

安倍とケイと矢口は照れくさそうに言った。

「(ネンネってどういう意味?)」

他の6人は首をかしげていた・・・


「まあ、いずれみんな大人に・・・・・」

中澤はそこまで言いかけて言葉を止めた。


「コホン・・・で、結局まともな情報は無かったんか?」

軽く咳払いをすると慌てて話題を変えた。


645 :名無しスター:04/01/29 00:58 ID:tvuKOQQs

「うん、冷やかしが4件、『すぐ来て!』が6件、相談が3件・・・」
矢口は手紙を分けながら言った。

「まあ相手は小学生やからな」
「雅ちゃんも少しは選んでくれればいいのにね」
「まだ始まったばかりだし・・・」

「でも『すぐ来て!』が本当だったりしたら・・・」
安倍がそう言うとケイが笑い出した。

「あんなの真に受けちゃダメよ。・・・・でもねえ・・」

「うん・・・」
矢口もちょっとだけ引っかかっているようだった。

「まあ100%嘘やと思うけどな・・・そうや。」

中澤はそう言うと辻と紺野と小川を呼び出し、手紙を渡しながら何事か指示していた。


「よし、じゃあ言って来い!」

「わかりました!」

3人とも元気良く飛び出して言った。


646 :名無しスター:04/01/29 00:59 ID:tvuKOQQs

「結局見に行かせたの?」

「キリが無いよ。」

「でも、このままじゃ冷やかしが減らんからな。」

「無視した方がいいんじゃないの?」

「大丈夫や、3人には変身してドアを蹴破って家に入るように指示したから。」

「え?・・・」

「そんで『怪人どこだー!』と適当に暴れて、嘘やったらガキ絞めて来るように言っといたわ」


「・・・誰か止めに行って来い。」


647 :名無しスター:04/01/29 01:01 ID:tvuKOQQs
30分後・・・

「なんとか被害は3軒で済みました・・・」

高橋と新垣が3人を連れて帰ってきた。

「せっかくこれから子供に説教するところだったのれす」
「中澤さんに仕事を頼まれて張り切ってたのに・・・」
「どうして止めるんですか?」

3人は不満そうだった。

「・・・少しは疑問を持って行動しろよ、お前ら・・」
ケイは呆れた様子だった。

「ええ考えやと思ったんやけどな・・」
中澤も少し不満そうだった。

「いくらなんでも荒っぽすぎるよ」
「気持ちはわかるけどさあ・・」
「・・・でもまあいい見せしめにはなったかもね。」

安倍もケイも矢口も文句を言いながらも内心は中澤を支持しているようだった。


648 :名無しスター:04/01/29 01:02 ID:tvuKOQQs

「・・・じゃ、ポストの方は気長に続けるということで・・・」

中澤がこの場を締めようとしたときに、矢口が手紙を取り出した。

「ちょっと待って、実はもう1通あるんだけど・・・」

「なんや今ごろ・・・」

「ポケットに入れたのを忘れてたんだよ。」

「一応読んでみてよ。あまり期待してないけど・・」
安倍にそう言われ矢口は手紙の封を開けた。

「『ライダーさん、僕のお父さんはお酒が大好きです。でもお酒を飲むと暴れるのです・・』」


「今度は家庭相談かよ・・・」


649 :名無しスター:04/01/29 01:04 ID:tvuKOQQs

「『・・・いつもベロベロの大トラになって帰ってくるのです。おかげで家族は怪我が絶えません』」

「気の毒だとは思うんだけどね・・・」

「うん、うちらの仕事やないなあ・・・」

「『・・・きのうは体長3メートル、体重350キロの大トラになり、お母さんが大怪我をしました。』」

「・・・・」

「『犬のジロも食べられてしまいました。今日あたり家族の誰かが食べられてしまうかも知れません。
 ライダーさんお願いです、助けてください』・・・」


「・・・・行ってくる!」
「待って、私も行く!」

安倍とケイはそう言って飛び出して行った。


650 :名無しスター:04/01/29 01:07 ID:tvuKOQQs

「・・・どうやら役に立ったな。」

「みたいだね。まだ奴らの仕業かどうか分からないけどね・・・」

矢口はちょっとだけ嬉しそうだった。



この手紙がきっかけとなり、ゼティマの「人類獣人化計画」を未然に防ぐことになるのだが、それはまた別のお話・・・

そして「ライダーポスト」と「少年仮面ライダー隊」はこれからもいくつかの事件を解決していくことになるのだった。

「黒い仮面ライダー?」
〜終わり〜


651 :名無しスター:04/01/29 01:07 ID:tvuKOQQs

おまけ

「ねえ、あの手紙何が書いてあったのれすか?」

「うるさい、早く寝なさい!・・・」


652 :名無しハンペン:04/01/30 00:47 ID:rADZlci1
名無しスターさんお疲れ様でした。では次行かせていただきます。
タイトルと登場人物で分かる人には分かってしまうネタだと思いますが。
相変わらずそんなに長くはありません。よろしくお願いします。


653 :名無しハンペン:04/01/30 00:48 ID:rADZlci1
第51話 「新生の雷(いかづち)」


654 :名無しハンペン:04/01/30 00:48 ID:rADZlci1
「では、いよいよあ奴らを」
「うむ」

悪の秘密結社「ゼティマ」の幹部、死神博士の言葉に、悪魔元帥は重々しく頷いた。

「今まで我々は奴らに対して本格的な攻撃を加えることはなかった。
 それは、奴らの潜在能力を評価していたからだ。
 脳改造を施していない素体。ヒトの心を持つものの強さをみたかったからだ。
 しかし、奴らは力をつけすぎた。我々の想像を大きく上回るほどにな。
 これ以上、奴らを好きにさせるわけにはいかん。
 ここらで戦力を削っておく必要がある」

その場にいた幹部たちは皆一様に首を縦に振った。
ここは「ゼティマ」の数ある秘密基地のひとつ。
そうそうたる面々が居並ぶテーブル。
その中の一人が突然立ち上がった。

「悪魔元帥!」
「アポロガイストか。どうした」
「その役目、このアポロガイストに御命じください。
 なにとぞ、なにとぞ私に汚名返上のチャンスを!」

赤い仮面のせいで表情は分からないが、アポロガイストの声は怒りにふるえていた。
しかし、それも当然だろう。
GODの怪人が集められていたゼティマ北信越支部はライダー達により壊滅。
秘密兵器であったキングダークも破壊された。
さらに生き残りのGOD怪人も、つい先日他のライダーに倒されてしまった。
同じGODに連なるアポロガイストにとって、ライダー達は大きな恨みの対象なのである。
普段の冷静さを感じさせないその姿を、悪魔元帥は黙って見つめた。


655 :名無しハンペン:04/01/30 00:53 ID:rADZlci1
「しかし、貴様は前に奴らに敗れたではないか」

冷たく言い放たれ、アポロがイストは身を硬くした。
そう、北信越支部が壊滅した際、油断していたとはいえアポロガイスト自身も進入してきた
4人の小娘にしてやられたのだ。
プライドの高いアポロガイストにとって、この屈辱はとうてい耐えられるものではなかった。

「確かにあの時は不覚をを受けました。ですが今度こそは!
 そのために、私は自らの体を改造いたしました」
「ほう」
「ですからなにとぞ、なにとぞ私にチャンスを」
「お待ちください」

二人以外の別の声が上がった。
アポロガイストは声のした方を振り返る。

「ゼネラル・シャドウ、何のつもりだ!」

テーブルの端で立ち上がった白ずくめの不気味な怪人、
ゼネラル・シャドウはアポロガイストを無視するように、悪魔元帥へと向き直る。


656 :名無しハンペン:04/01/30 00:54 ID:rADZlci1
「確かにあの小娘どもは、前とは比べ物にならぬほどの力を付けてきております。
 もはや普通の怪人では到底太刀打ちできないでしょう。
 たとえ改造の終わったアポロガイストといえど、一人では……」
「黙れ! 私の力を愚弄するつもりか!」
「フフフ、まあ落ち着け、アポロガイスト。
 第一、お前はもともとゼティマ秘密警察の室長。
 私怨などは捨て、己の職務を全うするのが筋ではないのか」
「くっ、そ、それは……」
「ではゼネラル・シャドウ。
 お前はライダー達をどうするつもりなのだ。
 何か良い考えがあるというのか」

悪魔元帥の問いかけに、ゼネラル・シャドウはその醜い顔を歪めた。

「奴らは力を付けた。我々の想像する以上に。
 であれば、それを上回る力をぶつければ良い。そうではありませんかな」
「奴らを上回る力だと。そんなもの、一体どこに」
「我が故郷『魔の国』より呼び寄せた改造魔人達。奴らを使います」
「奴ら……デルザーか」

デルザー軍団。
一人一人が大幹部並みの力を持つという恐るべき戦闘集団。
一つ目タイタンの策略により、その中の一人ドクター・ケイトを失ったものの、
攻撃力は未だゼティマ最強であるといえた。


657 :名無しハンペン:04/01/30 00:55 ID:rADZlci1
「よかろう。ゼネラル・シャドウよ、ライダー達はお前に任せる。
 奴らの戦力を削って参れ」
「し、しかし!」
「アポロガイスト、お前にもやって貰いたいことがある。
 秘密警察室長としての任務をな」

悪魔元帥の言葉に、アポロガイストは不承不承頷く。

「……分かりました。仰せのままに」
「ふふふ、心配するなアポロガイスト。我らデルザーの魔人は最強。
 あんな小娘達に後れを取るはずがない。
 ふはは、ふははははは」

笑い声とともに、ゼネラル・シャドウはトランプへと変わった。
そのままどこへとともなく消え去っていく。
残った幹部たちもそれぞれ引き上げ始めた。その中でアポロガイストは拳を握りしめる。

「おのれ、ゼネラル・シャドウめ。
 まあよかろう、今回はデルザーのお手並み拝見と行こう。
 だが、奴らがしくじったときは、今度こそこの私が。
 とくにあの小娘。Xライダーだけはなんとしてもこの私の手で!」

アポロガイストはその仮面の下で暗く闘志を燃やしていた。


658 :名無しハンペン:04/01/30 00:58 ID:rADZlci1
一方その頃、おなじみ中澤邸はいつものように喧騒の中にあった。

「ほぉら、なっち。トレーニングに行くよ、トレーニングに」
「えー、ヤだよ。外は寒いべさ。他あたって、他」
「矢口と圭ちゃんは迷子の子猫探しのバイト、ひとみと梨華は買い出し。
 で、あいぼんとのんちゃんはパトロール。
 一人じゃトレーニングにはならないし、空いてるのはなっちしかいないのよ」

コタツに首まで潜り込んでいる安倍を、腰に手を当てて見下ろす飯田。
端から見るとふざけているかのような光景だが、当の飯田は実に真剣だった。

「もー、高橋達誘っていけばいいっしょ」

その発言に飯田の目がすうっと細くなる。

「ダメよ! それじゃ意味がないんだから」
「なにがさ」
「矢口に聞いたでしょ。この間の敵が言ってたって。
 あたし達は高橋達より弱いと思われてるのよ。
 そんなの悔しいじゃない」
「いいでないの、敵が勘違いしてるくらいのこと」
「勘違い……なら良いんだけどね」

自分たちだけでゼティマの支部を壊滅させた。
その出来事が自信につながったのだろう。
若き戦士達は最近、めきめきと力を付けてきている。
それを考えると、飯田たち年上組もうかうかしてはいられないのだ。


659 :名無しハンペン:04/01/30 01:01 ID:rADZlci1
「なっちは強くなりたいとは思わないの?
 今以上の力がほしいとは思わないの?」
「そりゃ強くはなりたいけど、寒いのはヤだ。
 あーあ、なんかこう、ちょちょっと強くなる方法とか無いかねぇ」

気合の入った飯田と裏腹に、安倍は相変わらずコタツでぬくぬくと丸まっている。
その幸せそうな顔は、童顔のせいもあり、とても飯田と同い年には見えない。

「もー、なんでそういうこと言うかな! そんな考えいくないべさ。
 ほぉら、行くよ! コタツから出て」

どうにも掴み所のない安倍の態度に業を煮やした飯田は、
結局力ずくで小柄な体をコタツから引き釣りだす。

「ちょ、ちょっと、引っ張っちゃダメ!」

話をしていて分かったことだが、二人はどちらも北海道出身。
それどころか、生まれた病院も同じ、生まれた日もわずかに飯田が早いだけ。
もしかしたら隣に並んで眠っていたかもしれないと、話の後に二人で笑い合ったものだ。
スタート地点は同じなのに、顔も体つきも正反対。
もちろん性格も、神経質で生真面目な飯田と、楽天的な安倍は正反対であった。

「だいたいなっちは、いっつもそうやってふざけてばっかで。
 あたし達が普段どれだけ大変か分かってるの!?」
「い、痛い! 圭織、痛いって、ねえ」


660 :名無しハンペン:04/01/30 01:01 ID:rADZlci1
騒々しく部屋から出てきた二人を見かけ、
縁側でのんびり日向ぼっこしていた01──まいが声をかけてきた。

「あれぇ? お出かけですかぁ」
「特訓だよ、トックン!」
「とっくん?」
「そう! 今まで以上の力を手に入れるためにね。
 うん、今の力に安心してちゃダメなのよ。
 自分の望むものを手に入れるためには努力を惜しんでちゃイケナイの。
 若い子なんかにはマケテられない。
 だから秘密の特訓をするんだ!
 あ、そだ、あんたも来る?」
「いやぁ、わたしは今充電中なんで」
「充電?」

飯田は片方の眉を吊り上げた。のほほんとした笑顔を浮かべるまい。
ひとみ達と同じで寒さを感じないのか、すらりとした足は相変わらず剥き出しのままだ。

「あ、なっちも充で──」
「あんたはちゃんと来なさい!」
「いってらっしゃ〜い」

安倍を引きずりながら玄関へと向かう飯田の背中に、まいはひらひらと手を振った。


661 :名無しハンペン:04/01/30 01:04 ID:rADZlci1
勢いよく玄関の扉を開けた飯田は、しかしそのままぴたりと固まってしまった。

「あ、飯田さん。特訓に行くんなら、あたし達も付き合いますよぉ」

目の前にはニヤニヤと意味深な笑みを浮かべる小川の顔。

「水臭いじゃないすか。二人っきりで特訓やなんて」
「そーですよ。あたし達ももっともっと強くなりたいんですから」
「よろしくお願いします! 先輩!」

高橋、紺野、新垣と立て続けにそう言われ、飯田は頭を抱える。
人数が多い割に手狭な中澤家。大きな声での会話は全て筒抜けなのだった。
当てが外れた飯田は、覚悟を決めたのかゆらりとその顔を上げる。

「……いいわよ、教えてあげる。
 その代わり容赦しないでビシビシいくからね!」
「はい! よろしくお願いします!」
「ほら! なっちも気合入れて!」
「もー、しつっこいな圭織は。
 分かったよ、行けばいいんでしょ、行けば」
「やっとその気になってくれたんだね。
 よし、それじゃあレッツゴー!」
「あ、でもその前に、ちょっと付き合ってね」
「へ?」

疑問符を頭に浮かべる飯田に、安倍は柔らかく微笑みかけた。


662 :名無しハンペン:04/01/30 01:05 ID:rADZlci1
続く。

なっちヲタとしては、どうしてもこの時期に書かずにはいられないわけで。
しばらくの間、お付き合いくださいませ。


663 :名無し募集中。。。:04/01/31 01:48 ID:AKfiXdvH
 とても楽しみな展開。期待してまつ。

664 :名無し天狗:04/01/31 11:58 ID:1+gnmhT2
ネットそのものにつなぐプログラムが完全にブッ壊れたので
今はかちゅからしか書き込めない(原因不明)…
申し訳ありませんが「モ板(変身!)」へ、かちゅからでも行けるように
して頂けませんでしょうか?わがまま言ってスイマセン・・・。

665 :名無し天狗:04/01/31 17:08 ID:RTOW9uOv
数日前の状態にまで復元&MSNで一時的応急処置・・・
お騒がせしてスイマセンでした!

666 :名無しハンペン:04/01/31 21:46 ID:xQNl2rMi
>>665
解決されたようですが一応。
かちゅでモ板(変身!)を登録する方法。

1.かちゅのフォルダにある「other.brd」をメモ帳で開く。
2.jbbs.shitaraba.com/music[TAB]6849[TAB]モ板(変身!)
 と書き込んで上書き保存。
3.かちゅのマイフォルダ(お気に入りとか表示されてるところ)に「モ板(変身!)」が出来ているのでクリック。

これでOKだと思います。(なお、[TAB]は本当にタブに変更してください)


667 :名無しハンペン:04/01/31 21:47 ID:xQNl2rMi
ぎぃぃ、と音を立てて重たい扉が開いた。
薄暗い部屋の中にゼネラル・シャドウはゆっくりと歩を進める。
ねっとりと粘り気さえ感じる生臭い空気。
部屋の奥には複数の影が蠢いていた。醜悪な気を発するこの世ならぬもの達。
影はうねうねと絡み合い、はたして何人の魔物が存在しているのか、それさえも定かではない。

びりびりと肌を刺激する殺気。
じっとしているだけで息が詰まる。精気を根こそぎ吸い取られるような感覚。
同じ故郷を持つものとはいえ、決して歓迎されているとは思えなかった。

「何用だ、ゼネラル・シャドウ」
「お前がここに来るとは珍しいではないか」
「くく、どうせろくな用件ではないのだろう」
「また我々の力を借りようというのか」
「無論、我々に釣り合うだけの相手なのだろうな」
「詰まらぬ相手ならば、ただではおかんぞ」

地の底から響いてくるような声が部屋の中を木霊する。


668 :名無しハンペン:04/01/31 21:47 ID:xQNl2rMi
「お前たちも知っているだろう。仮面ライダーと呼ばれるもの達を。
 奴らを倒してほしいのだ」
「カメンライダーだと。あの小娘どもか」
「詰まらん。たいした相手ではないな」
「しかし、ドクター・ケイトを倒したのだろう?」
「ふん、大方小さな手柄に目を奪われて油断したのだろうさ」
「キキキ、まあいい。最近体が鈍っていたところだ」
「ああ、良い暇つぶしにはなるだろうよ」
「小娘どもの首、お前の前に並べてくれるわ」

ひひひ、くくく、とどこからともなく哄笑が暗闇で響いた。

「ふふふ、では頼んだぞ、デルザーの改造魔人たちよ」

ゼネラル・シャドウは闇の塊に向かってそう告げると、そのおぞましい顔を笑みに変えた。


669 :名無しハンペン:04/01/31 21:48 ID:xQNl2rMi
静かな波が立つ、海が見渡せる高台。
そこに立てられた一本の墓標。
何故かその周りには一本の草も生えていない。
墓前で手を合わせる安倍の後ろ姿を、飯田は黙って見つめていた。

「安倍さんは毎日ここに来て、ああやって花の種を植えてんです」
「種を?」
「はい、あさみさん、花好きやったからって」

高橋の言葉に、飯田はゆっくりと一つ頷いた。
しゃがみ込んだ安倍の小さな背中見ながら、不思議な感慨を抱く。
そう、二人は正反対でありながらよく似てもいた。
片や普通の女子高生、片や宇宙飛行士、日本とアメリカ、進んだ道が違っていながら、
ここでこうして同じ敵と戦っている。
それも、ともに冷酷非情な敵の所為で大切な親友を失い、その敵を討つために。
人ならざる力をその手にして。
何の因果か、不思議な運命の輪を飯田は感じずにはいられなかった。

「さ、もういいよ」

作業が終わったのか、安倍は手をぱんぱんと叩きながら立ち上がった。
その顔に浮かぶ晴れやかな笑顔を、飯田はじっと見つめた。
そう、いつもふざけているように見えて、安倍もまた悪を憎む正義の心を持っている。
自分と同じように。


670 :名無しハンペン:04/01/31 21:52 ID:TGmX20kv
「なっち……」
「ん? なした?」
「……ううん、何でもない」
「なぁにぃ、ヘンな顔しちゃって。
 おなかでも痛いのかい?」
「違うよ、あたしは──」
「くっくっく、お前達がカメンライダーか」
「何者!」

じゃれ合う二人にどこからか不気味な声がかかった。
声のした方を振り返る。
ひっそりと立った墓標の横に、いつの間に現われたのか二つの不気味な姿があった。

「あなた達……ゼティマね!」
「その通り。俺はデルザー軍団改造魔人、ドクロ少佐」
「同じく、岩石男爵とは俺のことよね」

その名の通り、赤い衛兵服を着たドクロと、岩の塊を重ねて作ったような怪人。
よほどの自信を持っているのか、6人のライダーを前に悠然と立っている。

「このぉ、そっちから現われるなんていい度胸じゃんか!」
「あたし達が相手になってやるでの」
「待って!」

前に出ようとする小川と高橋を、飯田は手で制した。
青ざめたその顔に浮かぶ表情は、恐ろしく硬いものだった。


671 :名無しハンペン:04/01/31 21:52 ID:TGmX20kv
「なっち、こいつらタダモンじゃない」
「うん、じっとしてるだけで体がびりびりしてくる。
 半端じゃなく強いよ」

人生経験の差か、若いメンバーとは違い二人は的確に敵の能力を見抜いていた。
うかつに飛び込めばやられてしまう。
そう判断した安倍は、油断無く相手の様子を伺いながら、一つの決断を下していた。

「圭織、その子達を連れて先に行って」
「え! 何言ってんのなっち。一人でどうするつもりなのよ」
「大丈夫、ちょっとだけ足止めするだけだから。
 こいつらと、まともにぶつかったらヤバい。
 いったん引いて対策を立てよう」
「でも……」
「大丈夫……なっちは大丈夫だから。
 まだやり残したことがある。こんなところで死んだりしない。
 だから、その子達を頼むよ。お願いだから」


672 :名無しハンペン:04/01/31 21:53 ID:TGmX20kv
肩越しに後ろを向いた安倍と目が合う。
びっくりするほど澄み切った瞳の色に、飯田は何も言い返せなくなってしまった。

「なっち……」
「どうした。何をごちゃごちゃ言っている。
 さあ、覚悟は出来たのか? どいつが最初だ」
「圭織!」
「……っく!
 みんな、ここはなっちに任せていったん引くよ」
「え! な、なんでですかぁ」
「安倍さん一人残していくなんて出来んて!」
「いいから!」
「だめですよ、安倍さん一人じゃ……」
「そおですよ、いくらなんでも──」
「いいから行け! 早く!」
「い、飯田さん」


673 :名無しハンペン:04/01/31 21:54 ID:TGmX20kv
飯田の剣幕に、4人は唇を噛み締めながらも後ろへと走っていった。
その足音がどんどん遠くなり、ついには聞こえなくなるまで、安倍は目の前の敵から
ずっと目を離さずにいた。
その様子を見て、ドクロ少佐は不気味に笑う。

「ケヒヒヒヒヒ、健気なものだな。
 自分を犠牲にして仲間を逃がしたのか。
 だが、それも無駄な努力だ。
 ほんの少しこの世にいる時間が延びただけのこと。
 お前を殺した後で、アイツラにもすぐにお前の後を追わせてやるんだからな」
「例えあなた達がどれだけ強くても、そう簡単にやられるつもりはない。
 電気人間ストロンガーの強さ、見せてあげるわ」

拳を握る安倍から、ドクロ少佐はゆっくりと横に目線をずらした。

「この墓」

安倍の肩がぴくりと震える。

「この周りだけ草木も育たぬ。全てが朽ち果ててしまっている。
 墓の下に強力な毒素が残っているのだな。
 ここに眠るものはその毒で死んだ。
 くくく、こんな毒を作れるものはそうはおらん。
 これはドクターケイトの……」
「その墓にさわるな!」

一声叫んで安倍は走り出した。


674 :名無しハンペン:04/01/31 21:59 ID:1R7b0DDC
「変身!」

両腕のコイルアームが火花を散らす。
小柄な少女は、カブトムシに似たフォルムを持つ改造人間、
仮面ライダーストロンガーへと変化した。
大切な人が眠る墓へと走るその前に、岩石男爵がずいと割ってはいる。

「邪魔よ! 電! パンチ!」

走ってくる勢いを乗せて、パンチをぶち当てる。
ばしゅっと音を立てて一万ボルトの高圧電流が走った。
しかし、見かけ同様に強固な体には、ダメージが通ったようにはみえない。

「へへへ、そんなもん効きゃーせんよね」
「それなら!」
「ぬお!」

掴みかかってきた腕をかわし、膝、腕、肩と岩石男爵の体をとんとんと駆け上がる。
そのまま頭を踏み台にして、ストロンガーは空中に舞い上がった。
防御力が高く、時間のかかりそうな相手を後回しにして、まずはドクロ少佐に狙いを定める。

「ストロンガー! 電! キック!」

前方に宙返りをしたストロンガーの体が赤く光る。
キックとともに、10万ワットのエネルギーがドクロ少佐に注ぎ込まれた。
確かな手応えを感じ、着地したストロンガーは後ろを振り返る。


675 :名無しハンペン:04/01/31 22:00 ID:1R7b0DDC
「どうだ!
 ……きゃあああ!」

炎に包まれるストロンガー。
目の前には、先ほど必殺技をクリーンヒットさせたはずの敵が、傷ついた様子もなく立っていた。

「なんだ、カメンライダーとはこの程度のものか」

馬鹿にしたような口調でドクロ少佐が呟く。
高温の炎を浴び、全身から煙を立ち上らせながらも、ストロンガーはよろよろと立ち上がった。

「まだ……このくらいじゃ……」
「無駄だ。お前の力では我々には勝てない。
 ええい、ゼネラル・シャドウめ。期待をさせおって。
 この程度の相手なら、我ら二人が出てくる必要などないではないか」
「ドクロ少佐よぉ、はぇぇとこ済ませちまおうぜ」
「そうだな。他の奴らの追わねばならんしな」
「そんなこと……させない。
 あたしは……あたしはまだ負けるわけにはいかないんだ。
 あたしにはまだ、やらなきゃいけないことが残ってる。
 明日香の敵も、あさみの敵も取ってない。
 こんなところで……こんなところでやられるわけにはいかない!」

気合いをいれ、握り締めた拳を勢いよく突き出す。
しかしそのパンチは、敵に届く前にあっさりと受け止められてしまっていた。

「無駄だといったはずだ」

拳を掴んだまま、ドクロ少佐は静かに言い放った。
ゆらゆらと陽炎のような炎が集まってくる。



676 :名無しハンペン:04/01/31 22:00 ID:1R7b0DDC


「死ね」




677 :名無しハンペン:04/01/31 22:00 ID:1R7b0DDC
──ドオオオン。

大音響が聞こえた。
飯田達は思わずバイクを止め振り返る。
先ほどまで自分たちのいた場所から、もくもくと黒い煙が立ち上っていた。

「安倍さぁん!」

大きな声で小川が叫ぶ。
言いようもない不安を感じ、飯田は脱いだヘルメットをぎゅっと抱きしめた。

「飯田さん! 今の爆発、もしかして安倍さんが!」

新垣の声も、今の飯田の耳には入らない。
正反対のようでよく似ている二人。
遠いようで近い戦友。
最後に見たあの澄んだ目が、飯田のまぶたに蘇ってくる。

「なっち……」

飯田はその場から動くことも出来ず、ただただその大きな目をさらに見開いて、
禍々しい黒い煙をずっと見つめていた。


678 :名無しハンペン:04/01/31 22:02 ID:YS/y0WvU
続く

679 :名無し天狗:04/01/31 23:38 ID:1JE3cw1/
>名無しハンペンさん
ありがとうございます!

680 :名無し募集中。。。:04/02/02 00:20 ID:bYLPmjnd
デルザー軍団キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!
なっちストロンガー激闘編の始まりってところですか
名無しハンペン氏ガンガレ!

681 :名無し募集中。。。:04/02/02 00:40 ID:sBDU/8ll
ド熱い話に期待が高まるね。

682 :名無し募集中。。。:04/02/02 00:41 ID:sBDU/8ll
ageてしまいますた。スマソ。

683 :名無しハンペン:04/02/02 18:31 ID:lfNlshhh
レス有難うございます。
相変わらず長くもない話なのですが、なかなか書くほうが進みません。
もうちょっとの間お付き合いください。


684 :名無しハンペン:04/02/02 18:31 ID:lfNlshhh
「ここは……」

安倍はゆっくりと目を開いた。
目の前のライトに開いたばかりの目を細める。
どうやらベッドに寝かされているようだった。
ぼんやりとした頭に、先ほどの記憶が急速に蘇ってくる。
恐るべき力を持った敵。絶対的な力の差に完膚無きまでに叩きのめされた。
それがなぜここに……。

「気が付いたようだね」

声のする方を向いてみると、そこには一人の男が立っていた。
色の付いためがねをかけた初老の男。彼は医者のような白い服を着ていた。

「あなたは……。あぅ!」

ベッドに身を起こそうとして、その動きが途中で止まった。
両手が動かない。手首のところでベッドに拘束されている。
両足も同じだった。もがいてみるが、傷ついた体には鎖を引きちぎる力もなかった。

「は、離して! 一体、なっちをどうするつもり!?」
「まあ落ち着きなさい。失礼だが、君が眠っている間に調べさせて貰ったよ。
 まさか、こんなところで改造人間に出会うとはね」
「あ、あなたは……。
 わたしをどうするつもりなの?
 なっちには……なっちにはやらなくちゃいけないことが!」
「そんな体で戦うつもりかね」


685 :名無しハンペン:04/02/02 18:32 ID:lfNlshhh
安倍は驚いて男の目を見た。
それは思っていたよりも落ち着いた色をしていた。
敵ではない。
その目を見てそう判断した安倍は、ゆっくりと口を開いた。

「もちろん戦います。
 なっちはそのために改造人間になったんだから」
「だが改造人間にも限界はある。今戦っている敵には電気の力では勝てない」
「どうしてそのことを!」
 あなたは……あなたは一体、何者なんですか!」
「正木洋一郎。科学者さ。元ゼティマのね」
「ゼティマの!」
「ああ、今はあそこを逃げ出し、ある研究をしている。
 電気を超えた力、超電子の研究をね」
「超電子……」
「君のことは知っているよ。電気人間ストロンガー。
 加護博士とつんく博士の作った最強の改造人間」

それを聞いて、安倍は驚きの声を上げた。


686 :名無しハンペン:04/02/02 18:34 ID:lfNlshhh
「なっちの体を改造したのは、あの二人だったんですか!?」
「そうだ。二人の博士は君の体を改造した。
 おそらく、彼らの持つ技術全てを注ぎ込んでね。
 君の力は最強だよ。間違い無く。
 だから付けられたんだ。強さの象徴である『ストロンガー』という名を」
「でも、なっちはあいつらに負けた。
 なっちの力は、あいつらに通用しなかった」
「それは、君の能力が全て引き出されていないからだ。
 今の君は、F1のボディに軽自動車のエンジンを積んでいるようなものだ。
 単なる電気エネルギーでは圧倒的に出力が足りないんだよ」
「そんな……それじゃどうすれば」

問いかける安倍に、正木は一つの装置を差し出した。

「それは?」
「これは『超電子ダイナモ』という。
 さっき私の言った、超電子の力を使ったものだ。
 電気のエネルギーを1とするなら、超電子の力はその100倍にもなる。
 これがあれば、君の力は100%発揮されるだろう」
「そんなものが!
 博士、これを一人で研究してたんですか? すごい」
「いや、実はこれは私が作りだしたものではないんだ」
「え?」
「これもまた、君を改造したのと同じ人物、
 つまり加護博士とつんく博士が作ったものなんだよ」
「あの二人が……」


687 :名無しハンペン:04/02/02 18:36 ID:lfNlshhh
正木は手に持った「超電子ダイナモ」を睨んだ。

「この中には、ある特殊な石が入っている。
 無限の力を秘めた、不思議な石だ。
 二人の博士は、石から力を引き出す研究を行っていた。
 私はただ、その研究を電気エネルギーに変換する装置を作っただけに過ぎない」
「石……ですか」
「考えてみれば、君がここにこうしているのも彼らのおかげなのかもしれないな」
「なっちが? どういうことですか?」

疑問を口にする安倍を正木は見下ろす。

「二人の博士は君の体を最強の改造人間へと造り上げた。
 君は恐るべき戦闘兵器になるはずだったんだ。
 しかし、脳手術が始まる寸前に、君は組織を脱出することが出来た」
「ええ、暴走した人造人間がいて、その隙に脱出できたんです」
「その人造人間、ハカイダーを暴走させたのは、博士達なんだよ」
「ええ! そうなんですか!?
 それじゃ、なっちが脱走できたのは……」
「二人は混乱にまぎれて組織を抜け出した。
 しかし結局、つんく博士はその後また捕まり、そのハカイダーの中に脳を埋め込まれた。
 皮肉な話だ」
「そうですか……」


688 :名無しハンペン:04/02/02 18:38 ID:lfNlshhh
安倍はふと物思いに沈んだ。二人の博士の意図を考える。
博士達は、自分の体を改造した。それも最強の改造人間として。
そして、脳改造が始まる寸前に人造人間を暴走させた。
安倍が脱出できる最高のタイミングで。
果たしてこれは偶然なんだろうか。
それとも、何か思惑があってのことなんだろうか。
だとしたら……。

「どうかしたのかね」
「あ、いえ……。
 そうだ! そんなことより、その超電子ダイナモを早く取り付けてください。
 早くアイツラを倒さないと、今度はみんなが!」

安倍がそういうと、正木はすっと目を細めた。
穏やかだった顔が、急に表情を無くす。
今までと空気が変わるのを感じた安倍は、ぶるっと体を震わせた。

「超電子ダイナモの力は素晴らしい。
 だが、私には結局、これを完全に制御することは出来なかった」
「え? それはどういう……」

安倍の言葉が聞こえないのか、正木はうわごとのように呟く。

「彼らがいなくなった後、私は研究を続けた。2年間ずっと。だが……。
 あの二人はやはり天才だった。私のような凡人では、とうてい及ぶことは出来ない。
 この石の力は恐ろしい。原子力など比べものにならないほど危険だ。
 私には……私にはこれを扱うことは出来ない」


689 :名無しハンペン:04/02/02 18:38 ID:lfNlshhh
一点を見つめたまま正木は話を続ける。

「私に出来たのは、こんな不完全な装置を組み上げることだけだった。
 できそこないのフリークス。こんなものしか……」
「博士……」
「だが最強の改造人間、そのパワーを満たすことが出来るのはこの装置しかない。
 そうだ、これしかないんだ。私が作ったこの装置が、究極の力を引き出すのだ!」

正木は安倍を睨んだ。
その目に映る狂気の色。科学という狂気にとりつかれた男の目。

「この装置が超電子エネルギーを制御できるのは一分だけだ。
 一秒でもオーバーしてしまえば、君の体は自爆することになるだろう」
「じ、自爆!」
「そうだ。しかもこの装置を組み込むことは、君の体そのものを作り替えるのに等しい。
 その成功の確率は10分の1しかない。さあ、どうする」

先ほどとはうってかわった男を、安倍は見つめ返した。
その顔に迷いはいっさい無い。

「それでもかまいません。わたしはその10分の1に賭けます」
「手術は死以上の苦痛を伴う。それでもやるかね」
「なっちの力を引き出すなら、アイツラを倒すためなら、
 どんな苦痛にだって耐えてみせます!」
「よろしい。ではすぐに取りかかろう」

そう言うと、科学者は狂気をはらんだ目でにやりと笑った。


690 :名無しハンペン:04/02/02 18:40 ID:lfNlshhh


「終わったよ」

白衣を脱ぎながら正木が言った。

「手術は成功だ。良く耐えたな」

体をバラバラにされ、別のものに作り変えられる痛み。
あまりの激痛に気を失うことすらできない。
まさに死をも超える苦しさに、安倍は見事に打ち勝ってみせた。

「なっちは……なっちの体は……」
「君の体の中には『超電子ダイナモ』が埋め込まれている。
 チャージアップすることで君の力は100%発揮されるだろう。
 ただし、先ほども言った通りそのタイムリミットは一分だ。
 それを超えれば君の命はない」
「分かりました。ありがとう」

全てが終わったせいか、先ほどの狂気は既に男の中から消えていた。
よろよろと安倍は体を起こす。
そのままベッドを降り、ふらつく足でドアへと向かった。

「もう行くのか」
「急がなくちゃ。
 早くアイツラを倒さないと、圭織が、みんなが」

安倍のまっすぐな瞳を見て、正木は顔を歪ませた。


691 :名無しハンペン:04/02/02 18:41 ID:lfNlshhh
「すまなかった」

吐き出すように漏らした言葉に、安倍は後ろを振り返った。

「自分の研究のために君を利用してしまった。
 あんな危険な装置を、君を戦闘マシーンにするための装置を……。
 私は証明したかったんだ。自分の科学者としての力を。
 天才に及ばずとも、凡人にも出来ることはあるのだと」
「博士は……博士はわたしに力をくれました。
 大切な人を守る力を。
 だから、だからありがとう。
 わたしは博士に感謝します」

目を細めて安倍は笑った。
太陽に向かうヒマワリのような晴れやかな笑顔。
正木は言葉を出すこともできず、その笑顔をただ見つめた。

やがて、安倍はちょこんと頭を下げると、ドアを開け走っていった。
大切な人、守るべき人が待つ場所へと。
その後ろ姿を、正木はずっと見送っていた。
小さな背中が見えなくなっても、ずっと。

「正木博士か」

急に後ろから名前を呼ばれ、正木は驚いて振り返った。


692 :名無しハンペン:04/02/02 18:42 ID:lfNlshhh
「お前は!」

赤い衛兵服に眼帯をつけた不気味なドクロ頭。
そこに立っていたのは、デルザー軍団ドクロ少佐その人であった。

「やはりそうか。ライダーを探していて、組織を脱走した裏切り者と出会うとはな。
 貴様、ここで何をしていた」

そう言うと、ドクロ少佐は手にした大鎌を正木の首筋に当てた。

「どうした! 答えろ!」
「ふ、もう遅い」
「何!?」

冷たい感触を感じながらも、正木はおびえた様子もなく改造魔人を睨み返す。

「私の研究は終わった。
 私の魂は、強く正しい心をもった若者の中で行き続けるだろう」
「何? 何のことを言っている!」
「答えるつもりはない。
 私は私に出来ることを全てやり尽くした。もう思い残すことは何もない」
「そうか。……では死ね」

燃え上がる炎が正木の全身を包み込んだ。
全身を焼かれながらも、正木は満ち足りた気持ちでいた。
全ては既に託されていた。未来のある若者へと。
だから彼の死に顔は、とても穏やかなものであった。


693 :名無しハンペン:04/02/02 18:42 ID:lfNlshhh
続く

694 :名無し募集中。。。 :04/02/03 22:38 ID:5w4LLnCv
名無しハンペン氏ガンガレ!

695 :名無しハンペン:04/02/04 21:01 ID:p0zCopHu
レスありがとうございます。
頑張ります!

696 :名無しハンペン:04/02/04 21:02 ID:p0zCopHu
「安倍さん! 安倍さぁん!」
「安倍さん! どこにおるんですかぁ!」

結局、飯田達は先ほどの高台に戻ってきてしまっていた。
安倍を捜し求める五人の顔に、不安の色が色濃く浮かぶ。

「誰もいない……まさか安倍さんはもう……」
「何馬鹿なこと言ってんの! なっちがあんな奴らに負けるわけ無いでしょ!」

弱気な発言をする紺野を、飯田は強い口調で戒めた。
安倍は自分が認めた人物だ。簡単にやられるような相手ではない。
不安を押し隠し、飯田はそう自分に言い聞かせた。

「それになっちは約束した。
 こんなところで死んだりしない。まだやることがあるんだって。
 だから無事だよ。絶対に……」
「飯田さん……」
「馬鹿な奴らじゃの。のこのこと戻ってくるとはな」

聞こえてきた声に五人はすぐさま戦闘態勢を取る。
どこから現われたのか、岩石男爵は悠然とその様子を眺めていた。


697 :名無しハンペン:04/02/04 21:03 ID:p0zCopHu
「なっちは……なっちはどこに行ったの!」
「アイツか。さあな、そこら辺でくたばってるんじゃねぇのかい」
「ふざけないで! なっちがそんな簡単にやられるもんか!」
「なら、試してみるかい。さっきはドクロ少佐にもってかれちまったからな。
 まだ戦い足りねぇんだよ。このままじゃ体が鈍ってしょうがねぇや」
「みんな、いくよ!」

飯田はそう叫ぶと両手を斜めに開いた。
精神を集中しながら赤心少林拳の型を決め、前に突き出した両手を90度回転させる。

「変身!」

光に包まれる飯田の横で、残る四人もそれぞれ変身ポーズを取る。

「大・変・身!」
「スカイ! 変身!」
「変・身!」
「超力招来!」

五人の戦士達が勢揃いした。
目の前の相手が恐るべき敵だと言うことは分かっている。
しかし、ここで引くわけにはいかない。

「コイツを倒してなっちを探すよ。いいね、みんな油断しないで」
「任せてください! こいつ一人だけなら、あたし達で倒してやります」


698 :名無しハンペン:04/02/04 21:04 ID:p0zCopHu
「ふん、大きな口を叩くじゃねぇか!」

岩石男爵は拳を振り上げ、そのまま突っ込んできた。
力任せの攻撃を左右に散開してかわす。
先ほどまでいたところにあった岩が、腕の一振りで粉々に砕け散った。

「おめぇらみてーな小娘どもなんぞ、俺一人で十分なんよ」
「言ったな! くらえ、チェストォ!」

イナズマンが一声かけると、辺りが真っ白に光った。
電気を操る超能力者、イナズマンによる閃光が輝く。

「う、うぉ!」
「ライドルロープ!」
「マイクロチェーン!」

目つぶしにひるんだ隙をつき、XライダーとZXの二人が岩石男爵の腕を絡め取る。

「あさ美ちゃん!」
「OK!」

飛び上がったスカイライダーの体が前方に回転する。

「スカイ! キック!」

そのまま必殺の蹴りが、身動きできないごつごつした体に叩き込まれた。


699 :名無しハンペン:04/02/04 21:07 ID:JzTCQbNJ
「やるじゃん、アイツラ。ナイスコンビネーション」

思わず呟いたスーパー1。だが、それも一瞬のことであった。
腕の拘束をものともせず、岩石男爵はスカイライダーの蹴り足をがしりと捕んだ。
振り回されたXライダーとZXは吹き飛ばされて前方に転がる。

「ふふん、ぬるい攻撃じゃの」
「きゃあああ!」

足を掴まれたまま無造作に投げ飛ばされたスカイライダーは、
起きあがりかけたXライダー達にぶつかった。
敵の力に驚愕したイナズマンは慌てて仲間の元に駆け寄る。

「みんな大丈夫!」
「く! こいつ強い」
「オマエラまとめてペチャンコにしてくれるわ。くたばれ!」
「う、うわあああ!」

勢いを付け突進してくる岩石男爵。
その迫力に四人はとっさに動くことも出来ない。
体を丸めるように、肩から突っ込んでくる敵。まともに食らえば、ただでは済まない。
そこへスーパー1がするりと割って入った。


700 :名無しハンペン:04/02/04 21:07 ID:JzTCQbNJ
「お前もつぶされたいんか」
「赤心少林拳、梅花の型!」

兄弟子、弁慶直伝の技。攻撃に使えば剛健、守りに使えば堅牢。
それはまさに赤心少林拳奥義。怒濤の突進をその力に逆らわず、きれいに受け流す。

「な、なにぃ!」

岩石男爵がバランスを崩す。その隙をZXとイナズマンは見逃さなかった。

「今だ! 十時手裏剣!」
「超力稲妻落とし!」
「う、うぉぉ!」

無防備なところに攻撃を受け、さすがの岩石男爵もよろよろとよろけてしまう。
チャンスと見て、スーパー1が宙に舞った。空中で型を決め、右足を真っ直ぐ伸ばす。

「スーパーライダー! 閃光キック!」
「ぬぉぉぉぉ!」

見惚れるほどに美しい体さばき。鋭い蹴りが岩石男爵に突き刺さろうとしたその瞬間。


701 :名無しハンペン:04/02/04 21:08 ID:JzTCQbNJ
「きゃああ!」

どこからともなく巻き起こった炎が、銀色の体を包み込んだ。
不意打ちを食らったスーパー1はそのまま真下に落下してしまう。

「油断したな、岩石男爵」

声とともに不気味な姿が現われた。
ドクロ少佐は自らが燃やしたスーパー1を冷たく睨み付ける。

「へ! 余計なことをしやがって。これくらいたいしたこたぁねえのよ」
「まあいいさ、せっかくこうして雁首をそろえて来てくれたんだ。
 ここでまとめて片づけてくれる」
「飯田さん!」
「くぅ、二人目か……ヤバいな」

たった一人の敵に五人がかりで苦しい戦いを強いられていたのだ。
それが二人になったということは。飯田の胸に絶望感が広がる。

「さあ、死ぬがいい」

その時、冷たい風の吹きすさぶ丘の上に、朗々としたメロディが響き渡った。


702 :名無しハンペン:04/02/04 21:09 ID:JzTCQbNJ
「む、何だ!」

ドクロ少佐と岩石男爵は慌てて辺りを見渡す。

「この口笛は……」
「まさか!」

口笛は静かにその音色を止めた。
代わりに高らかな口上が風に乗せて流れてくる。

「天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ。
 悪を倒せと私を呼ぶ!」

飯田は傷ついた体を抱え、小さな声で呟いた。

「ふ、なんだよ。
 やっぱり、やっぱり無事だったんじゃんか……」


703 :名無しハンペン:04/02/04 21:10 ID:JzTCQbNJ
「そこか!」

ドクロ少佐は手にした鎌をブーメランのように投げた。
鎌は一段高くなっていた丘の岩を粉々に砕く。
そこから現われた姿。

黒を基調とした体。
強さを象徴するかのような頭の角。
風にたなびく黄色いマフラー。
肩を覆う深紅のプロテクター。
そして、胸に輝くSのマーク。
カブト虫の強靱な力を持ち、体内に搭載された発電機で電気を操る改造人間。

「聞け! 悪人ども。
 私は正義の戦士、仮面ライダーストロンガー!!」
「なっち!」

仮面ライダーストロンガーこと、安倍なつみは目前の敵を見下ろし、
気合いを入れるかのように手袋をぎゅっと引き絞った。


704 :名無しハンペン:04/02/04 21:10 ID:JzTCQbNJ
続く。

次で終わりです。


705 :名無し天狗:04/02/04 21:43 ID:FSCwhBLQ
>名無しハンペンさん
生まれ変わったストロンガー安倍!FIGHT!!

706 :名無しハンペン:04/02/05 21:51 ID:+mj9l5qB
>>705
ありがとうございます。どうにか書き終わりましたので最後まで行きます。

707 :名無しハンペン:04/02/05 21:51 ID:+mj9l5qB
「ふん、死に損ないが。
 今度こそとどめを刺してやる」

ドクロ少佐は戻ってきた鎌を再び構えた。

「今の私は前の私と同じじゃない。
 今度はさっきみたいにはいかないよ」
「ほざけ! 貴様に一体何が出来る!」
「見せてあげる。私の新しい力を」

くるりとその場で一回転したストロンガーは、ぴしりとポーズを決める。

「チャージアップ!」

かけ声とともに胸の「S」のマークがくるくると回った。
体に埋め込まれた超電子ダイナモが、無尽蔵の力を生み出し始める。
シューシューとあふれ出たエネルギーがスパークし、辺りに火柱を作った。

「とぅ!」

丘の上から飛び降りる。華麗に着地したその姿は、先ほどまでとは異なっていた。
顔のツノ、カブトショッカーが銀色に変わり、胸のプロテクター、カブテクターに
銀のラインが描かれる。
超電子人間として生まれ変わったストロンガーの新たなる姿。


708 :名無しハンペン:04/02/05 21:52 ID:+mj9l5qB
「そ、その姿は……」
「ちぃ、そん程度のこけおどしで、この俺がビビるかよ!」

岩石男爵は一声叫んでストロンガーへと詰め寄った。
固く握りしめた拳を振りかぶる。
ガシリ、と固いものがぶつかり合う鈍い音がした。

「な、何じゃと!」

岩を砕く強力な腕の一振り。
だがその攻撃は、ストロンガーの片手で軽々と受け止められていた。

「ええい、こいつめ!」

逆の手の攻撃をストロンガーは身を沈めてかわした。
代わりに自分の拳を岩石男爵に叩きつける。

「へん、そんなパンチ効くわけが──」

びしり、と音を立てて岩石男爵の体にひびが入った。

「ば、馬鹿な!」
「圭織!」

戦友の名前を呼び、ストロンガーは岩石男爵の腕を掴んだまま、真上に放り投げる。


709 :名無しハンペン:04/02/05 21:53 ID:+mj9l5qB
「ええい、ちきしょう! このくらいで……。な、なんだ!」
「セイリングジャンプ!」

投げ飛ばされた体は、スカイライダーに空中でキャッチされていた。
重力低減装置の力。重たげな体を抱えたまま、ぐんぐん上昇する。

「こ、このぉ、何しやがる! 離さんかい!」
「はい、どうぞ」

真っ正直にスカイライダーはその手を離した。
岩石男爵は重力に引かれ真っ逆さまに落ちていく。

「う、うおぉぉ!」
「きたきた。いくぞぉ! 衝撃集中爆弾!」
「ゼーバー・イナズマンフラッシュ!」

ストロンガーの付けたひび。そこを狙ってZXとイナズマンが攻撃をぶつける。
二人の必殺技に、岩石男爵の体のひびがさらに大きくなった。

「よっしゃ、次はこれや! ライドルホィップ!」

やり投げのような体勢でXライダーはライドルホィップを投げつけた。
鋭い先端が、ひび割れた岩石男爵の体に突き刺さる。

「く、くそぉ! こんなもので、こんなものでこの俺が!」


710 :名無しハンペン:04/02/05 21:53 ID:+mj9l5qB
吠え猛る岩石男爵はなおも落下を続ける。
その真下で、スーパー1は静かに構えをとった。
そのままゆっくりと敵を見上げる。

「き、貴様、まさか……まさか!」

落ちてくる敵を迎え撃つように、スーパー1は空中に飛び上がった。

「ば、馬鹿な! 俺が、この俺がこんなところで!」
「スーパーライダー! 月面キック!」

下から上に閃光が走る。
しなやかに伸びたスーパー1の脚は、突き刺さったライドルを正確に捉えていた。
強烈な蹴りの力に落下の加速度が重なり、ライドルは硬い体を背中まで貫く。

「馬鹿な! ばかなぁぁぁぁぁ!」

ライドルを中心に岩石男爵の体はバラバラに砕けた。
耳をつんざく爆発音。
空中に真っ黒な爆煙が巻き起こった。
その光に照らされながら、ストロンガーは一歩前に踏み出す。

「後はあなただけよ」


711 :名無しハンペン:04/02/05 21:58 ID:Rt4RyEEB
「お前は……。これはまさか、超電子の力。
 そうか……正木があそこにいたのは……。
 おのれ、正木め。こんなことならもう少し早く始末しておくべきだった」

全てを悟ったドクロ少佐は忌々しげに呟いた。

「まさか、まさかあなた博士を!?」
「ふん、正木が地獄で待っている。お前もすぐそこに送ってやるさ。
 この……俺がな!」

ぶん、とドクロ少佐は再び鎌を飛ばした。
唸りをあげて回転する鎌。
しかし、禍々しい凶器が通り過ぎたときには、ストロンガーの姿はもうそこにはなかった。

「ぬぉ!」

ドクロ少佐は上を見上げる。
太陽の光の中、力強いシルエットが浮かび上がる。

「ええい! 燃え尽きてしまえ」

ドクロ少佐から炎が伸びた。
何者をも焼き尽くす地獄の火炎。


712 :名無しハンペン:04/02/05 21:59 ID:Rt4RyEEB
ストロンガーの体がきりもみを始めた。
鋭い回転が、迫り来る炎を切り裂いていく。

「おのれ! これが、これが超電子の力かぁ!」
「超電子ドリルキィック!!

ストロンガーの右足が、ドクロ少佐の体を貫いた。着地した地面がぼこりと陥没する。
逆光に浮かぶストロンガーの背中越し、体が真っ二つになるほどの穴を開け、
ドクロ少佐はよろよろとよろめきながらも両手を真上にあげた。

「うぉぉぉ! デルザー軍団! バンザァァァァイ」

再び、静かな丘に爆音が響いた。
ばらばらと飛んでくる破片を浴びながら立ち上がるストロンガー。
そのツノはもとの赤い色に戻っていた。

「なっち!」

名前を呼ばれて振り返る。
既に変身を解いた飯田が、唇を震わせてそこに立っていた。

「圭織……」

安倍も変身を解き、飯田の前に進み出る。


713 :名無しハンペン:04/02/05 21:59 ID:Rt4RyEEB
「なっち……」
「圭織……ごめんね、心配させちゃって。
 でも、なっちは大丈夫。新しい力も手に入れた。
 だから、だからもう──」
「……ずるい」
「へ?」
「ずるーい、ずるいよ。なっちだけパワーアップしちゃってさ」
「ちょ、ちょっとずるいって何さ。
 なぁに子供みたいなこと言ってんの」
「だって、だってこんなに簡単に……。
 あたしは強くなろうとしていろいろ考えてるのにさ。
 それなのに、それなのに、なんでなっちばっかり!」
「あのねえ、なっちだっていろいろ大変だったんだから!」

ぷう、と頬を膨らませる飯田。
安倍も負けじと腰に手を当てて睨み返す。
高まる緊張感。
人生経験の足りないメンバー達は、不用意に声をかけることさえ出来ない。

「あ、安倍さん!」

しかし突然、その場の空気を無視するように、場違いなほど大きな声で高橋が安倍を呼んだ。


714 :名無しハンペン:04/02/05 22:00 ID:Rt4RyEEB
「もー、なんだよ」
「これ、これ見てください」
「これは……」

高橋の指さした先、荒れ果てた地に立てられた墓標の前。
そこには小さな小さな草の芽が、ほんの少しだけ顔を覗かせていた。

「ずっと……ずっと何も生えてこなかったのに。
 何もかも、全て枯れてしまっていたのに……」

わずかな、本当にわずかな命の息吹。
しかし、それは確かな生命の証。

「良かったね、なっち」
「うん……」
「きっと、なっちの気持ちが通じたんだよ。
 なっちの愛が。……なっちの植えた、愛の種が」
「うん、うん……」

墓標の前で、安倍は静かに頭を垂れていた。
他の者も何も言わず、ただその背中を見つめる。
海を渡ってきた風が、安倍の柔らかな髪を揺らした。


715 :名無しハンペン:04/02/05 22:01 ID:Rt4RyEEB
「よし! やっぱりなっちには負けてらんないや。
 さあ、特訓に行くよ!」
「え!? ちょっと飯田さん、今からですかぁ」
「当たり前でしょ、なっちだけ強くなるなんて、そんなのやっぱり許せないんだから」
「え、えええぇぇ!」
「で、でも飯田さぁん」
「ごちゃごちゃ言わない! さ、行くよ」
「あーあ、大変だねぇみんな」
「ちょっと! 何、他人事みたいなこと言ってんの。なっちも来るのよ」
「な、なんでさ。なっちはもう強くなったから──」
「ダメよ。その新しい力もじっくり見せてもらわなきゃ。
 付き合ってちょうだいよ。あたしが満足するまで……ね」
「か、かんべんしてくださいよぉ」

じゃれ合うように、はしゃいだ声が風に乗って流れていく。
その様子を新たに生まれた小さな芽が、ずっとずっと見つめ続けていた。


第51話 「新生の雷(いかづち)」 終


716 :名無しハンペン:04/02/05 22:02 ID:Rt4RyEEB
終わりです。
前にも書きましたが、なっちヲタなので卒業に触発され急遽書かせていただきました。

今回、お分かりの方はお分かりだと思いますが、仮面ライダーSpiritsをパkゲフンゲフン
オマージュとして使わせて貰ってます。
普段苦手な戦闘シーンなんかも、気合いを入れて書いてみたつもりですが、はてさて。
では、また何か思いついたら書かせていただきます。お付き合いありがとうございました。


717 :名無し天狗:04/02/05 22:09 ID:sUz8aUhd
>名無しハンペンさん
ストロンガーの逆襲、飯田と安倍の終盤の遣り取り、
そして墓標に芽生えた「愛の種」・・・ただただ感服です!
お疲れ様でした。そして今後の「安倍なつみ」に幸多からんことを!!

718 :名無し天狗@青森伸:04/02/06 21:42 ID:4jcquPOA
久々にOPナレ風保全ネタを・・・

「さすらいの私立探偵・市井紗耶香…。
 彼女は親友・福田明日香を殺した仇を求めて全国を旅している。
 そして行く先々で悪の非道に遭遇した時、彼女は明日香の残した研究を元に作った
 特殊強化服を身に付けて快傑ズバットとなり、外道共を成敗するのだ!!」

719 :ねぇ、名乗って:04/02/07 01:27 ID:CNHSv/0W
つまらんがAGEてやる

720 :名無し天狗:04/02/07 21:22 ID:ako51MOn
次の方、もしおられましたらどうぞ・・・。

721 :名無し募集中。。。:04/02/07 23:42 ID:NINBo6T3
ストロンガーカコヨカタヨ。保全。

722 :保全:04/02/08 20:46 ID:NovfmEt+
 強力な改造人間を求めて中東を訪れていた地獄大使が日本支部に帰還した。
長旅から帰ったばかりではあったが、旅の疲れなどみじんも見せず彼はすぐさま
実験室へと直行する。と、そんな彼を出迎えたのは死神博士とその配下の者たち
だった。

 そしてそこには、どういう訳か南米の協力組織「ガランダー帝国」の首魁
ゼロ大帝の使者「黒ジューシャ」たちの姿もあった。実は死神博士もまた南米
行きを計画していたのだが、その動きを察知したゼロ大帝は組織内での発言力
を強めんと、死神博士の南米における一切の便宜を取り計らうとの申し出を
したのである。黒ジューシャたちはそのための使者であった。

 「お前達は一体誰の手のものだ」

 「我々はガランダー帝国、ゼロ大帝様の使者でございます」

姿勢を正し右腕を掲げ、ゼティマ式の敬礼を見せる黒ジューシャ。そんな彼の
腕のフリンジを見た地獄大使は、こう言った。

 「なんじゃこれは、まるで暖簾ではないか。『よう女将、また来たよ〜』」

 挨拶代わりの軽いギャグをかます地獄大使。一気に硬直する面々。しかし
そんな場の空気などお構いなしの彼は目の前で言葉を失っているライバル、
死神博士に対する競争心からか、南米行きの成果を存分に知らしめようと早速
作戦会議に入る。



723 :保全:04/02/08 20:47 ID:NovfmEt+
 そこで地獄大使の要望により、宿敵・仮面ライダーたちを研究しようと
言うことになった。やがて、スクリーンにライダーたちと改造人間の戦いの
様子が映し出されていく。

 そんな折、彼の目を引いたのはなぜかストロンガー、アマゾン、そしてX
だった。

 「コイツは確か、ゼネラルシャドウの仲間を倒したヤツじゃな。名前は
何だったか・・・」

 「ストロンガー、にございます」

 このときすでに黒ジューシャ達の姿はなく、そこには幹部の面々と、彼らに
従う戦闘員の姿があった。戦闘員の一人が地獄大使の質問に答えると、それに
対して地獄大使は映像を指さして言う。

 「何、ライダーストローとな?おおかた線の細そうなもやしっ子じゃろうて」

 「いえ、『ストロンガー』ですが」

 「それは失敬。で、甘党というのは何奴じゃ。ところで貴様、羊羹は好きか?
儂も実は医者に止められるくらい大好きでな」


724 :保全:04/02/08 20:47 ID:NovfmEt+
 「・・・もしかして『アマゾン』でしょうか?」

 この発言に場が軽く冷えてしまったにも関わらず、地獄大使は言葉を続ける。
この間、議場のあちこちで椅子を引く音が聞こえ始めた。あきれた幹部達が
退席し始めたのだ。しかし地獄大使はそんなことを全く意に介する様子はない。

 「おお、そうそう。アマゾンじゃったな。しかし敵はまだ居るのであろう?」

 「はい。続いては『仮面ライダーX』です」

 「なんと!仮面ライダー○ックスとな?!言うに事欠いてこの痴れ者め!
・・・っておい、どこへ行く」

 「さすがにツッコむ気にもなれんそうだ。地獄大使よ、少し休むがいい・・・
弟の台頭にあせる気持ちには、儂も多少は理解を示そう」

 そう言うと、最後まで残っていた死神博士もマントを翻して部屋を後にした。
取り残されて一人たたずむ地獄大使の姿が、なんとなくこっけいに見えた。


(ちなみに今回のショートストーリーは潮 健児氏が営業(地獄大使役でライダー
ショーに出演された折りの事だそうです)で実際にステージで披露されたという
ネタを元に構成しています。)

保全SS 「ある幹部会の風景」 終


725 :名無し天狗:04/02/08 20:57 ID:oDObhXtc
>722-724さん
「弟」の嘲笑する様が目に浮かびます…。

726 :名無し天狗@前口上:04/02/09 19:33 ID:4CjMtlfg
「仮面ライダーのの」をご覧の方々、今宵もようこそ参られた!
ご存じ、名無し天狗でございます!!
さてわたくし、今回はこれまでとチト趣向を変えまして、「講談」と言う形で
本日よりの物語を披露致したき存念にござりますれば、暫しの間、
わたくしめのお話しにお付き合い下さりますよう宜しくお願い申し上げます。
既にこの前口上の時点で物語は始まっておりますれば、「データスレ」ご編纂の方には
いささかご迷惑であるとは存じまするが、何卒お引き合わせの程乞い願い上げ奉りまする。
尚、お話しの途中に(☆)が入りますが、これはわたくしの「張り扇」にござりますれば
ご理解の程、合わせてお願い申し上げます。

・・・では前置きはこのくらいに致しまして、皆様を「葵の咲き誇る」時代へとご案内致しましょう。(☆)
「仮面ライダーのの」、番外編並びにいんたぁみっしょんを除いて通算第五十二話、
「変身忍者嵐・第三章」、これより始まりにござりまする。

727 :名無し天狗:04/02/09 20:23 ID:4CjMtlfg

    第五十二話「呪われし神話の行方〜変身忍者嵐・第三章〜」

(☆)誠にくどうようではございますが、今よりおよそ三百七十年前、日本は徳川幕府磐石の
所謂「江戸時代」。その中でこの物語は徳川幕府の体制・支配をより強固たるものに仕上げました
三代将軍・家光公の御時世が舞台でございます。
この頃になると戦国の世を遠く離れ、天下は泰平にございました…。
ですがいつの世も、悪は、絶えないものでございます。

(☆)時は1636年、即ち寛永十三年。第一章の頃より参勤交代で江戸に下向致しておりました
越前美浜藩十四万八千石城主・五木治部大輔弘繁公は一年間の参勤を終えられ、居城たる
越前美浜城へと帰っておりました。
(☆☆)帰城した弘繁公を出迎えますは美浜藩のお国家老上席
勝野新兵衛洋忠(かつの・しんべえ・ひろただ)にございます。
(☆)当時、大名家には江戸屋敷に「江戸家老」、国許には「国家老」とがございまして、
藩主がどちらか一方にいる間、そのもう一方のお留守を預かりつつ、
各々の職務にあたる、と言う仕組みになっております。
そのお国家老・洋忠が、藩主・弘繁公をにこやかに出迎えます。

(☆)「殿、一年間のお勤めを果たされご無事のご帰城、まずは祝着至極に存じまする。」
「うむ。洋忠、美浜の方は大事なかったか?」
「それは無論のこと、つつがなく、平穏無事にござりまする。」
「そうか、何よりじゃ。」

とは申しましたものの弘繁公、平静を保ってはおりますが、心中穏やかではございません。
(☆)それもその筈、江戸在府の間、悪鬼羅刹の如き凶悪忍群「血車党」の襲撃を受け、美浜五木家
危急存亡の事態に立ち至ったのでありますから無理もございません。また現われはせぬか?
余の命を奪いに来はせぬか?それを考えますうちに弘繁公の額にうっすらと汗が・・・・・・。

(☆)それを見て、「余程の重大事に遭われたのであろう。」と察してか
洋忠は、弘繁公に入浴と休養を勧めます。
家臣の心遣いに感謝し、一年間の疲れを癒す弘繁公でありました・・・。

728 :名無し天狗:04/02/09 20:48 ID:4CjMtlfg
(☆)さて一方、こちらはとある街道。その道中を旅する二人連れの女性
(にょしょう)がおりました。

「しかし…お美和さんも一命を取りとめ、またあなたの負傷も癒えて、
 先ずは安心しました。」
「ええ、私もお美和さんが助かるか否か、治療を受けている間中、居ても立ってもいられませんでした。
 でも助かった今は、お師匠様がお守りすると仰ってましたし…谷一族の隠れ里は容易く見つかることは
 ないでしょうから、お美和さんの身の上は先ず大丈夫でしょう。」

然様。この二人は先の第二章に於いて各々の家族の仇討ち本懐を果たした五木家家臣のくノ一ユキと
その叔母でユキの愛馬と言う化身の姿を持つお順にございます。
彼女たちは、先の仇討ちの戦いの最中深い傷を負ったお美和と言う娘を、自分たちの育った
谷一族の隠れ里へと連れ、治癒と擁護を師たる頭領・谷の鬼十に依頼していたのであります。
同じように激戦から重度の打撃を被(こうむ)っていたユキもまた治療を受け、里を下る頃にはすっかり
本復致しておりました。

(☆)仇討ちを成し遂げた今、彼女たちに課せられた使命は一つ!
(☆☆・☆)日本各地で悪逆非道の限りを尽くし、倒幕しいては日本制圧を目論む「血車党」を
完膚無きまでに殲滅することのみ!!
(☆)今日も今日とて、血車党討伐の旅路を行くユキとお順でございます・・・!!

729 :名無し天狗:04/02/09 21:10 ID:4CjMtlfg
(☆)ユキたちが隠れ里を下っておよそひと月後、街道筋の茶店で一服していた所へ
奇妙奇天烈な生き物が彼女たちの前に降り立って参りました。
(☆)その容貌たるや、大きさは大の大人並み、姿形はカラスを不恰好に人の形に模った様!!
(☆・☆)その上嘴からは人の、それも若い女子の顔が覗いていると言う奇怪千万な風体!!
(☆☆・☆)一瞬、すわ血車党の化身忍者か!?と思わず身構えたユキではありましたが、
そのカラスの成りを見て、何故かユキは胸を撫で下ろしたのでありました。
(☆)それを見て、何とカラスが突然口を利いたのでありました!

「オイオイ、長年見慣れた伝書ガラスを忘れんなよぉ。」
「あ…イヤ、済まぬ。見慣れたつもりであっても…やはり…その…何だ……。」

不気味なカラスが五木家と谷一族が書簡のやり取りに使う伝書ガラスとわかり、
ユキはただただ平謝り。しかし、いつ何どき見ても、その異様さは中々否めません。

ようやく落ち着いたユキはカラスに用件を尋ねます。

「して…そなたがこうしてやって来たと言うことは…何か仔細でも!?」

730 :名無し天狗:04/02/09 21:31 ID:4CjMtlfg
(☆)問われてカラスはこう答えます。

「おう、そのことよ。お殿様からのお達しでなぁ、信州諏訪藩へ行けってさ。
 何でも、諏訪神社に祀られている宝を血車党が狙っているって、物見の報せで
 わかったんだとさ。」
「諏訪神社の宝?」
「ああ。詳しいことはよくわかんないけど、よっぽどドエライお宝なんだろうねぇ。
 あと、これは鬼十のおかしら様から。秘伝の書は取り返したらその場で処分してくれって。
 世のため人のためにって取っておいた技術が悪の手に渡ったことを大層悔やんでたみたいだよ、
 お殿様もおかしら様も。」
「そうか…相判った。遠路ご苦労、殿とお師匠様に良しなに伝えてくれ。」
「あいよー。」

用件を伝え終わるとカラスはまた飛び去って行きました。
(☆)さて、カラスの報せから更なる事の重大事を知ったユキとお順は…

「叔母上、事態は一刻を争います!」
「ええ、先ずは信州諏訪へ急ぎましょう!!」
「心得ました!」

(☆)次なる目的を定めてユキはお順の変じた愛馬・ハヤブサオーに跨って
信州諏訪、即ち現在の長野県へと急いだのであります。

731 :名無し天狗:04/02/09 21:34 ID:4CjMtlfg
ここで一旦、栞にございます。

732 :名無し天狗:04/02/09 22:42 ID:4CjMtlfg
さて、お話しの続きに掛かります。

(☆)天翔ける勢いで信州諏訪に辿り着いたユキとお順。血車党が狙うと言う諏訪神社奉納の
宝について何かわかりはせぬかと、手掛かりを求めて領内を尋ね回ります。
(☆)と、その彼女たちの耳に突如響いた人の悲鳴!!(☆・☆☆・☆)

「だ…誰かぁ〜〜〜!!誰かおりませぬかぁ〜〜〜!!!」

(☆)遠く彼方より聞こえましたのは、何物かに脅え助けを求める男の声!
何事なるかと、声のする方角へユキたちは駆け出します。(☆)一方、こちらは諏訪のご領内のとある農村。

「誰かぁ、誰かぁ〜〜〜!!!!」
「何だ…おい、お前惣兵衛じゃないか、どうした!?」
「あ・・・名主様ぁ〜〜〜!!助けて下せぇ〜〜〜!!!!」

惣兵衛と言う百姓は、恐怖から取り乱しておりました。

「おおお…落ち着け惣兵衛、一体、何があったんじゃ?」
「な…名主様ぁ、実は、ワシの家に…ぞ、賊がぁ!!」
「賊!?盗っ人か!?」
「へぇ…!」

やや落ち着いて名主の問いに答えるも、惣兵衛は身体の震えが止まりません。

「で…盗っ人は何人だ?」
「一人でございます!」

「一人か!ならばワシの張り手一発で、首の骨を圧し折ってやるわぃ!」
と意気込んだのは名主の傍らで事の顛末を聞いていた、力自慢の百姓でありました。ところが…(☆)

「ですがあの盗っ人…うちの娘を人質に獲って、その上…大きな刀を振り回しておりますぅ!!!」
「「な、何じゃと!!?」」

733 :名無し天狗:04/02/09 23:22 ID:4CjMtlfg
「うぉおおおおぉぉぉおおぉぉおおおお!!!!!」

(☆)百姓たちが戸惑う中、鬼の如き凶悪な形相で、ひとりの幼い娘を重荷のように肩に担ぎ、刃渡り三尺は
あろうかと言う長太刀を狂ったように振り回している男が駆け回り、何やら喚き散らしております。(☆)

「酒を出せ!食いもん寄越せ!!有り金残らず持って来い!!!」

(☆・☆・☆)出さねば娘の命をも奪いかねない剣幕で暴れ、騒ぐ男を追って、娘を返してほしいと懇願する
惣兵衛の女房が、家の軒に吊るしてあったであろう干し柿を差し出し、縋るような面持ちで男にこう呼びかけます。

「今はこれしかございません!どうか…どうか娘の命は!!」

ところが盗っ人の男は「そんな物が腹の足しになるか!」と手酷く一蹴!

困り果てた名主は止むを得ず、惣兵衛に「ワシの家から何でもいい、酒と米の飯を持って来い!」
と促したのでした。

「銭ならここにある。ほら、持ってけ!今、米の飯も持ってくる!!」
「ですからそれまでは…どうか、どうかこれで……!!」

名主と惣兵衛の女房は、何とか待ってもらおうと必死に男に懇願します。
(☆)ですが男は待ちきれぬ様子!痺れを切らせて遂に・・・・・・!!(☆・☆☆・☆・☆)

「そんな干し柿…要らんと言うておろうがぁああ!!!」と怒声一発、そして・・・バッサリ!!

「名主様、持って来ま・・・!!お…おせい!おせええええぇぇぇい!!!」

名主の家から酒と握り飯を持って来た惣兵衛が、不幸にも自分の女房おせいが
斬り付けられたのを目撃してしまいました。倒れたおせいに縋りつき泣きじゃくる惣兵衛…。
一方の男は興奮治まらず尚も刀を打ち下ろそうとしております!!!(☆☆☆・☆)
嗚呼、このまま皆殺しに遭うのか…と思われたその時!!!

734 :名無し天狗:04/02/09 23:26 ID:4CjMtlfg
今宵はここまで、続きはまたの講釈で・・・。

一見、バラバラに見える今回の導入部、勿論このままにするつもりは毛頭ございません!
今後の展開を思案しつつコツコツ組み立てていく所存にございますので、次回以降も
どうか宜しくお願い申し上げます。

735 :ねえ、名乗って:04/02/10 15:20 ID:zejvLA32


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